#人事評価
2023/11/14

フィードバックの種類は?3つの型で部下との信頼関係を構築する

目次

    この記事ではフィードバックの種類、シチュエーション別のフィードバックの使い方、その具体的な内容、例文について紹介してきます。

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    フィードバックとは

    フィードバックとは

    フィードバックとは、この図にあるように上司(評価者)から部下(被評価者)へ「行われた仕事に対する評価・改善点を伝える」ことです。

    また仕事に対する姿勢や言動について、フィードバックが行われることもあります。

    よいフィードバックには「目標達成」「人材育成」「モチベーションアップ」などの効果があります。

    フィードバックが必要な理由・目的については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

    関連リンク:フィードバックの目的

    フィードバックの種類

    フィードバックには、大きく分けて「サンドイッチ型」「SBI型」「ペンドルトン型」の3つの型があります。

    このほかにも、「ストラテジー型フィードバック」という、戦略を持ってフィードバックする方法もあります。

    この方法は、ひとりひとりの思考や好みに合わせて戦略を立て、フィードバックをする方法です。

    こちらは個々人に合わせての対応になりますので、実際に「型」として使える3つのフィードバックを具体的に紹介します。

    「サンドイッチ型」「SBI型」「ペンドルトン型」の特徴、メリット・デメリット、例文について、わかりやすくまとめています。

    サンドイッチ型

    フィードバックの型で、一番メジャーとも言える型、サンドイッチ型について紹介します。

    サンドイッチ型とは

    サンドイッチ型とは、その名の通り、パン、具、パンの順番で作る「サンドイッチ」のようにフィードバックをする型のことです。

    1. ポジティブなフィードバック/(パン)
    2. 改善点・指摘=ネガティブなフィードバック/(具)
    3. ポジティブなフィードバック/(パン)

    以上のように「褒める」間に「指摘」を挟むことで、被評価者のモチベーションの低下を最小限に抑えることができます。

    サンドイッチ型はこんなときに使う

    具体的に指摘したい「ネガティブなフィードバック」がある場合に使います。

    サンドイッチ型のメリット

    サンドイッチ型のメリットは、以下の2つです。

    • 被評価者のモチベーションの低下が最小限に抑えられる

    • 評価者はネガティブなフィードバックを行うことができる

    ネガティブな指摘をポジティブな内容で挟むため、被評価者がその評価を受け取る際に、モチベーションの低下が起こりにくくなります。

    評価者にとっても、ネガティブなフィードバックが行いやすい利点があります。

    サンドイッチ型のデメリット

    サンドイッチ型のデメリットは、以下の2つです。

    • ポジティブなフィードバックで終わるため、ネガティブなフィードバックが埋もれてしまう

    • 評価者がこの「型」を使いすぎると、被評価者は「褒められた後に指摘が続く」という思い込みが生まれる

    サンドイッチ型は、最後に必ず「褒める」ことで終わります。

    そのため、指摘が「褒める」というクッションに埋まり被評価者の「心に残りにくい」場合があります。

    また、評価者がこのサンドイッチ型に頼りすぎた場合、繰り返された「褒める」「指摘・改善点」の繰り返しに、被評価者は「褒められた。でも、次にはきっと指摘が来るんだ」という思い込みを生んでしまいます。

    そうならないためにも、これから紹介する型を織り交ぜて使うことをおすすめします。

    サンドイッチ型の例文

    【褒める】
    前日のプレゼンについてですが、図解がわかりやすく、声も出ていてよかったです。

    【指摘・改善点】
    一点、指摘をするとすれば、質疑応答のときに慌ててしまったのか、なにを相手に伝えたいのか、わかりづらかったです。
    なんでもいいから話を繋ごうとせずに、「1分、考える時間をいただけますか?」と言って、頭の中を整理し「結論」から話し出すようにすると、わかりやすい説明ができますよ。

    【褒める】
    プレゼンのスライドを相手の会社のフォーマットに合わせていた点も、よかったです。

    ※「コンサル一年目が学ぶこと」より、筆者にて作成

    SBI型

    次に、SBI型のフィードバックについて紹介します。

    SBI型とは

    SBI型とは、「状況(situation)」、「行動(behavior)」、「結果(impact)」の頭文字を取った型のことです。

    以下、詳しく紹介します。

    1. 状況/〇〇のとき
    2. 行動/△△していたことが(被評価者の行動・発言に対して)
    3. 結果/結果として、わたしには××のように見えたけど、どう思う?

    以上のように、具体的に、どのような状況で、どのような言動が、どのように結果としてあらわれたのか(評価者にどのように見えたのか)、順を追って説明するフィードバックの型です。

    SBI型はこんなときに使う

    ポジティブなフィードバックにも、ネガティブなフィードバックにも使うことができます。

    また、指摘したい具体的な行動がある場合は「SBI型」がおすすめです。

    SBI型のメリット

    SBI型のメリットは、以下の2つです。

    • フィードバック内容が頭に入りやすい

    • 被評価者に「内省」を促すことができる

    「いつ、どこで、どうなった」がセットになっているため、被評価者にとってわかりやすいという利点があります。

    また、自身の言動が「どういう結果を周囲にもたらしたか」という点が明確に(評価者から客観的に)伝えられるため、その点について深く考えることができ、被評価者の内省に繋がります。

    SBI型のデメリット

    上司と部下の間に信頼関係が構築されていない段階で、ネガティブなフィードバックをSBI型でしてしまうと、「批判されたこと」が被評価者の心に強く残ってしまう場合があります。

    サンドイッチ型と併用する、また被評価者のタイプによって使い分けるようにしましょう。

    SBI型の例文

    【ポジティブなフィードバック】

    • 状況(situation):わたしが調べ物を頼んだとき

    • 行動(behavior):どのような背景で、どのくらいのボリュームで、どの程度のクオリティで、ということに加えて、仕事の優先順位を確認しましたね。

    • 結果(impact):その事前の確認により、期待通りの成果を手にすることができました。とても助かりました。

    【ネガティブなフィードバック】

    • 状況(situation):わたしが頼んでいた調べ物の進捗を聞いたとき

    • 行動(behavior):言い訳をして「できたか」「できていないか」を先に答えませんでした。

    • 結果(impact):私は結果をすぐに知りたかった。「できない」のであれば、できる方法を考える必要があります。これからは結論を先に言うように心掛けてください。

    ペンドルトン型

    最後に、ペンドルトン型のフィードバックについて紹介します。

    ペンドルトン型とは

    ペンドルトン型とは、心理学者のペンドルトン氏が開発したフィードバックの型のことです。

    評価者と被評価者の間で、「言葉のやり取り」「対話」をすることが特徴です。

    1. なにを話すのか(確認)
    2. 良かった点
    3. 改善点
    4. 今後どうするのか(行動計画)
    5. まとめ

    評価者とともに「なにを話すのか」、はじめに認識を合わせ、そのテーマに対し被評価者が自分の言葉で考えて伝えるフィードバックの型です。

    ペンドルトン型はこんなときに使う

    具体的に被評価者に振り返ってほしい施策、プロジェクトがある場合に使えます。

    また、ポジティブなフィードバック、ネガティブなフィードバックの両方で使うことができます。

    ペンドルトン型のメリット

    • 被評価者のモチベーションがアップする

    • 部下から能動的な行動を引き出しやすい

    • 課題解決の次の行動の合意の場となる

    • 被評価者との間に信頼関係を構築しやすい

    ペンドルトン型のメリットは「被評価者のモチベーションがアップする」ことです。

    上司に言われたことをやるのではなく、被評価者が内省することで「評価すべき点」「反省点」を自分自身の言葉で振り返ることができます。

    そのため、モチベーションがアップしやすいという利点があります。
    その結果、被評価者の能動的な行動を引き出すことに繋がります。

    「次は、具体的にどう行動するのか」を被評価者と評価者の間で合意する場にもなります。

    こうしたじっくりとした対話型のコミュニケーションからは、信頼関係を構築しやすいという利点もあります。

    ペンドルトン型のデメリット

    • フィードバックに時間がかかる

    • 被評価者の振り返りが客観性を欠く場合も

    被評価者と評価者との間で対話を行うため、ほかの型に比べて時間がかかります。

    また、部下が自分の言葉で課題や行動計画をうまく言葉にできず、つまることもあるでしょう。

    また、部下が自身の行動を振り返った際に、内省がうまくできないと提案した改善点が客観性を欠くことがあります。

    その場合、評価者が望む「良かった点」「改善すべき点」は引き出せません。

    そういった場合は、ペンドルトン型に進む前に、前に紹介したサンドイッチ型、SBI型のフィードバックで、被評価者の内省のレベルを引き上げるようにしましょう。

    ペンドルトン型の例文

    例文-2

    まとめ

    この記事ではフィードバックの3つの種類について具体的にお伝えしました。

    3つの型である「サンドイッチ型」「SBI型」「ペンドルトン型」は、以下のように使い分けることができます。

    • ネガティブなフィードバックがある場合はポジティブで挟む「サンドイッチ型」

    • 指摘したい具体的な行動がある場合は「SBI型」

    • 対話で被評価者に内省を促し、自身で気づいてほしい場合は「ペンドルトン型」

    「サンドイッチ型」はその名の通り、パン、具、パンの順番で作る「サンドイッチ」のようにネガティブなフィードバックをポジティブなフィードバックで挟む型です。

    ネガティブなことを伝えるときに、被評価者のモチベーションの低下を最小限に抑えることのできる型です。

    「SBI型」は「状況(situation)」、「行動(behavior)」、「結果(impact)」の頭文字を取った型のことです。

    具体的に、いつ、どんなことが、どのように結果としてあらわれたのか(評価者にどのように見えたのか)、順を追って説明します。

    指摘したい具体的な行動を伝えるので、被評価者の言動に気になることがあったときや、1on1のミーティングに向いています。

    「ペンドルトン型」は、前に紹介した2つの型よりも、やや上級者向けです。

    なぜなら、被評価者が自身で内省をしたうえ、それを言葉で行動計画として発言する必要があるためです。

    自分自身を客観視することは難しいことです。

    被評価者が導き出した答えが的外れなこともありえます。

    「ペンドルトン型」の場合、評価者は忍耐強く被評価者と向き合い、言葉を引き出す必要性があります。

    そして「ペンドルトン型」は対話を行うため、ほか2つの型に比べて時間がかかるというデメリットがあります。

    しかし、この型は被評価者の成長を促し、評価者と被評価者の信頼関係を構築しやすいという利点もあります。

    被評価者の特性や好み、考え方やレベルに合わせて、この3つの型を使いこなせるようになることは、良質フィードバックへと繋がります。

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    HR大学編集部
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