オーセンティックリーダーシップとは何か?他のリーダーシップ論との違いを詳しく紹介
- オーセンティックリーダーシップとは?
- オーセンティックリーダーシップが注目されている2つの背景
- 従来のリーダーシップが通用しない
- 時代の変化が激しい
- オーセンティックリーダーシップに必要な特性5つ
- 自己の目的理解
- 価値観の明確化
- 真心を込めたリード
- 継続的な人間関係の構築
- 自分を律するメンタル
- オーセンティックリーダーシップのメリット
- 従来のリーダー像に縛られない
- 周りを巻き込みやすくなる
- 仕事仲間と強い信頼関係を築ける
- オーセンティックリーダーシップのデメリット
- 成長意欲がなくなるリスクがある
- リーダーの在り方に柔軟性がなくなる可能性がある
- オーセンティックリーダーシップを鍛える方法
- 自分の弱みをさらけ出す
- 他人と比較しない
- 人生の目的を見つける
- 自分史を作る
- オーセンティックリーダーシップの理解を深めるうえで役立つ本
- オーセンティックリーダーシップ/ハーバードビジネスレビュー
- ミッション・リーダーシップ
- なぜ、あなたがリーダーなのか
- メモの魔力
- まとめ
「オーセンティックリーダーシップという単語は聞いたことはあるけれど、中身はよく知らない」
「他のリーダーシップ論と何が違うの?」
「オーセンティックリーダーシップのメリットを知りたい」
このようなことを考えていませんか。
オーセンティックリーダーシップは、指導者の新たな在り方として注目されているため、気になっている方も多いですよね。
しかし、どのような概念なのか分からず、職場にうまく応用できていない企業は少なくありません。
そこで、この記事では以下の内容についてご紹介します。
オーセンティックリーダーシップの概要
注目される背景
メリットデメリット
オーセンティックリーダーシップを身に付ける方法
この記事を読めば、オーセンティックのリーダーシップを正しく理解し、活用するヒントが見つかるので、ぜひ最後までお読みください。
オーセンティックリーダーシップとは?
オーセンティックリーダーシップとは、和訳すると「本物の(真正の)リーダーシップ」という意味で、自分らしさを最大限発揮するためのリーダーの在り方といえます。
これまでのリーダーシップは、お手本となる上司や先輩がいて、その人たちをマネして自分の指導力を上げることが一般的でした。
しかし、オーセンティックリーダーシップでは、自分の価値観、信条、モラルに従ってチームをマネジメントするべきという考えが根底にあります。
オーセンティックリーダーシップが注目されている2つの背景
オーセンティックリーダーシップが注目されている背景は、主に2つあります。
- 従来のリーダーシップが通用しない
- 時代の変化が激しい
順番にみていきましょう。
従来のリーダーシップが通用しない
これまでのリーダーシップが通用しなくなりつつあることが、オーセンティックリーダーシップに注目が集まる理由の一つです。
1940年代までリーダーシップとは、生まれながらにして備わっている才能で、自分の行動で身に付けることは不可能と思われてきました。
しかし、1960年代頃になるとリーダーシップは多様化しました。なぜなら組織の在り方が多様化したからです。
例えば、従来までは軍隊のようなトップダウンモデルが主流だったのに対し、グローバル化が進んだ現代では異文化理解に長けたリーダーが求められるケースも珍しくありません。
このように、これまでのリーダーシップの概念が通用しなくなったため、新たなリーダーの在り方が問われるようになりました。
その一つとして、リーダーの個性を活かせるオーセンティックリーダーシップが注目されています。
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時代の変化が激しい
時代の変化が激しいことも、オーセンティックリーダーシップが重視される背景にあります。
例えば、高度成長期は大量生産・大量消費が当たり前だったので、多くの従業員を効率的に統率するトップダウンモデルが好まれていました。
少し乱暴な言い方をすると「上司は命令だけして、部下は黙って従えばいい」というだけで、リーダーシップは成り立っていたのです。
しかし、長引く経済不況や2020年に発生した新型コロナウイルスの影響などで、将来の見通しが立たなくなっています。
これまでの組織の在り方を当たり前と思うと、企業の経営が危うくなるでしょう。
しかし、オーセンティックリーダーシップなら、リーダーの価値観や信条が反映されるため、時代の変化や不測の事態に振り回されない強い組織を作ることができます。
オーセンティックリーダーシップに必要な特性5つ
オーセンティックリーダーシップの概念は何となく理解できたと思いますが、具体的にどんな資質が必要なのでしょうか?
ここでは必要な特性を5つ紹介します。
自己の目的理解
モラルを遵守した行動
真心を込めたリード
継続的な人間関係の構築
自分を律するメンタル
どれか一つ欠けても、オーセンティックリーダーシップを十分に発揮できないので、じっくり読んでみてください。
自己の目的理解
リーダーが仕事や人生でどんな目的を持っているのかきっちり理解することが、オーセンティックリーダーシップで重要な資質の一つです。
チームを率いて仕事をすることは簡単ではありません。ときには、目標達成を諦めたくなることもあるでしょう。
しかし、リーダーにゆるぎない夢や野望があれば、時代の変化に流されることなくリーダーシップを発揮できます。
価値観の明確化
大切にしたい価値観を明らかにできることも、オーセンティックリーダーシップの特性です。
なぜなら、リーダーに譲れない信念があると周りが協力してくれるからです。
一方、ビジネスでチームが苦境に立たされた際に、拠り所になる軸がないと正しい判断ができなくなります。
どんな仕事でも大切にしたい価値観
信念に基づいた行動をするために心がけていること
この辺りを言語化することが、オーセンティックリーダーシップに必要です。
真心を込めたリード
オーセンティックリーダーシップを発揮するためには、真心を込めて周囲をリードすることも欠かせません。
真心を込めたリードとは、リーダー自ら積極的に部下や同僚などに関わっていく姿勢です。
自分の信念・価値観を積極的に発信する
公私問わず自ら話しかけるなど親睦を深める
リーダーが敬意を払ってメンバーに接すると、短期間で信頼を得られます。理解ある仲間がいれば、堂々と自分らしいリーダーシップを発揮できるでしょう。
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継続的な人間関係の構築
自分らしいリーダーシップを出すためには、長期的な人間関係を築く必要があります。
具体的には、以下のような行動を心掛けることがベストです。
メンバーの仕事を応援すること
周囲に頼ること
丁寧な言葉遣いを意識すること
常に相手に敬意を払い、相手も「自分が必要とされている」という自覚をもってくれたら、末永い関係を築けるでしょう。
周囲と信頼関係を築くコツは、一対一のコミュニケーションを重視することです。
弊社HRBrainでは、1on1などのマネジメント手法をカンタンに運用できるサービス「タレントマネジメントシステム」を提供しているので、ぜひお試しください。
自分を律するメンタル
ありのままの自分でいいとはいえども、気分で仕事を進めてはチームがまとまりません。
真に自分らしさを貫いてリーダーシップを発揮するなら、自分を律しましょう。
体調管理
ストレスマネジメント
この辺りを意識して自己管理できていれば、周囲から「どんなときでも高いパフォーマンスを出してくれる」と認めてくれるはずです。
オーセンティックリーダーシップのメリット
数あるリーダーシップ論の中で、オーセンティックリーダーシップにはどのような利点があるのでしょうか?
ここでは、オーセンティックリーダーシップを身に付けるメリットを3つ紹介します。
- 従来のリーダー像に縛られない
- 周りを巻き込みやすくなる
- 仕事仲間と強い信頼関係を築ける
従来のリーダー像に縛られない
これまでのリーダー像にとらわれる必要がない点で、オーセンティックリーダーシップは魅力的です。
繰り返しになりますが、オーセンティックリーダーシップは自分の価値観や信条が軸にあるため、他の人のマネでは力を発揮できません。
しかし裏を返せば、先輩や上司のやり方を無理に取り入れる必要もないため、ノビノビとリーダーシップを発揮できることがメリットといえます。
ただし自分らしいリーダーシップを執るためには、自分の行動目的や価値観を常に発信することが大切です。
自分が仕事で成し遂げたいことは何か
どんな仲間と仕事をしたいか
自分の得意・不得意なことは何か
この辺りをしっかり言語化し周りに伝えれば、自然と共感した仲間ができるでしょう。
自分の軸に合った仲間と仕事をすれば、個性を活かしたリーダーシップを発揮できるはずです。
周りを巻き込みやすくなる
周囲の同僚や上司を巻き込みやすくなるのも、オーセンティックリーダーシップの大きなメリットです。
なぜなら、自分の不得手なこともさらけ出せるからです。
従来のリーダーシップでは上意下達な指揮命令が主流で、うまく周囲の協力を得られないケースも珍しくありません。
皆さんの職場でも、以下のようなケースに直面したことはないでしょうか?
部下の意見を聞いてもらえず、上司が一方的に命令する
上司・先輩の仕事の完成度が高く、自分が入り込む余地がない
しかし、オーセンティックリーダーシップでは、自分の弱点も積極的に発信する必要があります。
そのため、上司の弱みを見た部下が「自分の得意や強みが活かせそう」と判断し、積極的にリーダーをサポートしようと動いてくれる可能性が高いです。
このように、オーセンティックリーダーシップは、個々の主体性を刺激しながらうまく周囲を巻き込める点で、メリットが大きいですね。
仕事仲間と強い信頼関係を築ける
オーセンティックリーダーシップは、仲間とより強い信頼を築ける点で有効です。
なぜなら、部下とは主従関係ではなく価値観や信条でつながっているからです。
これまでのリーダーシップは、部下をどう効果的に指導するかに重点が置かれていたため、メンバーと価値観の共有が不十分なケースも少なくありませんでした。
しかしオーセンティックリーダーシップは、リーダーが大切にしたい価値観や信念を押し出しています。
そのため、リーダーの人柄に共感した仲間が集まるため、信頼関係が強くなる傾向にあります。
オーセンティックリーダーシップのデメリット
オーセンティックリーダーシップには多くのメリットがありますが、完璧というわけではありません。
場合によってはリーダーの成長を妨げたり、チームがうまく機能しなくなる可能性もあります。
ここでは、デメリットを2つ紹介します。
- 成長意欲がなくなるリスクがある
- リーダーの在り方に柔軟性がなくなる可能性がある
成長意欲がなくなるリスクがある
オーセンティックリーダーシップはありのままの自分を貫くことですが、現状に満足して成長を止める可能性があります。
リーダーに成長する意思がなくなれば、メンバーのモチベーションも下がり、ビジネスで結果を出すことは難しくなります。
前章でも解説しましたが、リーダーのオリジナリティを磨くためには、常に学び続ける姿勢が必要です。
自己投資や目標のアップデートなど、リーダー自身が自分を高める努力をしましょう。
リーダーの在り方に柔軟性がなくなる可能性がある
自分のリーダー像にこだわり過ぎて、融通が利かなくなるリスクもあります。
自分の意志を優先したいあまり、メンバーの意見を聞かなかったり、否定的な意見を出したりするとチームの動きが悪くなります。
今の時代は変化が激しいため、リーダーが柔軟な姿勢をみせないとビジネスでは生き残れません。
自分らしさを出すことは大切ですが、チームを取り巻く状況を観察し、余計なこだわりは捨てるようにしましょう。
オーセンティックリーダーシップを鍛える方法
オーセンティックリーダーシップの内容は、何となく理解できたと思います。しかし、どうやってスキルを身に付けたらいいか分からない人もいますよね。
ここでは、オーセンティックリーダーシップを鍛える方法を4つ紹介します。
自分の弱みをさらけ出す
他人と比較しない
人生の目的を見つける
自分史を作る
自分の弱みをさらけ出す
自分らしいリーダーシップを発揮するためには、まず弱みを見せましょう。なぜなら、周囲の人がサポートしてくれるからです。
リーダーと聞くと完璧な存在でないといけないというイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、何でもできる人はいないですし、できる人のように振る舞うとメンバーから「私がサポートするまでもない」と思われるでしょう。
しかし、同僚や部下がリーダーの弱みを把握していたらバックアップもしやすくなります。その結果、リーダーはより自分の得意な仕事に力を注げたり、メンバーが主体性を発揮できたりするはずです。
他人と比較しない
他人と比べるのは、オーセンティックリーダーシップを発揮するうえでNGです。
くどいようですが、オーセンティックリーダーシップは、自分らしさを出してこそ価値があります。
実際はメンバーに慕われたり十分な実績が出たりしているにもかかわらず、上司や同僚と比べて落ち込む人も少なくありません。
リーダーがメンタル面で不安定になれば、チームのパフォーマンスも落ちてしまいます。
他者と比べて落ち込むのではなく、良いところを取り入れる意識を持ちましょう。第三者の強みを学べば、自分のリーダーシップに磨きをかけられます。
人生の目的を見つける
オーセンティックリーダーシップを執るためには、人生で成し遂げたい夢や目標を明らかにしましょう。なぜなら、理想をもつリーダーの下に人は集まるからです。
当然ですが、いつも仕事が上手くいくとは限りません。
時代の変化やメンバーの入れ替わりで、パフォーマンスが落ちることもあるでしょう。そんなときでも、リーダーが野心に溢れていればメンバーのモチベーションも上がるはずです。
リーダーになったら叶えたい夢や目標を言語化し、周囲に積極的に発信しましょう。
自分史を作る
自分史を作ることも、オーセンティックリーダーシップで大切な作業です。なぜなら、自分が大切にしたい価値観を見つけられるからです。
自分史を作る際には、以下の項目を洗い出してください。
価値観が変わった出来事
その時にとった行動
人生のターニングポイントで周りにどんな人がいたか
自分の考えが変わったり感情が動いたときには、その人の価値観が最も表れるといわれています。
自分史の作成を通じて、価値観を明確にしましょう。
オーセンティックリーダーシップの理解を深めるうえで役立つ本
オーセンティックリーダーシップを体系的に学ぶなら、本もおすすめです。ここではオーセンティックリーダーシップに役立つ本を4冊厳選しました。
- オーセンティックリーダーシップ/ハーバードビジネスレビュー
- ミッション・リーダーシップ
- なぜ、あなたがリーダーなのか
- メモの魔力
どれか1冊でもいいので、興味が湧いた本を読んでみてください。
オーセンティックリーダーシップ/ハーバードビジネスレビュー
本書は、世界最高峰のマネジメント誌「ハーバードビジネスレビュー」で特集された、オーセンティックリーダーシップの解説本です。
内容の充実度は折り紙付きで、世界中のエグゼクティブが購読するほどです。
実際に読んだ人のレビューをみると「オーセンティックリーダーシップで理解しきれない概念をうまくつかめた」と評価する声もありました。
本書は、オーセンティックリーダーシップを基礎から学びたい人におすすめですね。
オーセンティックリーダーシップ/ハーバードビジネスレビューの詳細はこちら
ミッション・リーダーシップ
ミッション・リーダーシップは、最先端医療テクノロジー会社「メドトロニック」のCTOやイェール大学教授を歴任した「ジョージ=ビル」のリーダーシップ指南書です。
本物のリーダーシップとミッション経営をテーマに、世界を変える企業のリーダーがどうあるべきかを詳しく解説しています。
特に、リーダーがもつべきコアバリューの重要性と、リーダーの価値観を組織に浸透させる方法を説いています。
リーダー自らミッションに基づいた行動を実践して、従業員の模範になる
全ての従業員と一対一で対話
本書を読めば、リーダーの価値観に説得力をもたせるノウハウを学べるはずです。
なぜ、あなたがリーダーなのか
本書は、組織行動学の専門家「ロブ=ゴーフィ」と「ガレス=ジョーンズ」が書いたオーセンティックリーダーシップの決定版で、ハーバードビジネスレビューでは最優秀論文賞に輝いた名著です。
理想のリーダー像と現実のギャップに悩む原因を詳しく解説しています。具体的には、以下の項目にフォーカスを当てています。
置かれた環境に応じてリーダーシップを変えること
コミュニティ内での肩書きを問わないこと
人間関係に根ざしたリーダーシップを執ること
これまでのリーダー像とは異なったアプローチをしており、読者のコメントを読んでも「リーダーが自分らしくあることの大切さが分かった」と評価していました。
仕事で思うようにリーダーシップを発揮できないという人は、本書でオーセンティックリーダーシップの基礎を学んでみてください。
メモの魔力
日本を代表する実業家のひとり「前田裕二」氏の「メモの魔力」は、価値観の洗い出しに適した本です。
著者が「僕にとってメモとは、生き方そのものです」と主張しているように、メモによるアイデアの創出から価値観の洗い出し方まで、余すところなく解説しています。
特に巻末の「自分を知るための自己分析1000問」は、自己理解をとことん深めてくれるでしょう。
「自分が何を大切にリーダーシップを執ればいいか分からない」という人は、ぜひ本書で価値観を言語化してみてください。
まとめ
この記事では、オーセンティックリーダーシップの概念とメリット、デメリットなどについて紹介しました。
繰り返しになりますが、オーセンティックリーダーシップで自分らしさを貫けたら、これまでのリーダーシップ論にとらわれない指導力が身につきます。
仲間の信頼も勝ち取りやすくなるため、より優秀なチームができあがるでしょう。
しかし、ただありのままを貫くだけでは、リーダーとしての成長を妨げり周りを尊重しなくなったりする恐れもあります。
自分の信念を大切にしつつ、勤勉さと周囲への理解にも努めれば、理想のリーダーになれるはずです。
ぜひこの記事を参考に、オーセンティックリーダーシップを活かしてください。
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