#人材管理
2023/08/10

【人材管理:福利厚生編】種類・ユニークな事例・最新トレンド・サービスを解説

目次

    福利厚生は人事にとって重要な人事施策の一つです。

    福利厚生は従業員の待遇・生活に深く関係するため、福利厚生の改善で採用活動・エンゲージメント・定着率にも良い影響が期待できると言われます。

    この記事では、そもそも福利厚生とは一体何なのか。概要や種類を分かりやすくまとめました。ユニークな事例・最新トレンド・サービスもまとめたので、福利厚生の導入・見直しを検討する際は、ぜひ参考にしてください。

    福利厚生とは

    福利厚生の基礎知識

    福利厚生とは、従業員やその家族に、給与・賞与以外の報酬やサービスを提供するもの全般を指します。福利厚生は、従業員やその家族の生活・福祉向上など重要な役割があります。そのため転職先を検討する求職者の中でも、福利厚生の内容や充実度を重視する人は多いでしょう。

    福利厚生の背景、実施の理由を解説します。

    福利厚生の背景

    福利厚生を深く理解するために、福利厚生の背景を確認しましょう。

    日本の福利厚生の始まりは、明治時代にまで遡ります。

    産業革命の影響もあり、日本では紡績工場・鉱山に多くの労働力を投入し西欧に負けないように産業発展を目指す風潮がありました。

    当時の労働環境は過酷な上に賃金も低いため、ケガや病気・逃走が問題となり、解決と生産性の向上を目的に労働者へ住居提供・慶弔費支給など生活・待遇の改善を始めたのがきっかけだと言われています。

    その後も福利厚生の制度は、組織成長へと導く人材管理の重要な要素の1つとしてトレンドは変化しつつも脈々と受け継がれていきました。現代でも働く人の生活・福祉向上やモチベーションに大きな影響を与え続けています。福利厚生以外に人材管理はどんな種類があるのか、人材管理について詳しく知りたい方は【人材管理:完全版】人事が押さえておきたいマネジメントとは?システム導入までをご確認ください。

    福利厚生を実施する背景

    福利厚生は従業員だけではなく、企業側にも良い影響があります。福利厚生により得られるメリットは以下の通りです。

    ・従業員の福祉や健康の維持/向上による労働生産性アップ

    ・従業員のエンゲージメント/定着率の向上

    ・企業アピールになり採用力が向上する

    ・一定の条件で法人税を節税できる

    上記のようなメリットが挙げられます。福利厚生は税務上の経費として扱われるため、非課税対象になるケースがあります。例えば、健康診断費用・育児/介護関連の補助金など一定の条件を満たす福利厚生が非課税対象に該当し、法人税が安くなり節税効果が期待できるでしょう。

    一方、福利厚生は制度選定・検討・導入コストなど、時間・費用がかかるデメリットもありますが、従業員のエンゲージメント・定着率向上・企業アピール・節税効果など得られるメリットがあるため、実施する大きな理由となります。

    福利厚生には2種類ある

    福利厚生には2種類ある

    福利厚生には「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類存在します。実例・費用など具体的に解説します。

    法定福利厚生

    法定福利厚生とは、法律で義務づけられた福利厚生です。労働者やその家族の生活安定を目的とする社会保障制度の役割を担っているため、企業が労働者全員に対し平等に社会保険料の負担義務がある福利厚生の総称を指します。

    例えば、以下が法定福利厚生に当てはまります。

    ・厚生年金保険料 ・健康/介護保険

    ・雇用/労災保険 ・子ども/子育て拠出金

    上記の通り、社会/労働保険料は、企業・労働者(被保険者)が、定められた負担割合に応じ支払います。

    経団連が発表した「福利厚生費と現金給与総額の動向」によると、従業員1人1カ月あたりの法定福利費は、84,884円でした。

    法定福利厚生費の各内訳と費用を見ると、「厚生年金保険」が47,375円の55.8%、「健康保険・介護保険」が31,119円の36.7%、「雇用・労災保険」が5,123円の6.0%、「子ども・子育て拠出金」が1,182円の1.4%になっています。

    法定福利厚生の社会保険料について、保険者・業種・年度等で保険料率は異なりますが、社会保険料の負担額は、従業員の給与の約15%を折半する事になります。医療費の増加・少子高齢化・コロナの影響もあり保険料増額の可能性が考えられるため、福利厚生である社会保険料の負担は今後ますます大きくなると予想されるでしょう。

    法定外福利厚生

    法定外福利厚生とは、企業が独自に内容・費用負担を設定できる福利厚生です。働きやすい職場環境・満足度向上・他社との差別化を目的に、オリジナリティ溢れる福利厚生を導入する企業も多くあります。

    例えば、以下が法定外福利厚生に当てはまります。

    通勤手当:公共交通機関(電車・バスなど)・駐車場の利用費用・食事手当:社員食堂・飲食費の補助・住宅手当:家賃補助・社員寮の利用

    家族手当:配偶者・子ども手当の支給

    慶弔見舞金:結婚祝い金・出産祝い金・災害見舞金

    イベント:社員旅行・新年会・食事会 

    上記の通り、法定外福利厚生の種類は豊富であり、制度や希望に応じ費用・サービスの支給をするなどバリエーションの幅も広いため、自由度が高い福利厚生だと言えます。

    経団連が発表した「福利厚生費と現金給与総額の動向」によると、従業員1人1カ月あたりの法定外福利費は、23,452円でした。

    法定福利厚生費の各内訳と費用を見ると、「住宅関連」が11.436円の48.8%、「ライフサポート」が5,606円の23.9%、「医療・健康」が2,802円の11.9%、「文化・体育・レクリエーション」が1,774円の7.6%になっています。 福利厚生の内容は幅広いため、自社の従業員がどんな福利厚生を求めているのか、ヒアリング(1on1ミーティング)のもとニーズを調査すると良いでしょう。

     従業員とのヒアリング(1on1ミーティング)を効率的に進める方法についてさらに詳しく学びたい方のために「1on1ミーティング入門書」をご用意しているのでぜひご活用ください。

    設立して間もない企業なら、従業員のコミュニケーション活性化のために社員同士の食事補助を支給する。リモートワークを導入する企業なら、PC周辺機器の購入費補助。メーカー企業なら、自社製品を特別割引で購入できるなど、自社の業界・従業員の属性(年齢・社歴・性別)など多様な角度から見ると自社に合う福利厚生が見つかるかも知れません。

    福利厚生の事例

    福利厚生の事例

    福利厚生は種類も多いため、何を導入すれば良いのか、悩む方も多いかと思います。福利厚生のユニークな事例、トレンド情報を紹介しますので、自社の状況と照らし合わせて参考にしてください。

    福利厚生のユニークな事例①:キッチンイベント

    料理レシピの公開・コミュニティサービスの「クックパッド」

    季節に合わせてクリスマス会などのイベント、ワークショップを自社のキッチンで「食」を通じて取り組むため、コミュニケーションの活性化に繋がります。

    また、自社のキッチン・食材を自由に使い、お昼ご飯を作れる「まかない」制度もあり、「食」を大切にする企業理念が伝わるユニークな福利厚生です。

    福利厚生のユニークな事例②:シエスタ(仮眠)

    インターネットコンサルティング会社「ヒューゴ」

    2007年から始めたシエスタ(仮眠)制度では、13時~16時までの3時間を昼休みとして設定しています。

    仮眠・マッサージ・趣味など従業員が好きな時間を過ごすことで、リフレッシュ効果・業務効率の改善が期待できるためです。

    お昼時間の長さや導入時期など、他社とは一線を画したユニークな福利厚生と言えるでしょう。

    福利厚生の最新トレンド傾向

    近年の福利厚生は以下のトレンド傾向が見られます。

    ・従業員の健康意識向上

    ・メンタルヘルス対策への取り組み

    ・共働きが安心して働ける制度

    厚生労働省の「一般労働者の平均年齢」によると、労働者の平均年齢が現在40歳近くあり、年々高齢化しているため健康意識が向上した背景があります。また、うつ病などの精神疾患に罹患した人は、400万人を超えており深刻な社会問題となっています。女性の社会進出・働き方改革の影響もあり、夫婦共働き世帯が64%と年々増加傾向です。

    これらの社会情勢の影響、従業員が働きやすい組織に適応するために「人間ドッグ受診補助」「フィットネスジムの利用補助」「メンタルヘルス相談」「家事代行補助」「社内イベントの開催」など導入する企業が増えている傾向です。

    福利厚生の代行サービス

    福利厚生の代行サービス

    近年、福利厚生をより効率的に運用した企業の高まりを受けて、福利厚生の代行サービス(アウトソーシング)が注目されています。

    代行サービスとは、外部企業に従業員への福利厚生サービスの提供・手続き・管理など福利厚生に関する業務を代行できるサービスです。

    代行費用はかかりますが、福利厚生の業務効率・幅広いサービスを受けられるメリットがあるため、導入する企業も珍しくありません。福利厚生の代行サービス3社を紹介します。

    リロクラブ(福利厚生俱楽部)

    1993年から福利厚生のパイオニアとして契約12,600社を誇る「リロクラブ(福利厚生)」

    中小企業への福利厚生に強みをもっており、契約社の内77.8%が100名未満の中小企業と言われています。入会金3万~・1人あたり月会費550円~で福利厚生サービスが利用できます。

    JTBベネフィット(えらべる俱楽部)

    国内大手の旅行会社JTBの子会社が手掛ける「JTBベネフィット(えらべる俱楽部)」

    旅行会社の強みを活かして、国内旅行プラン・娯楽サービスが充実した福利厚生が特徴的です。入会金5万円~・1人あたり月会費300円~であり、低コストから福利厚生サービスが利用できます。 

    ベネフィット・ワン(ベネフィット・ステーション)

    福利厚生代行サービスの最大手であり、上場企業のベネフィット・ワンが運営する「ベネフィット・ステーション」

    レジャー・グルメ・買い物・健康・介護・健康など、大企業を含めたあらゆる企業に求められるカテゴリーを網羅しています。さらに施設140万軒以上を利用できる圧倒的な規模・バリエーションが特徴的です。入会金2万円~・1人あたり月会費600円~・1社あたりの月額6,000円~から福利厚生サービスが利用できます。

    福利厚生以外の人材管理もカンタン・シンプルに

    福利厚生は、従業員やその家族の生活・福祉向上に繋がる重要な人材管理業務の一つです。自社に合った福利厚生を整備・充実化する事で、エンゲージメントや労働生産性の向上・優秀人材の流出防止が期待できます。

    福利厚生のほか、さらに社内を活性化させるためには、同じく人材管理業務である人事評価・人事育成の整備・適正化が必要不可欠です。

    HRBrainはそんな人事評価・人材育成管理で組織を確かな成長につなげる人事管理システム・人事評価クラウドです。

    従業員の目標設定から評価までのオペレーションの全てをクラウド上のソフトウエアで効率化できるサービスもあり、MBOやOKR、1on1などの最新のマネジメント手法をカンタン・シンプルに運用することができるでしょう。

    「従業員の労働生産性やエンゲージメント向上のために何をすれば良いかわからない・・・」

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    HR大学編集部
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