企業理念と経営理念の違いは?それらを社内に浸透させる方法について
- 企業理念と経営理念の違いは?
- 両者の主な特徴と違い
- 理念を持つ重要性とは
- 理念を浸透させるための方法
- 企業理念を浸透させる方法・ポイント
- 経営理念を浸透させる方法・ポイント
- 理念を浸透させるメリット
- ブランドイメージを固められる
- パフォーマンス・エンゲージメントの向上が期待できる
- 採用におけるミスマッチを防止できる
- 従業員の価値観が統一される
- 理念が浸透しない理由は何か?
- 従業員が内容を把握していない・理解しづらい
- 内容がわかりづらい・時代に合っていない
- 体験に基づいたレベルに至っていない
- 理念そのものがうまく策定されていない
- 策定するだけで満足している
- 理念が浸透していない会社の特徴
- 企業の現状が理念とずれている
- 浸透させるための手段をとっていない
- 「理念」の背景や意味を理解していない
- 理念浸透とツールの関係性
- そもそもどんなツールがあるか
- まとめ
人間が何か大きな目標に向かって取り組む時、やる気や根性だけではなく「なぜ頑張るのか」や「どうして目指すのか」と言った理念・信念が重要です。
これは企業にとっても同じで、大きな成果をもたらす企業には、しっかりとした企業理念・経営理念が掲げられています。
今回は、企業理念と経営理念に焦点を当て、それらが重要な理由や社内に浸透させるコツをご紹介します。
企業理念と経営理念の違いは?
ここからは、企業理念・経営理念の違いを解説します。
両者の主な特徴と違い
企業理念と経営理念は、一見同じ意味を持つと思われがちですが、両者ともに異なった性質・特徴があります。
ここからは特徴に焦点を当て、互いの違いを解説します。
企業理念の特徴
まずは企業理念の特徴を説明します。
企業理念とは、「企業がなぜ存在するのか」や「なんのために事業活動を行うのか」を表すものです。
企業が企業理念を掲げることで、従業員に対して会社風土や取るべき行動規範を伝達しやすくし、組織内の意識統一につなげる効果が期待できます。
また、顧客や株主などのステークホルダーには、その企業の考えや信念を表せ、ブランドイメージを持ってもらうのに効果があります。
企業理念の大きな特徴は、「不変的なもの」や「継続的なもの」という要素を持っていることです。
仮に経営者が変わっても、企業理念は変えられることなく、長期的に継続されやすい傾向にあります。
経営理念の特徴
次に経営理念の特徴を説明します。
経営理念とは、経営者の考えや信念であり、経営を行う上で最も大切な考え方・信念を表したものです。
経営理念を掲げることで、従業員が日常業務の目標や目標を抱きやすくなり、企業の商品・サービス品質向上に効果があります。
経営理念の特徴は、「経営者が大切にする考えを反映させたもの」であり、経営者が変わる時に経営理念も変更されることもあります。
また、同じ経営者であっても、時代の流れや社会状況に合った理念に変更することもあり、企業理念とは違った特徴を持つのです。
理念を持つ重要性とは
企業理念と経営理念を持つ重要性とは、「企業としての軸」をしっかりと持つためです。
企業が事業活動を行う際、社会情勢や人々の生活スタイル、経済状況や市場環境など多くの外的要素に取り囲まれます。
特に近年のコロナ禍でこれが明確になったように、コロナウイルスがもたらした社会と人々の生活変化によって、企業活動にも大きな影響がありました。
不安定な社会情勢や人々の行動変化は企業の努力で防げるものでなく、長く続く企業には必ずと言っていいほど乗り越えななければならない試練のひとつとなります。
こうした変化に企業が対応していくためにも、「企業としての軸」は重要で、企業のビジョン・行動指針・スタイルの確率で、多くの試練に立ち向かえるのです。
理念を浸透させるための方法
事業活動を行う多くの企業では、企業理念や経営理念の浸透が重要であると認識しており、従業員への共有・伝達が行われています。
しかし、理念の浸透は決して容易なことではなく、苦戦している企業が存在するのも事実です。
ここからは、企業理念・経営理念を社員に浸透させるために取るべき方法をいくつかご紹介します。
企業理念を浸透させる方法・ポイント
まずは企業理念を浸透させるためのポイントです。
企業の実状に合った目標設定を心がける
大企業や長い歴史のある企業であれば、創業者が掲げてきた理念に加え、時代に合った理念や新たな目標を達成するための理念を策定できるので、高い目標設定を意識する必要はありません。
しかし、起業したばかりでまだ小さい会社なのに、あまりに大きすぎるビジョンを企業理念として設定してしまうと従業員の共感を得られないものとなります。
従業員が共感でき、かつ企業として成長できる理念を設定しましょう。
理念を実行させる
次に重要なポイントとして、掲げた理念を従業員に実際に実行させましょう。
理念を設定していても、従業員が行動に移せなければそれはただのスローガン程度の効果しか発揮できません。
掲げた企業理念の中には、企業として存在している理由や、事業を行う目的が含まれているため、それを従業員が実感できる経験をさせられるように工夫しましょう。
習慣化させる
従業員に企業理念として掲げている内容に沿った体験・経験ができても、これが継続されなければ効果は薄いでしょう。
従業員が日々の業務に励み、理念として掲げている内容に沿った成功体験を継続的に得られるよう、管理職をはじめ従業員の業務コントロールを行う必要があります。
コントロールする際には、PDCAサイクルをイメージして行うのがおすすめで、従業員がどうしたら理念に沿った成功体験ができるのかを振り返えられるプロセスで管理しましょう。
経営理念を浸透させる方法・ポイント
経営理念は、企業が事業活動を行う上で大切にしている考えや、アプローチ手段などが設定されており、言ってしまえば従業員が日常業務を行う時の目標事項が記されています。
そのため経営理念を浸透させるためには、従業員に理念に沿った行動を取らせ、しっかりと評価することが重要です。
従業員に行動させるときは、「認知」→「理解」→「共感」→「実践」→「継続」にステップで徐々に浸透させましょう。
認知
まずは従業員に会社の経営理念を、しっかりと認知してもらいましょう。
従業員が理念を確認しづらい環境であれば、理念を確認できるツールなどを導入する必要があります。
また、理念の確認方法の周知と同時に理念が作成された背景も伝えることでより深い理解が得られるでしょう。
理解
従業員に自社の理念を認知してもらった後は、理念に掲げた内容をしっかりと理解してもらえるように工夫しましょう。
社員研修などで理念に対して従業員がどうやって解釈するかを考えさせたり、会社の歴史・大切にしている文化の教育をしたりすることで、理念がどうして策定されたのかを深く理解することになるでしょう。
共感
次に、従業員に会社の理念を持ち続ける大切さに気づいてもらえるように工夫して取り組みましょう。
理念に対する共感を得るのは、従業員ひとりひとりに理念がしっかりと腹落ちしていないと難しいでしょう。
従業員が会社の理念を大切にすることで社会にどういった貢献ができるのか、何のためになるのかを一人ひとりに考えさせることで、自分事として理念に共感してもらえるかもしれません。
実践
従業員が理念に共感してもらえるようになった後、それを日常業務で実践できるように管理職を中心にコントロールすることが重要です。
理念に基づいた行動を取り、社会の貢献ができる喜び、誰かのためになった成功体験を継続的に経験させることで、理念を掲げる本来の目的が果たされます。
理念の実践を人事評価と連動付ける企業もあります。そのような企業ではコンピテンシーのように、企業理念の実践度合いを評価しています。
その際に、HRBrainなどのタレントマネジメントシステムを使う会社もあります。
継続
従業員が理念に基づいた行動で成功体験ができたとしても、1回だけでは効果は薄いでしょう。
何度も継続した成功体験をさせることで、従業員にとってなければならない重要な信念に変わります。
従業員には常に声掛け・意識付けさせ、継続して理念に基づいた行動が取れるように教育しましょう。
理念を浸透させるメリット
ブランドイメージを固められる
ブラインドイメージとは、「企業らしさ」という意味を持っています。
商品・サービスを提供するすべての企業は、顧客からブラインド(見えない)イメージ(印象)を自然と持たれ、その良し悪しで業績にも影響するのです。
企業のサイトや広告などで自社の理念をアピールすることで、目には見えない企業の魅力をアピールできます。
パフォーマンス・エンゲージメントの向上が期待できる
企業の理念を従業員が実務でも行動に移せるほど理解していれば、自分が何をすればいいのかが明確になり、業務パフォーマンスの向上が期待できます。
従業員には理念を浸透させ、目指すべき目的やゴールの提示が重要なのです。
また、近年では従業員が所属している会社にどれだけ愛着があるか、愛社精神を持って働けているかを表すエンゲージメント度と言うものも注目されており、理念の浸透はこのエンゲージメントにも影響があると期待されています。
日常業務のパフォーマンスやエンゲージメントの向上は、企業の商品・サービスの品質にも関わっており、事業運営にも大きな影響をもたらすでしょう。
従業員エンゲージメントについて、更に詳しく知りたい方は、こちらから確認できます。
従業員エンゲージメントとは?向上施策・事例も紹介
採用におけるミスマッチを防止できる
就活生は自身の希望就職先を選択する際に、企業の理念や考えを重要視します。
企業の公式サイト内に理念を記載することで、就活生は自分の考えと近い企業に応募できます。
こうした企業の考えや理念を事前に把握した上で採用された従業員は、入社した後に考えのズレを感じて辞めるリスクを抑えられるのです。
従業員の価値観が統一される
規模の大きい会社や部署数が多く各地にオフィスを構える企業は、従業員の価値観の統一させるのに苦戦する場合があります。
従業員の価値観が各部署・地域ごとで異なると、提供できるサービスにばらつきが生じ、同じ品質を保てないでしょう。
こうしたばらつきが生じないためにも、企業の理念の浸透は重要で、多くの社員が在籍する企業であっても同じビジョン・目標を抱けるのです。
理念が浸透しない理由は何か?
企業理念・経営理念を従業員に浸透させるために行動しているものの、その成果を感じられない経営者の方もいらっしゃるかもしれません。
ここからは、理念が浸透しない根本的な原因について解説します。
以下の内容が自社で当てはまるか、照らし合わせてみましょう。
従業員が内容を把握していない・理解しづらい
従業員が掲げた理念の内容や背景をしっかりと理解していなければ、浸透しない原因となります。
従業員の理解を得られるような内容でなかったり、難しすぎて内容を理解できなかったり、従業員が内容を把握しない要因はいくつか存在します。
理念の理解が得られていないと感じた場合は、従業員の考えをヒアリングしたり、従業員の反応を確認したりすることで従業員がなぜ理解していないかが把握できるでしょう。
従業員が内容をしっかりと理解し、共感できる理念への見直しが必要です。
内容がわかりづらい・時代に合っていない
従業員の理解が得られない原因として、時代に合った理念ではないため、特に若手社員を中心に内容を把握できないという可能性もあります。
これは大企業や歴史ある企業が陥りやすい問題です。歴代の創業者の考えを大切にするあまり、時代にあった理念の策定ができていないケースがあります。
例えば「精神論」で何事にも努力すると言った内容は、決して間違いではありませんが、IT技術の発展やAI技術の成長がみられる現代では、柔軟に新しい技術の取り組みなどをうたった方が従業員の理解が得られるかもしれません。
体験に基づいたレベルに至っていない
理念が十分に浸透するには、従業員が理念に基づいた行動をとり、それが評価される体験をしなければ浸透の進みは遅いでしょう。
管理職を中心に、企業の理念に基づいた行動が取れるよう従業員に働きかせ、その行動を評価できる制度、仕組みを設定しましょう。
成功体験の連続で、従業員の理念理解が進むかもしれません。
理念そのものがうまく策定されていない
経営者が企業をどうやって運営したいか明確にイメージでき、確固たる信念を持っていたとしても、表現の仕方や言い回しがわかりにくいものになってしまっている可能性もあります。
また、社内に掲げている理念のサイズやデザインなどが原因で浸透しないこともあります。
他の企業がどう言った理念の策定・掲示の仕方をしているのか聞いてみたり、経営コンサルタントに相談してみたりしましょう。
策定するだけで満足している
理念を策定し、額縁で社長室に理念を飾っているだけで留まっている場合、従業員への浸透は進まないことがあります。
時間をかけて策定した理念は従業員に浸透するように、従業員の業務スペースや普段使用する手帳などに理念を記載しておくことで、少しずつではあるものの理念の浸透が進むかもしれません。
これを実際に行なっている例として、日本航空(JAL)では、従業員に手帳を配布し、会社の理念や従業員が取るべき行動などを記載しています。
従業員が空いた時間に理念を確認できる環境を整えることで、理念の浸透が進む可能性があるのです。
理念が浸透していない会社の特徴
従業員に理念が浸透しない原因について紹介しましたが、自社内で理念の浸透が進んでいるのかわからない経営者の方もいるかもしれません。
ここからは、理念が浸透していない企業の特徴を紹介しますので、当てはまるか確認してみましょう。
企業の現状が理念とずれている
特に歴史のある企業に陥りやすいケースとして、創業当時の理念を長きに渡り引き継ぐことで、現在の現状と理念にずれが生じることがあります。
例えば、「業界No.1を目指す」という理念をそのまま受け継いでいるものの、すでに業界シェア率トップに達しており、次の目標が記されていないなどです。
時代の変化や企業の現状に合った理念が設定できているのかを確認しましょう。
浸透させるための手段をとっていない
上述している通り、理念は策定して終わりではなく、従業員が内容を理解し実行に移すことで意味を持ちます。
従業員が日常業務内に理念を意識できるような環境づくりや、教育を行うことで徐々に浸透し始めます。
日本航空の事例のように、従業員に手帳を配り、空いた時間に理念を確認できるような工夫が必要です。もしそこに経費をかけられないようであれば、従業員の目に付く場所に理念が記載するところから始めましょう。
できることから少しずつ取り組むのがおすすめです。
「理念」の背景や意味を理解していない
従業員に会社の理念の伝達を行っているものの、浸透具合が改善されない場合、従業員は理念が策定された背景まで理解が至っていないケースも考えられます。
背景まで理解できていなければ、理念への共感は難しく、ただ言葉として記憶している程度で終わってしまいます。
従業員が理念に共感し、業務内で実践できてこそ理念を掲げる意味が出ますので、策定された背景や理由もしっかりと教育する必要があるのです。
理念浸透とツールの関係性
従業員一人ひとりが理念をしっかりと理解し、自分ごととして捉えてもらうためには、理念に基づく行動により成功体験が重要です。
そのため管理職は、従業員が企業の理念をどう解釈し、日常業務に活かしているのかを把握しなければ理念の浸透は進みにくいでしょう。
これからは、従業員の業務を管理するツールを紹介しますので、活用できそうな機能はないか検討してみましょう。
そもそもどんなツールがあるか
HRBrainが提供している「人事評価ツール」や「アンケートツール」では、以下のような機能が備わっています。
クラウドを使用した人事評価
HRBrainが提供している人事評価ツールサービスでは、人事評価をクラウド上で管理できるため、複数の管理職がひとりの社員の業務を管理できます。
近年ではテレワークが普及し、従業員や他の管理職と直接顔を合わせる機会が減ってしまった方も多いと思いますが、クラウド上で繋がっているため、情報収集や分析結果が誰でも簡単に把握できます。
人材データ収集
社員を多く抱える企業では、人材データの収集に時間を要することがあります。
しかし、HRBrainのサービスでは、人材データ収集に活用できるツールを豊富なテンプレートからカスタマイズでき、効率的な情報収集が可能です。
アンケートの簡素化
社員の意見を集めるためにアンケートを実施しても、回答しない社員がいたり、情報の分析に時間を要したり大変な作業ばかりです。
しかしツールを使用することで、アンケートに回答していない社員への催促や情報分析が容易に行え、内容の充実したアンケートが実施できます。
まとめ
今回は、企業理念・経営理念の浸透がなぜ必要なのか、どう言った効果があるのかを紹介しました。
企業が掲げる理念は、難しい内容になりやすく、従業員の理解が得られないケースが多く存在します。
しかし、浸透しない原因や浸透するためのコツをしっかりと理解できれば、従業員からの理解と共感が得られます。
今回まとめた内容を少しずつでも取り入れ、理念の浸透に取り組みましょう。
おすすめ記事
- アサーティブコミュニケーションとは?意味と職場での例や話し方と伝え方のポイントを解説#人材育成2024/12/09
- アクティブリスニングとは?効果と実践方法や注意点を簡単に解説#人材育成2024/12/02
- ワークショップとは?意味やビジネスでのやり方について分かりやすく解説#人材育成2024/11/11
- ワークエンゲージメントとは?意味と測定方法や尺度と高める方法について解説#人材育成2024/10/16
- メンター制度とは?意味と導入手順やメリットとデメリットやいらないと言われる理由について解説#人材育成2024/10/07
- 意欲的とは?意味と積極的との違いや意欲的に働くことのきっかけやメリットについて解説#人材育成2024/09/26