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離職防止に効果的な施策9つ!離職の原因とその影響も合わせて解説

離職防止に効果的な施策9つ!離職の原因とその影響も合わせて解説

目次

    本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービス・企業・法令の内容が変更されている場合がございます。

    従業員の離職防止の取り組みは、企業にとって重要な課題です。
    人材不足の中、新たな人材を採用することには時間もコストもかかります。
    では、離職防止のための施策には、どのようなものがあるのでしょうか。
    この記事では、よくある離職の原因、離職防止のための施策などについて具体的に紹介します。

    離職の原因とは

    離職の主な原因は、職場環境・労働条件・仕事内容の3つに大別されます。

    職場環境

    人間関係が合わない

    「職場の人間関係がギスギスしていて居心地が悪い」「同僚と円滑な関係が築けなかった」「上司のハラスメントが改善されない」「仕事の進め方について上司と考えがマッチしない」など、主な離職の原因は、職場の人間関係によるものが多いと言えるでしょう。

    人間関係が良好でないと、悩みがあったとしても周囲に相談することができません。ひとりで悩みを抱え続け、そのストレスが限界に達すると従業員は離職してしまいます。

    職場の環境に不満がある

    「拠点やフロアが分散しており、従業員同士の意思の疎通が難しい」「近隣に昼食をとれるお店がなく、電話番をしながらデスクで食べることしかできない」「窓が少なく、閉鎖的な空間で仕事をしていると気が滅入ってしまう」など、長時間働く場所の環境についての不満は侮れません。

    快適に過ごせるだけでなく、仕事に集中できる環境づくりを意識しましょう。

    労働条件

    報酬が不十分だと感じる

    「仕事に対して、充分な報酬が支払われていない」と感じることも、離職の原因になります。
    ほかにも、「同僚よりも成果を出しているにもかかわらず、同僚の方が給与(評価)が高い」「昇給の基準が曖昧。どうして自分の給与が上がらないのか、納得がいかない」など、従業員の不満が溜まりやすい状況が続くと、離職率が上がってしまいます。

    長時間労働・休日の不満

    「長時間労働が続き、今後も改善する見込みがない」「休みたいときに休めない」など、労働条件に対しての不満がある場合も、「もっと条件の良い職場に転職しよう」と考えるきっかけになります。

    近年、ワークライフバランスを重視した働き方を希望する従業員が、増加する傾向にあります。仕事とプライベートのバランスが取れない場合、離職へと繋がる恐れがあります。

    柔軟な働き方ができない

    コロナ禍以降、「リモートワーク」「テレワーク」「在宅勤務」など呼び方はさまざまですが、出社する以外の働き方が注目を集めています。
    「リモートワークができる環境が整っていない」「新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いたことを受けて、出社が再開してしまった」など、柔軟な働き方ができないことも不満に繋がりやすく、離職の要因となります。

    仕事内容


    仕事内容が合わない

    「自身のスキルや、得意なことが活かせない」など、自身の適性が活かせない・苦手だと思う業務をこなさなければならない場合、不満が溜まりやすいと言えるでしょう。

    希望した部署への異動がかなわない、思い描いていたキャリアを目指すことができないことも、離職の原因になります。

    成長実感がない

    「簡単すぎる仕事ばかりで、暇になってしまう」「何年も同じ仕事を続けており、成長している実感が得られない」という場合にも、離職に繋がります。

    また業界・業種の未来が見通せず「今後AIに取って代わられる」などと感じられる場合は、「この技術を磨いたとしても、一体なにに繋がるのだろう」という疑問を抱くことになります。そうした場合、仕事に対してのモチベーションを保つことは難しいと言えます。

    離職防止の施策を行うべき理由

    従業員の離職が続くと、今まで行っていた事業活動に支障が出始めます。
    従業員の離職防止の施策を行うべき4つの理由について、詳しく説明します。

    優秀な人材が流出する

    「大きな売上を作る、営業担当が離職してしまった」「事業の成長に欠かせないエンジニアが、引き抜かれてしまった」など、優秀な人材が離職してしまった場合、企業は大きなダメージを負うでしょう。なぜなら、顧客が期待する商品やサービスのクオリティが維持できず、信頼を失う恐れがあるからです。また、競争力の低下にも繋がります。

    特にエンジニアをはじめとしたIT人材は引き合いが強く、ダイレクトリクルーティングなどの手法で随時アプローチを受けています。
    エンゲージメント向上の施策を行わない場合、優秀な人材ほど離職のリスクがあると言えるでしょう。

    採用・教育コストがかかる

    即戦力の従業員が離職してしまった場合、パズルのように空いたポストに人材を補充する、という訳にはいきません。
    社内に同じだけのスキルを持った人材がいない場合は、新たに採用を行う必要があります。

    採用にかかるコストは新卒採用で93.6万円、中途採用で103.3万円だと言われています。(参考:就職白書2020
    従業員が辞めた分だけ、企業は金銭的ダメージを負います。

    企業イメージの悪化

    現在は、インターネットを通じて企業のクチコミや評判などを簡単に検索することができます。そのため、離職率が高くなった場合、「あの会社はよく人が辞める」といったイメージが定着し、イメージが悪化することに繋がります。
    企業自体にマイナスなイメージがつくと、取引先企業からの信頼を失うばかりでなく、採用の際に人が集まらず、苦労するというスパイラルに陥ることになるでしょう。

    既存の従業員のモチベーションが低下する

    従業員が辞めた場合、その業務を既存の従業員でこなさなければなりません。新しい人員が配置されるまで、通常の業務に加えて、辞めた従業員の分の業務を負担することになります。
    負担分の報酬がアップしない場合、「ただ働きをさせられている」という不満がたまります。また、離職者が続くと「取り残された」かのように感じ、従業員のモチベーションが著しく下がります。
    「離職者が出たことで、更なる離職者を生む」といった負のスパイラルに陥る恐れがあります。

    ここまで離職の原因について説明しました。
    一点、注意が必要なことは、離職者が告げる表向きの離職理由と、実際の離職理由が異なる場合があることです。
    本当の離職原因をヒアリングして離職防止に役立てたい場合は、引き留めるつもりはなく「あくまで会社の実態を知りたい」という旨を説明しましょう。

    離職防止の施策

    では、どのような施策を行えば、離職を防止できるのでしょうか。
    以下、上流から順に改善できる施策を紹介します。

    ビジョン・パーパスの周知を徹底する

    「会社がどんなことに貢献し、これからなにを成し遂げたいと考えているのか」を改めて明文化し、従業員に徹底することが求められます。
    その取り組みを続けることで、ビジョン・パーパスを目印に、従業員と同じ方向を目指し、想いをひとつにすることができるでしょう。

    ビジョンに即した人事評価制度の見直し

    いくらビジョンが立派だったとしても、それが人事評価に紐づいていない状態では「絵に描いた餅」と言えます。
    企業が目指すビジョンを達成するには「どのような行動ができる人材が必要なのか」を徹底的に考え、採用・評価に落とし込む必要があります。
    乖離がある場合は、一貫性を持たせるために人事評価制度の見直しを行いましょう。

    従業員へのアンケートを実施する

    従業員の会社への満足度を聞き出すため、アンケートを実施しましょう。
    面談で聞き取りを行う場合には、「会社をより良くするために協力してほしい」と、目的を伝えましょう。
    匿名で会社の改善点要望などのアンケートを取る場合には、個人が特定される恐れはないこと、回答内容は人事評価に影響がないこと、という2点を伝えましょう。
    「社内にロールモデルとなる先輩社員がいない」「お昼休みにフロアに残った人だけが電話に出ることを、不公平に感じる」など、人事部や管理職が気づかなかったことがわかるはずです。そこから、離職防止に繋がる施策を考えることができるでしょう。

    柔軟な働き方の選択肢を増やす

    従業員のライフスタイルが入社時から変化した場合、従来の働き方を継続することが難しい場合もあるでしょう。
    そうしたときに、時短やリモートワークをはじめとした多様な働き方が選択できることは、離職防止に繋がります。
    また、新型コロナウイルスの蔓延防止の措置からも、在宅での働き方が求められています。

    コミュニケーションの活性化

    従業員同士が円滑なコミュニケーションを行えない職場環境においては、離職率が上がる傾向があります。

    一般的な企業において、上司と部下の面談は、評価時に行われることが多いと言えるでしょう。しかし、「目標への達成度」と「評価」を伝えるだけでは不十分です。
    プロジェクトの進捗や、トラブルになりそうなこと、上司に手助けしてほしいことなど、日々細やかにコミュニケーションや対話を重ねることで、上司・部下の間には信頼関係が生まれます。

    上司は、部下に「評価」ではなく「フィードバック」を行いましょう。「評価」は上から下に行う一方的なものですが、「フィードバック」は相互に行うことができます。そうしたフィードバックは、目標に対しての具体的な行動を促すことから、従業員の成長に不可欠です。

    具体的なフィードバック例:
    「あなたは、自分では意外に思うかもしれないけれど、プレゼンが得意なんじゃないかな。落ち着いて、よく通る声で話せていただけではなく、顧客に対して話の理解度を都度確認していて、とても丁寧かつ信頼できる印象を受けたよ。僕は今まで10人以上の部下を見てきた経験があるけれど、初めてのプレゼンで、ここまでできる人はなかなかいないよ」

    フィードバックを頻繁に行うことができる職場は、活発なコミュニケーションが行われている証拠でもあります。そうした職場は、離職率が下がる傾向にあります。

    上司のマネジメントスキルを育成する

    マネジメントを行う上司については、評価者としての教育を施す必要があります。
    近年、トップダウン型の指示ではなく、周りを巻き込んで同じ目標を目指すリーダーシップに注目が集まっています。
    実際に、そうしたリーダーシップは従業員のモチベーションを引き出すことがわかっています。

    また、上司のマネジメントスキルを育成し、向上させることは、部下の評価のバラつきを防止します。
    そして、部下にとって1on1などを通して上司や同僚から都度フィードバックを貰えることは、自己評価と周りの評価とのギャップを是正する役割も果たします。
    公平な評価を受けているという認識は、従業員の離職を防止します。

    研修などの成長機会を与える

    従業員の目指すキャリアの実現をサポートするべく、研修やスキルアップのための教育体制を整えましょう。資格取得の補助を始めとした福利厚生の整備も効果的です。

    「こうした役割を、会社から期待されているのだ」と従業員が理解することにも繋がります。

    早期離職を防ぐため、新入社員・中途入社者に配慮する

    新入社員・中途入社者が、「入社前に伝えられていた業務内容と異なる」と入社後に感じることは、早期離職に繋がります。
    こうしたミスマッチを防ぐためにも、人事担当者は選考時に会社の実状を隠さず伝えるようにしましょう。期待値を調整することで、早期離職を防ぐことができます。

    また、メンターの導入も早期離職防止におすすめです。
    「業務についてのわからないこと」に加えて「その会社ならではの、明文化されていないルール」など、途中入社者が戸惑う場面は多くあります。

    お昼を食べる場所ひとつを取っても、何がOKでNGなのか、わからないことがあるでしょう。
    そうしたとき、年の近いメンターに相談することによって、はやく会社に馴染むことができます。
    新しい環境に不安を抱える新入社員・中途入社者に、そうしたメンタルのケアを行うことは重要と言えるでしょう。

    離職防止のための人事ツールを導入する

    離職防止のための人事ツールを導入することも、ひとつの有効な方法です。
    近年、1on1の履歴を蓄積できるほか、従業員のエンゲージメントを可視化できる人事ツールの活用に注目が集まっています。
    そうしたツールを活用することで、自社のコミュニケーションを活性化するだけでなく、従業員への離職防止策を積極的に行うことができます。

    まとめ

    離職の原因は環境、労働条件、仕事内容によるものに大別されます。
    離職により優秀な人材が流出すると企業の成長が鈍化するだけでなく、周囲にも悪影響を及ぼします。
    また、現在はインターネットで企業のクチコミを検索できるため、頻繁に従業員が辞めた場合、悪いイメージがつくこともあります。
    離職防止のためには、まず企業がビジョンを明確にし、それに基づいた人事評価を行う必要があります。「人材に求める行動」を、人事評価に組み込むことで、一貫性が生まれます。
    企業からのメッセージ、理念などを徹底させるためにも、1on1をはじめとしたコミュニケーションの機会を増やしましょう。従業員同士のコミュニケーションを活性化することは、離職防止に効果的です。
    また、従業員の早期離職を防ぐために、社内の教育体制を見直す必要があります。
    その際に、役立つのが人事ツールです。
    1on1の面談記録を蓄積するだけでなく従業員エクスペリメンスの向上施策を、データに基づいて積極的に行うことができます。

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    HR大学編集部

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