労務管理
2023/03/20
労務管理システムとは?業務の効率化に役立つ機能や理由を解説
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労務管理は、従業員が安全・健康に働くために社内の環境を整える業務です。
組織全体に対して行うために対象者が多く、業務範囲が非常に広くなることが労務管理の特徴です。
そこで近年、業務量の多い労務管理の効率化をサポートする労務管理システムが多数提供されています。
では、労務管理システムとは、具体的にどのような機能を持つものなのでしょうか。
また、労務管理システムを導入することによって、どのような業務を効率化できるのでしょうか。
この記事では、労務管理システムの特長や導入することによって得られるメリット、労務管理システムを選ぶ際のポイントについて解説します。
労務管理の主な業務とは
労務管理は、従業員が安心して心地よく働けるよう、労働環境を整備する業務です。
労務管理が正しく行われることは、従業員が働きやすい職場づくりが行われることと言えます。
労働環境が整備されることによって従業員のモチベーションが高まると、組織の活性化や業務の生産性向上にも繋がると考えられます。
労務管理には、具体的に以下の業務があります。
就業規則の整備
就業規則は、自社の従業員に適用される企業独自のルールです。
自社独自のルールとは言っても、労働基準法などの各種法令に違反するルールを定めることはできません。
就業規則の各項目は、法令に沿った内容であることが大前提です。
具体的な就業規則の内容には、労働時間を始めとする労働条件や給与に関する規定、遵守するべき職場内の規律などが含まれます。
就業規則は従業員が働く上での軸となるため、自社の事業方針に合わせて作成・更新し、正しく管理されることが大切です。
勤怠管理・給与計算
従業員の勤怠状況を把握・記録し、勤怠の実績に基づいて給与計算を行うことも労務管理業務の一つです。
勤怠管理では、従業員ひとりひとりの出退勤時間や残業時間、休憩時間などを記録します。
併せて、年次有給休暇の取得状況を把握することも大切です。
また、給与の支払いは、従業員の生活に大きく影響するものです。
計算間違いや支払い遅延などが起こらないよう、正確な計算を行い、規定の期日に確実に支払われるように手続きを行うことが重要です。
入社・退社の手続き
新しく入社した従業員や、退職する従業員に関する手続きも、労務管理の業務です。
従業員が入社した際は、健康保険・雇用保険などの各種保険の加入手続き、給与の振込先口座の登録手続きなどが必要です。
また、従業員が退職する際は、各種保険の資格喪失手続きや、退職証明書などの各種書類の発行を行います。
どちらの手続きも、従業員が滞りなく入退社できるよう、正確かつ迅速に行うことが大切です。
労災・労務トラブルへの対応
労働災害や労務トラブルが発生した際の対応も、労務管理における大切な業務の一つです。
労災や労務トラブルに迅速に対応するには、事前に対応マニュアルや対応フローを作成しておくことが大切です。
対応が必要になった際は、対応マニュアルやフローをベースに、必要に応じて人事部などの他部署と連携しながら、誠実かつ正確な対応を心がけましょう。
労務管理システムとは
近年、多くの労務管理システムが各社から提供されています。
労務管理システムは、業務範囲が非常に広い労務管理業務をサポートしてくれるもので、以下のような特長があります。
労務管理業務全般の効率化を可能に
システムを使わずに労務管理を行う場合、業務のベースは「紙」と「人」です。
一つの手続きに、用紙を準備して必要事項の記入をし、管理者に捺印をもらう工数や時間がかかります。
それに対し、労務管理システムは、各種の事務作業を自動化・電子化してくれるものです。
各種手続きに必要な書類のテンプレートが準備されているシステムも多くあり、システム上で書類の作成を済ませることが可能です。
そのため、従来多くの時間がかかっていたルーティンワークの事務作業の負担が大幅に減少することが期待できます。
また、事務に必要な人員を減らすことができるため、人件費の削減にも繋がると考えられます。
電子申請にも対応できる
労務管理システムには、行政の窓口に書類を提出する際の電子申請に対応できるものが多くあります。
電子申請が可能になると、窓口に出向いて提出していた書類も、労務管理システム上で作成・申請までを完結できます。
電子申請のメリットには、夜間や休日など、日時を選ばず申請を行える点が挙げられます。
また、場所を選ばず手続きができるため、テレワークや在宅勤務中でも申請が可能です。
日時や場所に縛られずに手続きを行えることが、電子申請の大きなメリットと言えるでしょう。
従業員情報の一元管理ができる
労務管理システムは、従業員情報の管理にも役立ちます。
特に大企業においては、従業員情報が膨大な量になる場合があります。
膨大な従業員情報を紙で保管する場合、個人情報の流出や紛失のリスクが発生します。
また、特定の従業員の情報を確認したい場合に、必要な書類を探すだけでも時間がかかるでしょう。
労務管理システムでは、多くの従業員情報をシステム上のサーバーに預ける形で、一元的に管理できます。
そのため、情報がばらばらになって漏洩したり紛失したりするなどの、セキュリティー上のリスクを低減できることが期待できます。
労務管理システムで効率化できる業務とは
労務管理システムでは、各種の事務作業を電子化・自動化することが可能です。
それでは、労務管理システムの導入によって、具体的にどのような業務を効率化できるのでしょうか。
以下で3つに分けて説明します。
各種書類の作成
労務管理システムを使うと、従来紙で作成していた各種書類をシステム上で作成することが可能です。
たとえば、従業員の手続きに関する書類を紙で作成する場合、まず従業員が用紙に必要事項を記入し、労務部に提出する必要があります。
そして労務部では、記入内容に抜け漏れがないかを確認し、場合によっては専用のシステムなどに転記しなければいけません。
労務管理システムを使う場合、紙ベースの手続きにおける用紙の受け渡しや記入内容の転記による手間を省略することが可能です。
また、転記が不要になり、書き写し間違いなどのヒューマンエラーの防止に繋がることが期待できます。
さらに、労務に関する法改正が行われた場合に、システムの運営会社が書類のテンプレートのアップデートを自動的に行ってくれる点も、労務管理システムで書類を作成するメリットと言えるでしょう。
各種書類の行政などへの提出
労務管理システムには、電子申請に対応しているものが多くあります。
電子申請ができることにより、書類の提出における時間短縮が可能です。
従来、書類の申請や提出は、役所などの窓口に直接出向く、もしくは郵送することによって行われてきました。
それに対し、労務管理システムでは各種書類を電子上で作成し、提出することができます。
そのため、窓口に出向くための移動や郵送にかかっていたコストを抑えられることが期待できるでしょう。
また、提出書類に不備がある場合、以前は窓口に出向かなければ修正ができない場合が大半でした。
それに対して労務管理システムを利用する場合は、書き損じや書き漏れがあった場合もシステム上で修正を行えるため、再提出の負担を大きく軽減できます。
膨大な書類の管理
労務管理システムでは、膨大な量の書類を電子化し、オンライン上で保管することが可能です。
オンライン上で管理できることにより、書類を印刷するための紙やインクにかかるコスト、書類を保管するための物理的なスペースを削減できることが期待できます。
また、印刷機をリースしている企業では、リース代を節約できるでしょう。
特定の書類を探す際に、検索機能によって該当書類を迅速に探し出せる点も、労務管理システムで書類管理を行うメリットと言えます。
労務管理システムを導入するメリットとは
労務管理システムを導入することにより、事務作業の効率化や情報セキュリティーの強化を行えることが期待できます。
それでは、業務の効率化・セキュリティーの強化によって、自社にどのようなメリットが生じるのでしょうか。
以下で3つに分けて解説します。
法令遵守が徹底できる
近年、働き方改革の推進などの影響もあり、労働に関連する法令の改正が多くなっています。
法令の改正により、残業時間や年次有給休暇の取得について、規制が以前よりも厳しくなっていると言えます。
特に、紙やExcelなどで従業員の労働時間などを管理している場合、残業時間や休日勤務、有給休暇の取得状況が分かりづらくなりがちです。
万が一、認識不足によって従業員が法令に違反して働くことになれば、自社に何らかのペナルティーが課されることにもなりかねません。
労務管理システムを利用すれば、従業員の勤怠管理を効率的に行えます。
また、労務管理システムの中には、従業員のデータが規定の制限を超えた際にアラートで通知してくれるものがあります。
労務管理システムを活用することは、法令違反を防ぎ、健全な働き方をすることに繋がると考えられます。
不正の防止につながる
労務管理システムを導入することは、不正行為の防止にも繋がります。
たとえば、出退勤を記録するタイムカードについて、残業時間を少なく見せるために時間をごまかしたり、他の人に代理で押してもらったりするなどの不正が行われる場合があります。
労務管理システムには、GPS認証機能や指紋認証・顔認証などの最新の生体認証機能を取り入れているものもあります。
そのようなシステムで出退勤時間を管理すれば、意図的な不正行為を防止できるでしょう。
また、打刻されていない場合にアラートで知らせてくれる機能がついているシステムであれば、記録漏れを防ぐこともできます。
業務に要する時間やコストの削減
労務管理システムを導入するメリットとして最も顕著なのは、業務にかかる時間の短縮と言えるでしょう。
作業の自動化により事務の手間が省けて業務時間に余裕ができれば、余った時間を別の業務に充てることができます。
これまで時間に余裕がないために手が回っていなかった業務や、新しく取り組みたい業務に着手することができるでしょう。
また、労務管理システムはクラウド型のものが大半です。
クラウド型のサービスであることにより、パソコン以外にスマートフォンやタブレットでの作業が可能です。
そのため、会社にいなくても必要な労務管理作業を行うことができ、移動時間や少しの隙間時間を活用できるでしょう。
作業時間の短縮や空き時間の有効活用などにより、業務の効率化が行え、結果的に時間とコストの削減に繋がることが労務管理システムを使用する大きなメリットです。
労務管理システムの選び方とは
労務管理システムは、事務作業の効率化を実現すると同時に、不正や法令違反のない健全な事業運営をサポートしてくれるものです。
現在、多くの会社から労務管理システムが提供されています。
多くの種類がある中、どのような基準で労務管理システムを選べば良いのでしょうか。
以下で4点に分けて説明します。
自社に必要な機能が搭載されているか
当然ながら、自社の労務管理に必要な機能が搭載されている労務管理システムを選ぶことが大切です。
一般的な労務管理システムには、労務管理に必要とされる諸機能が搭載されています。
しかし、システムの種類によっては、自社が必要とする機能がない場合もあります。
労務管理システムを選ぶ際には、自社が効率化させたい業務に対応した機能があるかどうかを、事前に十分に確認しましょう。
また、機能そのものだけではなく、自社が頻繁に利用・作成する帳票を備えているかなど、機能を活用するためのツールについても確認すると良いでしょう。
従業員情報の入力手段には何があるか
従業員に関する情報を入力する方法も、労務管理システムを選ぶポイントの一つです。
労務管理においては、従業員に関わる情報を取り扱う機会が多くあります。
従業員ひとりひとりの情報を入手して労務部でシステムへ転記するには、手間や時間の他に、転記ミスのリスクが発生します。
それに対し、従業員が情報を直接入力できる労務管理システムを導入すれば、労務部で転記する必要がありません。
従業員情報の入力作業を削減できれば、浮いた時間で他の業務に手を回せます。
労務管理システムを選ぶ際は、従業員情報を直接従業員自身が入力できるかどうかを確認すると良いでしょう。
他システムと連携できるか
労務管理システムは、システム単体でも十分役立つものです。
しかし、自社で使用している他の業務システムと連携することができれば、業務の効率性が大きく向上すると考えられます。
労務管理システムと他システムが連携していない場合、労務管理システムの方へ必要な情報を手入力したり、データを読み込ませたりする必要があります。
労務管理システムの大きなメリットの一つは、事務作業の自動化によって時短ができる点です。
手入力などの作業が必要になると、このメリットを十分に活かせなくなってしまうでしょう。
最新の労務管理システムでは、一般的な他社システムであれば連携ができるようになっているものがほとんどです。
しかし、万が一自社で頻繁に使う他システムと労務管理システムが連携できない場合、業務の効率性に大きく影響します。
労務管理システムを選ぶ際は、自社で重要な他システムと連携ができるかどうかを十分に確認しましょう。
費用対効果が良いか
労務管理システムを使用する場合、当然ながら導入時と運用中のコストが発生します。
現在、多くの会社から労務管理システムが提供されており、それぞれの料金設定もさまざまです。
初期費用が必要な場合や、システムの利用時間や回数・利用者数などに応じて料金が変動する従量課金制の場合もあります。
導入したいと思える労務管理システムがある場合は、まず導入から運用までを想定した見積もりを出してもらうと良いでしょう。
そして、導入によって得られる業務の効率性や品質の向上などの効果に、費用が見合うかどうかを見極めることが大切です。
「HRBrain 労務管理」は、電子申請やマイナンバーの管理などにも対応しながら、煩雑な労務業務の効率化をサポートします。
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まとめ
業務範囲が非常に広い労務管理では、事務作業を効率化することが時短に大きく繋がります。
労務管理システムは、書類の作成・提出、管理を中心に、事務作業を自動化する機能が充実しているため、業務の効率化を大きくサポートしてくれます。
現在、多くの会社からさまざまな労務管理システムが提供されています。
まずは自社に必要な機能を洗い出し、必要な機能を搭載した労務管理システムを探しましょう。
そして、導入・運用にかかる費用と、その費用に対する効果がどの程度得られるかを見極めます。
長期的に使用するからこそ、労務部だけではなくすべての従業員にとって使いやすく、費用対効果の高い労務管理システムを選ぶことが大切です。
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