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社会保険料控除とは?控除対象や計算、年末調整をわかりやすく解説

社会保険料控除

社会保険料控除とは?控除対象や計算、年末調整をわかりやすく解説

目次

    社会保険料控除とは

    社会保険料控除とは

    給与から天引きされる社会保険料は、労働者が申告しなくても勤務先企業が行います。そのため、社会保険料控除という言葉に馴染みがない人も多いのではないでしょうか。ここでは、社会保険料控除の概要を説明します。

    社会保険料控除とは?

    社会保険料控除とは、健康保険料、厚生年金保険料、国民年金保険料など、労働者自身や家族の負担すべき社会保険料を納めたときに受けられる所得控除です。
    所得税は、所得に応じた税率によって課税されるため、所得が高いほど税額が高くなります。社会保険料控除によって所得控除を受ければ、所得額が低下しますので課税額が低くなります。これは住民税も同様です。

    社会保険料控除の概要

    年末調整で最終的に社会保険料控除!?
    会社員は毎月の給与支給時に、すでに勤務先企業によって社会保険料控除が成された所得税を徴収されています。しかし家族の社会保険料支払い分は、年末調整時に労働者が勤務先企業に申告することにより社会保険料控除が可能です。

    また、転職により勤務先企業が把握できない前職の社会保険料控除額は、労働者より源泉徴収票を提出してもらうことで社会保険料を把握し、社会保険料控除を行います。

    社会保険料支払額の全額が控除できる!?
    所得税は、1月から12月までの年間所得・扶養に応じた所得税率を乗じて算出されます。その年間所得から、1月から12月までに支払った社会保険料を全額、所得控除することができます。

    つまり社会保険料の支払額は、課税対象にならないということです。

    家族の分も控除対象!?
    社会保険料控除は、給与所得者本人以外でも生計を一にする者、つまり扶養家族であれば、配偶者やその他の家族の社会保険料を支払っている場合、社会保険料控除の対象になります。

    親の年金支払いや子息の国民年金などを支払っているなどが主な例です。

    社会保険料控除の対象、保険料の負担額は?

    年間の総支払額が所得控除できる社会保険料控除。具体的にどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、社会保険料控除の対象保険料、事業主と労働者それぞれの負担割合を解説します。

    健康保険料

    病気になったとき、医療を一定の負担で受けることができる仕組みで、事業主と労働者で出し合った保険料を財源とする制度です。

    健康保険といわれる公的な医療保険には、職域・地域・年齢に応じて「健康保険」「船員保険」「共催組合」のほか、「国民健康保険」などがあります。

    健康保険料は、標準報酬月額に応じた保険料額が決まっており、事業主と労働者で折半し、社会保険料控除は事業主にて行います。

    厚生年金保険料

    厚生年金保険料は、老後の生活を支える保険であり、老後を支える年金のほか、障害年金、遺族年金など生活を守ってくれる制度です。

    厚生年金保険は、適用を受ける事業所に勤務する会社員や公務員が対象となります。健康保険料と同様、標準報酬月額に応じた保険料額が決まっており、事業主と労働者で折半し、社会保険料控除は事業主にて行います。

    なお、厚生年金保険は70歳未満の会社員や公務員が対象ですが、国民年金は、20歳以上60歳未満の全国民が対象です。

    後期高齢者医療保険

    後期高齢者医療制度は、75歳以上が加入する医療制度で、対象となる高齢者は個人で保険料を支払います。なお、65歳から74歳の前期高齢者であっても、一定の障害があり、保険者である後期高齢者医療広域連合が認定した場合も対象となります。

    介護保険料

    介護保険は、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして創設された制度です。

    介護保険の被保険者は、要介護、要支援状態の65歳以上、または末期がんなどの限定された特定疾病における要介護、要支援状態の40歳から64歳までの要介護認定を受けた人が対象です。

    介護保険料は、40歳から生涯にわたって支払い、40歳から64歳までは健康保険料の一部として納め、65歳以上は基本的に年金から天引きされます。計算方法は、標準報酬月額に介護保険料率を乗じて計算され、事業主と労働者で折半し、社会保険料控除は事業主にて行います。

    労働保険料

    労働保険とは、労働者の業務上・通勤に関する傷病等に対して必要な保険給付を行う「労災保険」、労働者の生活・雇用の安定と就職の促進を目的に失業等給付を支給する「雇用保険」の総称した言葉です。

    労災保険料は、全額事業主負担のため、社会保険料控除は、「雇用保険」が対象となります。雇用保険料は、事業主と労働者の双方が負担しますが、折半ではなく事業主負担の割合が多くなっています。なお、社会保険料控除は、事業主にて行います。

    国民年金基金

    厚生年金保険は、適用を受ける事業所に勤務する会社員や公務員が対象ですが、自営業やフリーランスの方に、厚生年金保険制度に相当する制度として、国民年金基金制度が創設されています。

    これにより、自営業やフリーランスの方の公的年金は、国民年金(一階)、国民年金基金(二階)と二階建てとなっています。

    確定申告の際、社会保険料控除の対象となりますので、「社会保険料控除証明書」によって所得控除申請を行います。

    厚生年金基金

    会社員や公務員の公的年金は、国民年金(一階)、厚生年金(二階)と二階建てになっていますが、厚生年金基金は、この二階部分にあたる厚生年金の一部を企業自ら代行し、この運用によって、上乗せ部分・加算部分(三階)が加算される仕組みです。

    これにより、会社員や公務員の公的年金は、国民年金(一階)、厚生年金(二階)、上乗せ部分・加算部分(三階)の三階建てとなっています。

    なお、厚生年金基金は事業主負担の割合が高いことが多くありますが、代行返上し企業年金基金に移行した基金団体では、労働者負担をなくすなど各様であることに留意が必要です。労働者負担がある場合の社会保険料控除は、事業主にて行います。

    厚生年金基金を詳しく知りたい方は、「 企業年金とは?企業年金の種類、いつまで・いくらもらえる?簡単解説」をご参考ください。

    社会保険料控除の計算方法は?!

    社会保険料控除の計算方法は?!

    社会保険料控除のうち、健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料は、「標準報酬月額」を基に算出されます。ここでは、標準報酬月額を基に算出する社会保険料控除の仕組みなどについて説明します。

    社会保険料控除の表の見方と計算方法

    標準報酬月額とは
    社会保険料控除の計算は、労働者の報酬に応じた「標準報酬月額」を基に算出します。月変・算定(げっぺん・さんてい)という言葉を耳にすると思いますが、この月変・算定手続きによって、標準報酬月額を決定します。

    「算定」は、毎年4月から6月までの労働者の給与額を健康保険組合や年金事務所に届け出ます。届出によって算出された平均給与額に基づき標準報酬月額が決定され、その年の9月から翌年8月まで適用されます。

    「月変」は、昇給や手当の変更などにより、労働者の給与が大幅に変動したときは、「算定」に先立ち標準報酬月額を改定します。この手続きは「随時改定」といわれていますが、届け出書類が「月額変更届」というものであることから、「月変」といわれています。

    社会保険料額表の見方
    標準報酬月額に基づいて等級が決定され、等級に応じた保険料がテーブルによって定められています。

    具体的に、月変・算定手続きで標準報酬月額が決定したときの改定される保険料がいくらになるか、料額表を用いて説明します。

    標準報酬月額が111,000円の場合、107,000円~114,000円に該当するので7等級になります。7等級の保険料は、テーブルで「全額」が10,824円、「折半額」が5,412円となっているので、労働者と事業主の保険料負担額は、それぞれ月額5,412円になることがわかります。

    表

    (※引用)全国健康保険協会:「 令和3年度保険料額表(東京)」より

    社会保険料控除の上限って?

    社会保険の料額表には「等級」がありますが、健康保険と厚生年金保険には、それぞれ等級に上限が定められています。

    2021年9月現在における健康保険の等級上限は、50等級で標準報酬月額は1,390,000円、厚生年金保険の等級上限は、32等級で標準報酬月額は650,000円です。

    なお、厚生年金保険料の標準報酬月額は、2020年9月に31等級・標準報酬月額620,000円から1等級引き上げられて、32等級となっています。今後も上限の変更があり得ることにご留意ください。

    配偶者扶養時の保険料は?

    会社員や公務員が加入する健康保険は、扶養に該当すれば人数に拘らず保険料を支払う必要はありません。具体的には、生計を一にする被保険者の直系尊属、配偶者、子、孫、弟妹、兄姉などが対象となります。

    厚生年金保険においては、扶養は配偶者のみに限られており、「第3号被保険者」といわれています。

    社会保険料控除、年末調整でどうなる?!

    社会保険料控除、年末調整でどうなる?!

    社会保険料控除は、月々の所得税で控除されていますが、年末調整ではどのように取り扱われるのでしょうか。ここでは、年末調整での取扱い、家族の社会保険料控除手続き、住民税の取り扱いについて説明します。

    家族の社会保険料は控除できる?! |社会保険料控除証明書

    親の年金支払いや子息の国民年金などを支払っている場合、年末調整や確定申告で社会保険料控除を受けることができます。
    この際、基本的には社会保険料控除証明書を添付する必要がありますが、国民健康保険料は証明書が発行されず、証明書を添付する必要もありません。

    年末調整でどうなる?!

    社会保険料控除は、月々の所得税で控除されていますが、年末調整においては、年間の給与所得を改めて算出し、その年に支払った社会保険料合計額を控除する手続きを行います。そのため、労働者本人の社会保険料は、勤務先企業で控除を行うことから、労働者本人の手続きは必要ありません。

    家族の社会保険料控除を行う場合は、年末調整時に提出する「保険料控除申告書」の「社会保険料控除」欄に記入のうえ、社会保険料控除証明書を添付します。なお、国民年金保険料の証明書の添付は必要ありません。

    年末調整時の保険料控除申告書について詳しく知りたい方は、次の国税庁のサイトをご参考ください。

    (※参考)国税庁:「 給与所得者の保険料控除の申告

    住民税の算定は?

    住民税においても、所得税と同様、所得控除があります。

    住民税の所得控除は、本人と生計を一にする扶養家族の社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・国民年金保険料・介護保険料・後期高齢者医療保険料等)のうち、労働者が支払った場合に受けることができます。

    【まとめ】社会保険料控除の仕組みの理解を深めるように、教育に取り組みましょう。

    本記事では、年末調整や確定申告の際に受けることのできる社会保険料控除の概要や対象の保険料、年末調整の対応について説明しました。また、それぞれの社会保険料の目的や内容、保険料の算出方法のほか、社会保険料控除の仕組みをわかりやすく解説しています。

    労働者本人の社会保険料は、勤務先企業が社会保険料控除を行いますが、家族の社会保険料は労働者からの申告がないと控除を行えません。

    人事担当者と労働者の双方が社会保険料控除の仕組みの理解を深めるように、本記事を参考に教育に取り組みましょう。

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    HR大学 編集部

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