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中小企業の健康経営とは?中小企業の課題と健康経営に取り組むメリット

中小企業の健康経営とは?中小企業の課題と健康経営に取り組むメリット

目次

    本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービス・企業・法令の内容が変更されている場合がございます。

    健康経営が中小企業に必要な理由

    健康経営が中小企業に必要な理由

    企業規模を問わず注目されている健康経営。実は中小企業にこそ必要だとも言える取り組みです。その理由を中小企業が抱える課題から解説します。

    健康経営とは 

    健康経営とは、「従業員等の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実施すること」をいいます。また、健康経営と同時に企業において注目されているのが「ウェルビーイング」です。ウェルビーイングとは、心身ともに健康な状態であるだけでなく、社会的・経済的に良好で満たされている状態にあることを意味します。ウェルビーイングについて、さらに詳しく知りたい方は「ウェルビーイングとは?意味と定義「5つの要素」を解説」をご覧ください。

    (※参考)経済産業省「健康経営の推進について

    健康経営の目的

    健康経営の目的は、将来的な企業価値向上にあります。従業員の健康保持・増進の取り組みによって、従業員の生産性や仕事へのモチベーションの維持・増進が期待できます。それによって、中長期的に企業業績の向上や収益性の改善を図るのです。

    中小企業の課題

    中小企業の抱える課題は様々ありますが、多くの企業で抱える問題は「人材」に関する課題です。2020年に中小企業庁が取りまとめた「2020年版小規模企業白書」において、約70%の企業が人材に関する課題を持っているとされています。その具体的な課題は、

    • 人材の確保
    • 人材の育成
    • 後継者育成

    等になります。健康経営への取り組みはこれらの課題を解決する糸口になります。

    健康経営が課題を解決する

    多くの中小企業が抱えている「人材」に関する課題の解決策の1つとなるのが「健康経営」です。健康経営に取り組むことで、従業員の健康が保持・増進されるため、従業員にとって大きなメリットがあります。そのため「人材」に関する課題に対して一気にアプローチすることができるのです。次の章で実際にどのようなメリットがあるのか解説します。

    健康経営に取り組んで得られるメリット

    健康経営に取り組んで得られるメリット

    健康経営に取り組むことでどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは健康経営によって得られるメリットを3つ解説します。

    採用競争力の強化

    1つ目が「採用競争力の強化」です。健康経営への取り組みは、従業員が健康にイキイキと働ける職場を作ることです。従業員が健康的に働ける環境を作ることは、求職者にとって魅力的な職場環境になることに他なりません。そのため、採用競争力の拡大にもつながります。また、既存の従業員の定着率向上も期待できるでしょう。

    従業員の生産性向上

    2つ目が「従業員の生産性向上」です。従業員が心身に不調を抱えている状態だと、本来のパフォーマンスを発揮することはできません。これをプレゼンティーイズムといいます。プレゼンティーイズムに陥ると、生産性は低下し本来得られるはずだった成果を得られなくなります。このような状態を回避するためにも、従業員の健康保持・増進を図りプレゼンティーイズムを防ぐことが非常に重要です。プレゼンティーイズムについては、「プレゼンティーイズムがもたらす損失とは?言葉の意味から対策までを解説」をご覧ください。

    エンゲージメントの向上

    3つ目が「エンゲージメントの向上」です。従業員が健康面に不安を抱えず、イキイキと働ける環境を会社が提供することで、会社に対して従業員は安心感と信頼感を持つことができるようになります。つまり、従業員エンゲージメントを高めることにつながるのです。従業員エンゲージメントについて、さらに詳しく知りたい方は、「従業員エンゲージメントとは?向上施策・事例も紹介」をご覧ください。

    ここまで健康経営のメリットを3つ解説しました。健康経営のメリットについて、さらに詳しく知りたい方は、「健康経営とは?目的やメリット「健康経営優良法人」について解説」をご覧ください。

    健康経営の実践ステップ

    健康経営の実践ステップ

    健康経営を実践するにあたって、5つのステップがあります。1つずつ解説していきます。

    ステップ1:健康宣言を行う

    第1のステップが「健康宣言を行う」です。健康宣言とは、「経営者が、従業員やその家族の健康管理を経営課題として認識し、組織として対策に取り組む旨を文書等への明文化を通じて意思表示すること」です。健康経営に取り組むことを明文化し、社内外に対して発信します。(※参考)経済産業省「健康経営優良法人取り組み事例集

    ・全国健康保険協会の健康事業宣言
    全国健康保険協会(協会けんぽ)では、各都道府県支部にて「健康事業宣言」を募集しています。宣言を行った企業を対象に、特典を付与したり、表彰制度を設けたりと、支部ごとに独自の取り組みを行っています。自社の管轄支部の取り組みを調べてみると良いでしょう。

    (※参考)全国健康保険協会「健康宣言

    ステップ2:健康経営への組織体制を構築する

    第2のステップが「健康経営への組織体制を構築する」です。宣言をしたら、健康経営に取り組むことができる環境、組織体制を作りましょう。具体的には、

    • 担当部署や担当者を決める。
    • 健康経営のレポートラインを決める。

    等が挙げられます。

    ステップ3:健康課題の把握を行う

    第3のステップが「健康課題の把握を行う」です。実際の対策を練り始める前に、現状どのような健康課題があるのか把握することが大切です。方法としては、

    • サーベイを実施する。
    • 1on1等の面談を行う。
    • 残業時間等の把握を行う。

    等が挙げられます。これらの方法から得た情報を基に、現在の健康課題の把握を行いましょう。

    ステップ4:課題の解決策を立案、実行する

    第4のステップが「課題の解決策を立案、実行する」です。把握した課題に対して解決策を考えていきましょう。この時、目標を設定することが重要です。施策を実施した後、従業員がどのような状態になっていることが望ましいのか、できるだけ具体的かつ定量的な目標を設定しましょう。

    ステップ5:施策の見直しを行う

    第5のステップが「施策の見直しを行う」です。施策の実施後、設定した目標が達成できたかどうかを評価しましょう。その上で、足りない部分やもっといい結果を得られたという点に対して、施策の見直しを行い、今後の取り組みの改善を図っていきましょう。第3~5のステップを繰り返し行っていくことで、従業員の健康保持・増進が進み健康経営の効果を得ることができるようになります。一度の施策で終わらせず、健康経営を進めていきましょう。

    健康経営に取り組む中小企業事例

    健康経営に取り組む中小企業事例

    健康経営に取り組む中小企業は実際にどのような取り組みを行っているのでしょうか。健康経営優良法人の解説と併せて、取り組み事例を紹介します。

    健康経営優良法人

    健康経営優良法人とは、経済産業省が実施している健康経営優良法人認定制度に基づいて認定される、優良な健康経営を実践している企業等を顕彰する制度です。2017年度から始まり、大企業を対象とした「大規模法人部門(ホワイト500)」と中小企業を対象にした「中小規模法人部門」の2部門に分かれています。

    ・中小企業法人部門の認定基準
    ここでは、2021年度に発表された中小企業を対象に認定基準を解説します。
    評価項目は大きく5つに分かれています。

    1. 経営理念・方針
    2. 組織体制
    3. 制度・施策実行
    4. 評価・改善
    5. 法令順守・リスクマネジメント

    1・2・4・5は必須で満たしている必要があります。3については、さらに3つの項目に分類され各項目において認定要件が定められています。

    健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)認定要件 

    事例1:株式会社日本エー・エム・シー

    株式会社日本エー・エム・シーは、福井県福井市にある製造業の企業です。将来の法制度や人材確保を見据えて、2017年から健康経営優良法人認定を目指して取り組みを始めました。経営トップの下、2事業所にいる衛生管理者を健康づくり担当者として任命し取り組みを進めています。健康づくり担当者には健康経営アドバイザー資格を取得してもらい、社内に対して健康経営の必要性を伝える等、啓蒙活動も実施しています。主な取り組みとして3つ挙げられます。

    • 朝礼時に「腰痛体操」と健康状態の確認と報告
    • 定期健診の再検査の受診勧奨に注力
    • 適切な働き方の実現に向けた取り組みを実施

    これらの取り組みによって、企業価値向上を実感しています。

    事例2:株式会社アイガ

    株式会社アイガは愛知県名古屋市にある情報通信業の企業です。管理栄養士が多数入社したことをきっかけに、健康経営に力を入れ始めました。Chief Health Officerである社長の下、健康系の専門資格を持つ従業員で健康経営チームを組織し、健康経営に取り組んでいます。主な取り組みとして、組織診断ツールを用いた健康状態の可視化が挙げられます。可視化された結果に応じて、ストレッチ指導や講話を実施する等の対策を行っています。

    事例3:アップコン株式会社

    アップコン株式会社は神奈川県川崎市にある建設業の企業です。2015年に遅刻者や病欠者が増加したことから「会社も社員の健康管理をする必要がある」と考え健康経営に取り組み始めました。社長直轄のプロジェクトとして「健康活動俱楽部」を作り、健康増進活動をリードし、以下に挙げる取り組み等を実施しています。

    • 体力測定
    • 全社禁煙宣言
    • 健活ポイント制度の導入

    独自に導入した「健活ポイント制度」は徒歩通勤や、階段昇降、運動や食事の工夫等、健康を配慮して実行したことに対してポイントを付与し、貯まったポイントをカタログギフト等と交換できるという仕組みになっています。

    ここで紹介した3つの事例は全て、経済産業省「健康経営優良法人2021(中小企業法人部門)」に掲載されております。より詳細な取り組みや多くの事例が掲載されておりますので参考にすると良いでしょう。

    【まとめ】人材管理・タレントマネジメントをカンタン・シンプルに

    今回は、中小企業の健康経営について解説しました。従業員の健康状態を良好に保ち、イキイキと働ける環境を作る上で健康経営は欠かせない取り組みの1つです。健康状態を良好に保つためには、従業員の状態を把握しなければなりません。そこで活用できるのがタレントマネジメントシステムです。

    HRBrainは、従業員の目標設定から評価までのオペレーションの全てをクラウド上のソフトウエアで効率化するタレントマネジメントシステムです。MBOやOKR、1on1などの最新のマネジメント手法をカンタン・シンプルに運用することができます。

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    HR大学編集部

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