#人材育成
2024/02/13

メンターとは?メンタリングの意味やコーチングとの違いと必要性について簡単に解説

目次

    メンターとは、知識や経験が少ない若手従業員をサポートする先輩従業員のことで、従業員の成長促進に欠かせない制度です。

    また、従業員の情報共有や目標管理としてメンター制度を導入している企業もあります。

    この記事では、メンターについて、メンタリング(メンター制度)とはどのようなものなのか、メンターの役割と内容、OJTやコーチングなどとの違い、メンターとして必要な能力について簡単に解説します。

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    メンターとは

    メンターとは

    メンターとは、知識や経験が少ない若手従業員をサポートする先輩従業員のことで、一般的には入社3~8年目の従業員が担当します。

    メンターは、キャリアや人間関係などの精神面や心理面での支援など「キャリア開発」を目的としていて、業務以外の相談や同部署の先輩には話しづらい悩みを相談する場合もあるため、他部署の先輩で年齢や社歴が近い従業員が行います。

    メンターの語源

    メンターは、ギリシャの叙事詩「オデュッセイア」に登場する老賢人「Mentor(メントール)」が語源です。

    このメントールは、「勝利を導く者」と言われ、のちに英語で「メンター」と呼ばれるようになり、今では、メンターは「助言者」「教育者」「恩師」という意味で使われるようになりました。

    メンティーとは

    メンティーとは、メンターから助言や指導をもらう立場の従業員を指し、主に新卒や20代の若手従業員になります。

    メンター制度(メンタリング)とは

    メンタリングとは、メンターである指導を行う側の先輩従業員と、メンティーである指導される側の従業員とが「1on1」で話し合い、キャリアやメンタル的なサポートなど、メンティーの成長を支援する人材育成を行う教育制度のことです。

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    メンターの役割と内容

    メンター制度は、月1回以上1時間の面談やミーティングを通じて、メンティーのサポートをする企業が多いです。

    メンター制度の実施期間は、半年〜3年と企業により異なります。

    メンター制度では具体的に何をするのか、メンターの役割とメンター制度の内容について確認してみましょう。

    メンターの役割と内容

    • 目標設定やキャリアを明確化させる

    • 進捗状況の確認と行動の改善

    • 問題解決のサポートをする

    • 業務や私生活の悩みなどのメンタルサポート

    目標設定やキャリアを明確化させる

    メンティーが中長期的(5〜10年)に目指したいキャリアを明確化させ、目標設定を行います。

    将来なりたいキャリアになるためには、何をしたら良いかを会話を通じて、気付きを与えます。

    大切なのは、メンターが目標を強要するのではなく、メンティー自身が考え行動する「自主性」が重要です。

    メンター制度では、年齢や社歴が近い先輩従業員がメンターとなるため、メンティーは数年後の自分の姿を具体的にイメージすることができ、キャリアアップの意欲が高まります。

    またメンターは、メンティーの人材育成を通じて、仕事意識の向上や自身の成長の機会を得ることができます。

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    進捗状況の確認と行動の改善

    メンティーの目標設定ができたら、目標の進捗状況の確認を行い、達成が難しい場合はメンターによる行動への助言と指導のもと改善を図ります。

    目標達成が出来ているのか、どのように目標達成できたのかの過程を、一緒に管理する場合もあります。

    また、必要に応じて目標の見直しをすることもメンター制度の役割です。

    しかし、メンターの助言や指導スキル、人柄によってはメンティーの成長に差が出てしまうこともあります。

    そのためメンター制度を実施する前には、「メンター向けの研修の実施」「人事評価の共有管理を行う」「サポート範囲に会社基準を設ける」「メンタリングの途中経過を管理職が確認する」というような対策をしっかり立て、メンター任せにならないよう注意が必要です。

    人事評価の共有を行うことで、人事部と現場側の両面からメンティーをサポートできる効果が期待できます。

    人事評価の共有や管理については人事評価システムの活用がおすすめです。

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    問題解決のサポートをする

    業務上の悩みや人間関係のトラブルは、メンティーにとって上司に相談しにくい場合があるため、メンターが第三者として仲介に入ることもあります。

    メンターは問題解決に向けて一方的に指導をするのではなく、会社全体の利益や根本的な解決を目的として、メンティーをサポートするようにします。

    また、メンターはメンティーの相談を何でも受け入れて良いわけではありません。

    本来上司に相談すべき業務内容をメンターにばかり相談した結果、メンティーと上司との関係が悪化してしまう場合もあります。

    そのため、相談内容と距離感には注意が必要です。

    業務や私生活の悩みなどのメンタルサポート

    メンター制度はメンタル面のサポートを行い、包括的にメンティーを支える役割があります。

    社会人経験が浅い新人は特に、慣れない仕事環境によりライフスタイルの確立が難しいです。

    業務やプライベートで困った事があっても、誰にも相談ができずに悩み、結果的に勤務意欲の低下や早期退職に繋がってしまう場合もあります。

    メンターは、プライベート、教養など、幅広い視点でメンティーと関わり、人間的な魅力を伸ばすことで、業務へのモチベーションやスキルアップを狙います。

    また、メンターの退職や異動により担当者が変更になれば、メンティーのモチベーション低下など悪影響も懸念されます。

    メンター担当者になる際は、退職や異動の可能性がない従業員を選任するようにしましょう。

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    メンター制度は無駄?必要?それぞれの意見

    メンター制度は無駄という意見と、必要という意見があります。

    それぞれの意見について確認してみましょう。

    メンター制度は無駄という意見

    メンター制度はあくまで、メンティーを主体とし自立的な成長をサポートする制度で、メンティー自身が考え行動をしないと何も変わりません。

    そのためメンター制度は、メンティーの自主性や責任感に大きくゆだねられている為、成長意識が薄い人にとってはメンター制度のサポートを無駄だと感じてしまいます。

    メンター制度は必要という意見

    これまでは、飲み会や社内イベントを通して、上司が若手従業員と積極的に話す機会がありました。

    しかし、働き方や価値観の多様化に伴い、社外での関わりが減っている状況です。

    また、働き方改革により残業時間の削減や業務効率化が急務とされているため、業務時間内でも上司が若手従業員の業務相談に十分な時間を取れる余裕がない場合も珍しくありません。

    そのため、職場内外のコミュニケーションが希薄化しています。

    コミュニケーションが希薄化すれば、悩みを相談できず、モチベーションの低下も懸念されます。

    そして、上司も若手従業員のフォローができず、早期離職の可能性も考えられるため、若手従業員をフォローするメンター制度が必要となります。

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    メンタリングとチューターやOJTの違い

    OJTとは、「On the JOB Training」の略称で、業務を通じて新人や若手従業員に、ノウハウや知識を教える教育方法です。

    また、OJTの指導を行う従業員を「チューター」と呼び、主に若手従業員の先輩にあたる従業員が1対1で指導を行います。

    OJTは「チューター制度」とも呼びます。

    さらにチューターは、企業以外の学校や塾(予備校)などの教育機関にも使用され、主に「個別指導スタッフ」「アドバイザー」「教授の助手」という意味でも使用され、企業のチューターとは意味が若干異なります。

    OJTやチューター制度は、新人や若手従業員がサポート対象である点はメンタリングと同じですが、サポートする内容に「メンタル面が含まれない点」や「サポート期間が短期的」である点でメンタリングと異なります。

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    メンタリングとコーチングの違い

    コーチングとは、業務経験者や経営者に対して、目標達成のためのサポートを行うパートナーになることです。

    コーチングは、サポート期間が比較的短く(目標達成まで)、ビジネスやプロジェクトの専門分野と主体的な行動を促す役割があります。

    サポートする範囲、対象者、期間が広範囲で長期的であるメンタリングと比べ、コーチングのサポート内容は「専門分野のみ」と限定的で、サポート期間も目標達成までと「短期的」である点でメンタリングと異なります。

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    メンターの育成に必要なこととは

    メンターの育成に必要なこととはどのようなものなのか、メンターになるために必要なスキルや能力について確認してみましょう。

    メンターに必要な資格とは

    メンターには特別な資格は必要ありません。

    しかし、「キャリアカウンセラー」などの資格を持つと、より専門的な視点からメンティーをサポートすることができます。

    (参考)日本キャリア開発協会(JCDA)「キャリアカウンセラーとは

    メンターに必要なスキルや能力

    メンターになるためには、立候補や推薦式と企業によって異なります。

    企業によっては、メンター前に研修を実施し参考書籍を授与するなどの対策をしている企業もあります。

    メンターは指導者としてメンティーに関わるため、「必要な業務スキルの知識や経験」「高いコミュニケーション能力」「守秘義務意識」「強い倫理観」といった能力がメンター選任の際には、重要なポイントになります。

    メンター制度に必要な面談履歴などのデータのクラウド化

    メンター制度を成功させるためには、メンティーの人事評価記録や目標の設定と管理、メンターとメンティーとの面談記録の管理など、さまざまな情報の管理と共有が大切です。

    「HRBrain タレントマネジメント」は、従業員の目標設定から評価までのオペレーションの全てをクラウド上のソフトウエアで効率化するサービスです。

    従業員の研修データや、スキルマップ、これまでの実務経験、育成履歴、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、MBOやOKRなどの最新のマネジメント手法をカンタンかつシンプルに管理運用することができます。

    また、1on1などの面談記録の管理と共有も「簡単シンプル」に行うことができます。

    HRBrain タレントマネジメントの特徴

    • 検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現

    運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。

    • 柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を

    従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。

    • 人材データの見える化も柔軟で簡単に

    データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。

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    HR大学編集部
    HR大学 編集部

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