#人事評価
2023/11/10

【実践編】人事がKPIを活用するには?KGI・SMART・OKRを使いこなすコツを紹介

目次

    人事部では年間を通じて様々なKPIを設定します。KPIの多くは会社の戦略や全社方針に沿ったものが中心です。一方で人事の仕事は定性的なものも多いためKPI設定が難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は人事のためのKPI活用実践編を解説します。

    KPI・KGIとは?KSFやSMARTの法則とは?

    KPIとKGIとは

    あなたもKPIという言葉をよく仕事の中で耳にしたことがあるのではないでしょうか。一方でKPIに似た言葉としてKGIやKSFという言葉も使われています。それぞれ、どのような違いがあるのでしょうか。

    KPIとは?

    KPIとは、Key Performance Indicatorsの略で日本語では重要業績指標と訳されます。KPIは明確な定義が定まっておらず、使用される場面によって意味や内容が異なります。一般的なビジネスシーンでは、主に「組織のある目標を達成するための指標」としてKPIが使用されています。

    KGIとは?

    KGIはKey Goal Indicatorsの略です。日本語では「重要目標達成指数」と訳されます。一般的なビジネスシーンでは、最終的に達成すべき目標として使用されます。

    KPIとKGIの違いについてさらに詳しく知りたい方は「KPIとKGIの違いとは?設定方法と設定するメリットについて」をお読みください。

    KSFとは?

    KSFはKey Success Factorsの略で、KFS(Key Factors for Success)と表現される場合もあります。KPIの中でも特に目標達成につながる成功要因のことを指します。また、定義によってはKGIを達成する成功要因をKSF、そしてKSFを達成する指標がKPIに分解されます。

    SMARTとは?

    SMARTとはKPIなどの目標を効果的に設定する方法を示したフレームワークです。目標設定方法を表す5つの英単語の頭文字から構成されています。Specific(具体的な)、Measurable(測定可能な)、Achievable(達成可能な)、Relevant(関連性のある)、Time-bound(期限のある)の5つです。この5つの要件に沿えば、具体的かつ実行可能なKPIを設定できます。

    人事におけるKPI・KGIの活用シーン

    人事におけるKPIとKGIの活用シーン

    人事では、これまであまりKPIやKGI管理が行われてこなかったのではないでしょうか。理由は人という数値では測れない経営資源を扱ってきたからです。しかし、優れた企業では人事でも必ずKPI・KGIの管理を行っています。

    方針管理における年次目標のKPI設定

    メーカーを中心とする日本企業では、方針管理が定着しています。方針管理とは組織全体の戦略や経営方針を定め、その方針を下位組織に分解することで組織全体で全社方針に沿った組織管理を行う手法です。方針管理では定性的な目標に加え、定量的な目標が設定されます。一般的に年単位で方針と目標が設定され、年間を通じて各組織の目標がKPIとして運用されます。いわゆるPDCAサイクルは方針管理の用語であり、設定したKPIに対して常に振り返りながら改善を行っていきます。

    採用活動におけるKPI/KGI

    近年の採用活動ではKPIやKGIの設定が重要になってきています。かつての採用活動では、採用人数だけが重要なKPIでした。新卒一括採用が主流で、4月入社が中心だった時代では募集から内定までのプロセスが決まっており、細かなKPI管理は不要でした。しかし近年は人材不足や通年採用の定着により、一律のKPI管理が難しくなってきています。最近の採用部門は、セールス部門と同じく、最終の採用数をKGIとして、ターゲットとなる応募者との接触数、応募者数、内定数など細かなKPI管理が求められているのです。特に採用活動ではKGI、KPI管理が重要な取り組みであると言えるでしょう。

    人材育成におけるKPI/KGI

    人材育成の分野でも近年、企業のデジタルトランスフォーメーションや企業価値向上の取り組みの影響により、KGIやKPI設定が重要になってきています。以前は測定が難しかった人材育成の投資対効果も、タレントマネジメントシステムによるデータの見える化により取り組み安くなってきました。例えば、タレントマネジメントシステムの活用によりスキルの見える化ができるようになり、スキルがどれだけ伸びたかを測れるようになりました。人材育成におけるKPI設定は今後のトレンドとして注目される取り組みです。

    カークパトリックモデルを活用した研修のKPI設定

    研修効果のKPI設定で、最も主流な方法は研修効果を4段階に表した「カークパトリックモデル」に基づいた方法でしょう。カークパトリックモデルにより、研修を単なる授業ではなく、企業の成長に貢献する施策へと進化できます。このモデルを活用した具体的なKPIは育成人数だけではなく、スキルレベルの設定、総学習時間、学習から実践までの時間、実践による生産性向上など、様々な内容が考えられます。カークパトリックモデルを始めとするインストラクショナルデザインは、今後の効果的な研修設計方法として注目される分野です。

    組織開発におけるKPI/KGI

    組織開発もKPI活用により取り組みやすくなります。近年よく組織開発の場面で活用されているKPIが従業員エンゲージメントです。エンゲージメントツールの発達により、かなり高い精度で簡単にエンゲージメントを測れるようになってきました。従来は、なんとなく組織を活性化するために実施されてきた組織開発もエンゲージメントサーベイなどのツールを活用すれば定量的に取り組むことができます。

    OKRとKPI/KGIの関係と設定方法

    OKRとKPIの関係と設定方法

    近年、新たなマネジメント手法としてOKRが注目されています。OKRはGoogle社やメルカリなど、IT業界で成長を続ける企業が導入している目標管理手法です。OKRでは組織単位と個人単位でのKPI設定がとても重要です

    OKRとKPI/KGIの関係

    OKRでは会社全体の目標がKGIとして3~4つ程度設定されます。そのKGIが各部門のKPIに分解され、各部門のKPIは部門のKGIになります。さらに部門KGIが部署単位、個人単位に分解され、上位組織のKPIが下位組織のKGIとなり目標が連動していきます。このようなKPIとKGIの連動がOKRの大きな特徴です。

    OKRについてさらに詳しく知りたい方は「OKR入門書」「OKRを導入したい!でもやり方がわからない…設定のポイントと目標の作り方」をご活用ください。

    OKRにおけるKPI設定方法

    OKRではまず会社全体の戦略を実現するKGIが定められます。先ほどもご説明した通り、会社のKGIが部門のKPIに分解され、最終的に個人のKGIとKPIになります。OKRでは全てのKGIとKPIが必ず会社戦略の実現につながるものでなければなりません。また、関係部署や会社全体でKPIのすり合わせを行うことも重要です。OKRの思想はもともと社員全員が会社戦略の実現に関与するものです。そのためOKRのKPI設定では、「全員参加」ですり合わせを行うことが不可欠な取り組みです。

    OKRの導入についてさらに詳しく知りたい方は「やってみたけどうまくいかなかった?OKR、失敗例とその理由」「OKR、目標の設定はできたけど、実際の流れは?1週間の運用例」をお読みください。

    KPI設定による人事戦略/人事中計の実現

    KPI設定による人事戦略の実現

    近年は戦略人事が注目され、人事部門も中期計画を発表するようになりました。人事中計には具体的なKPIが盛り込まれる場合もあります。人事戦略実現のためには、どのようなKPIを設定すればよいのでしょうか。

    KPI設定とKPIツリーの展開方法

    KPI設定にはKPIツリーの作成が欠かせません。例えば「組織の生産性向上」というKGIがあった場合、内容が具体的ではないため、このままでは達成が困難になってしまいます。そこで組織生産性につながる項目を変数として因数分解していきます。具体的には、従業員の残業時間、研修受講者数、人員数、売上高人件費率などです。このようにゴールから因数分解したKPIをKPIツリーとして展開し、人事担当者や関係部門と共有しましょう。
    KPIツリーの作成、フレームワークを使った活用について、さらに詳しく知りたい方は「【実践】人事フレームワークまとめ・KSF活用。SWOT/PEST分析」をお読みください。

    ピープルアナリティクスとKPI設定

    KPIツリーの構成要素となる因数を測るためには、各因数の定量化が欠かせません。因数の中には、従業員エンゲージメントなど、これまでの取り組みでは測定困難なKPIが含まれる場合があります。その場合はエンゲージメントサーベイなどのサーベイツールを使用するほか、独自の尺度を作成して定量的に測定ができようにしましょう。こうした人と組織に関する定量データを常に収集・監視して人事管理を行う手法をピープルアナリティクスと呼びます。ピープルアナリティクスの手法を導入すれば、KPI設定の効率化が可能です。
    ピープルアナリティクスについてさらに詳しく知りたい方は「ピープルアナリティクス~Googleが注目する人事の問題解決手法~」をお読みください。

    中期経営計画への人事KPI盛り込み

    近年は人事中計だけではなく、会社自体の中期経営計画に人事指標が盛り込まれるようになってきました。ESGの取り組みが注目され、企業も人的資源を活用して長期的な成長を志向するようになったからです。中期経営計画では細かなKPIよりも、大まかなKPIやKGIが盛り込まれます。人事部門であれば、女性管理職比率などのダイバーシティ指標、モチベーションスコアといったエンゲージメント指標、教育訓練予算といった人的投資費用などです。人事部門のKPIが中期経営計画に盛り込まれる場合、「うちの会社はここを強調したい」という対外的なアピールポイントになります。もし中期経営計画づくりに人事担当者のあなたが携わるなら、「人事としてはここに注力する」と対外的にアピールできる材料をKPIやKGIとして設定するとよいでしょう。

    人事向けESG・SDGsについて、さらに詳しく知りたい方は「【人事向け】SDGsとESGって何するの?読んでスッキリ具体的な取り組み方法を紹介」をお読みください。

    人事のKPI運用にはタレントマネジメントシステムが不可欠

    人事のKPI管理は専用のツールが不可欠です。人と組織の事象には様々な要因が関係してきます。そのため特定の現象の因果関係を明確にすることが難しく、一つの現象を説明するために複数のデータが必要です。例えば離職率上昇の原因を探る場合、エンゲージメントだけではなく、報酬水準や残業時間などのデータも参照が必要です。こうした複合的データを収集してビッグデータとして解析するためには最新のタレントマネジメントシステムが不可欠です。本格的にKPI管理に基づく人事管理を推進するなら、タレントマネジメントシステムの導入を真剣に検討しましょう。

    人事のデータ活用についてさらに詳しく知りたい方は「人材を可視化するには?タレントマネジメントシステムとスキルマップを紹介」をお読みください。

    ますます重要になる人事のKPI管理

    人事部はこれまで定量的な管理とはほとんど無縁の世界でした。人事施策の多くは定量的な効果測定が難しく、その効果や効率が不明確なことも多かったのではないでしょうか。しかしデジタルトランスフォーメーションが進む現代では、全てがデータとして存在していきます。人事部門においても可能なものは極力データ化し、重要なものはKPIとして管理していく必要があるのです。KPI管理はこれからの時代の人事部門にとって、重要な課題であると認識しましょう。

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    HR大学編集部
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