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残業時間の上限規制とは?上限を超えたときの罰則や36協定について分かりやすく解説

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残業時間の上限規制とは?上限を超えたときの罰則や36協定について分かりやすく解説

目次

    本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービス・企業・法令の内容が変更されている場合がございます。

    ※お詫び※
    2022/8/23以前の掲載情報に誤りがあり、情報を訂正した上で掲載しております。
    誤った情報を発信してしまったことをお詫び申し上げますとともに再発がないように努めてまいります。

    「残業時間の上限規制は、内容が細かくて分かりくい」

    「法改正後の残業時間の上限規制を詳しく知りたい」
    このようなことで、お困りではないでしょうか?

    労働基準法の労働時間や36協定など、残業時間の上限規制に関わる法律や制度はいくつかあります。

    しかし、これらの情報はあちこちに分散されており、調べるのも一苦労です。
    このページでは、残業時間の上限規制に関する情報を要点を絞ってまとめています。

    ぜひ参考にしてみてください。

    残業時間の上限規制の概要

    <残業時間の上限規制のポイント>

    前提として、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える時間外労働と法定休日の休日労働を命じるためには、労働基準法第36条に基づく労使協定、通称36(サブロク)協定を締結・届出する必要があります。

    さらに、36協定で定めることができる残業時間等の上限もあります。(※以下では、時間外労働を残業と表現する場合があります。)

    • 36協定を結ばずに残業をさせてしまうと違法になる
    • 36協定で定める残業時間の上限:月45時間以内・年間360時間以内(原則)
    • 36協定の特別条項を定める場合の上限:年6カ月、年間720時間など

    2019年4月に施行された働き方改革関連法(改正労働基準法第36条)により、36協定で定めることができる残業時間に上限規制が設けられました。上限規制を超えて従業員を働かせた事業者には、罰則が与えられます。

    法改正前にも、厚生労働大臣告示により36協定で定める残業時間の上限は定められていました。しかし、特別条項付き36協定を締結すれば、罰則はなく行政指導のみで、時間の上限なく残業が認められるのが実情でした。

    法改正後は、残業時間の規制が罰則付きの絶対的なものとなりました。

    具体的な残業の限度時間は原則「月45時間・年間360時間」です。

    また、特別条項付き36協定を締結すれば、月45時間・年間360時間を超えた残業が年6回まで可能になります。特別条項を定めた場合の限度時間は下記の通りです。

    • 1年の上限は法定休日労働を除き720時間以内で、これを超える時間の設定はできない。
    • 単月で法定時間外労働と法定休日労働を合わせた限度時間は、100時間未満。
    • どの2か月ないし6か月を参照しても時間外・休日労働の平均時間が月80時間以内。

    上記規制は、例外的に適用が猶予、除外されている事業・業務を除き、大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から導入されています。

    残業時間の上限規制を強化する目的

    <残業時間の上限規制を強化する目的>

    • ワークライフバランスの改善
    • 女性・高齢者などの労働参加率向上

    残業時間の上限規制を強化する目的は、ワークライフバランスの改善や、女性・高齢者の労働参加率を向上させることです。

    規制が強化される以前の長すぎる労働時間は、一部の人の働く機会を制限する大きな要因でした。これを解決するために、残業時間に上限が定められ、罰則を設けて取締りが強化されたのです。

    労働時間が適正になれば、ワークライフバランスが改善され、過労死のリスクも軽減します。労働時間が是正されると、多様な働き方を選択できる社会の実現につながるのです。

    残業時間の上限規制の違反罰則

    もし残業時間の上限規制を違反してしまった場合、どのような罰則があるのでしょうか?

    まず、36協定を締結していない企業では、法定労働時間を超えた残業や休日出勤は違法になり、罰則の対象となります。

    36協定を結んでいる場合は、協定で定められた事項に則って、時間外労働・休日労働の時間を管理しなければなりません。36協定の定めに違反した場合も、違法になり、罰則の対象となります。

    上記罰則の内容は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金です。上記の規制に違反した場合には、この罰則が科せられるおそれがあります。これは、事業者側に対する罰則です。

    もし上限を超えて働いてしまっても、実際に働いた従業員が罰せられることはありません。

    36協定(サブロク協定)とは

    36協定とは、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える時間外労働、法定休日(毎週少なくとも1回)における休日労働を行わせる場合にあらかじめ締結する必要がある労使協定で、時間外労働に関する限度時間は月45時間、年間360時間です。

    ただし、臨時的な特別の事情により、月45時間・年間360時間の限度時間を超える時間外労働(残業)を行わせる必要がある場合には、36協定に特別条項を定めることで、残業時間の上限を拡大することが認められます。

    残業時間の上限を拡大できるとはいえ、事業者は労働者の安全に配慮しなければなりません。可能な限り残業時間を短くとどめることや、労働者に36協定の内容を理解してもらうことなども大切です。

    ちなみに、残業時間に関する労使協定が36協定と呼ばれている由来は、労働基準法第36条に基づく労使協定であることから来ています。

    36協定の残業時間の上限

    2019年の法改正で、36協定で設定できる残業時間等に上限が設けられました。36協定を締結する場合は、たとえ労使が合意していても、以下の条件を守らなければなりません。

    <36協定の残業時間等の上限>

    • 原則

    ・時間外労働:月45時間・年間360時間

    • 特別条項を定める場合の上限

    ・時間外労働:年720時間以内

    ・時間外労働と休日労働の合計:月100時間未満

    ・複数月の時間外労働と休日労働の平均労働時間:80時間以内

    ・時間外労働が月45時間を超えられる期間:年6カ月まで

    36協定で決めなければならないこと

    36協定では、時間外労働等の上限時間だけでなく、時間外労働等に従事する業務の種類も明確にしなければなりません。

    各時間外業務等に対し、理由や対象となる従業員を細かく決めておく必要があります。これらの項目は「36協定届」に記載し、労働基準監督署に提出しなければなりません。

    例えば、製造業の場合、残業の種類を「製造」とすることはできません。製造は、設計や検査、機械組立など、細分化された細かい業務に分かれています。残業の種類が、製造のうちどの部分に該当するのかを明確にしておきましょう。

    さらに、細分化した残業の種類それぞれに対し、理由を明確にしなければなりません。製品不具合への対応や臨時の受注など、具体的な理由を設定しましょう。

    具体例|残業時間の上限規制違反になるケース

    残業時間の上限規制違反となるケースを紹介します。具体的な事例を知っておくことで、不注意による違反を未然に防ぐことができます。

    36協定を締結せずに従業員を残業させてしまった場合

    36協定を締結せずに、法定労働時間を超えて残業をさせることは法令に違反していることになります。
    前述の通り、残業が発生する企業において、残業に関する労使協定を締結することは義務です。
    スタートアップ企業などで、36協定の締結ができていない会社は、まずは36協定を締結するところから始めましょう。

    年間7回以上、時間外労働が月45時間を超えたとき

    特別条項付36協定がある場合でも、時間外労働が月45時間を超える月が年間7回以上となる場合は法令違反になります。

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    上記の場合、残業時間が46時間の月(45時間を超えている月)が年に7回あります。そのため、法令違反です。

    ※例は、厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 時間外労働の上限規制わかりやすい解説P.21の設例を加工して作成しています。

    単月の残業が合計100時間以上のとき

    単月の残業時間が100時間以上となった場合も、法令違反です。

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    上記の場合、残業時間が100時間以上となっているのは3月だけです。年間を通して、残業時間が一度でも月100時間以上となれば、法令違反になります。

    ※例は、厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 時間外労働の上限規制わかりやすい解説P.21の設例を加工して作成しています。

    残業合計の2〜6カ月平均のいずれかが80時間を超えたとき

    時間外労働と休日労働の合計の2〜6カ月平均のいずれかが80時間を超えたときは、法令違反となります。

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    上記の場合、1月・2月・3月の隣接する3カ月の合計残業時間は245時間です。245時間を3カ月で割ると、81時間を超え、法令違反となります。

    残業時間を管理する際は、各期間の隣接する2〜6カ月の平均時間を把握する必要があります。1月から2月、1月から3月、4月、5月、6月や、2月から3月、4月、5月、6月などのように、どこを切り取っても平均が80時間以内に収まるようにしましょう。

    ※例は、厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 時間外労働の上限規制わかりやすい解説P.21の設例を加工して作成しています。

    この残業って適法?違反疑惑がある場合の対処法

    労働者は、普段の残業が適法なものかどうか、疑問に思うことがあるのではないでしょうか?
    自分の残業について「労働基準法を違反しているのでは?」と思ったときの対処方法を紹介します。

    36協定を確認する

    自分の残業について疑問があるときは、36協定を確認してみましょう。36協定の内容については、労働組合や就業規則の資料としてまとまっている場合が一般的です。分からない場合は、人事部に相談してみましょう。


    36協定を確認したら、実際の自分の残業時間と照らし合わせてみます。少しでも疑問に思う部分があれば、うやむやにせず、担当者に質問するのがおすすめです。

    労働時間への疑問を払拭することは、心身共に快適に働くことにつながります。

    上司に相談する

    話しやすい上司が居るなら、上司に相談してみるのも良いでしょう。ほとんどの場合、所属長は、各部署の労働時間管理を行っています。問題があった場合、上司を通して通して担当部署に報告を上げてもらうよう依頼してみましょう。


    もし問題がなかったとしても、上司から残業時間について説明を受けることで、納得感を持って働くことができます。

    労働基準監督署に相談する

    労働基準監督署に相談する方法もあります。職場の環境によっては、社内に相談できる人が居ないことも考えられます。また、相談を試みても納得のいく対応をしてもらえないこともあるでしょう。


    その場合は、労働者自ら労働基準監督署に相談することもできます。相談だけであれば、匿名も可能です。また、労働基準監督官には守秘義務があるので、相談内容が外部に漏れることはありません。


    自身の残業時間に問題があった場合は、労働基準監督署に対応を依頼することもできます。ただし、対応をしてもらうためには申告が必要なので、実名や住所の記載が必要です。

    まとめ

    残業時間の上限規制について概要を解説しました。労働基準法には、細かい規定や例外などが多く、理解が難しいことがあります。ここに書ききれていないこともあるので、ぜひ以下の参考資料のほか、厚生労働省のホームページなどで確認してみてください。

    事業者や労務担当者は、確認すればいつでも正確な知識にたどり着けるよう、準備しておくと良いでしょう。

    労働者は、自身の残業時間が適法かどうかを見極めるために、具体的な事例と照らし合わせて判断してみてください。 

    (参考:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 時間外労働の上限規制わかりやすい解説

    【免責事項】

    本記事の内容の正確性を確保するよう努めておりますが、いかなる保証をするものでもありません。また、記事の内容は、編集・執筆当時のものですので、現在の情報と異なる場合があります。実際の法規制の適用等については、弁護士、社会保険労務士等の専門家にご相談ください。

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    HR大学 編集部

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