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テレワークの評価が不安!在宅勤務に適した人事評価制度と事例とは

在宅勤務に適した人事評価制度と事例

テレワークの評価が不安!在宅勤務に適した人事評価制度と事例とは

目次

    コロナ禍を契機に、多くの企業でテレワークが普及しましたが、在宅勤務における人事評価のあり方が注目を集めています。今回は、テレワークにおける人事評価の課題を明らかにした上で、テレワークに適した評価制度と評価のポイント、企業事例について解説します。                                      

    テレワークにおける人事評価制度の課題

    テレワークにおける人事評価制度の課題

    テレワークは、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方が可能なことから、働き方改革を推進する手段として元々、認知されていました。2020年の新型コロナウイルスの蔓延により、在宅勤務を導入した企業が急増したことから、ウィズコロナの新しい生活様式に合った働き方としても注目されています。

    そんなテレワークですが、企業での導入・定着に当たって上司・部下間のコミュニケーションに起因する課題が生じています。

    中でも処遇に直結する人事評価について課題認識を持っている企業は多く、 日本経済団体連合会 「2020年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査」によれば、テレワークでの人事評価に課題を持っている企業は全体の49.8%と、実に2社に1社は課題と認識しています。

    ここではテレワークにおける人事評価の課題として具体的に何があるのか、当事者である人事・上司と部下の立場からそれぞれ解説します。

    なお、 「リモートワークに適した評価制度とは?具体的な評価方法と事例を紹介!」も参照すると、より理解が深まりますので、ご覧ください。

    在宅勤務の評価の難しさを感じる人事/上司 

    従業員の評価を集約する人事、部下の評価を行う上司の立場で、在宅勤務における人事評価の課題を見ていきます。

    ・勤務態度の評価が困難

    部下がオフィス勤務していたときは、上司は部下と、その場でコミュニケーションを取り、直接働きぶりを確認できていたので、業務への取り組み姿勢を評価することが可能でした。

    しかし、テレワークでは、部下とのコミュニケーションは限定的となり、直接働きぶりを確認できないため、評価が困難になります。人事の立場からするとオフィスに勤務している従業員と在宅勤務している従業員で、評価の品質に差が生まれてしまうため、公平な評価ができないことになります。

    ・職場によって評価方法のばらつきが発生

    人事評価は、成果と合わせてそこに至るプロセスも評価対象とすることがあります。テレワークでは、部下の働きぶりが見え難くなり、上司によって少ない評価材料を拾ってプロセスを評価する者もいれば、プロセスは評価できないと割り切って、成果のみを評価する者に分かれます。結果として職場によって評価方法にばらつきが生じてしまい、企業全体で公平な評価が困難になります。

    ・評価プロセスの停滞

    人事評価は直属の上司だけで完結せず、上位の役職者、人事部の担当者・責任者と情報共有や意見交換を行い、決定するケースが多いです。テレワークが普及している企業では、こうした人事評価の関係者同士もテレワークで働いています。したがって、関係者間で必要なときに必要なコミュニケーションが取れず、評価プロセス自体が止まってしまう可能性があります。

    テレワークで評価されない不安を抱く部下

    次に、部下として評価を受ける従業員の立場からの課題を説明します。

    なお、テレワーク環境で従業員が受ける評価以外の不安については 「テレワークでストレス限界の時の解消法。新入社員や家族もストレスに注意」にまとめています。合わせて、ご参照ください。

    ・自分の働きぶりが上司に伝わっていない

    テレワークにより、上司と対面のコミュニケーションがなくなり、自分が業務に取り組む姿を直接確認してもらう場がなくなりました。これにより、上司が自分の働きぶりを把握していないという不安感を抱えて、業務に取り組まざるを得ない状況が生まれています。

    ・上司のタイプによって同じ働きぶりでも評価が変わる

    人事/上司のパートでも述べましたが、テレワークでは上司が確認できる部下の評価材料は、オフィス勤務と比べて少なく、プロセスも含めて評価する上司と成果のみを評価する上司に分かれます。部下からすると、同じ働きぶりでも、上司がプロセスを評価対象にするか否かで、評価が変わってしまい、人事評価に対する信頼感を持ち難くなります。

    テレワークで求められる評価の見直し

    以上、評価する側である人事・上司と評価を受ける側である部下の立場で課題を列挙しましたが、これらを整理するとテレワークでの人事評価の課題は以下の通りとなります。

    • 勤務態度を中心に部下の働きぶりが上司に見え難い
    • 上司の評価方法にばらつきが生じる
    • 評価プロセスが停滞する

    これらの課題を解決できる人事評価の仕組み、運用を考える必要があります。

    テレワークに適した人事評価とは

    テレワークに適した人事評価とは

    前章でまとめた課題を踏まえて、在宅勤務をしている従業員に適した評価制度見直しのポイントを説明します。

    テレワークにおける人事評価のポイント

    上司・部下間の対面でのコミュニケーションの機会が限られることを前提に、テレワークに適した評価制度を考えると、見直しのポイントは、以下の3つになります。

    ・明確な業務目標の設定

    テレワーク環境では先に述べた通り、上司は部下の働きぶりを直接確認できないため、業務のプロセス面を細かく確認、管理することは困難です。したがって、成果に比重を置いた制度が適しています。成果を重視した評価を行うためには、企業の上位方針に基づき、従業員それぞれが置かれた職責・役割に見合う明確な目標が設定され、上司との間で進捗管理がなされている必要があります。

    具体的な目標設定の仕組みとしてはMBOやOKRがありますので、未導入の企業は導入を検討するとよいでしょう。

    OKRについては、HR大学内に基礎知識、実際の運用や活用の流れなどをまとめた 「OKR入門書」を用意しておりますので、合わせてご覧ください。

    ・プロセス評価項目の再編

    テレワーク普及前、多くの企業では成果に至るプロセスとして能力・勤務態度や行動を評価していましたが、部下の働きぶりが見え難くなったことに伴い、プロセス評価の項目を見直す必要があります。

    成果を重視しつつも、評価を受ける部下の立場を考え、完全になくしてしまうのではなく、テレワーク環境でも評価可能な項目に再編するとよいでしょう。

    ・上司・部下間の定期的なコミュニケーションを促進する仕組みの構築

    上司が部下の働きぶりを直接確認できないことから、業務目標やそこに至るプロセスについては、より細かなスパンで確認し、状況に応じて軌道修正をはかる必要があります。これを実現するための具体策として1on1ミーティングを導入し、頻度高く上司・部下間でコミュニケーションを取ることを仕組み化するとよいでしょう。ミーティングの実施頻度としては、その目的に照らすと少なくとも週に1回は実施する必要があります。

    1on1ミーティングについては、HR大学内に定義、具体的な進め方、運用のコツ等を解説した 「1on1ミーティング入門書」を用意していますので、合わせてご覧ください。

    具体的な評価項目や評価基準

    評価制度を見直すに当たって、評価項目や評価基準を具体的にどのように設計すればよいのか、説明します。

    ・評価項目について

    まず、評価構成ですが、前項のテレワークにおける人事評価のポイントを踏まえ、仕事の結果を評価する成果評価と成果に至る過程を評価するプロセス評価の2種類にするとよいでしょう。

    ①成果評価
    上位方針に基づき、業務目標を期初に設定し、期末に評価するMBOないしはOKRを導入しましょう。

    ②プロセス評価
    成果に直結する能力項目や成果を創出する上で企業が重要視する企業理念や行動指針に紐づいた価値観項目に絞り込みましょう。
    具体例を挙げると、前者では「課題解決力」や「企画提案力」、「折衝・調整力」といった項目が考えられます。後者は、例えば「当事者意識」というキーワードが企業の行動指針に入っていた場合、そのキーワードに根ざした項目を設計することになります。

    ・評価基準について

    成果評価における業務目標の設定、プロセス評価項目について、従業員が置かれた職責・役割に応じた適正な評価を行うために、評価基準に差を設けることが必要です。

    そのために企業内の各職種・等級に応じた評価基準を定めることが必須となります。各職種・等級に求められる職責・役割・職務を業務目標設定、プロセス評価の各項目の観点から定義しましょう。

    評価項目、評価基準を見直し、1on1ミーティングを頻度高く実施することにより、部下の働きぶりに対する適正な評価、上司間の評価方法のばらつき縮小を実現できます。

    テレワークの人事評価のコツ

    テレワークの人事評価のコツ

    評価制度の見直しに続いて次は、人事評価の運用面でのコツを解説します。テレワークで適正な評価を実施する為に、評価者である人事/上司と被評価者である部下の立場からそれぞれ見ていきたいと思います。

    評価者(人事/上司)側のコツ

    評価する側である人事/上司が人事評価を実施する際のコツを説明します。

    なお、テレワークにおける評価以外のマネジメントについては、 「テレワークのマネジメント課題とマネジメント手法を事例とセットで紹介」にまとめております。合わせてご覧ください。

    ・上司との定期的なコミュニケーションの確実な実施

    上司がテレワーク環境において部下の働きぶりを把握するためには、高頻度のコミュニケーションが不可欠です。

    部下の職責・役割に応じた能力発揮の有無や業務目標の進捗に対して、上司として適切な助言・支援を行うために毎週、テーマを決めて、まとまった時間のミーティングを実施しましょう。

    部下の人数が多くて、週次のミーティングが困難な場合、評価補佐となる者を指名したうえで、ミーティング実施を代行してもらい、後で内容を共有してもらうことも考えられます。

    ・評価の目線を合わせる研修の実施

    上司の評価の目線を合わせるためには、評価項目、評価基準等の制度を整備しただけでは不十分であり、実際に評価した内容を持ち寄って、評価の甘辛について自身の癖を認識してもらう必要があります。可能であれば、同じ従業員を評価モデルとし、評価者間で適正な評価ができるか確認する研修を職場で定期開催するとよいでしょう。

    ・IT環境の整備

    テレワークにおいて、上司が部下と頻度高くコミュニケーションを取るためには、ITツールの活用が必須です。

    チャットや通話のアプリを活用したり、企業内のIT部門と連携して、そうした機能がついているグループウェアを全社に導入するなどコミュニケーションを促進する環境を整備しましょう。

    人事としては、評価情報の一元化・共有と評価プロセスの効率化が可能な「人事評価システム」の導入を検討するとよいでしょう。こうしたITツールを積極活用することにより、評価制度の課題であった「評価プロセスの停滞」を未然に防ぐことができます。

    被評価者(部下)側のコツ

    評価を受ける側である部下が人事評価を受けるときのコツについて説明します。

    なお、テレワークでの従業員間のコミュニケーションにおける工夫については 「テレワークのコミュニケーションの工夫12選!在宅勤務で成功するコツ」にまとめております。合わせてご覧ください。

    ・上司に対する高頻度の報告・連絡・相談の実施

    自分の日々の働きぶりを理解してもらうためには上司からのコンタクトを待つのではなく、自らコミュニケーションを取りにいく姿勢を見せることが重要です。

    上司の予定がタイトであり、会議の設定や直接の対話が難しくても、チャットメールを活用し、タスクに対するアウトプットについて小まめに確認し、フィードバックをもらいましょう。

    ・自身の考える成果やそこに至るプロセスの整理と上司との共有

    成果やそこに至るプロセスについて自身と上司の認識の齟齬をなくすために、現状を整理し、上司とその内容を共有しましょう。1on1ミーティングを活用し、少なくとも月に1回は上司と認識合わせの機会を持つことにより、自己評価と上司評価のかい離を最小限に押さえることができます。

    これまで見てきた制度の見直し、運用のコツを確実にクリアすることで、テレワークの人事評価の課題を解決し、適正な評価を実現することができます。

    テレワークにおける人事評価事例

    テレワークにおける人事評価事例

    最後にテレワークに適した人事評価を実施している企業、またコロナ禍におけるテレワークの普及に伴い、評価制度を改定した企業事例を紹介します。

    企業事例:レノボ・ジャパン(業種:電機機器メーカー / 社員数:約600名)

    レノボ・ジャパン合同会社は2005年の設立当初から、テレワークを導入しています。生産性と個々の社員の創造性の向上を目的とした導入であり、オフィス勤務時以上の成果を出すための制度として位置づけています。

    同社では全ての職務に職務定義を定めた職務記述書があり、従業員はその職務記述書と企業の上位方針に基づいて、KPI(重要業績指標)を設定。KPIに基づいて業績評価を実施しています。

    時間・場所問わず、成果に比重を置いた制度運用を行っています。

    企業事例:A社(業種:自動車部品メーカー / 社員数:約40,000名)

    筆者が在籍している企業の事例になります。同社では、評価者の目線合わせに力を入れています。年に1回、各職場で評価者研修を実施し、評価方法・評価基準のばらつきに差が生じないようにしています。具体的には、各職場で、評価モデルとなる従業員を選抜し、研修会場に招集。事前に本人に職務内容、成果についてレジュメを作成してもらい、そのレジュメを元に複数の評価者が本人にインタビューを実施し、評価事実を確認したうえで、評価をしてもらいます。最後に複数の評価者が自身の評価結果を持ち寄り、なぜその評価結果になったのか、議論をする場を設けています。

    評価方法・評価基準に対する評価者の捉え方に恣意性が生じないよう、毎年定点観測することにより、企業全体の評価品質担保に取り組んでいます。

    企業事例:KDDI(業種:情報・通信 / 社員数:約11,000名)

    KDDI株式会社は2020年8月からジョブ型の人事制度を導入しました。制度のコンセプトととしては働いた時間ではなく、成果や挑戦および能力を評価するというものです。導入の背景にはコロナ禍によるテレワーク普及に伴い、従業員の働き方が在宅と出社のハイブリッドになったことで、時間・場所にとらわれない働き方に即した制度構築が必要になったということです。

    従業員の成果、能力を適正に把握、評価するために同社では、各職務の職責・役割・職務内容を詳細に定義しています。

    従業員の働きぶりが見え難くなったテレワーク環境に適した取組みといえます。

    【まとめ】テレワークの人事評価を効果的に行うには?

    テレワークに適した人事評価を実施するためには、テレワーク環境の特性に合わせた評価項目・評価基準と上司・部下間で高頻度のコミュニケーションを取るための仕組みが必要であるとともに、その仕組みを回すための風土醸成、環境整備が必要です。

    環境整備についてはチャットや通話のアプリや人事評価システム等のITツールの活用が有効です。

    中でもHRBrainは、従業員の目標設定から評価までのオペレーションの全てをクラウド上のソフトウエアで一元化・効率化することができます。MBOやOKR、1on1などの最新のマネジメント手法に適しており、カンタン・シンプルに運用することが可能です。

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    HR大学 編集部

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