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介護離職率ゼロを目指す!企業におすすめの対策や事例を紹介

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介護離職率ゼロを目指す!企業におすすめの対策や事例を紹介

目次

    介護離職とは

    介護離職の背景等を

    介護離職とは、家族に要介護者が出た場合に介護と仕事の両立が難しくなり、従業員が退職をすることを指します。ここでは介護離職の現状と増加の背景を解説します。 

    介護離職の現状

    介護離職は主に親の介護が理由に挙げられますが、親の介護が必要になる従業員は40〜50代の経験も知識もある中堅の場合が多くなります。企業にとっても大きな損失ですが、介護離職者は退職後に経済的に困窮する場合もあり、精神的だけでなく経済的にも追い込まれてしまうことが社会問題になっています。

    厚生労働省の「令和2年雇用動向調査結果の概要」によると、1年間の離職者は7,272,100人で、その1%の約7万人が退職理由に介護離職を挙げています。また全体で女性の介護離職は、男性の介護による離職理由0.5%に比べて、1.4%と約3倍近くになっています。

    40代以降に介護離職が増加する傾向にあり、団塊の世代が70代になりこの傾向は増えると予測されています。

    (※参照)厚生労働省:「令和2年雇用動向調査結果の概要」 

    介護離職の原因と増加の背景

    介護離職が増えた原因のひとつには、少子化にともなう一人への負担増の結果、仕事との両立が難しくなったことが挙げられます。独身者の増加がこれに加わり、みずほ情報総研株式会社が2017年3月に発表した「介護と仕事の両立を実現するための効果的な 在宅サービスのケアの体制(介護サービスモデル) に関する調査研究 」によると、「未婚」の場合、介護離職は37%と高いのが現状です。加えて世帯の年収は「240万円未満」の割合が、就業継続者7.8%、介護転職者17.4%に対して、介護離職者は32.4%と顕著に高く、介護離職者の厳しい実態がうかがえます。

    さらに介護は長期化する傾向にあり、昼間にフルタイムで働き、夜に介護を続けていると、精神的にも肉体的にも疲労が重なってしまいます。加えて認知症などの徘徊への対応で、十分な睡眠が取れない場合に、介護離職を選択せざるを得ない状況へ追い込まれてしまう可能性が高くなるのです。また先の調査結果では、退職前に誰にも相談せずに介護離職した割合は47.8%と、半数近くが相談できずに退職を決めてしまっている現状を示しています。

    介護は周囲に相談しにくい現状が、浮き彫りになっているといえるでしょう。

    2040年には1974年生まれまでの「団塊ジュニア世代」が65歳以上になり、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(2017年発表)」によれば、2042年における高齢者人口は3,935万人に上ると計算されています。老齢人口割合は2015年の4人に1人を上回る段階から、2036年には3人に1人に達すると予想されています。今後介護が必要な人は益々増える傾向にあるといえるでしょう。 

     介護離職の事例

    ここでは筆者が身近で経験した、介護離職を選択した実際の例を2つ紹介します。

    例1 長期介護後は再就職が難しい

    介護離職をした前職の同僚が、ご両親の他界後に復職をしようとしてもなかなか仕事が決まらなかった例があります。彼女は独身で頼れる身内がいなかったのですが、両親が持ち家だったこともあり、年金と貯金でなんとかなるだろうと離職を決めました。しかし思った以上に介護が長引き、長期間無職状態が続いてしまいました。結果40代前半で離職し、40代後半に再就職しようとしても正社員では雇ってもらえず、現在は前職の半分の給与で契約社員として働いているそうです。「仕事があるだけまだマシ。ほっとした。」と話していました。

    「できるだけ離職せずに頑張ればよかった。」「無職からくる不安で、メンタル面のダメージが思ったよりも大きかった。」とのコメントが印象的でした。 

    例2 認知症介護の難しさ

    同居の実の母親に認知症が入ってきた友人の例を紹介します。大学時代の友人は公務員で、職場の理解もあり介護と仕事を両立させて頑張っていました。しかし母親に認知症を患ってしまい、ヘルパーさんに罵詈雑言を浴びせるようになり他人ではお世話が難しくなってしまいました。徘徊も始まってしまったため、夫と話し合った結果、彼女が退職することになりました。

    政府の介護離職の防止策

    政府が打ち出す介護離職の防止策を解説

    社会的な関心の高まりを受け、2021年6月「改正育児・介護休業法」が成立しました。2022年4月から順次施行されますが、ここでは政府の「介護離職ゼロ」施策や支援制度を紹介します。

    政府の「介護離職ゼロ」施策とは?


    2016年政府は「ニッポン一億総活躍プラン」において、介護離職ゼロの実現を目標に掲げ、介護をしながら仕事を続けられる社会保障基盤の強化に取り組んでいます。

    具体策として介護施設を増やすために国有地の貸し出しや、介護をする人材の処遇改善や多様な人材確保・育成、介護の受け皿の拡大、仕事と介護の両立が可能な働き方の普及促進などが挙げられています。

    また制度の見直しを行い、「改正育児・介護休業法」を公布しました。介護休業に関する改正では、これまでは「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」とされていましたが、この規定が廃止されます。しかし、労使協定を締結した場合には「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」を対象外とすることが可能となっています。 

    支援制度

    介護と仕事を両立させるための支援制度は以下のようなものが挙げられます。

    介護休業制度リーフレット

     (※参照)厚生労働省:「介護休業制度リーフレット

    人事におすすめな介護離職の予防・改善策

    企業側で取り組める介護離職の防止策を解説

    介護離職防止への理解が進む中、ここでは企業側で取り組める介護離職の防止策を解説します。 

    社内の支援制度の周知

    企業が最初に取り組む施策として「社内の支援制度の周知」があります。前述したとおり、約5割の従業員が、誰にも相談せずに介護離職を決めています。休業や休暇の取得、短時間勤務などの制度の告知だけでなく、介護休業制度に関して企業が前向きだという姿勢を示すことで相談しやすい環境が生まれます。どのような介護サービスが利用できるのか、企業内でどんな事例があるのかなど従業員へ積極的に告知しましょう。

    勤務地や時短制度の見直し

    介護休業制度では、介護のための制度として「短時間勤務制度」「フレックスタイム制度」「時差出勤制度」「介護費用の助成措置」のどれかひとつ、もしくは複数の設置が義務付けられています。

    加えてテレワークの導入などで、勤務地や時間が以前よりレキシブルに対応できれば、介護離職防止につながるでしょう。 

    社内に相談窓口を設置

    制度の告知とあわせて、社内に窓口の設置も有効です。問い合わせや相談ができる窓口が設置されていることで、従業員がより相談しやすくなります。「相談がある人は人事へ」というだけでは敷居が高いため、明確に「介護休業相談窓口」と表示するといいでしょう。制度は介護だけでなく、同じような育児休業との併用での活用が可能です。

    社内での相談窓口や担当者の設定が難しい場合は、アウトソーシングで外部のフリーダイヤルサービスや、介護サービスと提携をする方法もあります。 

    介護離職防止支援コース(両立支援助成金)申請

    介護離職防止支援コース(両立支援等助成金)とは、介護離職などの予防を目的に、仕事と介護を両立するための取り組みを行った企業に支給される助成金制度のことです。以前は全企業が対象でしたが、2021年度は中小企業事業主のみが対象に変更になっています。

    助成金を受給するには「介護支援プラン」を策定し、介護制度を利用する従業員の労働条件や、介護休業を取得する従業員の業務整理や引き継ぎ、職場復帰後のフォロー方法などについて定める必要があります。これによって、介護休業(休業取得時・職場復帰時)や介護両立支援制度利用時にそれぞれの申請内容にあわせて助成金が支給されます。

    介護離職防止支援コースについて

    (※引用)厚生労働省・都道府県労働局:「2021年度両立支援等助成金のご案内」より

    介護休業給付金制度の申請代行介護休業中の経済的支援のひとつに、介護休業給付金があります。これは雇用保険の被保険者が要介護の家族を介護するために、介護休業を選択した場合に支給されるものです。

    この介護休業給付は、ハローワークから支給される給付金ですが、下記のような条件を満たしている場合は休業開始時賃金の月額67%が支給されます。従業員が安心して介護休業がとれるように、積極的にアナウンスをし、会社が申請手続きを行っていることをアナウンスすると、従業員も取りやすくなります。 

    引用
    “介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月又は介護休業開始日が令和2年8月1日以降であって、介護休業開始日以前の2年間に賃金支払基礎日数の11日以上の完全月が12か月に満たない場合は、賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上である完全月(過去に基本手当の受給資格の決定を受けたことがある方については、基本手当の受給資格や高年齢受給資格の決定を受けた後のものに限る。)が12か月以上ある方が支給の対象となります。その上で、

    1.      介護休業期間中の各1か月毎に休業開始前の1か月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと

    2.      就業している日数が各支給単位期間(1か月ごとの期間)ごとに10日以下であること。(休業終了日が含まれる支給単位期間は、就業している日数が10日以下であるとともに、休業日が1日以上あること。)

    の要件を満たす場合に支給されます。”

    介護休業給付金制度の申請代行について

    (※引用)ハローワークインターネットサービス:「雇用継続給付」より

     離職防止は人事にとって重要な課題のひとつですが、離職を防止するための具体策についてさらに詳しく知りたい方は「離職防止に向けて必要な考え方とは?離職防止の企業の成功事例も紹介!」もご覧ください。 

    企業の介護離職の防止策事例

    企業の介護離職の防止策事例を紹介

    今後各企業で取り組みが必要になってくると予測される介護離職防止施策ですが、ここではすでに取り組んでいる事例を2社紹介していきます。 

    事例1:株式会社ベネッセホールティングス

    株式会社ベネッセホールティングス(本社:岡山県岡山市)が運営するベネッセグループでは、2018年度から健康経営を本格的にスタートし、人事部を中心として「健康経営プロジェクトチーム」が、毎年の課題分析に基づいた社内活動に取り組んでいます。ベネッセグループでは従業員の平均年齢の上昇に伴い、グループ内で仕事と介護を両立する従業員が今後の5年で倍になると予測し、「仕事と介護の両立支援」を課題として認定しました。

    ベネッセグループでは2020年度の健康経営推進活動の視点を、従業員の家族の健康や介護まで拡げ、仕事と介護を両立できる職場の支援体制や風土を整備するプログラムを実行しました。グループでは株式会社ベネッセシニアサポートによる法人向けの仕事と介護の両立支援サービス「ベネッセのWork&Care」の事業リソースを活用し、2020年10〜11月に以下の2点を実施しています。 

    • 「仕事と介護の両立ハンドブック」配布
    • 従業員向けオンライン研修の実施

    ベネッセグループでは今後も上記のような取り組みを通し、従業員が仕事と介護を両立して継続して働ける環境づくり、グループ内での「介護リテラシー」の向上に取り組んでいくとしています。 

    (※参照)PR TIMES:『ベネッセグループ「健康経営への取り組み」』より 

    事例2:花王株式会社

    花王株式会社(本社:東京都中央区)では「ダイバーシティ&インクルージョン」を推進しており、その上で仕事と生活のバランスが重要な要素のひとつと考えています。1990年代には仕事と育児の両立に関して取り組みを行い制度利用が定着してきました。

    介護については、2000年代半ばに介護離職がマスコミに取り上げられるようになったことから、2008年に取り組みを開始しています。まず「従業員の家族の年齢に基づく予測」調査を社内で行い、今後10年で介護を担う従業員数が2倍に増加し、2018年には6人に1人が介護に関わることが分かりました。

    実態を把握するため、続く2009年11月に「介護に関するアンケート」を実施しました。その結果以下の3点が浮き彫りになったとしています。

    • 介護は自分が主な介護者でなくても負担が重いと感じること
    • 要介護者の住まいへの移動時間が車や電車などで3時間以上かかるような従業員も3割以上いること
    • 介護認定が軽くても、いろいろな意味で介護者の負担が重い

    加えてアンケートのフリーコメントとヒアリング結果をあわせて分析したところ、介護者が抱える課題は以下の3つに分類できることが分かりました。

    • 心理的負担
    • 時間的負担
    • 経済的負担 

    上記3つの中でも特に心理的負担の大きいことが判明。そこで心理的負担は相談窓口を設置、時間的負担には柔軟な働き方に関する制度を整備、経済的負担は共済会の支援という形で対応することを決定しました。 

    花王株式会社では、会社はあらゆることを支援するというのではなく「当事者が主体的に対応(自助努力)することが基本になるが、仕事と介護の両立は負担が重いので、会社は従業員の自助努力をできるだけ支援する」という考えだとしています。この考えを前提にしながら、各職場においては「お互いさま意識を持って支え合う」という介護支援の基本方針を策定しました。

    この考えのもと、時間的負担に対して、法定以上の介護休業・休暇制度、短時間勤務制度等、柔軟な働き方に関する制度を整備しています。2015年の1月からは時間単位の有給休暇取得も可能にしています。

    さらに社内での情報提供が欠かせないとして、以下の4つの方法で社内告知を務めています。 

    • 両立支援ガイドブック
    • 介護ハンドブック
    • 介護相談対応マニュアル
    • 介護セミナー

    管理職に対しては、介護に限らずダイバーシティ推進という観点から、以前よりマネージャー研修にて、自分の部下が介護になった時の対応策を検討するケーススタディを実施しています。こういった活動が実を結び「休暇取得の際に上司に配慮してもらえて助かった」という声もあがっており、一定の効果を感じているそうです。しかし、介護に関心のない従業員には情報が届きにくいという側面もあり、「お互いさま」の意識の醸成には、従業員の介護への理解が不可欠従業員全体の意識を高めることが大事だとしています。 

    【まとめ】能力開発制度は人事評価との連動で従業員のモチベーションアップを

    介護離職に関して、その概要から介護休業の申請方法まで紹介してきました。今後ますます増えると思われる介護問題に対して、事業戦略としても取り組みたい施策ですね。 

    介護離職防止に際して必要になるのが、介護休業や時短などが取得しやすい制度の整備や、労務管理との連動です。 

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    HR大学 編集部

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