労務管理
2021/11/25
ウェルビーイングとは?意味の解説から企業での導入事例紹介まで!
目次
本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービス・企業・法令の内容が変更されている場合がございます。
ウェルビーイングとは?
ウェルビーイングはこれまで単に、個人の健康状態を表す単語として用いられてきました。しかし、最近では企業経営においても重要なキーワードとして取り上げられるようになってきました。言葉の意味から最近注目されている背景までを解説します。
ウェルビーイングの意味とは?
ウェルビーイング(well-being)とは、身体的・精神的に健康な状態であるだけでなく、社会的・経済的に良好で満たされている状態にあることを意味する概念です。日本では単に「幸せ」と訳されることもあります。
世界保健機関(WHO)による定義
1948年、世界保健機関(WHO)は健康(Health)を次の通り定義しました。
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも精神的にもそして社会的にも、全てが満たされた状態にあることをいいます」
(※参考)公益社団法人日本WHO協会:「健康の定義」
ウェルネス(wellness)、ハッピネス(happiness)との違い
健康(health)は通常、身体が病気やケガではない状態をいいます。これに対して、ウェルネス(wellness)は身体が健やかであること、すなわち身体が元気な状態を指します。一方、ハッピネスは個人が抱く精神的な満足(幸せ)を指します。ウェルビーイングはこれらを共に含めた概念で、心身ともに健康で良好な状態にあることを指します。
ウェルビーイングが注目される背景
ウェルビーイングが近年注目され始めたのは、それが、従業員のエンゲージメントと関係し、労働生産性を向上させることがさまざまな調査により判明してきたためです。
心理学の発達
アメリカの心理学者セリグマン氏がポジティブ心理学を提唱し、その中で「ポジティブ感情」や「エンゲージメント」がウェルビーイングに良い影響をもたらすことを実証しました。
新型コロナウイルス感染症の拡大
2020年に新型コロナウィルス感染症が世界的に拡大し、私たちの生活や働き方は大きく変化しました。そんな中で身体の健康だけでなく、メンタル面の健康も注目されるようになりました。
企業が得られるメリット
ウェルビーイングは身体的・精神的な健康と、社会的・経済的に良好で満たされていることの両方を指しています。ウェルビーイングを追求することで企業が得られるメリットは次の通りです。
健康保険に係る負担の軽減
身体的な健康を追求すると(健康経営の推進)、健康な従業員が増えるため、医療費の負担が減少します。すると、健康保険組合の負担が軽くなり、従業員および企業が負担する保険料負担も減少することになります。
メンタル不全による離職者の減少
メンタルヘルスに関するメリットです。企業がウェルビーイングを追求すれば、そこで働く従業員は精神的な健康を保つことができるようになります。すると、取り組みを行わないときよりもメンタル不全に陥る方が少なくなります。
労働生産性の向上
ウェルビーイングが向上すると従業員の働く意欲や生産性が向上することが分かってきています。企業にとっては優秀な人材の確保や利益率の向上につながります。
ウェルビーイングを構成する5つの要素
アメリカの調査会社であるギャラップ社が実施した調査によると、ウェルビーイングには5つの共通した要素が含まれていると結論づけられました。
Career Wellbeing(キャリア ウェルビーイング)
キャリアウェルビーイングとは、仕事が良好な状態であることを指します。仕事を好きだと感じ、熱意を持っている方には所属する組織に対するエンゲージメントが高いという共通点があります。
Social Wellbeing(ソーシャル ウェルビーイング)
ソーシャルウェルビーイングとは、人間関係が良好である状態です。人間は社会的な動物です。幸せや不幸せは不思議と他人に伝染するのです。
Financial Wellbeing(フィナンシャル ウェルビーイング)
フィナンシャルウェルビーイングとは、経済的に良い状態であることを指します。お金がなくても幸せにはなれますが、お金がある方がより幸せに近づきやすくなります。
Physical Wellbeing(フィジカル ウェルビーイング)
フィジカルウェルビーイングとは、身体的に良い状態(元気)であることを指します。週に2日以上運動する習慣のある人は、そうでない人と比べストレスが少なく、幸せに生活していると考えられます。
Community Wellbeing(コミュニティ ウェルビーイング)
コミュニティウェルビーイングとは、自分が住んでいる地域や所属している団体との関係が良好である状態のことをいいます。つまり、地域活動に参画したり、お金を寄付したりすることにより、自分自身の幸福度が向上するのです。
ウェルビーイングを実現する方法
実際に企業においてウェルビーイングを追求するためには、どのような方法があるのでしょうか。代表的な方法を見ていきましょう。
従業員の心身の健康をチェック(健康診断やストレスチェック)
健康診断やストレスチェックは法的に定められた義務ですので、実施していない企業はないと思われますが、実施して終わりになっていないでしょうか?
健康診断
まずは体の健康状態をチェック。健康に不安を抱えていると、本来のパフォーマンスを発揮することができなくなります。症状に応じて配置替えを行うなどの措置も必要です。
ストレスチェック
ストレス社会といわれて久しいですが、高ストレス者が多い職場には長時間労働やパワハラ問題が潜んでいる場合があります。しっかり対策を行いましょう。
労働環境を改善する(多様な働き方を制度に組み込む)
労働環境を改善することは身体の健康を保持するだけでなく、精神的な健康を促すことにつながります。
残業時間や休日労働の削減
働き方改革により自分の時間が増えた方は多いのではないでしょうか?空いた時間で趣味や家族との時間を過ごせば心身共にリフレッシュすることができます。
場所や時間を選ばない働き方の推進
コロナ対策で在宅勤務やリモートワークを実践している方は多いはずです。場所だけでなくフレックスタイムの導入や兼業・副業を認める企業も増えてきました。長時間の”痛勤”から解放されたり、家事をしながら働けるようになったりしたことにより、ストレスが減ったというケースもあります。但し、反対に、対面によるコミュニケーションが減ったことでストレスが増えたという事例もありますので、適度な係り合いは必要なようです。
ウェルビーイング実現に役立つツール・サービス
ウェルビーイングを実現するのって、何だか大変そうだと思ってはいませんか。しかし、そんなことはありません。ここでは、ウェルビーイングを実現するための便利なツールをご紹介します。
ウェルビーイングノート®
「ウェルビーイングノート®」は予防医学の専門家である石川善樹先生が監修した10の設問を通して、従業員の日々のコンディション(状態)を可視化するツールです。
(※参考)株式会社電通国際情報サービス:「従業員のコンディションを可視化するツール ウェルビーイングノート®」
診断機能
1日1問、10秒の振り返りでその日の上体を簡単に診断することができます。
改善提案機能
診断結果を元に時系列や項目別にマッピングして可視化します。その中で要注意事項がある場合は改善のためのアクションプランを提案します。
企業向け遠隔医療サービス
オンライン診療
コロナ禍の特例措置により保険診療の範囲内でオンラインによる初心が解禁されました。ビデオ通話により診察・診断を行い、処方等をリアルタイムで行うことができるサービスです。
オンライン健康相談
ビデオ通話を通じて医師に健康に関する相談ができるサービスです。体調不良や風邪のような症状が出た場合でも、新型コロナウィルス感染症の可能性を含めて安全に診断を受けることができます。
ウェルビーイングの取り組み事例
ウェルビーイングに実際に取り組んでいる国内大手企業の導入事例を紹介します。また、Google社が発表したデジタルウェルビーイングについても合わせて解説します。
事例1:Google社
2018年Google社のピチャイCEOが初めて「デジタルウェルビーイング」という言葉を用いて注目を集めました。
デジタルウェルビーイングとは?
デジタルスマートフォンなどのデジタルデバイスを適度に使用することによって得られるウェルビーイングのことです。
自粛生活によりデジタルデバイスの使用時間はますます増えている
スマートフォンやパソコンのモニターによるブルーライトが睡眠の質を下げるという指摘があります。過剰な使用を控え、デジタルデバイスと上手に付き合う工夫が必要です。
(※参考)いりたに内科クリニック:「『寝る前スマホ』は要注意」
事例2:株式会社小松製作所(コマツ)
世界第2位の建機メーカーである株式会社小松製作所(コマツ)では、健康管理だけでなく社員の働きがいを追求しています。
労働安全衛生管理の徹底
建設業界は他の産業に比べて労働災害の発生率が高く、危険な職場と言われています。コマツでは労働安全衛生管理の徹底はもとより、グループ会社・パートナー企業に対しても取り組みを広げています。
コマツ健康宣言を2019年に改定
宣言では「働く社員がより良い人生を送れるよう、日々の健康づくりを支援するとともに、心も身体も健康で明るくいきいきと働ける職場環境を提供していきます」と記されています。
(※参考)小松製作所:「労働安全衛生」
事例3:キリンホールディングス株式会社
国内シェア第2位の酒類メーカーであるキリンホールディングスでは、健康づくりに関する情報や飲料を提供しています。
飲酒習慣スクリーニングテストを実施
酒類メーカーとして従業員の適正な飲酒が社会の手本となるよう取り組んでいます。
(※参考)キリンホールディングス:「健康経営の実現」
KIRIN naturals
不足しがちな野菜と果実を補うことができるスムージーの提供や、栄養・運動に関するオンラインセミナー等の健康経営支援サービス展開しています。
(※参考)キリンホールディングス:「KIRIN naturals」
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