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エンゲージメントサーベイとは?種類・有用性・分析方法を解説

エンゲージメントサーベイとは

エンゲージメントサーベイとは?種類・有用性・分析方法を解説

目次

    HRテックの進歩とともに、エンゲージメントサーベイを導入する企業も増えてきました。一方でエンゲージメントの分析方法に悩む方も珍しくありません。そこで今回はエンゲージメントサーベイの基礎知識・種類・分析方法を解説します。

    HRテックについて、さらに詳しく知りたい方は 「HRテック(HR Tech)とは?人事がいま知っておくべき知識と導入方法」をご確認ください。

    エンゲージメントサーベイとは?

    エンゲージメントサーベイとは?

    エンゲージメントは今では人事領域で当たり前の言葉になっています。しかしエンゲージメントの意味を専門的な観点からきちんと理解している方はあまり多くはないのでしょうか。まずはエンゲージメントの概念について考えてみましょう。

    エンゲージメントとは?

    エンゲージメント(engagement)は、英語で約束や契約という意味です。そこから転じて関係性を意味するようになりました。人事領域で使われる「エンゲージメント」は、「従業員エンゲージメント」と呼ばれ会社と従業員との関係性と定義されます。

    学術的にはオランダのユトレヒト大学教授のシャウフェリが「ワーク・エンゲージメント」の概念を提唱しています。ワーク・エンゲージメントとは、「仕事に関連するポジティブで充実した心理状態」と定義され、「活力、熱意、没頭」によって特徴づけられる概念です。日本におけるワーク・エンゲージメント研究の第一人者である慶應大学の島津教授によると、”エンゲイジメントは、特定の対象、出来事、個人、行動などに向けられた一時的な状態ではなく、仕事に向けられた持続的かつ全般的な感情と認知”(※ 参考:「職業性ストレスとワーク・エンゲイジメント」(島津明人、2010))と説明されています。このように、エンゲージメントは、企業活動の中でも特に従業員の仕事や会社に対する意欲を示す概念として浸透しています。

    エンゲージメントサーベイとは?

    エンゲージメントサーベイとは、従業員エンゲージメントを測定するツールです。最近ではサーベイツールを提供する企業が多く存在しており、それぞれに異なる測定尺度や測定方法を採用しています。従来も人事部門では組織調査として従業員満足度調査(ESサーベイ)を実施してきました。

    ESサーベイは主に従業員の職場環境や人間関係への満足度を調査するツールです。しかし、近年の雇用流動性の高まりにより離職防止の取り組みが注目されるようになったため、従業員と会社との関係性に焦点を当てたエンゲージメントサーベイが使用されるようになってきました。

    なぜエンゲージメントサーベイを行うのか?

    なぜエンゲージメントサーベイを行うのか

    近年のエンゲージメントへの注目の高まりにはどのような背景があるのでしょうか。

    エンゲージメントが高いほど生産性が高まる

    エンゲージメントは企業活動にどのような影響を与えるのでしょうか。ワーク・エンゲージメントの概念から考えてみましょう。慶應大学の島津教授によれば、ワーク・エンゲージメントが高い従業員は”職務満足感や組織へのコミットメントが高く、離転職の意思が低い”(※ 参考:「職業性ストレスとワーク・エンゲイジメント」(島津明人、2010))そうです。また、ワーク・エンゲージメントが高いほど、自己啓発学習への動機付けや創造性が高く、部下への適切なリーダーシップ行動が多くなるそうです。さらに島津教授は、ホテルやレストランなどの施設で働く従業員のエンゲージメントが高いほど、その施設を利用した顧客の満足度が高まることも明らかにしています。つまり従業員のエンゲージメントが高いほど、仕事の生産性が高まると言えるでしょう。

    また、モチベーション理論を研究するコンサルティング 会社リンク・アンド・モチベーション社が公表した 「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果によると「従業員エンゲージメント」向上は「営業利益率」「労働生産性」にプラスの影響をもたらすことを明らかにしています。リンク・アンド・モチベーション社は独自の「エンゲージメントスコア」を開発し、経営の新たな指標として継続的に取り組むことが重要だと主張しています。

    従業員エンゲージメント向上についてさらに詳しく知りたい方は「 リモートワークでも従業員エンゲージメントを高める方法とは?」をお読みください。

    エンゲージメントに関する研究

    エンゲージメントに関する研究として有名なのが「ワーク・エンゲージメント」です。ワーク・エンゲージメントは、もともと燃え尽き症候群(バーンアウト)の研究から生まれました。長年、ストレス研究の分野では心理的なネガティブ要因を取り除く研究が中心でした。しかしマーティン・セリグマン教授がポジティブ心理学を提唱してから、仕事に関するポジティブな側面が注目されるようになってきました。そうした研究動向を背景に、オランダ・ユトレヒト大学のシャウフェリ教授がバーンアウトの対立概念としてワーク・エンゲージメントを提唱したのです。日本では慶應大学の島津教授を中心に、精神保健分野や健康心理学の分野で研究が進められています。

    雇用環境変化とエンゲージメント

    総務省統計局 増加傾向が続く転職者の状況 ~ 2019 年の転職者数は過去最多 ~」の調査結果によると、2019年の転職者が過去最高の351万人を突破したことがわかりました。転職者の主な離職理由は「より良い仕事を探すため」であり、特に従業員規模の大きい企業からの転職者が増加したそうです。この事実から、従来の日本の労働者の価値観である「定年まで大企業で安定的に働く」考え方が大きく変化していると考えられます。

    また、新型コロナウィルスの影響をきっかけに、働き方/人材戦略の変革を求められる企業は珍しくありません。

    経産省が発表した 「人材版伊藤レポート|持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書」によれば、日本では従業員エンゲージメントが低いことが指摘されています。企業の価値創造を最大化するために、従業員にやりがいや働きがいを感じる職場環境をつくる必要性を経産省も訴えています。

    もはや大企業だから安泰ではなく、大企業だからこそ従業員との関係性を見直す必要がある時代になっているのです。こうした雇用環境の変化から、エンゲージメントへの取り組みは近年ますます重要性を増していると言えるでしょう。

    エンゲージメントサーベイの種類

    エンゲージメントサーベイの種類

    ここまでご説明したように、エンゲージメントといっても様々な考え方や概念が存在しています。エンゲージメントサーベイの種類も多岐にわたっています。ここからは、どのようなエンゲージメントサーベイの種類があるか解説します。

    エンゲージメント尺度(UWES)

    ワーク・エンゲージメントの提唱者であるシャウフェリ教授が開発した尺度が、ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント尺度(UWES) ※参考:島津明人研究室「ワーク・エンゲイジメント(UWES)」)です。UWESはワーク・エンゲージメントの国際的な標準尺度として認められ、世界中で翻訳されて使用されています。日本では慶應大学の島津明人教授が日本語版を作成しているので、研究目的であれば誰でも無料で使用できるようになっています。

    従業員サーベイとエンゲージメントサーベイ

    エンゲージメントサーベイは、あくまでも従業員のエンゲージメントを測るものです。会社に対するエンゲージメントやワーク・エンゲージメントのように仕事に対するエンゲージメントを測定します。一方で従業員サーベイは、エンゲージメントサーベイも含む従業員向け調査の総称として使用されます。ただし一般的には従業員サーベイの方が広い意味合いを含むため、エンゲージメントだけではなく、会社や職場環境への満足度や改善点をヒアリングする目的で使用される場合が多いでしょう。

    パルスサーベイ

    近年、サーベイ業界で注目されるようになったのがパルスサーベイです。パルスサーベイは従業員に対して月単位、週単位、日単位といった短い期間で繰り返し調査を行うツールです。脈のように短期間で繰り返すため「パルス」サーベイと呼ばれています。パルスサーベイでは従業員の短い期間での変化をビッグデータとして記録します。従来のエンゲージメントサーベイは、年単位や半年単位など長い期間での調査が主流でした。しかし近年は雇用環境の変化により、離職防止のニーズが企業で高まりました。そのため、パルスサーベイを通じて早く離職兆候を把握して対処するためになるべく短期間での従業員の変化を把握するようになったのです。

    パルスサーベイについて、さらに詳しく知りたい方は 「【事例あり】パルスサーベイとは?目的から実施・活用のポイントまで」をご確認ください。

    エンゲージメントサーベイの分析と活用方法

    エンゲージメントサーベイの分析と活用方法

    すでにエンゲージメントサーベイを実施した企業でも、サーベイデータの活用方法に悩んでいるのではないでしょうか。エンゲージメントサーベイの活用方法についてご紹介します。

    サーベイ結果を読み解く

    サーベイを実施したらまずは結果を読み解きます。結果自体は重要ではなく、結果からどんなことが言えるのか仮説を立てることが大切です。例えばある従業員のエンゲージメントが著しく低下していたとします。低下していることは単なる事実であるため、低下自体は問題ではありません。そこにある背景や変化の原因を考えるのがサーベイ結果を読み解くことです。

    問題設定を行う

    サーベイ結果を読み込んで仮説を立てたら、問題設定を行います。例えば特定部署で従業員のエンゲージメントが低下しているなら、まずは何が問題なのかを洗い出しましょう。上司との関係が悪化しているのかもしれませんし、急に忙しくなったのかもしれません。こうした問題となりえる仮説を洗い出したら、事実を確認していきます。対象部署にヒアリングするだけではなく、残業時間や勤怠情報など関連するデータも参照します。その結果、例えば上司との関係性悪化がエンゲージメント低下のトリガーだとわかったら、上司と部下の関係改善を問題として取り組むのです。

    各質問項目と他の変数との相関関係を考える

    エンゲージメントは様々な変数によって左右されます。従業員のストレス、上司や同僚からの支援の有無、従業員の健康上の問題など多くの要因が関係してきます。こうした変数を集め、最もエンゲージメントに影響を及ぼす変数を見つけます。変数の分析には統計ツールを使用するのもよいですが、タレントマネジメントシステムを活用すれば簡単に分析できる場合もあります。分析の際にはエンゲージメントサーベイの各質問項目と他のデータとの相関関係を個別に分析する方法もおすすめです。例えば「ワーク・エンゲージメント」の調査であれば、活力・熱意・没頭の3分類の質問項目に対して上司や先輩社員との関係性に関わるデータをかけ合わせることで、仕事の面白さに上司との関係が影響する可能性がわかるかもしれません。

    タレントマネジメントシステムについて詳しく知りたい方は「 【徹底解説】タレントマネジメントシステムで組織パフォーマンスを最大化させるための導入方法」をお読みください。

    タレントマネジメントの効率化におすすめなのが人事評価システムです。システムを導入すべき理由について、学びたい方のために 「人事評価にシステムを使うべき3つの理由」をご用意しました。ぜひご活用ください。

    分析結果をもとに施策を検討する

    問題に対して影響を強く及ぼす変数が判明したら、その変数をどう変えるか施策を検討します。例えば従業員の健康状態が悪化しているなら、従業員を休ませる、職場環境を変えるといった対処を行います。この時に最も効果的な施策を検討することがとても重要です。健康状態の改善であれば、単に休ませるだけでは良い効果がでないかもしれません。従業員に健康指導を行ったうえでしばらく休暇を与えるなど、根本的に解決ができる方法を検討しましょう。

    近年は日本企業でもエンプロイーエクスペリエンスの考え方が浸透し始めています。従業員がエンゲージメント高く働ける会社づくりを行うには、単発的な職場環境の改善ではなく、従業員目線で「働く体験」の満足度を向上させる取り組みが必要です。

    エンプロイーエクスペリエンスについてさらに詳しく知りたい方は「 エンプロイーエクスペリエンスとは?社員エンゲージメントを高める方法」をお読みください。

    【まとめ】エンゲージメントサーベイの導入はエンゲージメントの理解から

    今回ご紹介したように、エンゲージメントは少し分かりづらい概念です。従業員エンゲージメントは会社と従業員との関係性を示した考え方ですが「ワーク・エンゲージメント」のように仕事と従業員との関係性を示す概念も含まれています。まずはエンゲージメントがどのような概念かを理解することが重要です。

    エンゲージメントの調査・把握には、日頃から従業員データを一元的に管理すると良いでしょう。例えば従業員データの管理には、HRBrainのような人事系システムを利用するのがおすすめです。

    HRBrainは従業員データを可視化し、人材と組織のパフォーマンスを最大化させて確かな成長につなげる人事評価クラウドです。

    HRBrainは、従業員の目標設定から評価までのオペレーションの全てをクラウド上のソフトウエアで効率化するサービスです。MBOやOKR、1on1などの最新のマネジメント手法をカンタン・シンプルに運用できます。

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    HR大学 編集部

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