人材育成
2023/03/27
【実践編】人材育成って何やるの?これを読めば基本的考え方と具体的な企画方法がよくわかる
本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービス・企業・法令の内容が変更されている場合がございます。
人材育成と聞くと、多くの方は研修をイメージするのではないでしょうか。実は研修だけが人材育成ではありません。そこで今回はどうすれば人は育つのかをテーマに、人材育成の具体的な企画方法について解説します。
人材育成とは
人材育成と聞くと、あなたはどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。
人材育成という言葉は、使用する人や企業によってかなり意味の範囲が異なります。まずは人材育成の定義について確認しましょう。
人材育成と人材教育
人材育成は、その言葉通り人を育て成長させることです。企業の中で人材育成という言葉を使用する場合、社員を会社が望む方向へと成長させることを意味します。一方、同じような言葉に人材教育があります。教育は知識やスキルを教えることです。人材育成には、教育以外にも経験によって育成する方法もあります。人材育成の手段の一つとして教育が存在しているという位置づけです。
人材開発と人材育成
人材開発は、もともと英語の「Human Resource Development(人的資源の開発)」から生まれた言葉です。人材育成は単に人を育てる意味として使用されますが、人材開発は人材を経営資源として捉えた際に、本来の能力を発揮できるように開発するという意味合いがあります。つまり人材育成は単に成長を促すことであるのに対し、人材開発は潜在能力の開花など人的資源を有効活用する意味が含まれています。
人材育成についてさらに広く知りたい方は「【人事必見】人材育成とは?目的や考え方を紹介」をご覧ください。
また、人材育成において人的資源の管理が非常に重要になります。
人的資源管理について詳しく知りたい方は、「【人材管理:人的資源管理(HRM)編】なぜ必要か?目的・課題・事例を紹介」をご覧ください。
人材育成の課題と目標
前の章では人材育成の定義について解説をしました。ここでは、実際に人材育成を行うにあたり、どのような課題があり、その上でどのような目標を立てるべきなのか?を掘り下げていきます。
人材育成の課題
まず、人材育成の課題としてあげられるのが、そもそも人材育成自体は後回しされがちであるということです。通常業務の忙しさや、テレワーク化が進み対面でのコミュニケーションの機会が減少したことから、このような課題が生まれてしまいます。
また、人材育成に力を入れるも、自律型の人材がなかなか育たないという課題もあります。ここで言う、自律型人材とは自ら考え、主体性を持って仕事に取り組む人材のことを指しています。このような自律型の人材を育てるには、しっかりとした人材育成の目標が必要になってきます。
テレワークによって対面でのコミュニケーションが減る昨今、上司と部下がコミュニケーションを取る場として有効なのが「1on1」です。
1on1とは、上司と部下で行う定期的な1対1のミーティングのことで、人材育成の効果もあります。メンバーの育成につながる1on1の実施方法をまとめた「1on1ミーティング入門書」はこちらからご覧になれます。
1on1について詳しく知りたい方は「1on1とは? 従来の面談との違いや効果を高めるコツ」をご覧ください。
人材育成の目標
では、人材育成の目標はどのように立てれば良いのでしょうか。人材育成の目標を立てる際は、次の3つのポイントをおさえるようにしましょう。
- 定量的な目標を設定する。
- 期日を明確に設定する。
- 会社、チームの目標を意識する。
1つ目の定量的な目標の設定は、人材育成の評価を行う上で欠かせません。人材の育成の目標が、定性的な指標に偏らないように注意することが大切です。また、人材育成の目標をいつまでに達成するのか、期日も明確に定めるようにしましょう。期日から逆算した人材育成の計画を立てることが、人材育成の成否のポイントとなってきます。最後に、会社、チームの目標を意識した、人材育成の目標を立てるようにしてください。人材育成が後回しにされない為にも、会社やチームの目標と人材育成が密に関連している状態を作り出すことが重要です。
さらに詳しく、人材育成の課題と目標設定の立て方について知りたい方は「人材育成における目標設定の重要性とは?職種別の具体例を交えて解説」の記事もご覧ください。
人材育成施策の計画方法
人材育成施策の企画には、ある程度の決まった「型」があります。現状分析をするどんな施策も何かを解決するための手段でしかありません。何も解決したい問題がないにも関わらず施策だけを実施することは意味のない試みです。まずは自社の社員の状態や経営状況、組織の状態などを調べ現状を分析しましょう。
人材育成の考え方
まずは人材育成の基本的な考え方をおさえておきましょう。ポイントとなる視点は次の3つです。
- 人材育成は長期的な視点で考える。
- 人材育成像は会社の育てたい人物像から考える。
- 人材育成の方法は改造別に分けて考える。
これらのポイントを踏まえた上で、ここから紹介する人材育成の型を使って、人材育成の施策を考えていきましょう。
また、人材育成の考え方をより深く理解したい方は、「人材育成に重要なポイントとは?若手や部下を育てる人材育成の考え方」の記事もご覧ください。
自社の課題を発見する
現状分析の中から次第に自社の課題が導きだされるはずです。課題の中には人事の観点からはアプローチできないものもあるでしょう。そのため、戦略の課題、組織の課題、人材育成上の課題と3つの課題に分類して自社の課題を検討していくのがおすすめです。
自社の戦略や目指す方向性を確認する
課題を発見したら、それが本当に解決すべき課題かを検討する必要があります。その課題が今後の自社の戦略や事業の方向性にとって重要な課題かどうかを検討し、重要であれば重点的に取り組みましょう。
課題に合致する解決方法を検討する
最後に課題に合致する解決方法を検討します。解決方法は研修や座学だとは限りません。上司との関係性を改善することかもしれません。人事からアプローチできる最も効果のある解決方法を検討しましょう。
この3つのステップが基本的な人材育成施策の企画方法です。
また、人材育成の計画をより細かく立てたい方は「狙い通り人材が育つ人材育成計画とは?計画の立て方から手段までを解説!」の記事もご覧ください。
人材育成の基本的フレーム
人材育成施策の企画方法には基本的な「型」と同時に、よくつかわれるフレームワークがあります。
ギャップ分析
人の能力を開発することは、目指すべき状態と現状を埋めることです。例えば英語が話せるようになりたいのであれば、その目標に向けて英語を話せない自分を変えていかなければなりません。このようにあるべき姿と現状とのギャップを明らかにし、ギャップをどう埋めていくかを分析するギャップ分析が能力開発の基本的な考え方です。
コルブの経験学習モデル
人材育成における古典的な考え方に経営学者のコルブが提唱した経験学習モデルがあります。経験学習モデルは、人がどのように経験から学ぶのかを表したものです。人は単に経験するだけでは学びません。経験したことを振り返り、何を学んだのかを考えることで学習します。経験学習モデルは、人材育成におけるOJTとOff-JTをつなぐ考え方としてよく取り入れられています。OJTについて詳しく知りたい方は「メンター制度とは?OJT、コーチングとの違いや必要性についてご紹介」をご覧ください。
7:2:1モデル
現代の人材育成の基本的考え方は、「7:2:1」モデルに集約されます。アメリカのある調査会社が「リーダーが成長につながったこと」を調査したところ、経験7割、人間関係2割、Off-JT1割であることがわかりました。そのため、現代の人材育成施策は経験を重視しながらメンタリングやOff-JTを組み合わせた施策を行うことが常識となっています。
人材育成の成功事例
では、実際の人材育成施策の成功事例を見てみましょう。
ゼネラリストを育成する人材育成の事例トヨタでは将来有望なエンジニアに対して、全てのバリューチェーンを経験できるようなキャリア設計を行っています。設計開発者であれば入社後に製造部門へ配属し製造を経験させた後、マーケティング部門や営業部門も経験させます。こうすることで事業と商流について理解することができ、よりお客様のニーズに答える製品を設計するエンジニアを育てることができます。同時に自己学習促進として書籍を読むことを奨励しています。幅広い書籍を読むことは、幅広いジャンルの知識を得ることです。このようにして知識感度が高く視野の広いエンジニアを育てています。
専門職型人材を育成する事例
多くの製薬会社では研究職を育成しています。製薬の世界は、常に新薬をつくることが求められています。しかし新薬を開発することは年々、難しくなっている状況です。そこで各製薬会社では研究職を海外に留学させ、場合によっては博士号を取得させることもあります。一方で視野が狭くならないように学会発表やベンチャー企業との交流も推進しています。
人材育成について実際に人事担当者さまにインタビューした内容をまとめた資料をご用意しています。人材育成施策の成功事例について詳しく知りたい方は、【ダウンロード版】HRBrain導入事例集をご覧ください。
まとめ
人材育成施策の企画立案は、つい研修を考えてしまいがちです。しかし、基本的な考え方やフレームワークを理解すれば研修だけでは人は育たないことが理解できると思います。経験を中心にしつつも、経験から学べるような仕組みを整えていきましょう。
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