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タレントマネジメントとは?メリットや目的、導入プロセスについて解説

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タレントマネジメントとは?メリットや目的、導入プロセスについて解説

目次

    タレントマネジメントとは、従業員のスキルや特性を管理・分析し、より合理的に人事戦略を推進する概念のこと。2010年代から日本国内でも注目が集まってきましたが、まだまだタレントマネジメントを導入しうまく活用できている例は少ないのが現状です。本記事では、タレントマネジメントの概要やメリットや導入のポイントなどについて解説します。

    タレントマネジメントとは?

    タレントマネジメントの基礎知識

    自社の従業員がどのようなスキルやノウハウを一元管理し、配置転換や人材育成といった人事戦略に反映させるプロセスを指します。タレントマネジメントは、1997年にマッキンゼー・アンド・カンパニー社がウォー・フォー・タレント(人材育成戦争)という言葉を提唱したのを機に広まったとされ、日本では2011年頃から注目され始めました。海外では、アデコが、日本国内ではサイバーエージェント、日産自動車、クラウドワークスといった企業が導入を始めています。

    また、厚生労働省が調査したところによると、日本におけるタレントマネジメントの導入割合は、2012年時点で導入している企業が2%、導入準備中の企業が2.2%だったのに対し、2017年には導入している企業が7.1%、導入準備中の企業が3.8%まで増えており、年々タレントマネジメントへの関心が高まっていることが伺えます。

    ただし、売上高別で見ると、2017年に1兆円以上の企業の導入率は20%を超えているのに対し、100億円未満の企業はわずか1〜2%程度と、企業規模によってばらつきがあることが伺えます。タレントマネジメントは導入にコストと労力がかかるため、資本体力がない中小・零細企業には少々導入のハードルが高いのが現状です。

    <参照:「我が国企業のタレントマネジメントの導入状況」|厚生労働省>
    https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/18/backdata/column2-4.html

    タレントマネジメントの定義

    タレントマネジメントには、世界最大の人材マネジメント協会である「SHRM」と米国人材開発協会「ASTD」によって二つの定義が存在します。

    SHRMによる定義

    人材の採用、選抜、適材適所、リーダーの育成・開発、評価、報酬、後継者養成等の人材マネジメントのプロセス改善を通して、職場の生産性を改善し、必要なスキルを持つ人材の意欲を増進させ、現在と将来のビジネスニーズの違いを見極め、優秀人材の維持、能力開発を統合的、戦略的に進める取り組みやシステムデザインを導入すること。

    ASTDによる定義

    仕事の目標達成に必要な人材の採用、人材開発、適材適所を実現し、仕事をスムーズに進めるため、職場風土(Culture)、仕事に対する真剣な取り組み(Engagement)、能力開発(Capability)、人材補強/支援部隊の強化(Capacity)の四つの視点から、実現しようとする短期的/長期的、ホリスティックな取り組みである。

    <引用:世界の大企業のCEOが最重要課題としたタレント・マネジメントとは?|株式会社スマートビジョン>
    http://www.smartvision.co.jp/talent.html

    タレントマネジメントはなぜ注目されている?

    なぜ、タレントマネジメントが注目されるようになったのでしょう?それは、近年の経済環境の変化が背景にあります。

    終身雇用制の崩壊・終焉

    従来は、年功序列、終身雇用制が主流でした。しかし、バブルが崩壊し日本経済は陰りを見せ、またグローバル化の波により、終身雇用制という方法では限界を迎え始めました。

    2019年5月13日で行われた日本自動車工業会の会見でトヨタ自動車社長の豊田章男氏が発言した「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」という言葉は、長らく続いた終身雇用制の終焉を告げる象徴的な言葉で、自動車業界のみならず、多くの経済界に衝撃を与えました。

    もし、終身雇用制がなくなれば、雇用は流動化し、より企業は自社の優秀な人材を流出させないよう、従業員のスキルや能力を把握し、最大限に活躍してもらうよう、適材適所へ人材配置したり、育成するなどの工夫が必要になります。

    労働力不足

    少子高齢化という問題が取り沙汰されてから数十年、日本はさらなる深刻な労働力不足に陥るといわれています。パーソル総合研究所・中央大学の調査によれば、2030年には7,073万人の労働需要に対し、労働供給が6,429万人と、644万人の人手不足が予測されています。

    特に、サービス業が顕著で400万人ほどの人手不足が見込まれており、その他医療福祉、卸売小売業界でも、人手不足が懸念されます。労働力不足を解消するには、どれだけ多く採用するかより、限られた今いる貴重な人材をどのように育成するかが重要になってきます。

    参照:パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」|パーソル総合研究所・中央大学
    https://rc.persol-group.co.jp/roudou2030/

    ビジネス環境の変化

    Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)

    の頭文字をとった「VUCA」という言葉があるように、IT化やグローバル化などの影響により、予測不能で激変な時代に突入しています。「作れば売れる」時代から「常に動いて試し続ける」時代に変わり、世の中の流れに、スピーディーに、柔軟に対応できる力が求められます。そのためには、指示待ちの人材を育てるのではなく、多様な従業員の価値観やスキルを認めて受け入れて、従業員自身が備えているスキルやノウハウを主体的に発揮・活用できるよう、人材を育成・開発・マネジメントしていくことが求められます。

    タレントマネジメントの目的

    タレントマネジメントの目的

    タレントマネジメントの目的は、企業によってさまざまですが、大きく「経営目標の達成」「柔軟な部署連携・適正な人材配置」の二つに分けられます。

    経営目標の達成

    タレントマネジメントの最大の目的は、経営目標を達成させるための経営戦略を人事面からバックアップし実現させることです。そのためには、まず企業の主力となる優秀なリーダー人材を育成することが最重要項目です。短期的には、タレントマネジメントによって、業務効率の改善につなげることもできますが、そこは本質的な面ではありません。あくまで、経営目標の達成にどう活かせるのかを考えることが重要です。

    柔軟な部署連携・適正な人材配置

    経営目標の達成に比べればやや短期的ですが、人事領域ではよくありがちな課題の一つです。特に企業規模が大きくなるほど、人材配置における問題に直面します。規模が大きくなり縦割り体制になると、それぞれの部署との連携が上手くいかなくなり、結果的にそれが業務効率を悪化させることにつながります。タレントマネジメントを行うことで、従業員に沿った職務や部署への転換ができます。また、タレントマネジメントによってそれぞれのスキルが可視化されれば、部署を超えた連携もスムーズになります。「〇〇の業務なら●●さんに任せよう」と部署ではなく、従業員個人へ業務が引き継げるようになり、よりフレキシブルに円滑に会社全体の業務が回すことができます。

    タレントマネジメントのメリット

    タレントマネジメントのメリット

    タレントマネジメントを導入すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか?

    適正な人材配置

    最大のメリットは、適正な人材配置ができることです。タレントマネジメントでは、従業員個々の能力やスキル、特性、過去の職務履歴なども把握できるため、人材配置のミスマッチが起こることも減少します。

    公正な人事評価

    人事評価では、明確な基準が大切です。評価基準が不明確であったり、業務内容や評価者によって人事評価にばらつきが出た場合、従業員は会社に対して不信感を抱くでしょう。しかし、タレントマネジメントでは、一元管理した能力やスキル、キャリアビジョン等のデータに基づきスコアリングされるため、主観の入らない公正な人事評価を下すことができます。

    タレントマネジメントシステムとは?

    タレントマネジメントシステムの基礎知識

    タレントマネジメントは非常に多岐にわたる概念で、各部署間での連携や現状の人材に合わせたシステム設計など、独自にシステムを組んで進めていくには膨大な時間を要します。このタレントマネジメントを実現するシステムが各社からリリースされています。

    例えば・・・

    「評価基準シートや従業員の異動履歴や研修履歴がエクセルで記録されているが、全部組織ごとにバラバラに管理されていて連携していない」

    「グローバル展開して大規模になり、子会社、関連会社に所属する人材のスキルセットや特性などが全く連携・把握できていない」

    といった悩みを、タレントマネジメントシステムを使えば、スコアリング、連携、データの蓄積といったプロセスの自動化・効率化を進めることができます。

    タレントマネジメントシステムの主な機能

    育成計画の管理

    タレントマネジメントを推進する際は、経営目標に基づいて人材育成計画を実施します。立てた計画が順調に進捗しているか、またどの人材にどのスキルをセットすれば良いのか、計画立案や進捗のサポートをしてくれます。人材育成計画をより円滑にします。

    従業員のスキル・能力を一元管理

    タレントマネジメントシステムの最大の特徴は、システムで従業員のスキルや能力の一元管理できることです。今まで見えていなかったスキルの可視化はもちろん、実績や適性、異動履歴なども把握できるため、人材マネジメントがより効率化します。

    後継管理


    データにより一元管理することで、リーダーシップを持つ人材の欠員や役割の重複、また適任の人材をいち早く発掘できます。特に、手薄になりがちな海外事業部の業務引き継ぎ、リーダーシップを持つ人材のヘッドハンティングなどがスムーズに行えます。

    目標管理

    従業員に見合った目標を立て、その目標に向けてそれぞれ能力開発、人材マネジメントを行います。事業部ごとにバラバラにまとめられているものを、一括でシステムでデータ管理することで、個人単位あるいは組織単位での目標管理が円滑に進みます。

    タレントマネジメントシステムの注意点

    タレントマネジメントはあくまで手段であり、使い方を間違えれば逆効果になることも、また期待以上の効果を得られないこともあります。

    管理する人材が増えて対応が追いつかない

    M&Aなどにより事業拡大したり、子会社設立、海外支社の立ち上げなど、事業を拡大しようとすれば、必要な人材の数はどんどん増えていきます。特に、グローバル展開を行う企業の場合、その土地土地での現地採用やその国特有の商流を知る人材などハイクラスなスキルを持った人材の確保も必要になります。採用する人材の幅が広がった結果、一部の従業員しか管理できていないという状態に陥り、形骸化してしまいます。

    部署間の連携が難しい

    タレントマネジメントでは、従業員個人を管理するため、部署間のいわゆるスキマにあたる業務や役割が発生した際には、部署同士で密に連携して、タレントマネジメントの推進を行う必要があります。そのためには、部署間の壁を突破できるリーダーシップを持つ人材が求められます。

    タレントマネジメントシステムの導入プロセス

    タレントマネジメントの導入を行う前に、まず経営戦略、経営目的を定めましょう。根底があいまいなままで、タレントマネジメントを導入しても、良い効果は期待できません。

    経営戦略、経営目的を明確にする

    タレントマネジメントは、経営戦略に紐付いた人材戦略があってはじめて意味を成します。タレントマネジメントを実施することが目的化しないよう、今一度、経営戦略・経営目的を明確にし、そもそもタレントマネジメントが最善の手段なのかも含め、検討しましょう。

    各組織の役割の再定義

    経営戦略や経営目的を明確にした上で、今の各組織の役割は本当に必要なのか、過不足はないか再定義をします。従業員は組織があってこそ活かされます。組織のあり方が間違っていれば企業に必要な人材は育ちません。各組織はそれぞれどんな機能を持ち、ミッションがあるのか見直します。

    人材のデータ蓄積・管理

    前提条件が整ったら、従業員のデータを蓄積・管理します。次に、スキルマップを作成し、不足している、重複しているスキルを発見します。これにより、各組織で必要な人材、スキルが明確になり、育成計画・採用計画に反映させることができます。人材採用・育成計画の立案

    組織のミッションや機能と照らし合わせ、強化・推進していくポジションに人材を割り当てます。もし、必要なスキルを持った人材がいなければ、採用戦略を立てるか、必要なスキルから逆算し、人材育成を作成します。

    人材の最適配置

    人材採用、育成計画を実行しても、なかなか上手くいかないことがあります。スキルマップで表面的な数値やデータしか見ていないと、ミスマッチが起こっていたり、個人のキャリアビジョンとマッチしていないなど、予測しない事が起こります。人は常に成長します。特性やスキルは常に変動します。現場と密に連携をとって、タレントマネジメントの精度を高めていくことが重要です。

    まとめ

    タレントマネジメントはあくまで人事戦略を推進する手段の一つでしかありません。タレントマネジメントを導入すれば、従業員のスキルや特性を可視化できますが、結局そのデータを分析して運用するのは「人」です。特に、タレントマネジメントシステムを導入すれば、運用が軌道に乗るまでにはランニングコストと多大な労力を要します。費用対効果と照らし合わせて、本当に導入すべきなのか検討しましょう。

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    HR大学 編集部

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