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キャリアアップ助成金とは?支給金額から申請方法まで解説

キャリアアップ助成金とは支給金額から申請方法まで解説

キャリアアップ助成金とは?支給金額から申請方法まで解説

目次

    キャリアアップ助成金を検討されている企業も多いのではないでしょうか。優秀な非正規の従業員を正社員化する制度により、従業員のモチベーションアップにもつながります。この記事では計画書の記入方法や支給される金額、就労規則など必要書類まで解説しています。

    キャリアアップ助成金とは

    キャリアアップ助成金の7つのコースを解説

    労働者の意欲や能力の向上と、事業の生産性の向上を支援するためキャリアアップ助成金ですが、そもそもどのような制度なのかということから、申請するに当たって理解しおくべき需給の要件などを解説します。

    キャリアアップ助成金とは

    キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するために、正社員化や処遇改善の取り組みに対する助成金制度です。この助成金は、雇用主に支払われます。非正規雇用労働者とは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者を指します。

    キャリアアップ助成金は、厚生労働省が労働者の意欲や能力の向上と、事業の生産性の向上を支援するために制定しました。具体的な手続きなどは労働局やハローワークで行います。申請から運用・実施まで、長期にわたり管理が必要になります。例えば「正社員化コース」では後述する「キャリアアップ計画書」の提出含め事前手続きが済んだ後に、正社員転換試験の実施や、正社員になった従業員に6ヶ月の賃金を支払ったことを証明しないといけません。その後賃金支給から2ヶ月以内に、支給申請を行う必要があります。その為、人事では長期的に管理できるスタッフを担当者にしておく必要があります。

    またキャリアアップ助成金は、よく「キャリアアップ」という言葉のために、正社員のキャリアアップのための助成金と混同されますが、正社員向けの助成金は「人材開発支援助成金」として、厚生労働省が別途定めていますので、そちらを参照ください。

    (※参照)厚生労働省:「 人材開発支援助成金」より

    キャリアアップ助成金7つのコース

    キャリアアップ助成金には2021年8月現在7つのコースがあります。手続き自体は大きな違いはありませんが、それぞれのコースごとに支給される金額が変わります。

    また、毎年4月に内容やコースが追加・変更されています。実際に令和3年度から「健康診断制度コース」は「諸手当制度等共通化コース」へ統合されました。加えて「障害者正社員化コース」が新設されています。

      ・正社員化コース
    有期雇用労働者などを正規雇用労働者などに転換、または直接雇用の変更した場合に助成されます。

    ・障害者正社員化コース
    障害のある非正規雇用者を正規雇用者労働などへ転換した場合に助成されます。

    ・賃金規定等改定コース
    すべてまたは一部の有期雇用労働者などの基本給の賃金規定等を増額改定ししたり、昇給したりした場合に助成されます。

    ・賃金規定等共通化コース
    有期雇用労働者などに関して、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定などを新たに作成して、さらに適用した場合に助成されます。

    ・諸手当制度等共通化コース
    有期雇用労働者などに関して、正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設け、適用した場合。または有期雇用労働者などを対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに設け、延べ4人以上実施した場合に助成されます。

    ・選択的適用拡大導入時処遇改善コース
    労使合意に基づく社会保険の適用拡大の措置の導入にあわせ、その雇用する有期雇用労働者などについて、「 働き方の意向を適切に把握」「社会保険の適用と働き方の見直しに反映させるための取組を実施」を行い、今回の措置により新たに社会保険の被保険者とした場合に助成されます。

    ・短時間労働者労働時間延長コース
    短時間労働者の週所定労働時間を延長し、処遇の改善を行い、新規で社会保険の被保険者とした場合に助成されます。

     (※参照)厚生労働省:「 キャリアアップ助成金のご案内」より

     キャリアアップ助成金受給要件

    キャリアアップ助成金を受給するには以下の要件を満たしている必要があります。

    • 雇用保険適用事業所の事業主であること
    • 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
    • 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であって、以下の(1)に該当しない事業主であること (1)「キャリアアップ計画書」の内容(実施するコース)に講じる措置として記載していないにもかかわらず、取組実施日の前日までに「キャリアアップ計画書(変更届)」を提出していない事業主であること
    • 該当するコースの措置に係る対象労働者に対する労働条件、勤務状況及び賃金の支払い状況等を明ら かにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる事業主であること
    • キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること
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     (※参照)厚生労働省:「 キャリアアップ助成金のご案内」より

    また審査では労働法違反がないかも確認されます。賃金台帳や出勤簿なども細かく調査され、万が一、違反が見つかると支給されません。時間外手当てや、休日手当て、深夜手当てと出勤簿の内容があっているかなど、細かく精査されますので、日頃から法令を遵守した労務管理が必要になります。36協定などを提出していない場合も、労働基準法違反になります。申請前には社内で違反がないか、契約の社労士や人事系弁護士ときちんと確認することをおすすめします。

     助成金がアップする生産性要件とは

    キャリアアップ助成金は「生産性向上」が認められると、一定額上乗せされます。

    現在厚生労働省では将来的な生産年齢人口の減少を見越し、女性、高齢者、外国人の3つの層からの雇用促進をするとともに、「生産性向上」も推奨しています。

    次項で支給額を紹介しますが、正社員化コースでは、ひとりあたり10万円以上の差がでる為、視野に入れて取り組むことをおすすめします。具体的な「生産性向上」の要件は以下の通りです。

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    (※引用)厚生労働省:「 キャリアアップ助成金のご案内」より

    キャリアアップ助成金支給金額

    キャリアアップ助成金支給金額を解説

    支給金額は7コースでそれぞれ違います。ここでは「正社員化コース」と「賃金規定等改定コース」の計算方法を紹介します。

    また中小企業か中小企業以外かで支給金額が変わります。厚生労働省がキャリアップ助成金で定める中小企業の規定は以下の図の通りです。

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    (※参照)厚生労働省:「 キャリアアップ助成金のご案内」より

    正社員化コース

    正社員化コースの場合の計算式は以下の図の通りです。

    中小企業の方が大企業よりも多く支給されるのが特徴です。また生産性向上分の評価額も、中小企業の方がより評価につながり金額が多くなっています。

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    (※参照)厚生労働省:「 キャリアアップ助成金のご案内」より

    賃金規定等改定コース

    賃金規定等改定コースの場合の計算式は以下の図の通りです。

    正社員化コースの場合と同じく、< >内は生産性の向上が見られる場合、そして( )内は大企業の場合の数字になります。

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    (※参照)厚生労働省:「 キャリアアップ助成金のご案内」より

    キャリアアップ助成金申請方法

    キャリアアップ助成金の申請方法を解説

    キャリアアップ助成金の活用には、各コースの実施日の前日までに「キャリアアップ計画」(労働組合等の意見を聴いて作成)等を作成し、労働局またはハローワークに提出しておくことが必要です。受給までの流れは以下の図の通りです。

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    (※参照)厚生労働省:「 キャリアアップ助成金のご案内」より

     就業規則他必要な書類とは?

    キャリアアップ助成金申請には以下の書類を用意する必要があります。特にキャリアアップ計画書は事前の提出が必要です。

    キャリアアップ計画は「有期契約労働者等のキャリアアップに関するガイドライン」 に沿って作成する必要があります。主な必要要件としては、以下の5つが挙げられます。

    • キャリアアップに向けた 管理体制の整備
    • 計画的なキャリアアップ の取り組みの推進
    • 正規雇用労働者等への 転換
    • 処遇改善
    • 人材育成

    詳しくは厚生労働省「 キャリアアップ助成金のご案内」をご参照ください。

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    (※参照)厚生労働省:「 キャリアアップ助成金のご案内」より

    キャリアップ計画書の記入例

    「キャリアアップ計画書」の記入例を紹介します。ここでは大まかな流れを紹介していますので、具体例は下記の計画書作成例の図を参考にしてみてください。

    1. 「キャリアップ計画期間」を記入します。取り組む期間を、3年以上5年以内で定めます。(ただし最長5年間の計画期間満了後も引き続き取組を計画される場合は、変更届ではなく、新規でキャリアアップ計画を作成し提出することが必要です。)
    2.  次に「キャリアップ計画期間に昂じる措置の項目」でコースを決めます。
    3. 「対象者」には対象者記入します。
    4. 「目標」は具体的なゴールを記載してください。
    5. 「目標を達成するために講じる措置」では、会社が行う取り組みなどを記入します。
    6. 「計画全体の流れ」ではより具体的な方法を記入します。計画の対象となる有期雇用労働者や無期雇用労働者の意見が反映されるように工夫する必要があります。 例:「内容を周知して、希望者に面接を行うなど。

    この他に、「キャリアアップ管理者」を決定する必要があります。より具体的なスケジュールや手順は「 有期契約労働者等のキャリアアップに関するガイドライン」を確認してください。

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    (※引用)厚生労働省:「 キャリアアップ助成金のご案内」より

     正社員化コースの場合の手続きの流れ 

    キャリアアップ助成金の「正社員化コース」に関して、申請方法を紹介します。大きくは以下の6ステップです。

    1. キャリアアップ計画の作成・提出
    2. 就業規則、労働協約その他これに準ずるものに転換制度を規定
    3.  転換・直接雇用に際し、就業規則等の転換制度に規定した試験等を実施
    4. 正規雇用等への転換・直接雇用の実施
    5. 転換後6か月分の賃金を支給・支給申請
    6. 審査、支給決定
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    (※参照)厚生労働省:「 キャリアアップ助成金のご案内」より

    手続きの流れは、上記リンク先の厚生労働省のホームページのP29からダウンロードすることができます。

    また、労務協約は「労働組合と使用者が、労働条件等労使関係に関する事項について合意したことを文書に作成して、 その双方が署名または記名押印したもの」と規定されており、こちらも書面化が必要です。主な必要書類は以下の通りです。就業規則は申請するコースで必要な記載内容が異なりますので、担当機関に確認しながら修正と作成をすすめることをおすすめします。

    • 支給要件確認申立書
    • キャリアアップ計画書
    • 就業規則
    • 労務協約
    • 雇用契約書または労働条件通知書等        
    • 賃金台帳など
    • 出勤簿、またはタイムカードなど
    • 中小企業事業主である場合は、確認できる書類
    • 対象労働者に母子家庭の母が含まれる場合は確認できる書類 
    • 若者雇用促進法に基づく支給を受ける場合は、基準適合事業主認定通知書および基準適合事業主認定申請書の写し
    • 対象労働者に父子家庭の父が含まれる場合は確認できる書類
    • 生産性要件に係る支給申請の場合の添付書類

    この書類の他、労働局が必要と認める書類の提出を求めることがあります。

    キャリアアップ助成金添付資料一覧

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    (※参照)厚生労働省:「 キャリアアップ助成金のご案内」より

    正社員化コース以外の場合の手続きの流れ

    キャリアアップ助成金の「正社員化以外のコース」に関して、申請方法を紹介します。流れはほぼ同じですが、コースごとで細かな書類が違いますので、申請するコースにあわせ確認をしてください。

    1. キャリアアップ計画の作成・提出
    2. 賃金規定等の増額改定の実施
    3.  増額改定後の賃金に基づき6か月分の賃金を支給・支給申請
    4. 審査、支給決定

    以下は「賃金規定等改定コース」を例にしていますが、他のコースもおおまかな流れは同様になります。

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    (※参照)厚生労働省:「 キャリアアップ助成金のご案内」より

     キャリアアップ助成金申請の注意点

    キャリアアップ助成金の申請自体は難しくはありませんが、故意ではなかったとしても、何かの手違いで不正受給とみなされることがありますので、申請には細心の注意が必要です。ここでは、キャリアアップ助成金申請時に関する注意点を紹介します。

    注意点1:提出書類の不備

    書類の記入間違いなどが助成金支給された後に発覚した場合は、不正支給になる可能性があります。もし不正支給と認定された場合は、助成金の返還が必要です。さらに年3%の遅延金加え、返還額の20%が違約金として発生します。

    不正受給に関する罰則は、申請代理人にもその返還が連帯責任として科せられます。そして不正受給があった場合は、5年以内は助成金を受給できなくなります。また不正支給防止の観点から、一度提出した書類の差し替えや訂正はできません。

     注意点2:趣旨・目的に沿った取組をしているか

    書類不備はもちろんですが、従業員の処遇改善がみられない場合など、キャリアアップ助成金の趣旨・目的に沿った取り組みと判断されない場合には、不支給となる場合があります。また、以下に該当する事業主は助成金を受給できません。

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    (※参照)厚生労働省:「 キャリアアップ助成金のご案内」より

     2つ以上の助成金を同時申請した場合には、両方の助成金の要件を満たしていたとしても、一方しか支給されないことがあります。申請は案件ごとにおこないましょう。

     注意点3:助成金の勧誘

    キャリアアップ助成金の申請者、助成対象の診断や査定を行うという会社からのアプローチがあるようです。業者の中には、厚生労働省との関係をほのめかす内容が含まれている場合がありますが、厚生労働省や労働局・ハローワークでは、勧誘に関与している事実はなく、注意喚起をしています。

    また「100%助成金が受けられる」などの勧誘もあるそうですが、申請内容に不備があった場合は、支給は受けられませんのでご注意ください。

    【まとめ】能力開発制度は人事評価との連動で従業員のモチベーションアップを

    キャリアアップ助成金に関して、その概要から申請方法を紹介してきました。手続きはやや煩雑ですが、今後の事業戦略としても取り組みたい制度ですね。

    実際採用する企業側としては、転職が徐々に当たり前になりつつある日本において、採用リスクを最低限にしながら優秀な人材を育成、確保していくためにこういった助成金制度を利用していきたいところです。

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    HR大学 編集部

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