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コーポレートガバナンスとは?取り組む目的や課題まで事例も含めて簡単に解説

コーポレートガバナンスに取り組む目的や課題まで事例を含めて簡単に解説

コーポレートガバナンスとは?取り組む目的や課題まで事例も含めて簡単に解説

目次

    近年重要性が高まっているコーポレートガバナンスとは何でしょうか?コーポレートガバナンスとは企業統治と訳され、不祥事の防止や企業価値向上に欠かせないものです。ここでは、コーポレートガバナンスの目的や課題、問題点、取り組み事例について簡単に解説します。

    コーポレートガバナンスとは

    コーポレートガバナンスとは

    重要性が高まっているコーポレートガバナンスとはどういう取り組みなのでしょうか。コーポレートガバナンスに取り組む目的や背景などについて解説します。

    コーポレートガバナンスとは 

    コーポレートガバナンス(Corporate Governance)とは、日本語で「企業統治」と訳され、企業不祥事等を未然に防ぐために、企業経営を監視・統制する仕組みのことを言います。

    ・内部統制との違い

    似た言葉に「内部統制」があります。内部統制とは、全ての経営者及び従業員に対する法令遵守のための仕組みです。コーポレートガバナンスは、企業の不祥事の防止やステークホルダーの利益を守る仕組みであるため、目的が異なります。ですが、コーポレートガバナンスを高めていくためには内部統制の仕組みは必要不可欠であり、社内の法令順守、透明性の確保を行う必要があります。

    コーポレートガバナンスの目的

    会社経営においては経営者の意見が強く反映されがちであり、その結果一部の経営者に利益がある経営が行われてしまう可能性があります。その可能性を無くすため、企業経営の透明性を確保し、株主・従業員・金融機関・取引先といったステークホルダーの利益を守るための仕組みがコーポレートガバナンスです。整理すると以下の3つが目的となります。

    • 企業経営の透明性の確保
    • 株主の権利と平等性の確保
    • ステークホルダーの権利・立場の尊重

    企業は経営者のものではなく、経営者だけによって維持されているものではありません。それを認識し、全てのステークホルダーにとって利益があるような企業経営を行うことが重要です。

    コーポレートガバナンスが注目される背景

    コーポレートガバナンスが注目される背景として相次いだ経営者による不祥事があります。粉飾決算や不正の隠蔽などです。こういった経営者による不祥事・不正を防ぐことを目的として、注目され始めました。はじめは1960年代のアメリカで、1990年代以降はヨーロッパや日本へと広がっていきました。また、近年の日本においては機関投資家や外国人投資家の比重が高まってきたことやグローバルへの進出のために、コーポレートガバナンスの強化がより一層重要視されています。

    コーポレートガバナンスコードとは

    コーポレートガバナンスコードとは、実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を取りまとめたものです。金融庁と東京証券取引所によって取りまとめられており、2015年6月から適用されています。その後2018年6月と2021年6月に改訂が加えられ、時代とともに内容のアップデートが計られています。

    ・コンプライ・オア・エクスプレイン

    東証一部・二部上場の企業はコードの全原則に対して、マザーズ及びJASDAQ上場の企業は基本原則に対して、実施するか、実施しない場合はその理由を説明することが求められます。これを「コンプライ・オア・エクスプレイン」と言います。

    コーポレートガバナンスの基本原則

    コーポレートガバナンスの基本原則

    コーポレートガバナンスには基本原則と言われる5つの項目があります。

    • 株主の権利・平等性の確保
    • 株主以外のステークホルダーとの適切な協働
    • 適切な情報開示と透明性の確保 
    • 取締役会等の責務
    • 株主との対話

    これらにはそれぞれどのような意味・目的があるのでしょうか。

    株主の権利・平等性の確保 

    1つ目は「株主の権利・平等性の確保」です。全株主がその権利を行使できるように環境を整えることと、その平等性を確保することを定めています。特に少数株主や外国人株主については、平等性の確保に課題が生じやすいとして、十分な配慮が必要と記されています。具体的には、WEB上での情報開示やオンラインでの議決権行使等を行うとよいでしょう。

    株主以外のステークホルダーとの適切な協働

    2つ目は「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」です。企業経営は全てのステークホルダーに対して利益があるものでなくてはいけません。1つ目の項目で株主の権利・平等性の確保を求めていますがステークホルダーは株主だけではなく、従業員・金融機関・顧客・地域社会など企業が関係する全ての人や機関が当てはまります。企業の成長と価値創出はこれらステークホルダーによるものであるということを認識し、適切な協働を行うことを経営陣に求めています。具体的には、SDGs等の社会的課題への取り組み等です。

    適切な情報開示と透明性の確保 

    3つ目は「適切な情報開示と透明性の確保」です。上場企業は会社の財務情報や経営戦略、リスク、非財務情報について、法令に基づき適切に開示する必要があります。また、法令に記載がない情報についても、ステークホルダーが企業の状態を適切に把握するために、情報提供を積極的に行うよう求めています。具体的には、統合報告書や役員報酬決定プロセスの開示等を行うとよいでしょう。

    取締役会等の責務 

    4つ目は「取締役会等の責務」です。取締役会は、株主に対する各種責任を踏まえ、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を促し、収益力・資本効率等の改善を図るために下記3点をはじめとする責務を果たすべきだとされています。

    • 企業戦略等の大きな方向性を示す
    • 適切なリスクテイクを支える環境整備を行う
    • 経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行う

    具体的には、独立社外取締役の選任や役員報酬制度設計など行い、責務が果たせる環境を作る必要があります。

    株主との対話 

    5つ目は「株主との対話」です。株主との対話の場として株主総会がありますが、株主総会以外にも建設的な対話を行うべきとしています。こうした対話を通じて株主の意見を聞き、また経営方針の理解を求めることが大切です。具体的には、IR活動の充実や、投資家説明会の開催等を行うとよいでしょう。

    (参考)株式会社東京証券取引所「 コーポレートガバナンス・コード

    コーポレートガバナンスを強化する方法

    コーポレートガバナンスを強化する方法

    コーポレートガバナンスの強化にはいくつかの方法があります。それぞれの方法を知り、できる部分から着手しガバナンスの強化を図ることが重要です。ここでは5つの強化方法について紹介します。

    内部統制の強化

    1つ目は「内部統制の強化」です。内部統制とコーポレートガバナンスは別物ですが、コーポレートガバナンス強化には欠かせない取り組みです。内部統制の強化は、役員だけではなく従業員にまで取り組みを浸透させることが必要です。日々の業務において法令遵守を徹底し、もしも起きそうな事案が発生したときには、それを内部監査や監査役が把握できる体制を構築することが重要です。

    社外取締役、監査役の選任及び独立委員会の設置 

    2つ目は「社外取締役、監査役の任用及び独立委員会の設置」です。社外取締役や社外監査役を外部から選任し、第三者の目を経営陣に入れることで、経営陣の監視体制を構築します。また取締役等の役員の報酬や選任といった役員の利害に大きくかかわる事柄については、社外取締役で構成される指名委員会、報酬委員会等の独立委員会を設置すると良いでしょう。

    責任・権限の明確化

    3つ目は「責任・権限の明確化」です。具体的には執行役員制度の導入による監督と執行の分離です。

    本来の取締役には、経営の監督と執行を行う責任と権限を有します。このように両方の権限を有することで曖昧だった監督と執行の線引きを、執行役員を別に選任し執行の責任と権限を持たせることで明確にします。

    意思決定された事項を執行する執行役員と、意思決定を行い執行を監督する取締役とで役割を明確化することで企業の管理体制の強化につながります。

    CEO不参加の取締役会実施 

    4つ目は「CEO不参加の取締役会実施」です。CEOや代表取締役社長は、企業経営の最高責任者であるため大きな権限を有しています。そのため取締役会においても、1人のCEOの意思が強く反映されてしまう可能性が高いです。CEO不参加の取締役会を実施することで、CEOの意見に左右されない客観的な意思決定を行うことが可能です。

    役員報酬の見直し

    5つ目は「役員報酬の見直し」です。一般に役員報酬は高額であり、業績との乖離があればステークホルダーからの理解を得られなくなる可能性が高いです。そのため株主への説明責任が果たせるような役員報酬決定のプロセスを構築する必要があります。コーポレートガバナンスコードにも

    • 役員報酬の方針とそのプロセスの開示
    • 中長期的な会社の業績とそれに連動した報酬と現金報酬と自社株報酬の割合

    と記載されており、ガバナンス強化において取り組むべき事項であることがわかります。

    コーポレートガバナンス強化における課題

    コーポレートガバナンス強化における課題

    コーポレートガバナンスの強化を推進していく上で障壁となる課題があります。ここでは4つの課題を解説します。

    社外役員の人材不足 

    1つ目は「社外役員の人材不足」です。ガバナンス強化のためには、社外取締役などの選任が欠かせません。上場企業の取締役や監査役を務めるためには、様々な専門知識や経験が必要となります。そのため社外役員として求められる能力を持つ人材がおらず、選任したくても出来ないという状況があります。特に女性は非常に少なく、取締役会の多様性確保に向けた大きな課題になっています。

    ガバナンス強化体制の構築が難しい

    2つ目は「ガバナンス強化体制の構築が難しい」ということです。コーポレートガバナンスを強化していきたいと思っても、自社内にコーポレートガバナンスに関する知識を有する人材がおらず、強化をするための体制作りが進まない場合があります。また短期的な利益向上にはつながらないため後回しにされやすく、体制構築が遅れることもあります。

    ルールと自社制度とのギャップ 

    3つ目は「ルールと自社制度とのギャップ 」です。コーポレートガバナンス・コードは企業が遵守すべき原則ですが、法的拘束力はなくその運用方法は各企業の裁量に任されています。現在運用している制度とのギャップがあることも少なくありません。コーポレートガバナンス・コードをどう解釈し、具体的な取り組みとして今の自社制度とどう組み合わせていくかが課題となっています。

    上場子会社、海外子会社の扱いをどうするか

    4つ目は「上場子会社、海外子会社の扱い」です。企業単体に限らず、グループ企業全体としてのガバナンスである「グループガバナンス」が重要となっています。しかし、子会社にも上場している企業があったり、海外子会社があり全く別の制度で経営がされていたり、その扱いは一律にはできません。上場子会社・海外子会社をどう扱い、グループ全体としてのガバナンス強化を計っていくかは大きな課題となっています。

    コーポレートガバナンスの事例

    コーポレートガバナンスの事例

    企業は実際にどのようにしてコーポレートガバナンスに取り組んでいるのでしょうか。ここでは3つの企業事例を紹介します。

    事例1:パナソニック株式会社

    パナソニックは、コーポレートガバナンスを企業価値向上の重要な基盤と位置づけています。取締役会は13人の取締役のうち、6名が社外取締役であり、第三者による監督体制を構築。取締役会議長は業務を執行しない取締役会長が担当し、またコーポレート戦略の決定とカンパニーの監督に集中することを取締役会の役割として、監督と執行の分離にも取り組んでいます。他にも指名・報酬に関して独立委員会を設置し、委員の過半数を社外取締役として、指名・報酬に関する客観性・透明性を強化するなど様々なガバナンス強化の取り組みを行っています。

    (参考)パナソニック株式会社「 コーポレートガバナンス

    事例2:塩野義製薬株式会社

    塩野義製薬は「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー2019」の大賞企業に選定された企業です。その取り組みは多岐に渡っています。取締役会は社外取締役が3名、社内取締役が2名と過半数は社外取締役で構成されています。その他、指名諮問委員会・報酬諮問委員会の設置、執行役員制度の導入等、ガバナンスの強化のための仕組み構築が行われています。役員報酬額の決定プロセスについてもHP上で公開されており、透明性の高さがわかります。

    (参考)塩野義製薬株式会社「 コーポレート・ガバナンス

    事例3:キリンホールディングス株式会社

    キリンホールディングスは「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー2020」の大賞企業に選定された企業です。キリンホールディングスは、社会が求める価値を創造することによって社会に貢献することを目的に、様々なガバナンス強化の取り組みを行っています。

    • 専門性の高い社外取締役の招聘
    • 取締役のスキルを可視化したスキルマトリックスの外部公開
    • 役員報酬の決定プロセスの開示

    などです。これらのコーポレートガバナンスの取り組みはHPにわかりやすく掲載されており、誰でも見ることが可能です。

    (参考)キリンホールディングス株式会社「 コーポレートガバナンス

    【まとめ】人材管理・人材評価をカンタン・シンプルに

    今回はコーポレートガバナンスについて解説しました。企業の不祥事を未然に防ぐために重要なのがコーポレートガバナンスです。また、長期的な企業価値向上にもガバナンス強化は欠かせない要素の1つになっています。人事も公正な評価制度、透明性の高い人事システム構築などを通してコーポレートガバナンスの強化に寄与する必要があります。

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    HR大学 編集部

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