#人事評価
2021/04/15

【イベントレポート】脱・管理型組織 人事評価制度 見直しの裏側

目次

    2020年12月16日、オンラインセミナー「脱・管理型組織 人事評価制度 見直しの裏側」を開催致しました。

    本セミナーにはブランドを軸に中小・地方企業様のデジタルシフトを担うブランディングテクノロジー株式会社の内山様がご登壇。

    「社員ひとりひとりが考えて動く自走型組織」を目指し、人事評価制度の見直しに着手された背景やその思い、取り組み方法についてお話いただきました。

    人事評価制度を見直すまでに至った背景やその思い、取り組み方法についてお話しいただきました。

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    登壇者

    ブランディングテクノロジー株式会社 人事戦略室 執行役員兼人事部長 内山 一彦 様

    株式会社HRBrain コンサルティング事業部マネージャー 新宮 祐賀

    人事評価制度見直しのポイントについて解説/HRBrain 新宮

    まず、HRBrainの新宮から人事評価制度を刷新するときに気をつけていただきたいポイントについて解説していきました。

    「社員のモチベーションをあげたい」

    「評価の納得度をあげたい」

    「成果主義にしたい」

    「ジョブ型の評価制度を取り入れていきたい」

    などを背景に、「人事評価制度を見直したい」というお声をよくいただきます。

    これは間違いではないですが、もっと具体的に「どのような背景で」「どのような目的で」成し遂げていきたいかというのが明確にするべきです。

    人事評価制度刷新の1番の肝は、『目的を明らかにする』ということです。

    具体的に目的を明らかにしている状態とは以下のような状態です。

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    もう一段階抽象度をあげると、経営戦略を明確にした上で人事戦略に落とし込むという順番が基本になります。これが逆転しているケースや目的となる経営戦略がないケースが非常に多いです。

    経営戦略をしっかり解像度が上がっている状態にするのが何よりも重要です。

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    経営戦略があっての人事戦略、この順番を間違えずに、しっかりと目的を定めた上での手段として人事評価制度を使っていきましょう。

    目的を明らかにする上での一つの罠は『手段の目的化』です。

    人事評価制度は経営の舵取りをするツールなので、「他社がやっているからこの評価制度をやる」という短絡的な考え方は一番やってはいけないことです。もちろん、目的と手段が一致している上で参考にするのは問題ありません。ただ、「他社がやっているからとりあえずうちもやってみよう」「人事評価制度がないからとりあえず入れてみよう」という考えをしている場合は、一度足を止めていただいて、目的を考えるところから始めてみるべきです。

    まずなにから始めればいのか。それは「会社の健康状態を把握すること」です。

    以下のチェックリストに4つ以下しか当てはまらなかった場合、会社の健康状態がよくない可能性が高いです。

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    また、人事制度周りでの課題は大きく2つに分かれる可能性が高いです。

    ひとつは、仕組みの問題。もうひとつは、運用の問題。

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    現状、健康状態がよくない企業様や、課題がみつかった方は、その課題が仕組みの問題からきているのか、運用の問題からきているのかを見極めてみて下さい。現状と課題が見えてきたら、弊社のような人事評価のプロに相談するのが1番確実だと思います。

    脱・管理型組織 人事評価制度見直しの裏側/ブランディングテクノロジー 内山様、HRBrain 新宮

    続いて、新宮がモデレーターとなり、ブランディングテクノロジー株式会社の内山様にご登壇いただき、『脱・管理型組織 人事評価制度見直しの裏側』について、8つのテーマ基づいてお話ししていただきました。

    本レポートではその一部をご紹介していきます。

    人事評価制度をこのタイミングで刷新しようと思った背景

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    内山様「ブランディングテクノロジーには大きく分けて3つの事業部・組織があり、事業部ごとに戦略や大切にするブランドや文化が結構違っていたんです。本来、自分がコーポレートとして統制していくべきなのかもしれませんが、逆に事業部ごとにミッションビジョンバリューを掲げて尖らせていこうという風に今期から組織戦略を切り替えました。そのため、評価制度の刷新は必然でした。」

    新宮「元々はミッションビジョンバリューがない状態で、それを言語化するところからのスタートでしたね。」

    内山様「2020年1月にプチ合宿みたいなものを行い、色々な議論をしていく中で、今のような組織戦略が挙がり、言語化できていなかったことを言語化しようということになりました。」

    新宮各事業部の事業理念や方針が明確になったタイミングで、人事評価制度も変わっていくべきだと感じたのですね。」

    内山様「そうですね。」

    新宮「人事側から経営に意見を通していくのは、タイミングが重要だと思います。内山様がやられた施策や動きで意識されたことはありますか。」

    内山様「部長陣で会社をどうしていきたいかというプレゼン大会を行いました。そこから事業部ごとにミッションビジョンバリューを掲げれば良いのではないかという持っていき方をしました。」

    新宮現場のトップ層に自分ごと化してもらうためのプレゼンをあえて挟むことで、一緒につくっていく側に巻き込んだという形ですね。」

    人事制度を見直そうとしていく中で実感した課題

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    内山様『人事評価制度=人事が作ったもの』という扱いになりやすいと思っていますが、そうするとスタッフとの距離ができてしまいます。事業部ごとの責任者がいるので、そういった方が当事者として作っているという認識をさせたかったのですが、これには苦労しました。HRBrainには6月から支援いただきましたが、実はこのプロジェクトは4月から実施していました。4,5月は迷走していました(笑)」

    新宮「確かに人事だけで作ったものが現場に与えられるという見せ方をすると、運用が回らなかったり、形骸化したりする可能性が高いです。自分たちが一緒に作ったものという見せ方をするには、部長陣の巻き込みが必須だったということですね。迷走してしまったとのことですが、失敗してしまった事例や今思うとこうしておけばよかったと思うことはありますか?」

    内山様「事業部側は、重要度は高いけれど優先度は低いものと思っていました、緊急事態宣言などもありましたし…。人事主導で作りすぎるとうまくいかないので、あくまでミッションビジョンバリューを実現するために評価制度があるという認識で浸透させたかったので、その方法を一人でずっと考えていました。」

    新宮「事業部側が前向きに取り組み始めたのはいつ頃ですか?」

    内山様「それこそHRBrainに入っていただいたタイミングです。外部に伴走型で入ってもらい、タスクの割り振りをしていく中で、各々がやるべきことの認識ができるようになりました。」

    新宮「誰がいつまでに何をやるべきなのかということが明確になったタイミングですね。現場を巻き込むという課題は各社あると思います。解決する手段として課題整理とタスク整理がありそうですね。」

    事業部ごとのバリューを評価制度に取り込んだ意図

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    内山様バリューを定義し、それを個人が体現化することで組織ごとの独自の文化が生まれ、そこに所属している意識が高まり、掲げたミッションに向かって行動していく意識にしたいと思ったからです。」

    新宮「バリューを作って終わりではなく、それを体現し馴染ませていく手段が評価制度だったということですね。」

    内山様「ブランディングテクノロジーが求める行動基準は元々ありましたが、ミッションビジョンバリューを掲げると少し違いました。それを仕組み上に乗っけることによって、改めて組織文化がより強くなるのではないかと思いました。」

    新宮「実際この評価制度を社内に展開して、社員の方からの反応はどうですか?」

    内山様役割が明確になって目標が立てやすいという声はもらいます。今まで行動評価というものはありましたが、それを理解していない人が多くて意味をなしていませんでした。今回ミッションビジョンバリューに基づく形にしたので、理解されやすくなったと思います。」

    新宮「事業部ごとに最適化されたバリューがあり、それが評価に組み込まれていると社員に伝わりますよね。」

    HRBrainにコンサルを依頼した理由

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    内山様HRBrainにはパッケージ感がなく、柔軟性が高いと感じました。推し進めていく力も高いと思いました。私だけでは知見やノウハウがないので、外部コンサルを入れないとできないと考えていたときに丁度HRBrainにご提案をいただきました。」

    新宮「ありがとうございます。外部リソースを取り入れるときに気をつけているポイントがあれば教えていただきたいです。」

    内山様役割の分担ですね。私から言うよりも外部の人に言ってもらった方が納得感が高いということはあると思うので、そこはお願いしていました。」

    新宮「今回、部長陣への知識のインプットやマインドセットが大事な初回のキックオフや、細かい知識が必要になる作業系などは私が行いました。色々なことが必要になる中で、うまく使っていただいたなという感覚はあります。内山様がやった方がいいこと、我々がやった方がいいことを切り分けて進めていくのはいいポイントだと感じました。」

    まとめ

    今回は、人事評価制度の刷新に取り組まれたブランディングテクノロジー株式会社の内山様にご登壇いただき、人事評価制度を見直すまでに至った背景やその思い、取り組み方法についてお話しいただきました。

    人事評価制度の刷新における会社の状態把握や、課題と目的と明確にすることの重要さを実感するセミナーでした。

    本セミナーが人事評価制度のあり方を見直すきっかけになっていれば幸いです。

    参加してくださった皆様、本当にありがとうございました!

    そして、最後に、今回登壇してくださった内山様、貴重なお話をありがとうございました!

    ブランディングテクノロジー株式会社について

    社名:ブランディングテクノロジー株式会社

    事業内容:ブランド事業、デジタルマーケティング事業、オフショア関連事業

    従業員数:252名(平成31年3月31日時点)

    企業URL:https://www.branding-t.co.jp/

    HR大学編集部
    HR大学 編集部

    HR大学は、タレントマネジメントシステム・組織診断サーベイを提供するHRBrainが運営する、人事評価や目標管理などの情報をお伝えするメディアです。難しく感じられがちな人事を「やさしく学べる」メディアを目指します。