労務管理
くるみんマークは意味がない?各企業の活用事例と取り組みを紹介
目次
くるみんマークとは
くるみんマークとは、次世代育成支援対策推進法により厚生労働大臣から「子育てサポート企業」として基準を満たしている企業に与えられた証です。
子育てしやすい環境が整っている職場であることが証明され、就活生や求職者へのアピールとして効果を発揮します。
くるみんマーク
こちらが実際の認定マークです。
(参照)厚生労働省「くるみんマーク・プラチナくるみんマークについて」
赤ちゃんが大事に包まれる「おくるみ」と、「職場ぐるみ・会社ぐるみ」で子供の育成に取り組もう、という意味が込められたデザインになっています。
くるみんマークの目的
くるみんマークの目的は少子化対策です。仕事と子育てを両立できる企業を増やして、子育て世代が働きやすい職場を作る目的で創設されました。
子育てを積極的にサポートする企業が増えれば、安心して子どもを育てられる社会になっていくと考えられ、少子化対策としてくるみんマークが使われています。
次世代育成支援対策推進法とは
次世代育成支援対策推進法は、急激な少子化の流れを変えるために2003年7月に成立した法律です。次の社会を担う子どもたちが健やかに生まれ、安心安全な環境で育っていけるよう、国を挙げて環境整備ができるよう施行されました。
また自発的な育成支援に関する取り組みを促すため、一定の基準を満たした企業は申請することにより、「くるみんマーク」が与えられる仕組みを取り入れました。
くるみん認定とは
「くるみん認定」とは、厚生労働大臣が、要件を満たした企業に対して「子育てサポート企業」として認定することです。
くるみん認定を受けた企業には、「くるみんマーク」が与えられ、広告やホームページ、名刺などに明示をすることで世間一般に子育てサポート企業としてアピールできます。
くるみんマークのメリット
くるみんマークの取得は子育てサポート企業としてアピールできますが、一方で無意味だと言われることもあります。しかし、くるみんマークを取得するメリットは少なくありません。
ここからは、くるみんマークを取得するメリットを解説します。
意味がない、無意味などと言われた理由
くるみんマークが無意味だと言われた理由は、くるみん認定企業による過重労働や、育休復帰後の転勤などの事例が発生したためです。
厚生労働省ではこの事態を重く見て、認定基準を引き上げるなどの対策を講じました。その結果、現在くるみん認定されている企業は高い基準をクリアしたものと考えられ、より一層くるみん認定企業の信頼性が上がっています。
育児休業が取りやすい職場になる
くるみん認定を受けるには、育児休業をしやすい環境の整備や、育児休業の取得実績が必要になるため、認定を受ける過程で会社全体が育児休業を取得しやすい環境に変わっていきます。
そのため、くるみんマークにより育児休業がしやすい職場である証明となり、従業員や求職者から好感の持てる会社へと発展できます。
採用の優位
採用の際に、求職者がくるみんマークを認知することで、育児休業の取りやすい会社という印象がのこり、採用が優位になります。
また近年は男性の育休にも注目が集まっており、男性の採用に対しても効果的といえるでしょう。
会社への信用が上がる
育児休業を取りやすい環境の会社であることは会社への信用度の高さを表します。公共事業などの入札時にも、信頼性の高さから加点評価の対象となり、公共調達において有利になります。
くるみんマークの認定基準と認定方法
ここからはくるみんマークの認定基準について解説します。
くるみんマークの認定基準
厚生労働大臣からくるみん認定を受けて「くるみんマーク」を使用するには、定められた以下10個の認定基準をクリアしなくてはいけません。
- 行動計画の策定
- 行動計画の計画期間が2年以上5年以下
- 行動計画の実施と目標の達成
- 行動計画の公表および従業員への周知
- 男性従業員の育児休業等の取得割合
- 女性従業員の育児休業等の取得割合
- 3歳から小学校就学前の子どもを育てる従業員が育児休業、所定外労働の制限、時間の短縮措置を講じている
- 労働時間に関する事項
- 3つの措置について目標を定めて実施
- 法律に違反する重大な事実がない
この10項目についてそれぞれ解説します。
1.行動計画の策定
ガイドラインに沿って雇用環境を整備するために行動計画を策定します。行動計画には、行動計画策定指針の「子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立を支援するための雇用環境の整備」か「働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備に示された項目」のどちから1項目以上が盛り込まれていなければいけません。
2.行動計画の計画期間が2年以上5年以下
行動計画の計画期間が2年以上5年以下で設定する必要があります。
3.行動計画の実施と目標の達成
行動計画を実施して目標を達成したら、都道府県労働局に目標を達成したことを証明する資料を提出します。
4.行動計画の公表および従業員への周知
認定を受けるためには、厚生労働省のホームページへの公表と従業員への周知を行動計画の策定からおおむね3ヶ月以内に行う必要があります。
5.男性従業員の育児休業等の取得割合
行動計画期間内に、男性の育休取得率7%または男性の育児目的休暇15%以上、かつ育休取得者1人以上のいずれかを達成しなければいけません。
6.女性従業員の育児休業等の取得割合
行動計画期間内に、女性従業員が取得した育児休業などの割合が75%以上である必要があります。
7.3歳から小学校就学前の子どもを育てる従業員が育児休業、所定外労働の制限、時間の短縮措置を講じている
3歳から小学校就学前の子どもを育てる従業員に対して、以下の3つの制度を講じている必要があります。
- 育児休業に関する制度
- 所定外労働の制限に関する制度
- 時間の短縮措置に関する制度または始業時刻変更等の措置に準ずる制度
3の始業時刻変更等の措置とは「フレックスタイム制度」「時差勤務」「ベビーシッターの手配および費用の負担」などです。
8.労働時間に関する事項
労働時間は以下2つの事項を守る必要があります。
- 正社員の法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満
- 月平均の法定時間外労働60時間以上の労働者ゼロ
9.3つの措置について目標を定めて実施
次のいずれかの措置を目標と定めて実施する必要があります。
- 所定外労働の削減のための措置(ノー残業デー、フレックスタイム制など)
- 年次有給休暇の取得を促進する措置(年次有給休暇の計画的付与制度の導入など)
- その他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置(子どもの学校行事への参加のための休暇制度の導入など)
10.法律に違反する重大な事実がない
申請には次世代育成支援対策推進法や労働基準法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法などの関係法令に違反する重大な事実がないことが条件です。
くるみんマークの認定方法
くるみんマークの認定を受けるための基準をクリアしたら、くるみんの認定申請書と認定基準を達成した証明証を添付して都道府県労働局雇用環境・均等部へ申請します。申請方法は、郵送・持参・電子申請のいずれかの方法で申請が可能です。
くるみんマークの活用事例と取り組み
ここからは、くるみんマークの活用事例と取り組みをご紹介します。
事例1:株式会社山田製作所
株式会社山田製作所は、通常10時~15時がコアタイムであるフレックス制度を導入していますが、コアタイムを自身で決められる制度を導入し、よりフレキシブルに勤務できる新フレックス制度に改正しました。
また、子どもの看護休暇は、法定通りの運用に加えて、子どもが中学校に入学するまで年3日プラスして取得可能にしました。さらに看護だけでなく、学校行事参加のためにも特別休暇を取得できる環境を整えています。
くるみんマークは2度目の認定取得となり、ホームページや社内報へ掲載。働きやすい環境作りを進めてきた結果、出産による退職者はほとんどいません。
事例2:株式会社ヤマダ電機
ヤマダ電機の育児休業は子どもが3歳に達するまで取得可能なことに加え、男性の育休も推奨。時間外労働の実績は1人あたり年平均18.5時間とかなり低く、時間外労働に対して従業員への指導を徹底しています。また、くるみんマークは自社ホームページやCSRレポートなど掲載し、求職者へアピールしています。
事例3:株式会社髙島屋
株式会社髙島屋は、くるみんマークより高い水準のクリアした企業に与えられる「プラチナくるみんマーク」を保有しており、くるみんマークの掲載と共にホームページで自社の労働環境を公開しています。
産前・産後各々8週間取得できる「出産休暇」や、子どもの通園・通学、学校行事参加に使える「スクールイベント休暇」など、独自の休暇を設けるだけではなく、「男性育休100%宣言」として男性の育児休業の取得推進にも積極的です。
【まとめ】くるみんマークの取得で仕事と子育てが両立できる企業を目指しましょう
近年、男性の育児休業が推進されており、男性がくるみんマークに注目する割合も高くなっています。
くるみんマークは求職者へのアピールだけではなく、会社の信頼性を高くする政府公認の証です。くるみんマークの取得し、仕事と子育てが両立できる企業を目指しましょう。
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