人材育成
女性活躍には多数の課題あり!?弊害や進まない理由を解説
目次
女性活躍の課題とは?
政府による女性活躍推進の下、女性活躍の整備が進む企業もあれば、未だ男性中心のキャリアが根強い業界などもあり、女性活躍の課題が多くあります。ここでは、女性活躍の内容や課題について説明します。
そもそも、女性活躍とは
労働人口減少を背景に、女性や高齢者、障碍者など多様な労働力が必要となる日本の労働環境。労働力の底上げを目的に、政府主導でさらなる女性活躍推進が行われています。この女性活躍推進の政策として、女性活躍に関する課題分析・行動計画策定のうえ公表する「女性活躍推進法」を制定しています。
女性の割合が少ない業種であっても、労働力確保の観点で女性比率の拡大に向けて、環境を整えることが必要です。
女性活躍の課題とは?
旧来の日本における労働環境は、女性は結婚・育児で退職を余儀なくされていたことが多く、「育児は女性が担うもの」といったジェンダー・バイアスが根強く残っていました。未だ尾を引いている業界・業態もあり、固定観念から抜け出せていない経営者も少なくありません。
働く女性は、出産を境にキャリアから離脱することが少なくありません。未だ女性が育児をしながら仕事をしていく環境が、十分に整っていないという状況も多くあります。
女性活躍の肝は、子どもの出産期から育児期にキャリアの離脱を防ぐことです。30代に多いそのようなキャリア離脱現象は「M字カーブ」と呼ばれています。
出産・育児期のキャリア離脱状況は、従前に比べて減少しているため、解消しているように見えます。しかし一方で、出生率は、1970年代における第二次ベビーブームの2.16から、2019年では1.36と低減傾向が続いており、労働力確保の観点では、根本的な解決には至っていないと言えます。
女性活躍の課題は多くありますが、主な課題は「ジェンダー・バイアス」と根本的な「M字カーブの解消」といえるでしょう。
女性活躍の現状
女性活躍推進を阻害する主な要因は、「ジェンダー・バイアス」と「M字カーブの解消」といえますが、具体的な課題はどのようなものでしょうか。ここでは、女性活躍の現状と具体的な課題、女性活躍が進まない理由を解説します。
働く女性の活躍現状
男女共同参画局の調査によると、M字カーブの改善要因は、保育所等の育児環境整備や育児休業制度の拡充など、女性活躍推進施策が大きく寄与したと見られています。
従来、「子供が大きくなったら再び働きたい」と考え、一度退職する女性が比較的多いという状況がありました。しかし近年では「子供が生まれても仕事を続けたい」と考え、産休・育休を活用し、同じ会社で働き続ける女性が増えています。先述の原因に加え、このような意識の変化が見られたことで、M字カーブが改善してきていると言えます。
働く女性の活躍現状は改善傾向にありますが、産業別に見ると状況は各様です。同調査によると、就業者数の多い「製造業」「卸売業・小売業」「医療・福祉」の3つの業種で、女性就業者の割合は次のとおりです。
- 製造業:30.1%(管理職割合7.1%)
- 卸売業・小売業:51.1%(管理職割合14.3%)
- 医療・福祉:75.0%(管理職割合28.6%)
この3業種では、医療・福祉が女性就業率と管理職比率ともに最も多く、次いで卸売業・小売業が続いています。製造業は、製造現場は重労働となることなどが起因していると考えられ、女性就業率と管理職比率ともに、いずれも最も低い割合となっています。
(※参考) 内閣府男女共同参画局:「働く女性の活躍の現状と課題」
女性の活躍の具体的な課題
女性活躍の主な課題は、「ジェンダー・バイアス」と根本的な「M字カーブの解消」と整理しますが、具体的には次のようなことがあげられます。
・ジェンダー・バイアスに関する課題
ジェンダー・バイアスは、「育児は女性が担うもの」「この仕事は女性がするもの」といった男女の役割における固定観念を指します。このジェンダー・バイアスが女性活躍を阻害する要因となっています。具体的なジェンダー・バイアスに関する女性活躍の課題例は次のとおりです。
- 女性が管理職を望まない
- 女性のキャリア形成が困難
- 女性はアシスタントという固定観念
このような女性活躍を阻害している課題は、企業サイドがジェンダー・バイアスによって、女性の立ち位置を決めてしまっていることが要因でしょう。
・根本的なM字カーブの解消
根本的なM字カーブの解消に向けて、企業による育児と仕事の両立支援は極めて重要です。「男性育休」を積極的に進めることは、女性活躍の底上げに対して、社会全体に大きく寄与するでしょう。
根本的なM字カーブの解消に関する女性活躍の課題例は次のとおりです。
- 育児と仕事の両立が困難
- 育休取得がしづらく、周囲が非協力的
- 男性育休を取得できる風土がない
- 育児復帰へ向けた取り組みが疎か
総じて、育児と仕事の両立支援やフォローができていないことが課題といえます。
女性活躍推進にありがちな問題点|実現に必要なこと
政府主導で推し進めている女性活躍。民間企業においても、労働力確保の観点から、女性活躍の推進は重要な課題です。ここでは、女性活躍推進における弊害や女性活躍の社会実現に必要なことを解説します。
うんざり?!数値目標ありきの弊害
政府が掲げる「女性管理職比率3割」の目標が一人歩きしているとも思える、女性活躍推進目標の数値合わせ。
統計で見たように、業種・業態で労働環境は大きく違い、それぞれに限度があるといえるでしょう。女性就業率・管理職比率が低い製造業では、補助具や設備で一定の業態で女性の職域を広げることも可能ですが、企業によっては、資金力の観点から困難なケースもあります。
加えて、設定した高い数値目標を達成するために、女性の職域拡大が不十分、あるいは、女性管理職の育成環境が疎かなまま、数合わせで女性活躍を推し進めているケースも見受けられます。
このような「職域無視の登用・採用」「管理職育成環境のなさ」といった根本的な問題をないがしろにするといった、実態を伴わない数値目標の弊害が起きていることも事実です。
女性活躍の社会実現に必要なこと
女性活躍は、数値目標と目標を達成するための計画を立てるだけでは絵に描いた餅です。女性活躍の社会実現に必要なことは、計画を実行するための環境づくり。具体的には、「女性管理職登用に必要な能力開発」「経験不足に対するフォロー」「長時間労働の改善」といった環境の整備です。
ただし、本質的な環境づくりを実現するには、従業員の抜本的な「意識改革」が不可欠です。いくら、経営トップ主導で女性活躍を推し進めても、現場サイドが理解を示して取り組まなければ、実施は困難でしょう。計画段階から各部署のキーパーソンを巻き込み、女性活躍推進の目的・意義について、従業員から十分に理解を得ることが成功へ導くポイントとなります。
女性活躍推進法の問題点・2021年改定のポイント
2021年改定で、どのように女性活躍推進法が強化されたのでしょうか。ここでは、女性活躍推進法の概要、2021年の改定ポイントを解説します。
押さえておきたい、女性活躍推進法の概要
女性活躍推進法は、2015年に10年間の時限立法として女性活躍推進法が成立され、2019年には、更なる取り組み強化として改定されました。詳しい情報は、厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」に掲載されています。企業の主な対応義務は、次のとおりです。
- 女性活躍に関する状況把握と課題分析
- 行動計画の策定、社内周知と公表
- 行動計画の提出
- 女性活躍状況の情報公表
また、女性活躍推進の取り組み状況が優良な企業は、一定の基準により、「えるぼし」「プラチナえるぼし」といった特例認定を受けることができます。認定企業はえるぼし認定マークを求人票や広告に使用することができ、採用活動を有利に進めることなどのメリットがあります。
知っておくべき2021年改定のポイント
女性活躍推進法は、2015年の制定時は301人以上の企業を対象としていましたが、取り組み強化のため、2021年の改定後は、101人以上の企業に対象を引き上げています。
法の対象企業規模の引き上げとともに、情報公開項目を次のとおり強化しています。次のカテゴリーから各々1項目ずつ、情報公開をすることが義務付けされています。
- 女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供
- 職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備
公開項目の詳細や計画策定例は、次の厚生労働省のサイトを参考してください。
(※参考) 厚生労働省:「一般事業主行動計画の策定例」
【まとめ】意識改革の下、女性活躍に向けた環境づくりに取り組みましょう
本記事では、働く女性の現状や女性活躍における問題点や女性活躍の社会実現に必要なこと、数値目標による問題点や女性活躍推進法改定ポイントを解説しました。
女性活躍推進にあたっては、数値目標ありきで実態を伴わない、女性の望む働き方を度外視した目標・取り組みは大きな問題です。
業界や自社の実態に即した女性職域の拡大を図りつつ、意識改革の下、女性活躍に向けた環境づくりに取り組みましょう。
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