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健康経営はメリットいっぱい!取り組みのポイントと健康経営優良企業の事例

健康経営はメリットいっぱい!取り組みのポイントと健康経営優良企業の事例

目次

    本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービス・企業・法令の内容が変更されている場合がございます。

    健康経営とは

    ジョギングしている人の足

    近年、「健康経営」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。社会的な背景もあり、経済産業省が中心となって推進しています。ここでは健康経営とはそもそも何か、また推進される背景について解説します。

    健康経営とは

    健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。健康経営は、日本再興戦略、未来投資戦略に位置づけられた「国民の健康寿命の延伸」に関する取り組みの一つです。

    (※出典)経済産業省:「健康経営」より

    ・「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人」
    経済産業省が推進している制度に「健康経営銘柄」「健康経営優良法人」の認定があります。これらは、優良な健康経営を実践している企業等を認定し、顕彰するものです。「健康経営銘柄」は、東京証券取引所の上場会社の中から選定され、「健康経営優良法人」は、企業規模を問わず選定されます。この認定を得られると、企業のPR活動に活用できるほか、自治体の公共調達における加点や、金融機関の低利融資等、優遇措置を受けられることもあり、注目が高まっています。

    健康経営が推進される背景

    健康経営が推進される理由として、大きく2つの社会背景があります。

    ・超高齢化社会と生産年齢人口減少
    国土交通省「国土の長期展望 中間とりまとめ」によれば、日本の総人口は、今後急激に減少するとされています。その人口を年齢階層別に見ると、2015年から2050年にかけて、生産年齢人口は2453万人減少するとされている一方で、高齢人口は454万人増加すると推計されています。これらの将来予測を受けて、健康への投資を促進し、就労世代の活力向上や健康寿命の延伸等を実現することが重要と考えられるようになりました。

    ・新型コロナウイルスの影響
    SOMPOひまわり生命株式会社が行った「With/After コロナの健康と保険に関する意識調査」では、「新型コロナウイルス感染症をきっかけに健康意識は変化したか」という質問に対して、「大きく変化した」または「やや変化した」と回答した人は、68.5%にのぼっています。また、新型コロナウイルスへの感染そのものではなく、新型コロナウイルスの影響によって推奨された、テレワーク等によって、メンタル不調や運動不足などが生じており、企業は従業員の健康管理面で新たな課題に直面しています。

    健康経営のメリットとデメリットの比較

    フルーツジュースとフルーツ

    健康経営は企業にとって多くのメリットがありますが、予めデメリットを理解しておくことも大切です。ここでは、健康経営のメリットとデメリットを説明します。

    健康経営のメリット

    健康経営を行なった場合の企業のメリットとしては、次のことが考えられます。

    ・企業業績や株価が上がる
    健康経営銘柄2021に選定された企業の平均株価とTOPIXの推移を、2011年9月〜2021年9月の10年間で比較した調査では、銘柄に選定された企業の株価はTOPIXを上回る形で推移しています。また、健康経営度調査の回答情報に基づく分析結果では、健康経営度調査のスコアが高い企業ほど、相対的に高いリターンを低いリスクで獲得できる傾向が見られました。(※1)

    ・従業員のパフォーマンスが上がる
    経済産業省による上場企業勤務10,000人へのアンケート調査の結果、所属企業の健康投資レベルが高いと感じている人の方が、健康状態や仕事のパフォーマンスが良好であることが分かっています。(※1)

    ・離職率が下がる
    健康経営度の高い企業は、健康経営度の低い企業よりも離職率が低い傾向にあります。経済産業省が行う健康経営度調査では、離職率の全国平均は11.4%であるのに対し、経済産業省が認定した健康優良企業の離職率の平均は5.5%という結果が示されています。(※1)

    ・優秀な人材が確保できる
    就活生に対して、就職したい企業についてのアンケートを実施したところ、「従業員の健康や働き方に配慮している」は43.8%と、「福利厚生が充実している」に次いで2番目に高い回答率でした。逆に就職したくない企業を尋ねたところ、「従業員の健康や働き方に配慮していない」が51.3%と最も高い回答率となっており、就活生にとって、企業が従業員の健康や働き方に配慮があるかどうかは、就職を決めるうえで重要なポイントとなることが示唆されます。(※2)

    ・企業イメージを向上させることができる
    健康経営銘柄等に選定されると、健康経営に関するメディア露出が増え、取引先や投資家などへ自社をアピールできる機会を増やすことができます。これにより、企業イメージを向上させることができます。

    (※1)経済産業省:「健康経営の推進について」より

    健康経営のデメリット

    上述のようにメリットがある一方で、デメリットも存在します。

    ・従業員の時間が拘束される
    個別の保健指導や、健康セミナーへの参加などを求める場合、従業員の時間が拘束されることになります。従業員の不満につながらないよう、目的や期待される効果についてしっかり説明をしておく必要があります。

    ・手間やコストがかかる
    社内に知識や経験がなく、専門家や外部の事業者に委託する場合、その分のコストがかかります。また、企画立案や効果確認のためには、多くのデータ管理が必要となり、長期にわたる施策の進捗状況を把握するなどの手間がかかります。

    中小企業にとっては特に大きなメリットに

    健康経営のメリットデメリットを紹介しましたが、中小企業にとっては健康経営は特にメリットが大きいものです。中小企業は大企業に比べて人材確保が難しく、企業の知名度も低い傾向があります。健康経営によって、社外に企業アピールをできることは、人材確保や知名度向上に大きく貢献します。

    中小企業における健康経営について、さらに詳しく知りたい方は「中小企業の健康経営とは?中小企業の課題と健康経営に取り組むメリット」をご覧ください。

    健康経営の取り組みのポイント

    心電図の波形のイラストとハート

    多くのメリットがある健康経営ですが、実際に取り組む際に重要となるポイントを解説します。

    「健康宣言」をする

    「健康宣言」とは、健康経営を経営理念の中に明文化し、企業として取り組む姿勢を社内外に発信することです。従業員の健康を経営課題として取り組むためには、経営トップがその重要性を認識し、その理念をしっかりと示すことが大切です。また、加入する保険者などの宣言事業に参加することで、健康づくり支援策等のサポートを受けることも可能になります。

    組織体制を整える

    経営理念として方針を定めたら、担当部門、担当者を設置して組織体制を整えます。取り組みの効果を高めるため、専門資格を有する人を配置したり、担当者に研修を受けてもらうことも大切です。また、健康経営に関する施策の企画立案の段階から、役員会の討議事項にするなどの体制を整備すると、各部門が一丸となり経営層全体で取り組む体制を作ることができます。

    対策をする

    対策を実行する際には、自社の健康課題を見つけ出し、目標を設定した上で行います。

    ・データを用いて従業員の健康状態を把握する
    健康経営において、まず自社の従業員の健康上の課題を把握することが必要です。定期健康診断の結果や長時間労働に関する情報、従業員の特定健康診査の結果や治療・処方箋に関するレセプト情報等を掛け合わせ、データを分析することで、課題を把握することができます。

    ・具体的な目標を立てる 
    できるだけ定量的な評価指標を設定し、目標を立てます。施策実施後の評価をする際に、施策の前後の比較が明確にでき、改善策が具体化できるような目標が望ましいと言えます。

    取り組みを評価する

    施策を実施するだけでなく、施策の効果を経営層を含めて確認し、次に生かしていくことも重要です。取組の効果を検証する際、PDCA がしっかりと機能するような体制を構築・維持することが必要となります。

    健康経営優良企業の事例

    そびえ立つビル群

    ここでは、健康経営の優良企業のユニークな取り組み事例を紹介します。

    事例1:日本水産株式会社

    日本水産株式会社は、 2019年から3年連続で「健康経営銘柄」に認定されています。海の恵みを扱っている強みを活かし、健康診断で血中 EPA(エイコサペンタエン酸) 濃度を測定してEPA摂取を促進する「EPA チャレンジ」や、魚を食べて健康づくりにつなげる「おさかな食推進」を行っているほか、筋トレやストレッチ、感染予防などのキャンペーンも実施しています。また、禁煙対策にも力を入れています。喫煙者に対しては、個別指導を行ったり、カフェテリアプランの減額や、禁煙外来治療への補助も行っており、経営トップも自ら禁煙宣言をしています。またコロナ禍において、全国各地からリモートで参加できるオンライン健康セミナーも開催しています。(※3)

    事例2:東急株式会社

    東急株式会社の健康経営は、人材戦略室が取り組みを推進し、東急病院が医療的な支援を行うという手厚い体制を築いています。  健康診断のデータなどから点数化した「TOQ 健康スコア」を導入して、より細かい保健指導を行うというオリジナルの施策のほか、コロナ禍における従業員の運動機会を増加させるために、各人の歩数を職場単位で集計して競う「職場対抗ウォーキング選手権」を実施しました。また、社内イントラネットで「ENJOY HOME」という連載をし、従業員の日々の運動習慣、ポジティブに日常生活を送っている様子などを紹介する取り組みもしています。(※3)

    事例3:四国酸素株式会社

    四国酸素株式会社は、従業員個人にとどまらず、従業員の家族の生活リズムを整える施策を行なっています。 残業せず早く帰宅して家族で食卓を囲む「親子で早寝・早起き・朝ごはん」という取り組みで、親子で生活リズムを整えることにつなげています。この取り組みは、香川県教育委員会と連携して行われている点もユニークです。また、楽しみながら健康的に標準BMIを目指すため、健診前30日間を「運動強化月間」とする施策も行われています。各自で決めた目標に基づいて「食事・運動・禁煙」等に取り組み、結果により表彰も行っています。(※4)

    (※3)経済産業省:「健康経営銘柄2021 選定企業紹介レポート」より

    【まとめ】健康経営に必要なデータ収集・管理をカンタン・シンプルに

    健康経営には、従業員の健康に関するデータの収集・分析することが必要であり、データをしっかり扱えることがその成功に寄与します。

    HRBrainは、従業員の健康情報を人事情報と共に管理・分析できるだけでなく、健康に関するアンケートまで実施できる人事評価クラウドです。

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    HR大学 編集部

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