人事をやさしく学ぶメディア

HRBrain

HR大学

人材管理

従業員名簿ソフトとは?記載項目や注意点、ソフトの選び方を解説

従業員名簿ソフト

従業員名簿ソフトとは?記載項目や注意点、ソフトの選び方を解説

目次

    従業員名簿ソフトとは、従業員の情報を一括管理できるソフトのことです。

    従業員名簿は作成義務がある法定帳簿の一つですが、必ずしもソフトで管理しなければならないというルールはありません。紙やエクセルなどを用いて管理しても問題ありません。

    そこで、今回は従業員名簿ソフトを利用するメリット・デメリットについて、従業員名簿の基本的概要などを含め説明していきます。

    従業員名簿ソフトとは

    従業員名簿ソフトとは、従業員の情報をソフトウェアで一括管理できるツールのことです。
    従業員が住所などの基本的な情報を変更したとしても、常に自動で更新される便利なツールです。

    また基本情報を管理するだけでなく、給与明細の配布や年末調整などの手続きも対応可能です。

    従業員名簿とは

    従業員名簿は、企業が従業員を雇用する際に作成が義務化されています。
    そもそも従業員名簿とは何なのか。作成する際のルールなども含めて詳しく説明します。

    企業に作成義務がある法定三帳簿の一つ

    従業員名簿とは、従業員の氏名や生年月日など様々な情報を記した書類やデータのことです。

    労働基準法により、企業は従業員を雇用した場合、「法定三帳簿」を作成し、保存する義務があると定められています。その「法定三帳簿」の一つが従業員名簿です。

    また従業員名簿は常に最新情報である必要があります。なぜなら、人事や労務手続きにて利用されるためです。

    例えば、従業員の交通費を支給する際にも、従業員名簿の住所情報などが使われます。最新の状態でなければ、その他の業務にも影響があるので注意しましょう。

    従業員名簿の対象者

    従業員名簿の対象者は、原則として雇用している従業員全員です。
    正社員やパートなど雇用形態に関係なく作成が必要です。

    しかし、労働基準法107条上、日雇い労働者の場合は作成義務がありません。
    また派遣労働者の場合も、派遣元の企業が管理するため作成義務はありません。

    事業場ごとに作成する必要がある

    従業員名簿は企業全体で一括作成するのではなく、事業場ごとで作成することが義務つけられています。

    事業場とは、支社や営業所、実店舗、工場のように独立して業務が継続的に行われている場所のことです。

    つまり、従業員名簿は人事部が一括して管理するのではなく、各事業場で作成管理することになるので注意が必要です。

    従業員名簿に記載する項目

    従業員名簿に記載する項目は、労働基準法第107条・労働基準法施行規則第53条により定められています。

    項目は全部で9つあります。ここではその項目の詳細を説明していきます。

    氏名・生年月日・住所・性別

    基本情報である、「氏名」「生年月日」「住所」「性別」の4項目の記載が必須です。

    しかし、現住所と住民票の住所が異なる従業員が在籍している可能性もあります。その場合は、連絡のとれる住所である必要があるため、実際の住所を記載しましょう。

    また結婚をしている従業員の中には旧姓を使用している方もいるでしょう。その場合は、戸籍上の氏名を記載する必要があるので注意しましょう。

    従事する業務の種類

    「人事」「営業」「経理」など、社内で従事している職種や業務内容を記載します。従業員名簿は常に最新情報である必要があるので、配置転換や異動があった際にはその都度更新します。

    また、従業員数が30人未満の事業では、複数の業務に従事する者もいるため、職種や業務内容の記入が必須ではありません。

    勤務開始年月日・退職年月日・死亡年月日

    雇用を開始した年月日を記載します。その日を基準に年次有給休暇の発生日を確定します。併せて退職年月日の記載も必須です。退職の事由が解雇の場合、その理由も記載します。

    従業員が在職中に死亡した場合、死亡した年月日と理由を記載します。労災にあたるかどうかが重要なポイントになります。

    履歴

    記載範囲については労働基準法などの法律では明確には定められていません。一般的には、社内での異動や昇進の履歴を記載します。その際に、従業員名簿の必須項目である「従事する業務の種類」の更新も忘れないように注意しましょう。

    また、最終学歴や保有資格についても記載しておくとよいでしょう。ただし、個人情報保護の観点で、記載する場合は従業員の同意が必要です。

    従業員名簿の保存方法と保存期間

    従業員名簿は、どのような方法で保存し、どの程度の期間保存する必要があるのでしょうか。保存方法と保存期間について説明します。

    保管方法

    従業員名簿の保存方法について、実は労働基準法で明確に定められているわけではありません。つまり、紙でも電子データでも問題ありません。ただし、紙で管理する場合は従業員名簿は「遅滞なく更新すること」と定められている点に注意しましょう。

    また、電子データで管理する場合は、「すぐに印刷できる環境にあること」「従業員名簿の閲覧・提出などが必要になった場合、ただちに必要事項が記載された写しを提出できるようにしておくこと」が条件になっているので注意しましょう。

    保存期間

    労働基準法第109条により、3年間保存することが義務つけられています。起算日は、従業員の退職・解雇、または死亡日から起算して3年となります。保存期間内に、廃棄・紛失をしてしまうと、労働基準法第120条により30万円以下の罰金が課せられる可能性があります。このようなミスを防ぐためにも、紙で保存する際は、在籍中の従業員と退職済みの従業員の情報を分けてファイリングし管理するとよいでしょう。

    内容は変更・更新が必要

    労働基準法施行規則第53条で、従業員名簿の更新については遅延なくとされています。つまり、異動や引っ越しに伴う住所の変更があった際には、速やかに記載内容を変更・更新する必要があります。

    従業員名簿を紙で保存している場合は、変更箇所に二重線を引き、訂正印を押して新たな情報を記載しましょう。

    従業員名簿ソフトを利用しないメリットとデメリット

    保存方法に関して先述した通り、従業員名簿は紙や電子データでもソフトを利用して管理しても問題はありません。

    指定の管理方法が定められていないため、どの方法で管理すべきか判断を迷うことがあるかもしれません。

    まず従業員名簿ソフトを使用しない場合のメリットとデメリットを説明します、

    メリット1:コスト削減

    従業員名簿ソフトを利用しない第1のメリットは、コスト削減です。紙やエクセルで管理すれば当然コストは発生しません。厚生労働省指定のフォーマットや、エクセルのテンプレートも無料でダウンロードできます。

    スタートアップの企業や中小企業では特に、このような販管費の膨張はできるだけ抑制したいでしょう。

    従業員の人数が少数であれば、管理もそこまで煩雑ではありません。異動や結婚に伴う姓の変更なども気づきやすい環境下にあるでしょう。

    しかし、従業員規模が大きくなると、異動なども頻繁に発生します。もし紙で管理する場合、そのような異動がある度に二重線を引き訂正印を押すという作業が発生します。

    コスト削減がソフトを利用しないメリットの一つですが、企業の従業員規模に合わせて検討することが重要です。

    メリット2:自社でセキュリティ管理ができる

    紙などで従業員名簿を管理することで、自社完結でセキュリティー管理することができることが第2のメリットです。

    ソフトを利用することはたしかに便利ですが、情報漏洩のリスクが伴います。クラウド型のサービスの場合はベンダーのセキュリティに依存しているため、自社でセキュリティを堅牢にすることはできません。あえて紙やオフライン上でエクセル等で管理する方がよいという企業も中にはあるでしょう。

    しかし、オフィスや収納場所の施錠などネットではなく物理的なセキュリティ管理は重要です。

    デメリット1:データ紛失のリスクが伴う

    紙やオフラインの電子データでの管理は、一度紛失してしまうとデータの復活が難しいことが一つ目のデメリットです。クラウド上に保存されているわけではないため、物理的に実存するデータを管理するという工数が伴います。

    また保存期間も退職や死亡から3年間と定められているため、オフィスの引っ越しを行う際なども十分注意を払う必要があります。

    デメリット2:利用する場所と時間の制限

    コロナウイルスの影響もあり近年リモートワークが推奨されています。このような環境下では業務の効率上、場所と時間の制限が重要になります。従業員名簿を管理する点においても、時間に縛られず在宅ワークでも管理できることが望ましいでしょう。

    紙の管理では場所と時間はオフィスかつ就業時間に限られてしまいます。電子データであってもクラウド型でなければ、作業可能なデバイスが制限されてしまいます。

    従業員名簿ソフトを利用するメリットとデメリット

    次に従業員名簿ソフトを利用することのメリットとデメリットについて説明します。既存の手法を変更することはハードルの高いことかもしれません。しかし、常にベストな方法を探ることが競合との差別化においても重要ですので、詳しく見ていきましょう。

    メリット1:その他人事業務との連携

    従業員名簿を管理することは人事業務の一部にすぎません。その他にも、給与計算や勤怠管理などの業務があります。従業員名簿ソフトの多くは、そのような人事業務をシームレスにつないでくれます。

    たとえば、従業員の住所が変更された際には、従業員名簿の更新だけではなく、交通費の計算や給与計算の変更も必要です。人事業務では、何か一つの情報が変更された場合、その他にも影響があります。これらをすべて手作業で記入やデータ入力を行っていては、管理者の負担が計り知れません。

    従業員名簿ソフトはこれらを一括して管理できるため、業務効率上のメリッが大きいといえるでしょう。

    メリット2:場所と時間にとらわれない

    従業員名簿ソフトの多くはクラウド上での作業が可能なため、いつでもどこでもネット環境さえあれば変更・更新が可能です。企業の中には、セキュリティの都合上会社用PCを持ち帰ることができないこともあるでしょう。従業員名簿ソフトの多くは、権限を付与されている人であれば、スマートフォンからでも作業することが可能です。

    新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、これからもリモートワークが続いていくと予想されます。また感染が抑制されたとしても、通勤時間などの削減や業務効率下の観点で積極点にリモートワークを取り入れる企業も増えてきます。

    そのような企業にとっては、時間と場所に縛られず作業ができる従業員名簿ソフトは相性がよいでしょう。

    メリット3:サービスの価値の向上

    今後は技術革新によって、AIやビッグデータなども人事業務に活用されることが予想されます。クラウド型の従業員名簿ソフトを利用する場合、サービスのアップデートがベンダー側で自動で行われます。そのため、自社で人材確保することや設備投資の負担が軽減できます。自社独自の方法で従業員名簿を管理する場合、時代の流れに合わせてその都度アップデートしなければ、競合に後れを取る可能性があります。

    単に法を守るために従業員名簿を管理するのではなく、最先端の技術を駆使し経営に活かすことが重要です。ソフトの活用により、適切な人材配置やタレントマネジメント等による離職率の低下などもメリットとして考えられます。外部環境に迅速に対応し、業務の形骸化を防ぐためにも、従業員名簿ソフトは検討する価値があります。

    デメリット1:導入ハードルの高さ

    従業員名簿ソフトをオンプレミスで導入する場合は導入ハードルが高くなります。集めるべき情報が多く管理も煩雑です。そのため、データベースを構築するために、要件定義が重要となります。

    しかし、近年ではクラウド型の従業員名簿ソフトが普及しています。自社内でのシステムの構築も必要なく、導入後すぐに利用できるようになります。低予算かつ低工数で始めたい企業にとってクラウド型の従業員名簿ソフトは相性がよいでしょう。

    デメリット2:コスト

    従業員名簿ソフトの導入にはもちろんコストが発生します。オンプレミス型であれば、初期費用が膨大になります。しかし、一度システムを構築し導入まで完了すれば、その後ランニングコストは抑えることができるというメリットもあります。

    クラウド型では初期費用は抑えることができますが、ランニングコストが発生します。毎月のコストは少額かもしれませんが、積み重なると膨大なコストにもなり経営を圧迫する可能性もあります。

    デメリット3:セキュリティ管理

    従業員名簿は個人情報が蓄積されているため、厳重に扱う必要があるのはいうまでもありませ。しかし、セキュリティはサービスに依存するため、自社では管理できずベンダー次第です。

    また、クラウド型であればいつでもどこでもアクセスできるため、作業環境にも注意が必要です。たとえば、推奨はできませんがカフェなどで作業する際は、覗き見防止フィルターの活用等も必須です。権限を付与した現場の担当者に対する、徹底した注意喚起が重要となります。

    まとめ

    従業員名簿ソフトは、デメリットもありますが多くの恩恵を受けることができるサービスです。紙や電子データで管理も可能ですが、業務効率や現場の負担も考慮するとソフトでの管理がよいでしょう。特に、これから事業拡大フェーズの企業等は、人材の出入りや異動も頻繁に生じるため、クラウド型の従業員名簿ソフトの検討をしてみてはいかがでしょうか?

    また、既存の手法を変えるのはハードルの高いことでもあります。しかし、既得権益を守るだけでは、現状がプラスに動くことはありません。常にベストな方法を探ることが重要です。まずは、従業員名簿ソフトを導入することによって、業務効率がどの程度改善されるかなどシミュレーションしてみてはいかがでしょうか?

    HR大学 編集部

    HR大学は、人事評価クラウドのHRBrainが運営する、人事評価や目標管理などの情報をお伝えするメディアです。難しく感じられがちな人事を「やさしく学べる」メディアを目指します。

      関連記事

      おすすめ記事