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2024/03/05

コンプライアンス研修とは?内容や目的とテーマ別事例やネタの集め方を解説

目次

    コンプライアンス研修とは、従業員ひとりひとりの社会人としての規範や倫理観、責任感を養い、ルールを守る意識を高めるために実施される研修です。

    企業の信頼は、一度失墜すると回復することが困難なものです。

    そのため、コンプライアンス研修は、企業の信頼を保つために行うべき重要な取り組みといえます。

    この記事では、コンプライアンス研修について、コンプライアンス研修の目的や必要性、コンプライアンス研修でのテーマや、コンプライアンス研修やディスカッションの際に使用する事例について解説します。

    経営理念などのコンプライアンスの浸透に

    コンプライアンス研修とは

    コンプライアンス研修とは、従業員ひとりひとりの社会人としての規範や倫理観、責任感を養い、ルールを守る意識を高めるために実施される研修です。

    企業の信頼は、一度失墜すると回復することが困難なものです。

    そのため、コンプライアンス研修は、企業の信頼を保つために行うべき重要な取り組みと言えます。

    コンプライアンスとは

    コンプライアンス(compliance)とは、「要求や命令などに応じる」ことを意味しますが、ビジネスでは「法令遵守」と訳されることが一般的です。

    しかし相次ぐ企業不祥事を背景に、コンプライアンスは、就業規則などの「社内ルールの遵守」や、倫理などの「社会規範の遵守」というように、広義な言葉へと変化しています。

    コンプライアンス研修の企業においての必要性

    自動車メーカーのリコール隠しや、食品会社の産地偽装、鉄道会社による粉飾決算などの企業不祥事は、従業員ひとりひとりのコンプライアンス意識の欠如が大きな要因です。

    加えて、「CSR(企業の社会的責任)」の更なる意識の高まりを背景に、サプライチェーン全体でコンプライアンス強化に取り組む動きが加速化しています。

    コンプライアンス強化の社会要請にこたえるためには、従業員ひとりひとりのコンプライアンス意識を高めるための、コンプライアンス研修実施が不可欠です。

    ※サプライチェーンとは、製品の原材料や部品の調達から販売に至るまでの一連の流れを指します。

    コンプライアンス研修の目的

    コンプライアンスには、法令遵守、社会規範順守のほか、経営理念や就業規則などの「社内ルールの遵守」も含まれます。

    企業におけるCSRの取り組みもさまざまで、従業員ひとりひとりの「コンプライアンスの拠り所」を明確にすることが、コンプライアンス遵守の重要なポイントになります。

    ▼「経営理念」についてさらに詳しく
    企業理念と経営理念の違いは?それらを社内に浸透させる方法について

    経営理念などコンプライアンスの浸透に

    ⇒「HRBrain 人事評価

    コンプライアンス遵守に不可欠な「企業行動規範」とは

    「法令遵守」「人権の尊重」「環境対応」など、コンプライアンスの拠り所を明文化したものが「企業行動規範」です。

    企業行動規範とは、従業員の業務遂行における「判断の拠り所となる指針」であり、企業のコンプライアンス指針となります。

    つまり、企業行動規範がコンプライアンス研修の指針になるといえるでしょう。

    コンプライアンス研修でのテーマ

    コンプライアンス研修は、自社のコンプライアンス方針や企業行動規範をベースに、研修目標を立てることが重要です。

    企業行動規範に盛り込まれていることの多いコンプライアンス研修の主なテーマについて確認してみましょう。

    コンプライアンス研修での主なテーマ

    • 重要な法律知識を養うテーマ

    • 自社の行動規範やルールを理解するテーマ

    • トラブルを解決させるためのテーマ

    重要な法律知識を養うテーマ

    法律知識は、事業活動を行うにあたって、どのような場面でも必要とされる重要なコンプライアンス研修のテーマです。

    自社の業務に必要な法律知識や、法律に関連する重要なテーマなど、周知するべき内容を取り上げます。

    業務上、リスクが生じやすいテーマや、新しく立法されたり、改正されたりした法律などをテーマとして選定しても良いでしょう。

    例えば、開発やデザインなど新しいものを作り出す部門では「知的財産権」を、個人情報を取り扱う必要のある部門では「個人情報保護法」を、下請け取引など他社との受注委託に関する取引頻度の高い部門では「下請代金支払遅延等防止法」を取り上げるなど、それぞれの業務に関連するテーマを選ぶようにしましょう。

    さらに、「労働基準法」「インサイダー取引規制」「安全配慮義務」など全従業員が共通で遵守しなければならない法律も理解しておく必要があります。

    自社の行動規範やルールを理解するテーマ

    企業行動規範は、自社の従業員における「コンプライアンスの拠り所」となる重要なルールです。

    「法令遵守」のほか、「人権の尊重」「環境対応」「取引先への対応」などが、主な企業行動規範の対象となります。

    なかでも、企業不祥事が起きやすい「粉飾決算」「ハラスメント」「情報漏洩」など身近にあり得るテーマを取り上げることが重要です。

    近年では、従業員に関係する「SNS炎上」「不適切な商品やサービスの販売方法」などによる企業不祥事で、信頼を失墜するといったケースも少なくありません。

    自社にとって、重要な社内ルールや社会規範までカバーするテーマを取り上げるようにしましょう。

    トラブルを解決させるためのテーマ

    企業内外における従業員のトラブルはつきものです。

    とくに、従業員が多ければ多いほど、トラブルの発生頻度は高くなります。

    当初は、些細な事案であっても、大きなトラブルに発展することもあります。

    大きなトラブルは、コンプライアンス相談窓口に相談のうえ、コンプライアンス部門や顧問弁護士で対応することもあります。

    ハラスメントは、小さな揉め事や当事者の意識の違いなど、些細な出来事から発展するケースもあります。

    問題が起こる前に、些細なトラブル防止や意識改革をしていくことがハラスメントを防止する肝となるため重要です。

    このような日常的に起こりうるハラスメント問題や、取引先との付き合い方に関する問題など、自社に適したテーマを取り上げることが有用になります。

    組織が抱える問題の早期発見に

    ⇒「HRBrain 組織診断サーベイ

    コンプライアンス研修の事例やネタの集め方

    コンプライアンス研修を実施する際に、つまづきやすい事例やネタ集めについて確認してみましょう。

    テーマ別に適した事例やネタ集めの方法を紹介します。

    行動規範や人権のテーマ

    倫理規範や社内ルールなど、行動規範に関する事例を集める際は、ニュースで大々的に取り上げられた事例や、身近に起こり得る事例を取り上げると、受講者の興味を惹くことができ効果的です。

    特に、多様性の理解が求められるなか、人権に関するテーマを取り上げることは必須といえます。

    法務省では、人権に関するテーマについて、研修資料や動画を無料公開しているので、参考にしてみると良いでしょう。

    (参考)法務省「企業における人権研修~企業の人権研修担当の方々へ~

    法律テーマ

    法務省や厚生労働省など、各省庁の法律に関する説明資料を集める際は、労働法関係であれば、厚生労働省のリーフレットのほか、各法律の特集ページ、法律の概要資料などで、充実した情報を入手することが可能です。

    テーマによっては、「〇〇のわかりやすい解説」といった理解しやすい資料が提供されている場合もあるため、積極的に活用しましょう。

    各省庁に公開されているコンテンツは、利用規約上、「第三者の権利の侵害をしない」などの一定条件の下、出典を明記すれば、自由に利用できることが一般的です。

    ただし、実際にコンテンツを利用する際は、各省庁のポリシーを確認するようにしましょう。

    法律の目的や定義を説明する際は、法律の原文も必要です。

    政府が提供している法令検索ができるポータルサイト「e-Gov法令検索」も活用するようにしましょう。

    (参考)「e-Gov法令検索

    トラブル解決テーマ

    業務上、発生したトラブル、またはトラブルが発生しやすい事例を集める際は、些細なことの積み重ねでハラスメントに陥った事例、自社の利益を守るために不正に手を染めた事例、トラブルで自身を守るために隠蔽した事例などについての、判例を活用すると良いでしょう。

    裁判所の裁判例検索であれば、労働事件や知的財産について、下級裁判所から最高裁判所までの裁判例を検索することが可能です。

    大きな事件であれば、弁護士事務所のウェブサイトで解説されていることもあるため、著作権に留意しながら参考にすることも有用でしょう。

    (参考)「裁判例検索

    コンプライアンス研修を実施する際のポイント

    対面研修、eラーニング、動画研修などでコンプライアンス研修を実施する際のポイントについて確認してみましょう。

    講師による対面でのコンプライアンス研修

    いわゆる従来型の研修方法で、講師と受講者が対面して実施する研修です。

    対面で行うため、受講者に緊張感を持って受講させることが可能なことや、グループワークなどの運営がやりやすいというメリットがあります。

    コンプライアンス研修は、インプット学習だけでなく、グループワークなど受講者に考えさせるアウトプット学習を取り入れることが有用です。

    グループ内で、コンプライアンス事例について意見交換をすることで、研修内容の理解が深まるほか、新たな視点で物事を考える力がつくなどの相乗効果が期待できます。

    また、受講者同士の対面コミュニケーションを図ることができることも、大きなメリットです。

    オンライン研修やeラーニングによるコンプライアンス研修

    場所を選ばないオンライン研修や、自由な時間に受講できるeラーニングは、コロナ渦を背景に活用が急速に進展しています。

    従来型の対面型の研修では、講師や受講者の移動時間や交通費が発生する他、実施日程の調整、紙資料の準備など、多くの費用や手間が掛かっていました。

    オンライン研修やeラーニングでは、これらの費用や手間を大幅に削減することが可能です。

    さらに、ウェブ会議ツールを用いて、リアルタイムでオンラインで受講するオンライン研修の場合、Zoomの「ブレイクアウト」といったグループワーク機能を活用することで、オンライン上でもグループワークの実施が可能です。

    eラーニングは、動画を見る一方通行型の受講形態であるため、インプット学習で活用することが主となります。

    動画研修によるコンプライアンス研修

    コンプライアンス研修にグループワークを取り入れる場合は、動画を活用することが効果的です。

    問題行動の動画を視聴後、グループワークで受講者から考えを発表してもらい、解説をするという形式で研修を実施することで、受講者の理解が深まります。

    また、コンプライアンス研修用の動画であれば、解説も盛り込まれているため、講師による研修品質を均一化できるメリットもあります。

    コンプライアンス研修にグループワークを取り入れるには、動画を活用することが効果的です。

    人権に関するテーマであれば、法務省の人権研修動画コンテンツを活用すると良いでしょう。

    (参考)法務省「企業における人権研修~企業の人権研修担当の方々へ~

    ▼コンプライアンス研修を含む「社員研修」についてさらに詳しく
    社員研修とは?内容やプログラム例、おすすめサービスを解説

    コンプライアンス研修は自社に最適なもので

    コンプライアンス研修とは、従業員ひとりひとりの社会人としての規範や倫理観、責任感を養い、ルールを守る意識を高めるために実施される研修です。

    企業の信頼は、一度失墜すると回復することが困難なものです。

    そのため、コンプライアンス研修は、企業の信頼を保つために行うべき重要な取り組みといえます。

    さらに、コンプライアンス研修の効果を高めるには、インプットだけではなく、グループワークなどによるアウトプットを取り入れることがポイントです。

    対面研修、オンライン研修、eラーニングのそれぞれを組み合わせて、自社に最適なコンプライアンス研修を実施するようにしましょう。

    「HRBrain人事評価」では人事評価プロセスの見える化によって「経営理念」などの「コンプライアンス」の浸透と促進を「人事評価」を通して実現します。

    人事評価コメントやフィードバック面談の履歴などのデータをクラウド上で管理することで、評価プロセスのブラックボックス化や、評価のバラつきなどを防ぐことが可能になります。

    また、目標設定や目標に対しての進捗管理、従業員のスキルデータや育成記録なども、一元管理できるため、人事評価プロセスの透明化と合わせて、従業員の成長記録の蓄積も可能になります。

    HRBrain人事評価の特徴

    • 制度や目的に合わせたテンプレートが豊富

    OKR、MBOなどの「評価テンプレート」や、1on1やフィードバックなどに使用する「面談シート」が充実しています。

    • 企業ごとのプロセスに合わせて承認フローや項目を自由に設定

    評価シートやワークフローのカスタマイズが可能なため、評価制度の変更にも柔軟に対応す

    ることができます。

    • 評価の集計や調整もシステム上で完結

    部署別など任意の項目で集計が可能で、評価結果の調整もシステム上で完結できます。

    ▼「人事評価システム」についてさらに詳しく
    人事考課ソフト7選!自社にピッタリのソフトを選ぶコツを徹底伝授
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    HR大学編集部
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