人材育成
2022/03/29
コーピングとは?意味や種類、ストレス対策に効果的な活用方法を解説
目次
本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービス・企業・法令の内容が変更されている場合がございます。
コーピングとは
コーピングとはどのようなストレス対処法なのでしょうか。はじめにコーピングの概要と注目される背景を解説します。
コーピングとは
コーピングとは、ストレスを感じた時に生じるストレス反応への対処法のことです。英語では「対処」を意味する「coping」と表記されます。
ストレスコーピングとは
ストレスコーピングとは、ストレスの元に上手く対処することを指します。コーピングと意味は同じです。アメリカの心理学者ラザルスによって提唱された理論がもとになっています。ストレスというと悪いことのようなイメージがありますが、適度なストレスはパフォーマンスや気力の向上にも寄与するプラスの面もあります。そのためストレスは上手に対処することによって、自らのパフォーマンスを高める要素にもなり得るのです。ストレスコーピングはその方法になります。
注目される背景
コーピングが注目される背景にはストレスの多い現代社会の環境があります。働いていると、仕事の責任に対する重圧や人間関係などのストレスがあります。また、プライベートにおいても家庭環境や人間関係などのストレスがあるでしょう。こういったストレスが過度にかかると、うつ病などの精神疾患に罹ったり、身体にも悪影響を及ぼす可能性が高まります。そうならないようにストレスへの対処法を習得する必要があるのです。また、強いストレスがかかっている状態では仕事のパフォーマンスも低下します。コーピングは日常の仕事の生産性を上げるための手段にもなるのです。
ストレスの構成要素
コーピングの手法について紹介する前に、ストレスが発生する要素とメカニズムを解説します。
3つの構成要素
ストレスには3つの構成要素があります。
- ストレッサー
- 認知
- ストレス反応
それぞれ解説します。この3つの要素は「ストレッサーを認知しストレス反応が起きる」というストレスが心身に影響を及ぼす段階です。各要素を詳しく知ることで、対処法を正しい理解のもと行えるようになります。
ストレッサー
ストレッサーはストレスの原因のことです。外部からの圧力や刺激がストレッサーとなります。その中身は様々で、生理的ストレッサー、物理・化学的ストレッサー、心理・社会的ストレッサーの主に3つに分類されます。
- 生理的ストレッサー:病気、睡眠不足、飢餓など
- 物理・化学的ストレッサー:暑い、寒い、有害物質など
- 心理・社会的ストレッサー:職場や家庭における不安、恐怖など
(※参考) e-ヘルスネット 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト:「ストレス(すとれす)」より
認知
認知とは、ストレッサーに対して認知し、ストレスを感じたことを自覚することです。ただし、ストレッサーを無意識に認知することもあります。また、ストレッサーの受け止め方を認知的評価といいます。
ストレス反応
ストレス反応とは、ストレッサーを認知することで生じる反応のことです。ストレス反応には様々なものがあり、身体的反応、心理的反応、行動反応の3つに分類されます。
- 身体的反応:頭痛、動機、不眠、湿疹など
- 心理的反応:不安感、苛立ち、気分の低下など
- 行動反応:暴飲暴食、ひきこもり、暴力など
コーピングの種類
ストレッサーの認知的評価に対する対処法であるコーピングにはいくつかの種類があります。ここでは大きく3つに分類して紹介します。
問題焦点型コーピング
1つ目は「問題焦点型コーピング」です。ストレッサー自体に何かしらの働きかけを行い、解決する方法です。これは、ストレスの3つの構成要素の中でも、「ストレッサー」にアプローチする方法になります。この問題焦点型コーピングは、さらに2つに分類することができます。
・問題焦点型
問題焦点型は、ストレッサーを遠ざけたり、離れる等をしてストレス状態から脱げ出す方向に行動し解決する方法です。
(例)職場の人間関係がストレスなので、転職する。
・社会的探索支援型
社会的探索支援型は、ストレッサーに遭遇した時に、周囲に相談・支援を求め解決する方法です。
(例)仕事の重圧がストレスなので、上司に相談する。
情動焦点型コーピング
2つ目は「情動焦点型コーピング」です。ストレスへの考え方や感じ方を変える方法です。3つの構成要素の中の「認知」にアプローチする方法です。さらに2つに分類されます。
・情動処理型
情動処理型は、ストレッサーによって生じた感情を誰かに話すことで感情を整理する方法です。
(例)提案の失敗でストレスを感じたため、同僚と話してみる。
・認知的再評価型
認知的再評価型は、ストレッサーに対する捉え方・認知の仕方を、変えることでストレスを軽減する方法です。
(例)新しい仕事を任されて責任の重さを感じるのではなく、期待されていると考える。
ストレス解消型コーピング
3つ目は「ストレス解消型コーピング」です。ストレスを感じた後に、そのストレスを発散・解消する方法です。3つの構成要素の中の「ストレス反応」後に行う法です。
・気晴らし型
気晴らし型は、買い物や運動など自分の趣味・好きなことをして気分転換を行うことでストレスを解消する方法です。
(例)運動、音楽、買い物、食事、旅行などの自分の好きなことをする。
・リラクゼーション型
リラクゼーション型は、アロマテラピーやマッサージなどのリラクゼーションを受けることでストレスを解消する方法です。
(例)アロマテラピー、マッサージ、ヨガ、瞑想などをする。
コーピングの実践方法
3つのコーピングの種類を解説しました。ここでは、コーピングの実践方法の例と、実際に企業に取り入れていく際の施策案を紹介します。
コーピングを行う際の重要なポイント
前章で解説した通りコーピングにはいくつかの種類があり、それぞれ特徴があります。そのため、いくつかの手法を使いわけることが効果的です。どれか1つのみを行うのではなく、組み合わせるなどしてストレスに対して正しい対処を行いましょう。
コーピングリストの作成
コーピングリストとは、自分にとってストレスの軽減・解消ができる方法を集めたリストです。リストを作成することで、ストレッサーや生じたストレス反応に応じて的確な対処ができるようになります。
・リストの作成方法
まず自分にとってポジティブなことを書き出します。自分の好きな性格や、楽しくなることなどです。加えて、相談できる人や友人などを書き出します。それができたら、実際にストレスを感じた場面に対して、どの行為がストレス軽減に効果的であったかを検証します。これを続けていくことで、様々なストレスパターンに対する対処法のリストを作ることができます。
輪ゴムテクニック
まず、輪ゴムテクニックの方法を順を追って解説します。
- 輪ゴムを片方の手首に巻いておきます。
- ストレスを感じて、マイナス思考になったら輪ゴムをはじき手首に痛みを与えます。
- 痛みを引き金にして、浮かんだマイナス思考をリセットする、という習慣を作ります。
この3段階が輪ゴムテクニックです。痛みを意識の転換のきっかけにし、ストレス反応を緩和させる方法です。この方法が習慣になると、意図的にストレスをコントロールすることができるようになります。
企業への導入施策案
それでは企業に制度として導入するにはどういった案があるのでしょうか。ここでは4つの施策案を紹介します。
・メンター制度
メンター制度とは、若手社員(メンティー)が先輩社員(メンター)から助言や指導をもらう教育制度のことです。メンターがメンティーのサポートをすることで、ストレスの緩和や解消につながります。
メンター制度について、さらに詳しく知りたい方は「メンター制度とは?OJT、コーチングとの違いや必要性についてご紹介」をご覧ください。
・1on1制度
1on1制度は、上司と部下が1対1で対話をする場を設ける制度です。1on1の場は評価ではなく、相互理解や部下の成長の促進を目的とした場です。1on1の場で、部下の悩みを聞くことで、ストレスの緩和や解消につながります。
1on1について、さらに詳しく知りたい方は「【基礎編】1on1とは?DX時代。リモート環境下の課題、進め方を解説」をご覧ください。
・産業医や精神科医による心理カウンセリング
会社が産業医や精神科医に依頼して定期的に心理カウンセリングを実施することも効果的です。従業員と直接対話することで、専門家の観点からストレスの原因究明や対処法を行います。長時間労働が続いている従業員等には受診を進めることで労災の未然防止にもつながります。
・リラクゼーションサービスの実施
リラクゼーション型のストレス解消を目的としたリラクゼーションサービスを導入することも1つの方法です。月に1回マッサージ師を呼んだり、瞑想のイベントを開いたり方法は様々です。
【まとめ】人材管理・タレントマネジメントをカンタン・シンプルに
今回はコーピングについて解説しました。ストレスの多い現代社会において、上手にストレスを対処するスキルを身に着けることは非常に重要です。企業においても研修に取り入れ等して、従業員に習得を促すことで、生産性向上や離職率の低減が期待できます。従業員の身体的・精神的不調による問題を防ぎ、心身ともに健康な状態で働いてもらうためには、人材の状態を把握することが必要不可欠です。そこで役立つのがタレントマネジメントシステムです。
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HR大学 編集部
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