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退職金制度について解説!退職金の平均額や算出方法、税金について

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退職金制度について解説!退職金の平均額や算出方法、税金について

目次

    退職金とは?

    最近よく耳にする「老後2000万円問題」。その老後を支える資金源として期待されるのが「退職金」です。転職や定年退職を控えていると、「どれくらい退職金がもらえるのか」「相場はどれくらいなのか」など、考えることも多くなるのではないでしょうか。

    この記事では、退職金の相場や支給パターン、退職金にかかる税金などについて紹介していきます。

    退職金の概要

    退職金とは、退職する際に勤務先から支払われる賃金のことです。長い間働いてくれた従業員に対する感謝やねぎらいの意味が込められており、定年退職時だけではなく、自己都合退職や会社都合退職の際にも支払われます。

    ただし、退職金制度は法律で制定が義務付けられていません。企業によって、制度の有無や、支給金額の算出方法は異なります。厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査」によると、退職金制度がある企業の割合は80.5%となっています。

    退職金の受け取り時期について

    退職金は、離職して即日支払われるものではなく、1~2ヶ月後に支給されることが一般的です。資金源によっても支給時期は異なり、自社で資金管理をしている場合は比較的早い傾向にあります。逆に外部機関で運用している場合は、手続き等の関係により時間がかかる場合もあります。詳しい支給日については、退職前に総務・労務関連の部署に確認しておくと良いでしょう。

    退職金の受け取り方法について

    退職金を受け取る際は、退職一時金として受け取る方法と、年金のように分割して受け取る方法があります。また、「半分は一時金として受け取り、残りの半分は分割して受け取る」といった方法もあります。受け取り方法は、企業によって指定されている場合もあれば、従業員に選択権がある場合もあるので、自社の規定を確認してみましょう。

    受け取り方法によってかかる税金も異なりますが、それについては後ほど紹介します。

    退職金の法的義務について

    先述した通り、退職金制度の制定について法的な義務はありません。しかし、制度として定めている場合は、労働基準法の「賃金」に該当するため支払い義務が生じます。

    就業規則に支給日を記載している場合は期日までに支払う必要があり、支給日を定めていない場合も、従業員から請求があれば7日以内に支払わなければなりません。支給日を過ぎると「未払い賃金」の取り扱いとなり、遅延損害金を請求されるケースがあります。

    退職金の金額変動条件について

    退職金の支給額は、様々な事由によって変動することが一般的です。

    • 勤続年数
    • 最終学歴
    • 企業規模
    • 職種や役職
    • 退職事由
    • 実績

    上記以外にも、出産・育児・介護などの休職期間を退職金の算定期間に含めるか、勤続何年以上で支給対象にするかなど、企業によって様々な取り決めがされています。

    退職金の相場はどれくらい?

    企業規模・勤続年数・学歴などによって退職金の支給額は異なりますが、自分が支給される立場になった時、大体の相場はいくらくらいなのか気になりますよね。

    ここでは、厚生労働省の「就労条件総合調査」の結果に基づき、定年退職・自己都合退職・会社都合退職・早期優遇退職の4つのパターンから、1人あたりの平均受給額を見てみましょう。

    なお、いずれも勤続20年以上、年齢45歳以上を対象として、最終学歴・企業規模・勤続年数の条件を加えた実態調査となります。

    定年退職の場合

    定年退職とは、就業規則で定められた年齢に経過した際、「雇用満期」で退職になる仕組みのことです。「退職金」と聞くと、この定年退職による受給をイメージする人も多いのではないでしょうか。勤続年数と従業員規模に基づく、平均受給額は以下の通りです。

    図1
    図2

    自己都合退職の場合

    自己都合退職とは、転職や結婚に伴う転居、病気など、労働者側の都合によって退職する場合を指します。一部例外もありますが、退職事由別に比較すると、多くの場合は受給額が最も少なくなります。

    図3
    図4

    会社都合退職の場合

    経営不振や倒産などの理由によって、退職を余儀なくされる場合は「会社都合退職」に該当します。「懲戒解雇」「普通解雇」も会社都合退職の取り扱いにはなりますが、これに関しては、企業によって不支給や減額の規定を定めている場合もあります。

    図5
    図6

    早期優遇退職の場合

    早期優遇退職とは、退職金が割り増しで支給される代わりに、定年を迎える前に退職することを指します。一般的には、企業側が一定条件の下で退職希望者を募ったり、「〇歳になったら退職する」といった選択権を、従業員に事前に与えたりすることが多くなっています。

    いずれも「一定の優遇条件」の下、従業員によって最終的な意思決定が行われるため、自己都合退職となります。一部例外もありますが、多くの場合では、早期優遇退職者の受給金額が最も多くなっています。

    図7
    図8

    退職金の算出方法は?

    では、実際に自分はいくら退職金がもらえるのか?その計算方法については、企業によって異なります。多くの場合は、就業規則のなかに退職金規定を設けているため、それに基づき事前に計算することが可能です。より正確な金額を知りたい場合は、就業規則を確認するようにしましょう。

    ここでは、一般的な5つの制度に基づく算出方法を紹介します。

    ①定額型

    勤続年数を基準に支給されるシンプルな方法です。「5年で50万円・10年で200万円・15年で500万円・20年で800万円」というように、あらかじめ勤続年数に応じた金額が設定してあることが特徴です。基本給や会社への貢献度は加味されないため分かりやすい半面、一律評価に対する不平不満が生まれる可能性もあります。

    ②基本給連動型

    退職時の基本給・勤続年数・退職事由などを加味して算出する方法です。勤続年数や退職事由に係数を割り当て、基本給と掛け合わせることで算出します。

    (例)退職時の基本給:50万円、勤続20年の支給係数:20、自己都合退職:8割支給の場合⇒基本給(50)×支給係数(20)×退職事由係数(0.8)=退職金額(800万円)

    上記の場合は、基本給と勤続年数が退職金額を大きく左右するため、基本給の制度基盤をしっかり整える必要があります。

    ③別テーブル型

    基本給とは切り離した基準額を設け、役職や等級、退職事由などを加味して算出する方法です。基準額は勤続年数に応じて定められ、役職や退職事由には係数が割り当てられることが多くなっています。

    (例)勤続20年の基準額:500万円、役職係数:1.5、自己都合退職:8割支給の場合
    ⇒基準額(500)×支給係数(1.5)×退職事由係数(0.8)=退職金額(600万円)

    人事評価における「実績」を役職や等級に反映させることができていれば、会社への貢献度と退職金支給額を連動させることができる算出方法です。

    ④ポイント型

    勤続年数・役職・役職在籍期間などをポイント化し、ポイント単価と掛け合わせることで算出する方法です。実績についてもポイント化すれば、貢献度の高い従業員の方がより多くの退職金をもらえるようになります。様々なポイントを設けることで、中途入社であっても頑張り次第で相応の金額をもらうことができます。

    (例)勤続20年:100、役職:5、自己都合退職:8割支給、ポイント単価1万円の場合
    ⇒勤続(100)×役職(5)×退職事由(0.8)×ポイント単価(1)=退職金額(400万円)

    ⑤退職金共済

    退職金共済から支給される場合は、掛金月額・納付月数・運用利回りの3つの要素から算出されます。外部機関で運用されるため、会社への貢献度などは加味されなくなっています。退職金共済には様々な種類がありますが、税制上の優遇や、国が掛金の一部を負担してくれるなど、企業に対してもメリットがあります。また、転職する場合でも転職先が退職金共済に加入していれば、そのまま移行することが可能です。

    (例)勤続20年(240ヶ月)、月額納付金額(1万円)、予定運用利回り(1.0%)
    ⇒掛金総額(240)+合計運用利回り=266万6600円

    企業年金制度とは?

    企業年金制度は、主に「確定給付企業年金」と「企業型確定拠出年金」の2種類に分けることができます。従業員が退職する際に、企業から年金、および退職金のような形で支給されます。

    それぞれの特徴について紹介したいと思います。

    確定給付企業年金

    企業が掛金を負担・運用・管理し、従業員の退職時などに支給する制度です。あらかじめ給付額が決まっているため、運用実績がその額に満たない場合は、企業側が負担する必要があります。従業員側で運用先を決めることはできませんが、支給額が約束されているという点では安心できる制度と言えます。従業員の同意があれば、規定の範囲内で従業員も掛金を負担することで、運用額を増やすことも可能です。

    企業型確定拠出年金

    企業が掛金を負担し、従業員が運用する制度です。原則60歳までは引き出すことができません。また、従業員が運用先を決定できるため「確定給付企業年金」よりも自由度は高くなっていますが、運用結果はあくまで自己責任となります。自分自身も掛金を負担し、企業が拠出した掛金に上乗せしたい場合は、「マッチング拠出制度」を利用することも可能です。ただし、この「マッチング拠出制度」は企業によって適用していない場合もあるので、事前に確認が必要です。

    【税金計算】退職金を一時金として受け取る場合

    退職金を一時金として受け取る場合は、「退職所得」として、所得税・住民税・復興特別所得税が課税されますが、「退職所得控除」を受けることが可能です。なお、分離課税となるため受給後の社会保険料が上がるということはありません。

    退職所得控除について

    ■ 退職所得控除を受ける場合

    「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出することで、控除を受けることが可能です。また、勤務先が源泉徴収してから支給するため確定申告は不要です。

    なお、勤続年数に応じた金額が控除されるため、基本的には勤続年数が長い方が控除額が多くなります。仮に大学卒業後、22歳から60歳まで同じ企業に勤めた場合は、勤続38年となり最大で2060万円までは非課税となります。

    ■ 退職所得控除を受けない場合

    一律20.42%の源泉徴収が行われるため、退職金支給後、自分自身で確定申告を行う必要があります。

    長年企業に勤めていると、労務担当者でない限り、あまり確定申告になじみがないのではないでしょうか。やり方が分からず手間を感じる場合もあるため、退職所得に関する控除は受けておくことがおすすめです。

    さて、「退職所得控除」を受ける場合に関してですが、手取り金額はどれくらいになるのかについては気になるところです。課税額を計算するために、以下のステップで割り出していきましょう。

    ステップ1:勤続年数から「退職所得控除額」を調べる
    ステップ2:退職金総額のうち、課税対象になる金額を調べる
    ステップ3:住民税を計算する
    ステップ4:所得税と復興特別所得税を計算する

    ステップ1:勤続年数から「退職所得控除額」を調べる

    まず、退職時の勤続年数から「退職所得控除額」を算出します。1年未満の端数がある場合は切り上げとなるので注意しましょう。(例)9年1ヶ月の場合:勤続年数10年

    退職所得控除額

    ステップ2:課税対象になる金額を調べる

    ステップ1で算出した控除額を以下の計算式に当てはめて、退職金総額のうち、課税対象になる金額を割り出します。

    課税対象金額計算式:(退職金総額-退職所得控除額)×1/2
    例)勤続25年 退職金総額1500万円の場合
    (1500万円-1150万円)×1/2=175万円

    ※退職金総額と控除額が同額、または控除額の方が大きい場合は非課税となります。

    ステップ3:住民税を計算する

    ステップ2で割り出した「課税対象金額」をもとに住民税を算出します。住民税は一律10%なので、「175万円×0.1=175,000円」になります。

    ステップ4:所得税と復興特別所得税を計算する

    ステップ2で割り出した「課税対象金額」をもとに所得税を算出します。所得税が算出できたら、復興所得税の計算をします。

    所得税計算式:課税される所得金額×税率-控除額
    復興特別所得税計算式:所得税×0.021(※復興特別所得税は2.1%です)

    例)課税対象金額175万円の場合
    所得税:1,750,000円×0.05-0=87,500円
    復興特別所得税:87,500円×0.021=1,837円

    (速算表)

    早算表

    ステップ5:各種税金を合算して、総支給額から減額する

    最後に、ステップ3~4で算出した所得税・住民税・復興特別所得税を合算します。退職金総額から合算した税金額を差し引くと、実質の手取り金額が算出できます。(※勤続25年、退職金総額1500万円の場合を想定しています。)

    ■税金総額
    175,000円(住民税)+87,500円(所得税)+1,837円(復興特別所得税)=264,337円

    ■実質手取り金額
    15,000,000円-264,337円=14,735,663円

    退職一時金として受給を検討していて「自分の手元に残る退職金はいくらになるのか?」など、気になる場合はシミュレーションしてみることをおすすめします。また、より詳しい内容は国税庁ホームページにも記載があります。あわせて確認してみてください。

    【税金計算】退職金を分割で受け取る場合

    退職一時金のような一括受給ではなく、分割で受給する場合は「雑所得」として課税されます。その場合は、毎年「公的年金控除」を受けることができます。

    一時金の時とは異なり、毎年、国民年金や厚生年金といった「公的年金」による収入、保険会社と個別に契約する「私的年金」の加入状況によって雑所得の金額は異なります。

    以下は、国税庁のホームページより抜粋した「公的年金等に係る雑所得の速算表」です。分割受給を検討している場合は、以下の表に基づいて雑所得の計算をしてみましょう。

    スクリーンショット 2021-12-16 16.58.50

    収入金額計算式:公的年金等以外の年金の収入金額+剰余金や割戻金

    最近の傾向と今後の見通し

    これまで「退職金制度」は、勤続年数や基本給をベースにした算出を行うことが多い傾向にありました。そのため、「年功序列」や「終身雇用制度」を採用している企業において恩恵を受けられることが多く、中途入社者は報われないケースもありました。

    しかし、最近では転職者数が増加傾向にあり、年功序列や終身雇用制度に代わって成果主義を取り入れる企業も多くなってきています。それにともない、退職金制度の運用も実績が考慮される「ポイント型」に注目が集まってきています。

    また、「退職金制度」がそもそも導入されていない、制度の廃止を検討しているといった企業も増えており、制度の普及率は減少傾向にあります。導入している企業でも、年々支給額が減少しており、今後もこの傾向は続く見通しになっています。

    最近では、退職金のほかに「個人型確定拠出年金(iDeCo)」「つみたてNISA」「副業」などによって、老後資金の準備をする人が増えてきています。一度、自分自身の退職金についてシミュレーションしてみて、運用の方法や新たな資金確保の方法を検討してみると良いのではないでしょうか。

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    HR大学 編集部

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