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エンプロイーエクスペリエンス(EX)が学べる本は?向上方法も解説

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エンプロイーエクスペリエンス(EX)が学べる本は?向上方法も解説

目次

    本記事の内容は作成日または更新日現在のものです。本記事の作成日または更新日以後に、本記事で紹介している商品・サービス・企業・法令の内容が変更されている場合がございます。

    近年注目されているエンプロイーエクスペリエンス(EX)。
    エンプロイーエクスペリエンスを高めることで、会社にも従業員にもメリットが生まれると言われています。

    本記事では、そんなエンプロイーエクスペリエンスの概要や具体案、実践例、関連する書籍についてご紹介していきます。
    エンプロイーエクスペリエンスとは何であるかを知りたい方や、実践に必要な情報が欲しい方の参考になったら嬉しいです。

    エンプロイーエクスペリエンス(EX)とは

    エンプロイーエクスペリエンスとは、直訳すると「従業員の経験」です。
    従業員一人ひとりが会社の中で体験する、経験価値のことを指します。

    経験価値を向上させるためには、仕事を意義あるものにする意識や、人々が一体感や信頼、つながりなどの感覚を持てるような環境を整える必要があります。
    過去にも、経験価値の向上は検討されてきましたが、不十分なところも多かったのが実情でした。

    これからの企業が、エンプロイーエクスペリエンスの改善を検討する際には、報酬やその他既存のサポート以外のことも考慮に入れるべきです。

    エンプロイーエクスペリエンス(EX)とは何かについて、更に詳しく知りたい方は、こちらの資料がおすすめです。EXの概要だけでなく、注目されている理由や必要性、将来性についても解説しています。
    【図解】3分でわかる従業員エクスペリエンス(EX)とは

    EXと事業成長の関係性は?

    2019年に行われたデトロイト・グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンドの調査によると、エンプロイーエクスペリエンスが最も重要だと考えた人は84%、3番目以内に重要だと考えた人は28%でした。
    またMITの調査によると、エンプロイーエクスペリエンスを提供している会社のうち、優れたサービスを提供している上位25%の会社は、下位25%の会社と比べてイノベーションと顧客満足度は2倍に、利益率は1.25倍にもなっています。

    このように、現在エンプロイーエクスペリエンスはかなり重要視されている上、実際に利益などにも影響を与えることがわかっています。
    しかし、エンプロイーエクスペリエンスに関する課題に取り組む準備ができていると答えた会社は、わずか9%でした。

    ここで、エンプロイーエクスペリエンスに関する課題について考えてみると、過去5年間で、生産性や過重労働、ウェルビーイング、燃え尽き症候群などの問題が拡大していることが明らかになっています。

    2019年に行われたデトロイト・グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンドの調査によると、自分の職務設計に満足・大変満足していると答えたのは49%、日々の作業内容に満足・大変満足していると答えたのは42%と、どちらも半数以下でした。

    また、職務関連ツールやテクノロジーに満足・大変満足していると回答したのは38%。必要な意思決定をするために十分な権限があると考えていると回答した割合も38%でした。

    これらの結果から、エンプロイーエクスペリエンスについて改善の余地が大きいことがわかります。

    終身雇用崩壊時代に注目のエンプロイーエクスペリエンス

    企業が倒産しない限り定年まで雇用される制度である終身雇用も、近年では崩壊し始めています。

    終身雇用の目的の1つは、入社時から数十年後の定年まで見据えた人材育成を行うことでした。

    長期的な人材育成を行うことによって、エンゲージメントを高めることになり、企業の組織力が高めることに繋がるからです。

    エンゲージメントとは、従業員の自社に対する愛着心や思い入れのことで、これが強くなるほど社員が同じ方向を向いて仕事ができるようになると考えられています。

    しかし現在の経済状況や社会情勢から、トヨタ自動車をはじめ、多くの企業が終身雇用は維持できないことを明らかにしています。
    また従業員側も、転職を視野に入れながら働いている人も少なくありません。

    長期雇用が難しい状況下でも、エンプロイーエクスペリエンスを高めれば、長期的な人材育成ができるようになる可能性があります。

    例えば、従業員のニーズを1on1ミーティングなどでヒアリングし、そこで出たニーズと企業ができることをすり合わせていくことで、会社と従業員が向く方向が同じになっていくことが予想されます。

    そうすることで、長期的な人材育成ができ、組織力を高めることに繋がっていきます。

    労働力が不足している背景

    手間と時間をかけてでもエンプロイーエクスペリエンスを高めるべき理由は、労働力不足にあります。
    労働人口が減少していることは、労働力不足の大きな原因の1つです。

    中央大学・パーソル総合研究所のデータでは、2030年には644万もの労働力が不足すると予想されています。
    労働力が不足する分、従業員ひとりひとりの生産性をあげるためのエンプロイーエクスペリエンスが重要になってくると考えられています。

    また先述の通り、転職を視野に入れながら働いている人もいます。
    そのため、従業員に「この会社で働き続けたい」と思ってもらえるようにエンプロイーエクスペリエンスを高める必要があります。

    カスタマーエクスペリエンスから派生した概念

    「顧客体験」を指すカスタマーエクスペリエンス(CX)とは、企業と顧客が関わっている期間中の一連の交流の結果、顧客が得る認識のことです。

    このカスタマーエクスペリエンス(CX)との対比から、エンプロイーエクスペリエンス(EX)は生まれました。

    ある会社の社員が、カスタマーエクスペリエンスの研究のためにデザインシンキングを用いたところ、これが社内の従業員にも活かせることに気が付きました。

    そこで、デザインシンキングを従業員にも当てはめて実際に課題解決を行なっていったことが、エンプロイーエクスペリエンスの始まりだと言われています。

    また、長年ヘビーユーザーを対象にしたカスタマーエクスペリエンス戦略を重視しているMTNでは、カスタマーエクスペリエンスとエンプロイーエクスペリエンスを1つの原則に結び付けています。

    その原則とは、EPICという、Easy(わかりやすく)、Personalized(個人のニーズや好みに合わせた)、In-control Connections(常に繋がりを生み出す)の3つを重視するものです。
    MTNではこのEPICを用いて、顧客と従業員の双方に同様のエクスペリエンスを提供することを目指しています。
    双方に提供する理由は、顧客・従業員と組織との間に永続的なつながりを作り出すためです。

    しかし、従業員は顧客とは違い、所属する企業との間に永続的かつ個人的な関係があります。
    また、エンプロイーエクスペリエンスは社会的なものであるため、組織の文化と他の従業員との関係の中でつくられるものです。
    そのため、従業員一人ひとりの異なるニーズに応じることが全てではないことが、カスタマーエクスペリエンスとは異なる点です。

    もう1つの従業員と顧客が異なる重要な点は、従業員は単に働いて報酬を得ること以上のもの(例えばキャリアや目的、働くことの意義など)を望んでいることです。

    上記3つの従業員と顧客の異なる点を踏まえて、エンプロイーエクスペリエンスに関する課題を解決することで、従業員はより良い経験ができるようになります。
    今までのエンプロイーエクスペリエンスに関する取り組みでは、あまり個人の目線に立って考えられてきませんでした。
    個人の目線とは、会社の目線でないこと、つまりボトムアップのことを指します。

    エンプロイーエクスペリエンスを再設計する際には、まず従業員(=個人)から見て最も良いと思える仕事の方法をデザインすることが必要です。

    エンプロイーエクスペリエンスでは、会社での業務内容と関係のない、個人的なニーズに焦点を当てます。
    従業員の心理的なニーズの全てが満たされるようデザインすることで、会社と従業員との間の最適なエンプロイーエクスペリエンスが見つかると予測されています。

    エンプロイーエクスペリエンスを向上させるには

    エンプロイーエクスペリエンスを向上させるためには、先述のとおり、個人の目線に立って考えることが重要になってきます。

    今までよく行われてきたのは、トップダウン手法を用いた、仕事を第一に考えた上でそれ以外の活動のための時間を作るものでした。

    しかし今後は、従業員により良い仕事をしてもらうために必要な、基本的な心理的欲求の全てを満たすよう努力していく必要があります。

    エンプロイージャーニーマップの作成

    エンプロイージャーニーマップとは、直訳すると「従業員の旅の案内図」です。

    具体的には、従業員が経験する出来事とそのときの感情・思考を、入社から退社した後までの時系列に沿って図に整理していくものです。

    これにより、従業員の経験を可視化でき、従業員の目線に立ってエンプロイーエクスペリエンスを考えられるようになります。

    健康経営の推進

    健康経営は経済産業省が推進しているもので、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することを指します。

    従業員の健康管理に会社も携わることで、エンプロイーエクスペリエンスを高めることができる上、従業員の活力向上や生産性向上などの組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上につながることが期待できます。

    エンプロイーエクスペリエンスに関する課題の1つである過重労働などを防ぐためにも、健康経営が推進されています。

    従業員サーベイの実施

    サーベイは調査という意味なので、直訳すると「従業員調査」となります。
    従業員サーベイは、会社と従業員の関係改善や、会社・従業員それぞれのニーズや現状を把握するために行い、会社の制度や環境の改善などを目的としています。

    従業員満足度が従業員サーベイに含まれることもあります。
    HRBrainのEXIntelligenceなら、データ収集や分析が可能です。
    具体性の高い課題を発見し、エンプロイーエクスペリエンス向上に役立ちます。

    働きやすいオフィスの整備

    清潔で整った、快適な環境を提供することも、エンプロイーエクスペリエンスを高めるために必要です。

    長時間を過ごすオフィスの環境が整っていることで、小さく積もりやすいストレスを軽減できます。

    社内コミュニケーションの促進

    社内コミュニケーションを促進することは、会社にとって重要です。

    企業風土を作っているのは従業員たちなので、従業員同士のコミュニケーションが活性化されることで健全な組織風土が形成されやすくなります。

    また仕事でのミスの中には、知識不足や誤った理解などによって引き起こされるものもあります。

    これらのミスを防ぐためにも、社内コミュニケーションを取ることは必要です。

    社内コミュニケーションを促進する1on1ミーティングについてはこちら。
    https://www.hrbrain.jp/scene/1on1

    エンプロイーエクスペリエンスの取組事例

    ここまで挙げてきたようなエンプロイーエクスペリエンスに、実際に取り組んで成功した企業の事例を3つご紹介します。

    Airbnb

    Airbnbは、アメリカのサンフランシスコに拠点を置く、バケーションレンタルのオンラインマーケットプレイスを運営しているユニコーン企業です。

    2016年、2017年にはGlassdoor.comで「Best Place to Work」を受賞するほど、従業員が働きやすい会社として知られています。
    この企業では、エンプロイーエクスペリエンス専門の部署があり、採用・人事制度の構築だけでなく、従業員のキャリア開発、マネジメントルール、オフィス・デジタル環境の整備などが行われています。
    具体的には、個人のキャリア開発・スキル習得を補助するシステムを提供したり、運動や禁煙などの習慣づくりのためのサービスを提供したりしています。

    Airbnbでは、全社員間でミッションが共有されていることや、オープン&コラボレーティブであることなどが意識されているそうです。

    freee

    freeeは、個人事業主や中小企業の向けのクラウド会計サービスを開発、運営する日本の会社です。
    この企業では、ベビーシッター補助金が出たり、ジャーマネ制度という従業員をサポートする制度があったり、週に1回30分の1on1ミーティングがあったりします。

    「自分が今向き合いたいジブンゴーストを言語化し、それに対するフィードバックを貪欲に求め、立ち向かっていく」という行動指針があるので、それに基づいた制度があります。

    OKAN

    株式会社OKANは、置き型社食を提供する「オフィスおかん」などを運営している日本の企業です。
    こちらの企業は、エンプロイーエクスペリエンスに関する情報の提供や、エンプロイーエクスペリエンスを向上させるサービスの提供などを行っています。

    情報提供の例として、2018年には、日本最大級のエンプロイーエクスペリエンスに関するカンファレンスサミットを開催し、参加した経営者と総務・労務・人事担当者が意見交換を行いました。
    また企業のミッションは「働く人のライフスタイルを豊かにする」で、家族会議休暇や整う休暇、子ども 1on1 休暇などの休暇や手当を創設し、健康経営を目指しています。

    STARBUCKS

    STARBUCKSは、世界90カ国以上に展開しているコーヒーチェーンです。

    この企業では、大学の学費支給や、大学と提携した授業のオンライン受講のサポート、通信教育の補助などが行われています。
    STARBUCKSでは、エンゲージメントを核にすることで、企業と個人の価値観のすり合わせができ、その結果、従業員が自発的に行動するようになっているそうです。

    これは、エンゲージメントを高めることが、生産性の向上に繋がることを示しています。

    エンプロイーエクスペリエンスの関連本

    エンプロイーエクスペリエンスについて、もっと詳しく知りたい方におすすめの書籍をご紹介します。

    『エンプロイーエクスペリエンス』

    労働力の売り手市場である今必要な経営・マネジメント戦略を解説した書籍です。

    競争優位の実現の鍵となる優秀な人材の確保、従業員の成長を促す環境作りについて詳しく紹介されています。
    従業員・会社間のすり合わせをするための方法まで教えてくれます。

    『エンゲージメント カンパニー』

    エンゲージメントに詳しくない人でも全体像を把握できるようになる書籍です。
    著書45冊以上、類型発行部数48万部を超える著者が、強い組織の作り方を教えてくれます。

    人材開発の考え方とその方法が詳しく記載されています。

    『多様性の科学 画一的で凋落する組織、複数の視点で問題を解決する組織』

    さまざまな書籍、WEBサイトで紹介された、22か国刊行の世界的ベストセラー『失敗の科学』の著者による組織改革に関する書籍です。
    多様性の必要性が示され「多様性がないと集合知は発揮されない」「日常に多様性を取り込むための3つのこと」などの内容が記載されています。

    まとめ

    企業の業績にも関わってくるエンプロイーエクスペリエンス。

    従業員一人ひとりが会社でよりよい経験ができるよう、従業員の立場になって考えてみることが大切です。

    できることはたくさんあるので、まずは取り入れやすいものから試してみてはいかがでしょうか。

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    HR大学 編集部

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