#人材管理
2023/08/10

【人材管理:報酬管理編】評価制度を解説|人事管理との関係性・適切な運用・管理方法

目次

    働きに見合った「報酬」を与える事は、従業員のモチベーション向上・維持に重要です。報酬とは単純に、成果報酬を採用するのではなく、「従業員ごとの貢献度に見合った報酬がしっかりと支払われているか?」という視点で現状の見直しが求められます。人材評価との整合性をチェックしたり、定期的な制度見直しを行ったりと適切な報酬が支払われるように管理しなければいけません。

    今回は、評価・報酬制度の基本と一緒に、人事管理との関係性や適切な運用・管理法を解説します。

    評価・報酬制度とは?

    評価・報酬制度の基礎知識

    評価・報酬制度を理解するために、定義や目的・役割を確認しましょう。

    報酬制度の定義 

    評価・報酬制度とは、貢献度・評価により従業員の報酬を決定する人事管理の一つです。報酬とは「給与」「賞与」「退職金」「福利厚生」などを指し、役職・等級や人事評価と関連し決定されます。

    目的と役割

    従業員の働きに対し報酬を決定する目的として以下の項目が挙げられます。

    ・経営ビジョンのベクトル合わせ

    ・モチベーション向上/維持

    ・人件費の整合性チェック

    上記の通り、報酬制度とは法律的に賃金支払いの意味を持つだけではなく、人事管理と相互関係であると言えます。人事管理は、組織目標の実現のために人材の活用・管理全般(採用・育成・評価・配置・報酬など)を指し、組織が求める行動・業績に基づき貢献度・評価が決定されるため、従業員のキャリア・生活基盤に大きな影響を与えます。

    人事管理と報酬制度を適切に運用・管理する事で、従業員に期待している事・メッセージ性を伝えられ、より経営戦略の実現に近づくための役割となるのです。評価・報酬制度と相互関係にある人事管理の基本・取り組みを実践的に知りたい方は「【人材管理:完全版】人事が押さえておきたいマネジメントとは?システム導入まで」をご確認ください。

    報酬制度の種類

    報酬制度の種類

    社会が豊かになり近年では働く意義を給与(お金)で考える「経済報酬」、モチベーションや社会貢献、やりがい、自己成長で考える「意味報酬」について議論されることがありますが、ここでは企業における報酬制度の中にある「金銭的報酬」「非金銭的報酬」の2種類について説明します。企業により年俸制・月給制を採用するなど、独自の報酬体系を活用している場合があります。以下の報酬体系例をもとに解説します。

    基本給 

    基本給とは、給与のベースとなる基本賃金を指します。賞与・残業代の算定の際、基本給をもとに計算・支給する企業が多いのが特徴です。基本給は、年齢・勤続・学歴・能力・業績などに応じ決定されます。

    能力給

    能力給とは、従業員の能力・スキル・知識に応じ支給される給与です。多くの企業では、自社独自の評価基準をもとに算定・決定されます。

    職務給

    職務給とは、従業員が対応する業務内容・職務の価値に応じ支給される給与です。業績・達成率に基づいて算定・決定されるため、明確な評価基準が重要です。

    賞与(ボーナス)

    賞与(ボーナス)とは、名称を問わず基本給や能力給などの定期給与以外に支給される給与です。賞与(ボーナス)は、基本給を元に何カ月分~・定額制など企業の方針によって支給額は様々であり、自社商品を送る「非金銭的報酬」の制度を採用する企業も存在します。

    定期給与とは異なり賞与(ボーナス)では、就業規則に別段の定めを記し、一定の条件を満たせば、支給の法的義務がないのが特徴です。

    インセンティブ

    インセンティブとは、業績に対する報奨・モチベーション向上を目的に支給される給与です。とくに、「売上=業績」に直結する営業職に多く導入されています。インセンティブは、売上・業績に応じて賞与や給与に上乗せで支給される「金銭的報酬」。社内表彰・旅行などを従業員に送る「非金銭的報酬」の形式があります。

    諸手当など

    諸手当とは、企業が従業員に支払う手当の総称です。例えば、残業代・休日手当・退職金・年金などをまとめて諸手当を総称する企業もあります。通勤手当や家族手当などの企業が任意で決定できる、福利厚生として分類される手当も含まれます。

    報酬制度の管理方法

    報酬制度の管理方法

    適切な報酬管理をおこなうための管理方法・ポイントを解説します。

    評価制度との紐づけが必要

    評価結果と報酬の適切な紐づけが、人事管理の一番のポイントです。従業員への明確な理由説明・納得性に繋がるため、評価軸を明確にしましょう。しかし、評価制度は従業員のニーズ・時代の変化とともに日々変化します。

    「人事や経営陣の周辺に大きな変化はない為、経営の方向性・評価軸を変える必要はない」と思わず、少なくとも評価期間である半年に1回のペースで評価軸の定期的な見直しをすると良いでしょう。経営方針の変更のほか労働基準法に関する法改正など、つねに企業外の変化にもアンテナを張り、人事評価を柔軟に見直す瞬発性が必要です。報酬制度を決定する際は、従業員からのヒアリング調査を行い、人事評価との適切な紐づけを行いましょう。

    従業員とのヒアリング(1on1ミーティング)を効率的に進める方法についてさらに詳しく学びたい方のために「1on1ミーティング入門書」をご用意しているのでぜひご活用ください。

    システムやソフトの運用

    従業員の管理業務に頭を悩ます担当者は多いと思います。特に個人情報の取り扱いの厳格化、管理ジャンルの煩雑化に伴い、従業員数が多い企業ほど人事管理の負担は大きくなるばかりです。そんな状況に際し、評価・報酬を管理する方法として、システムやソフトを活用する方法が注目を集めています。

    システムやソフトを活用すれば、最新の情報を一元的に管理できるため、人事管理の業務効率化が期待できるでしょう。人事管理に便利なシステム・ソフトについて、詳しく知りたい方は「人事評価システム徹底ガイド~導入方法から価格までご紹介〜」をご確認ください。

    また、人事システムを導入する理由・導入後の変化について、さらに詳しく学びたい方のために「人事評価システムを使うべき3つの理由」をご用意しているのでぜひご活用ください。

    報酬制度を適切に運用するには

    報酬制度を適切に運用する方法

    報酬制度を適切に運用するための3つのポイントを解説します。

    現状の報酬体系の把握

    報酬制度を見直す際は、自社が現状どのような報酬体系を取っているのか知る必要があります。具体的に以下の4点に着目し、洗い出してみましょう。

    • 誰が:役職・部署・職種

    • いつ:勤続年数・昇給・降給のタイミング

    • 基準:業績・能力・情意などの詳細な評価軸

    • 他社水準:同業他社の賃金テーブル・平均年収

    上記を洗い出せば、いまどんな基準をもって報酬を決定づけているのか輪郭が見えてくるでしょう。自社が特殊な業界・職種、新しい企業で過去の報酬体系から判断が難しい場合は、従業員に対し匿名のアンケートを実施しましょう。人事・経営陣では分からない、従業員目線で分かる自社の問題点を発掘し、報酬体系を知る方法もあります。

    報酬体系の最適化

    報酬体系の種類は、「成果主義」「結果主義」「年功序列」など様々なものがあります。「古いから悪い・新しいから良い」と決めつけるのではなく、自社に合った最適な報酬体系を採用する事が重要です。定期給与以外にも、「ボーナスを定額制から出来高に変更する」「福利厚生の手当」「年俸制から月給制へ」など、報酬制度は多角的にあります。自社には、どんな報酬体系が最適なのか常に模索しましょう。

    従業員の給与算定をする際は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」が、参考になるでしょう。

    人材評価との整合性をチェック

    日本ではかつて、年功序列制度として勤続年数が長い従業員に高い報酬を支給する制度がありました。しかし、労働人口の減少・高齢化に伴い、人件費の高騰を問題視する企業も珍しくありません。

    働きに対して見合わない報酬を支払う企業に対し、不満を持つ従業員もいるかと思います。だからと言って、従業員全員の給与を単純に底上げすると人件費の上限がきて経営圧迫を避けられないでしょう。重要なのは、人件費のバラ撒きではなく、整合性が取れた人事評価を行い、従業員に報酬が支払われる事です。公正な人事評価を実施するために評価制度をどのように作れば良いかについて、詳しく知りたい方は「人事評価制度のつくり方 事前に把握しておきたいポイント」をご確認ください。

    報酬制度の事例

    報酬制度の事例

    ほかの企業はどのような報酬制度を導入しているのか、事例2社を紹介します。

    TOYOTA「人事評価点数アップによるボーナス増加」 

    日本国内で自動車メーカーの最大手「TOYOTA」

    人事評価を0~4の4段階に応じ、ボーナス支給が決定される報酬制度を取り入れました。

    “トヨタでは、ボーナス支給額を左右する人事評価を「0点」「1点」「2点」「3点」の4段階とし、点数が高いほど増額する仕組みを導入。記事では具体的な支給額は示されていないが、仮に18年実績で200万円を支給された社員が19年冬以降「3点」を取れば、300万円にもアップする仕組みのようだ。トヨタでは「社員の労働意欲を高め、厳しい競争を勝ち抜く狙いがある」(読売)としている”

    (※参考)レスポンス:「トヨタが頑張る社員の賞与を1.5倍へ、日産は西川社長らに報酬不正疑惑(新聞ウォッチ)

    損保ジャパン「インセンティブ・ポイント制度」

    日本国内で保険の総合代理店としてサービスを展開する「損保ジャパン」

    成約・連日稼働など業績に応じ、独自のポイントを付与する制度を導入しました。貯まったポイントを自分へのご褒美・家族へのプレゼントなど、好きなものと交換できる制度によりモチベーション向上に繋がったと言われています。

    “下期の3ヶ月間で実施する社内キャンペーンに『インセンティブ・ポイント』を活用することにしたんです。 全員に対して目標達成を意識づけ、それを個人レベルまで落とし込むことができる仕組みをつくりました。 その結果、営業の稼働率が前年対比約2倍にアップし、無事に年間目標を達成することができました。要因として感じているのは、日々の努力を評価することで、 営業社員のモチベーション維持、向上ができたという点です。”

    (※参考)ベネフィット・ワン:「営業の稼働率が2倍に!日々の努力を評価することで業績向上

    人材管理・人事評価で報酬制度をカンタン・シンプルに

    適切に管理・運用された人事評価と報酬制度が適切に紐づけされれば、従業員の公正な評価・モチベーション向上・企業成長に繋がります。

    しかし、従業員数が多いほど管理は煩雑化するため、評価と報酬制度の管理・運用に悩む担当者も多いでしょう。

    そんな状況に際し、評価・報酬を効率的に管理できる方法として、システムやソフトを活用する方法が注目を集めています。

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    HR大学編集部
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