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ティール組織とは?人事なら知っておきたい3つのポイントと成功事例

ティール組織とは?人事なら知っておきたい3つのポイントと成功事例

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目次

    人事担当であれば、「ティール組織」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。この記事では、従来の組織と何が違うのか、実際に成功事例があるのかを知りたいという方のために、ティール組織の3つのポイントと成功事例をご紹介します。

    ティール組織とは監督や干渉なく推進できる組織のこと

    ティール組織とは、社長や上司が監督・干渉しなくても、組織の目的実現に向けて推進できている組織のことをいいます。従来の組織では、管理職が部下を統制する「ヒエラルキー」によって組織が成り立っていましたが、ティール組織はそうした手法を否定しています。この組織論の提唱者であるフレデリック・ラルーは、これまで正解と思われてきた管理手法は問題である可能性がある、と指摘しています。そして、目的を実現すべくメンバー全員が自発的に協働する「一つの生命体」として、ティール組織を提唱したのです。

    「ティール組織」の概念とは

    ティール組織という概念は、フレデリック・ラルー氏によって執筆された書籍の中で紹介されています。「ティール」の意味は「青緑」です。同書では、意識は「Red(赤)→Amber(琥珀)→Orange(橙)→Green(緑)→Teal(青緑)」の順でより世界を複雑に捉えるようになるとしており、この色の理論を用いて組織論として展開しています。例えば、意識が最も低い「Red」の組織は力によって支配している状態とし、狼の群れに例えています。ラルー氏の言う組織概念においてティール組織は、もっとも成熟した姿が「組織の目的を実現すべくメンバーが協働した段階」だとされています。

    押さえるべき3つのポイント

    従来の「ヒエラルキー」型組織と異なり、「ティール組織」であるためのポイントはどこにあるのでしょうか。ラルー氏は、以下のとおり、押さえるべき3つのポイントを挙げています。

    ・進化する目的:組織の変化に合わせてメンバー全員で目的を進化させる

    ・セルフマネジメント:メンバー全員が自己管理を徹底する

    ・ホールネス:メンバーの多様性を尊重する

    進化する目的

    ティール組織は「一つの生命体」だと考えてください。生命体が生きている以上、存在目的があり、さらにその目的も進化していきます。1つ目のポイントは、将来向かうべき方向を常に考え続けることです。従来の形式とは異なる点は、社長や上司が考えて部下に伝えるものではないということです。さらに、1人で考えるのではなく組織のメンバー全員で話し合い、つくり上げていくものだとされています。

    セルフマネジメント

    2つ目のポイントとなるセルフマネジメントは、ティール組織を語る上でよく引き合いに出されるものです。ティール組織においては、社長や上司からの指示命令がないため、メンバー全員が信念に基づき、工夫しながら自己管理し、働いていくことになります。このスタイルを実現するために必要なのは、以下の3つとされています。

    ・情報の透明化:評価軸などのあらゆる情報が透明化されている

    ・意思決定プロセスの権限譲渡:個人の意思決定を尊重しつつ、組織からのフィードバックも受け取れる

    ・人事プロセスの明確化:個人的権力が及びにくいように採用・給与・退職プロセスが明確である

    この3つによって、社員は成果やそこに至ったプロセスを把握できるため、自分自身の働きぶりを常に振り返ることができ、セルフマネジメントが可能となるのです。

    ホールネス

    単なる組織論にとどまらないティール組織の特徴といえるのが、この「ホールネス」です。ホールネスについて、書籍では「個人としての全体性の発揮」と説明されています。これは、上下関係をつくらず、各個人が「本来の自分」として働くことを奨励するティール組織ならではの考え方です。この考え方においては、共に働く仲間の不安や弱さにも寄り添い、全体としてセルフマネジメントを機能させることで、個々の能力が最大限発揮されるとされています。このために、ティール組織を実践している組織では人間関係を良くするトレーニングや感情の相違を扱うトレーニングなどに取り組んでいるケースもあります。

    成功事例:オランダの介護業界

    ティール組織の成功事例としては、オランダの在宅介護支援を行う非営利団体 Buurtzorg(ビュートゾルフ)が知られています。この団体の特徴は、マネージャーを持たない850ものチームが、目的実現に向けて独立して運営されています。各チームは最大12名で構成されており、それぞれが目標に沿って自由に行動しています。

    ビュートゾルフが、ティール組織として機能するひとつのポイントが、「Buurtzorg Web」と名付けられた多彩な機能を持つITツールの活用です。このうちのひとつであるコミュニティ機能は、チーム内やチーム間でのコミュニケーションや情報共有のために利用されています。特徴的なのは、議論を行う上で行き詰まった場合に、コーチが補助するという仕組みをとっている点です。ただし、コーチは問題解決をするのではなく、議論を進めていく進行役に徹します。最終的に主体的に問題解決を行うのはメンバーなのです。

    そのほかに、ティール組織として仕事を進めていく上で必要となるツールとしては、以下のものがあります。

    ・顧客管理ツール

    ・ダッシュボードツール

    ・ビデオラーニングツール

    顧客管理ツールとは、患者ごとの電子健康記録が登録されたデータベースのことです。診断の記録をデジタルで共有し、各メンバーの専門性を生かして、より高いサービスを提供するように取り組みます。チームの誰もが顧客のタイプや進捗状況を把握できるようになっているので、メンバーが自ら考えて行動することができます。

    ダッシュボードツールでは、全てのチームメンバーが患者の数や満足度、あるいはチームのコストといった組織に関するすべての情報を把握できるようになっています。従来の組織では、マネージャーにしか開示されなかった情報も含まれており、これらを全員が共有することでメンバー自身での意思決定を可能にしているのです。

    ビデオラーニングツールは、自主的な学習のために準備されているものです。新しく入社したメンバーであっても、動画によるラーニングで、より効率的に組織のことを学んだり、新しい知識を習得したりすることができます。

    ティール組織は実現可能か?

    日本の企業では、重厚なヒエラルキーを持ったケースが多いため、はたして社長や上司が監督・干渉しない組織が成り立つのか?と、疑問に思われる方もいるでしょう。しかし、事例で取り上げた「ビュートゾルフ」のように、海外では既に、ティール組織として運営されている企業が顧客満足度・売上・利益を向上させています。全面的な導入は難しくても、紹介した3つのポイントは参考になる部分があるのではないでしょうか? 現状の組織のあり方に疑問を感じている場合は、ティール組織の考え方を参考にしてみるとよいかもしれません。

    HR大学 編集部

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