#人材育成
2024/01/19

エンプロイーエクスペリエンスとは?社員エンゲージメントを高める方法

目次

    最近、アメリカ企業を中心に「エンプロイーエクスペリエンス」という言葉が使われるようになりました。エンプロイーエクスペリエンスは、現在の人事のトレンドとして注目されています。エンプロイーエクスペリエンスとはいったい何なのでしょうか。

    エンプロイーエクスペリエンスの意味と事例、そして実際の活用ノウハウをまとめてみました。

    エンプロイーエクスペリエンスとは何か?

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    エンプロイーエクスペリエンス(EX)とは?

    エンプロイーエクスペリエンス(Employee Experience=略:EX)とはその訳の通り、従業員体験を意味します。ここでの従業員体験の意味は、職場で働くことや会社で過ごす経験価値です。マーケティングの世界では顧客体験のことをカスタマーエクスペリエンスと呼びます。このマーケティングの概念を人事や組織領域に適用したのがエンプロイーエクスペリエンスです。エンプロイーエクスペリエンス(EX)の定義は、従業員を顧客に見立てて、従業員の組織エンゲージメントを高め、組織の生産性を継続的に向上させる試みです。大手コンサルティングファームのマッキンゼーによれば、エンプロイーエクスペリエンス(EX)は「個人やチーム、会社のパフォーマンスを向上するために会社と従業員が一緒になって互いを刺激しあうこと」とされます。

    エンプロイーサクセス

    マーケティングではカスタマーエクスペリエンスを最大化することをカスタマーサクセスと呼びますが、同様にエンプロイーエクスペリエンス(EX)を最大化することは、エンプロイーサクセスと呼ばれます。エンプロイーエクスペリエンス(EX)は働きがいを重視するミレニアム世代の台頭により注目を浴びるようになりました。

    エンゲージメントを高めるエンプロイージャーニーマップ

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    エンゲージメントを高めるには?

    もし、あなたの会社の社員がモチベーション高く働いてくれて、それが周囲にも良い影響を与え、組織の生産性が高まるサイクルを生み出してくれたら最高ではないでしょうか。
    従業員が目的をもって働き、自分が望む以上の素晴らしい働き方をすることで会社へのエンゲージメントが高まり、それにより会社への貢献度合いが最大化する。このような好循環を生み出すには、エンプロイージャーニーマップを作ることがおすすめです。

    エンプロイージャーニーマップ

    エンプロイージャーニーマップとは、EXを最大化するために従業員が採用されて入社し、退職するまでの経験を図にまとめたものです。

    多くの人事部ではこれまで、採用と入社後の体験を別々に取り扱ってきました。しかし働く側が会社を選ぶ時代になった現代では、働く「目的」を重視する現代人に合わせ、「この会社でどのような経験ができるのか」を統合的に示す必要があります。

    異動やライフイベントなど、会社人生の中でどのような経験をしてもらいパフォーマンスを最大化してもらうのか。それをまとめたものがエンプロイージャーニーマップです。

    エンプロイージャーニーマップをつくるには?

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    では実際のエンプロイージャーニーマップの作り方をご紹介します。

    エンプロイージャーニーマップは数種類作成する

    まずエンプロイージャーニーマップは1種類だけとは限りません。EXは従業員一人一人の経験価値を最大化する取り組みですので、職種や職場が違えばEXも異なるはずです。

    そこで、まず自社の社員を経験の種類別に分類します。ここでのポイントは、あくまでも会社での経験や体験を中心に考えることです。経験価値を整理し、EXごとにターゲットとペルソナを考えマップを作成しましょう。

    エンプロイージャーニーマップをブラッシュアップする

    エンプロイーエクスペリエンス(EX)の種類が定義できたら、種類別にペルソナの視点で経験価値を考えます。

    この時、入社前の採用段階からエンプロイーエクスペリエンス(EX)を考えることが重要です。

    採用、入社、育成、配置、評価、異動、など退職までの一連の体験をマップに整理します。しかしこれで完成ではありません。整理した後に必ず、各ペルソナがいる職場にマップを共有してフィードバックをもらいましょう。

    エンプロイージャーニーマップをサーベイに活用する

    次に各イベントでのエンプロイーエクスペリエンス(EX)を測るKPIを決めます。各マップは別々の体験を示しますが、エンプロイーエクスペリエンス(EX)の有効性を測るために会社としての共通の基準を設ける必要があります。KPIが決まったら、どのように効果測定を行うかを決定します。この際にエンゲージメントサーベイのシステムを活用してもよいでしょう。

    エンプロイーエクスペリエンス(EX)がエンゲージメントを高める

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    エンプロイーエクスペリエンス(EX)は会社と従業員のハッピーな関係

    このようにエンプロイーエクスペリエンス(EX)とは、従業員の職場での経験価値を最大化することによって社員エンゲージメントを高めパフォーマンスを最大化する試みです。エンプロイーエクスペリエンス(EX)におけるエンゲージメントの使い方は「会社と従業員が相互に互いを高める」ものとして用いられています。

    会社目線で従業員のエンゲージメントを高めることがEXではありません。反対に従業員の目線で、この会社でどのような経験をできるかを考え、そしてその経験が会社の生産性を高めることにつながるようにストーリーを考える必要があります。

    エンプロイーエクスペリエンス(EX)は会社の評判に直結する

    これまでの日本の人事は、会社が主導となって社員の異動や能力開発を考えてきました。しかし、これからの時代は社員一人一人の多様性が活きる職場づくりをしなければ働く人から選ばれない会社になってしまいます。ネットで簡単に口コミが見られる現代では、エンプロイーエクスペリエンス(EX)が低く誰も働きたくない会社は「ブラック企業」として扱われ会社の評判にも直結するリスクがあります。エンプロイーエクスペリエンス(EX)を追求することで社員のエンゲージメントが高まり、それが会社の評判にも反映されていくはずです。

    EXはエンゲージメントやロイヤリティ、ESとはどう違うのか?

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    エンプロイーエクスペリエンス(EX)と類似用語との違い

    ところでエンプロイーエクスペリエンスは、これまで人事界隈で謳われてきたエンゲージメントやロイヤリティ、従業員満足度(ES)とどう違うのでしょうか。

    エンプロイーエクスペリエンス(EX)はそれらを包含した取り組みであると言えます。

    一方で、これまでのエンゲージメントやロイヤリティ、ESはあくまでも組織や従業員の状態を表すKPIでしかありませんでした。

    また、これらの取り組みについてどちらかというと人事は常に後手に回ってきたのではないでしょうか。例えば、ES調査の結果が芳しくなければ手を打つという具合に。

    離職や生産性低下に先手をうつ

    実際にはES調査の結果が思わしくなかった時点で離職や組織生産性の低下が発生しています。

    そこで、エンプロイーエクスペリエンス(EX)の概念をもとにあらかじめ社員が会社で経験する出来事を整理し、入社、異動、昇進、昇格、退職などの各イベントをエンゲージメントやロイヤリティ向上に活用するのです。つまり、エンプロイーエクスペリエンス(EX)の考え方を用いることでかなり早い段階から離職を防止し、組織生産性を高める取り組みができます。

    エンゲージメントサーベイで組織に命を吹き込む

    エンプロイーエクスペリエンス(EX)とサーベイ

    エンプロイーエクスペリエンス(EX)では従業員の日々の経験がとても重要です。EXに本気で取り組むなら、日々、従業員の経験価値を高められているかチェックが必要です。
    この従業員の状態をチェックすることを目的として、エンゲージメントサーベイを実施することが重要です。

    最近ではパルスサーベイと呼ばれる1週間~1か月の短期間かつ高頻度で実施する調査を利用して従業員の状態を調査する企業が増えてきました。

    短い期間でサーベイを繰り返し実施することで従業員の不調に早めに気づくことができます。またサーベイ結果をもとに、すぐに手を打てることが特徴です。

    サーベイ導入時の選び方

    離職者は一度退職を決意すると、その意思はなかなか覆りません。エンゲージメントが少し下がった段階で早めに対策を打つことが重要です。
    エンゲージメントサーベイを導入する際には、こうしたエンプロイーエクスペリエンス(EX)を高めることを目的として、早めにアクションができる機能や項目を備えているか比較検討しましょう。

    エンプロイーエクスペリエンス(EX)に取り組む企業

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    では、具体的にはエンプロイーエクスペリエンス(EX)はどのように取り組まれているのでしょうか。代表的な事例をご紹介します。

    Airbnb

    自分の部屋を民泊として貸し出すことのできるサービスを提供するAir bnb社は、かなり早い段階からエンプロイーエクスペリエンス(EX)に取り組んできた企業の一つです。Air bnbでは人事部が「エンプロイーエクスペリエンス」と呼ばれています。従業員を会社のミッションやバリューと結びつけることが仕事です。EXチームは会社のカルチャーを浸透させるためにイベントを企画・実行するほか、職場環境を整えたり、採用した社員のオンボーディングを実行しています。

    Adobe

    Photoshopなどのクリエーター必須ソフトウェアを提供するAdobeでも人事部がエンプロイーエクスペリエンスと呼ばれています。AdobeのEXはAirbnb同様に採用候補者と社員にAdobeの価値観を伝えるとともに職場環境や制度の整備を通じて社員のエンゲージメントを高めています。Adobe本社のあるアメリカでは日本と違い、産休・育休制度があまり整っていません。そこでAdobeは他社に先駆けて10日間の出産有給休暇や産後26週間の有給制度をつくりました。また従来の年次評価をやめ、マネージャーが面談を通じて継続的に部下の成長を後押しする「チェックイン」制度をつくりました。Adobeはこうした取り組みにより、2012年から現在まで株価が3倍にも成長しました。

    いずれの事例も会社の価値観と従業員を結びつけ、従業員の成長や働きがいを後押ししていることが特徴です。

    こうした取り組みは、日本企業ではすぐに取り入れることは難しいかもしれません。

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    株式会社HRBrain 吉田 達揮
    吉田 達揮
    • 株式会社HRBrain 執行役員

    • ビジネス統括本部 本部長

    • 人的資本TIMES編集長

    新卒で東証プライム 総合人材サービス企業に入社。2020年HRBrainに入社。
    人事制度コンサルティング部門の立ち上げから大手企業向けのクラウド営業に従事。
    また社内タレントマネジメントのユニットの立ち上げと運営を担当。
    以後、事業企画にてゼネラルマネージャーとして全社戦略の策定・推進を担当。
    その後、組織診断サーベイ「EX Intelligence」を提供しているEX事業本部を管掌。
    2022年4月に執行役員へ就任。2023年4月よりビジネス統括本部の本部長として全体を統括。「人的資本TIMES」の編集長も兼務。

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