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組織の変革を拒む学習性無気力から脱出する方法

学習性無気力の基礎知識

組織の変革を拒む学習性無気力から脱出する方法

目次

    あなたの職場でも無力感を感じている社員はいないでしょうか。「やってもどうせ無駄だ」そんなセリフが聞こえてきたら職場に無力感のある社員がいる証拠です。企業に蔓延する無力感は、やがてビジネスにも影響を与えるリスクがあります。そこで今回は、人事の視点から学習性無力感について意味や事例、ノウハウをまとめてみました。

    学習性無力感とは?

    学習性無気力の解説

    学習性無力感とは、抵抗も回避もできないストレスにさらされるうちに、そのストレスから逃れる行動をとらなくなることを意味します。わかりやすく言えばある状況に対して「何をやってもどうせ無駄」という状態に陥ることです。

    人間は何らかの結果をもたらす際には行動を伴います。これを行動随伴性と呼びます。

    例えば、信号が青信号であれば横断歩道を渡りますが、赤信号では渡りません。しかし、もし青信号で渡っている際に何度も事故に遭った場合、青信号でも事故に遭うことを恐れて横断歩道を渡ることができなくなるでしょう。人によっては青信号を見るたびに恐怖を感じるかもしれません。

    このように期待した結果と違うことが連続して起きることで、人の行動が変わることが心理学の実験で証明されています。

    学習性無力感は抑うつ状態のモデルの一つです。抗っても無理なことに対して抵抗し続けることは、場合によっては生命の危険を冒すことになります。そこで自分の命を守る防御反応として発動する無力感が学習性無力感なのです。

    犬が証明した学習性無力感の実験

    1960年代にペンシルバニア大学の若手研究者がある実験をしました。その内容は、犬に電気ショックを与えるものでした。この実験は前半と後半に分かれます。前半では犬を拘束してブザー音を鳴らした後に電気ショックを流しました。ブザー音が、電気ショックが来る前兆だと学習させました。後半の実験では、部屋を低い柵で区切り、ブザー音の後、犬がいる側だけに電気を流しました。研究者は、ブザー音を聞いた犬は柵を飛び越えると予想しました。しかし犬は柵を飛び越えませんでした。

    その後、ポジティブ心理学の創始者であるマーティン・セリグマンがこの例に注目し、別の実験を行いました。先ほどの前半の実験に、犬が押すと電気が止まるボタンを加えました。犬を3つのグループに分け、2つ目のグループはボタンを押しても電気が止まらないようにしました。すると後半の実験で2つ目のグループのほとんどが柵を飛び越えませんでした。

    この実験からセリグマンは、不快な刺激を止められない状況におかれた犬は「自分の力ではどうすることもできない」と考え、無気力になると考えました。そしてこの現象を無気力を学習した状態と定義し、学習性無力感(Learned Helplessness)理論を提唱しました。

    学習性無力感の原因は内的で持続的な状況

    不快な状況を自分の努力に反して止められない場合、動物は無気力になります。

    学習性無力感は、その後の実験で人間にも生じることが明らかになりました。

    うつ病

    学習性無力感の概念は、うつ病の発症を説明するモデルとしても用いられています。

    抑うつ状態は学習性無力感が生じるプロセスで説明ができます。
    つまり人は自分の意志に反して抵抗できない状態が続くことで、抑うつ状態になるのです。 抑うつ状態は、「これ以上抵抗を続けると生命が脅かされる」という状況から守る機能であるとも考えられるでしょう。

    うつ病は抑うつ状態が続くことで脳内の神経伝達物質が減少し、症状として定着したものです。

    もし職場に無力感の強い社員がいる場合、早めに対処しなければうつ病に発展する可能性があり得るでしょう。

    パワハラ

    職場での学習性無力感の具体的な例として、パワハラがあげられます。
    高圧的な上司が部下を強く𠮟責し続けることで、部下は次第に抵抗しなくなります。
    いわゆる恐怖政治のメカニズムは、学習性無力感から説明できると言えるでしょう。

    パワハラも放置することで次第に部下の抑うつ状態を引き起こし、最終的にはうつ病による休職につながる可能性があり得ます。

    学習性無力感に陥りやすい人

    実は学習性無力感に陥りやすい人ががいます。

    それは、物事の原因を自分自身に求める「内的帰属」が強く、その原因を変えられないと思い込む傾向がある人です。

    学習性無力感は、原因帰属理論で説明ができます。原因帰属とは物事の原因をどこに求めるのかを示したものです。原因を自分自身に求めることを内的帰属、原因を自分の外側の出来事や環境に求めることを外的帰属と呼びます。

    例えば、何かに挑戦してそれができなかった場合、原因を自分の能力不足だと考えるなら「自分は無力だ」「どうせ無駄だ」と人は考えるでしょう。
    しかし同じ挑戦でも、ある人は「たまたま運が悪かっただけだ」と思うかもしれません。
    このように不快な状況の原因を自分の中に求め、変えられない状況が続くと信じた時に学習性無力感が生じます。

    学習性無力感を克服・改善する方法とは?

    学習性無力感は日常的にみられる現象です。あなたも職場の中で、「どうせやっても無駄」というセリフを社員から聞いたことはないでしょうか。ではどうすれば学習性無力感を克服することができるのでしょう。

    先ほど、無力感は物事を変えられない原因を自分自身に求めることから生じると説明しました。

    逆に言えば無力感から解放される簡単な方法は、原因を会社や職場などの外的なものに求めさせることです。ただし、その場合、あくまでも自分で変えられる範囲の外的要因に目を向けさせることが重要です。例えば営業職であれば、給料が上がらない原因を会社のせいにするのではなく、チームの営業成績に目を向けさせるようにします。そして成績が改善されれば、給料が上がることを説明します。つまり自分で状況を変えられることを認識させることで、無気力感から脱することが可能です。

    組織に無力感が蔓延している場合、社員の多くは「この状況を変えられない」と考えています。そんな時は「変えられないもの」に目を向けるのではなく、「変えられるもの」に目を向けるように組織を導いていきましょう。

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    HR大学 編集部

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