#労務管理
2024/05/13

バーンアウト(燃え尽き症候群)とは?早期に気づくための対策と回復方法や診断チェック表について解説

目次

    バーンアウト(燃え尽き症候群)は、これまで安定した業務成果をあげていたメンバーが、急に仕事に対する意欲や熱意を失ってしまう状態です。

    バーンアウトに陥ると、モチベーションの低下から仕事の質や生産性が落ち、最終的には休職や離職に発展してしまうリスクも考えられます。

    この記事では、バーンアウトの症状や仕事への影響、バーンアウトの要因や回復方法、バーンアウトを出さないための予防対策、バーンアウトの診断の参考となるチェック項目について解説します。

    バーンアウトの兆候などメンタル状況をチェック

    バーンアウト(燃え尽き症候群)とは

    バーンアウト(燃え尽き症候群)とは、それまで仕事や学習に熱心に打ち込んでいた人が、突然意欲を喪失し無気力になってしまうことで、「バーンアウト症候群」「バーンアウトシンドローム」と呼ばれることもあります。

    「バーンアウト」の概念は、1970年代に精神心理学者のハーバート・フロイデンバーガーによって提唱されました。

    1970年代当時バーンアウトは、主に顧客と直接コミュニケーションを取るようなサービス業に準じる労働者に多くみられた症例でしたが、現代は職業や職種を問わず、持続的な職務ストレスから「バーンアウト」に陥る懸念があると考えられています。

    バーンアウトの3つの症状

    バーンアウトの症状について、バーンアウト研究としてまとめられた「MBI(Maslach Burnout Inventory)マニュアル」に記載された3つの定義をもとに確認してみましょう。

    バーンアウトの3つの症状

    1. 情緒的消耗感
    2. 脱人格化
    3. 個人的達成感の低下

    情緒的消耗感

    バーンアウトの主症状であると考えられるのが「情緒的消耗感」です。

    情緒的消耗感とは、「仕事を通じて情緒的に力を出し尽くし、消耗してしまった状態」です。

    身体的な疲労ではなく、「情緒的」と限定されているのは、消耗感の主な原因が「情緒的な資源を要求されることによる情緒的な資源の枯渇」にあると考えられているためです。

    仕事をする中で、人と関わり合い信頼関係を築いていくためには、相手の気持ちを思いやりながら問題解決をしていく場面が数多くあります。

    「クライアントにもっといいサービスを提供したい」「仕事でもっといいパフォーマンスを見せたい」「今よりも、もっと期待に応えられる自分でありたい」というように、頑張ろうと努力を重ねれば重ねるほど、日常的に多くの情緒的なエネルギーを消耗してしまいます。

    脱人格化

    バーンアウトの情緒的消耗感を引き金に起こるのが、「脱人格化」と言われる症状で、「クライアントに対する無情で、非人間的な対応」と定義されています。

    具体的には、クライアントや同僚など周囲の人たちに対して、相手の人格を無視したような思いやりのない態度をとることを指します。

    また、人との関わり合いで生まれるストレスを避けるために、書類の整理など人と関わることがない事務的な仕事を好むようになるケースもあります。

    個人的達成感の低下

    バーンアウトで仕事を通じての達成感が低下してしまう症状が、「個人的達成感の低下」です。

    個人的達成感とは「ヒューマンサービスの職務に関わる有能感、達成感」と定義されています。

    また、情緒的消耗感や脱人格化の症状によって、仕事の成果が下がってしまうこともあるでしょう。

    仕事の成果が下がってしまったことを自覚することで、自分に対する有能感や達成感が低下してしまいます。

    (参考)独立行政法人 労働政策研究・研修機構「バーンアウト(燃え尽き症候群)ヒューマンサービス職のストレス」

    バーンアウトの影響

    バーンアウトは、これまでに安定したレベルで業務成果をあげてきた従業員であっても、陥る可能性があります。

    従業員がバーンアウトになってしまった場合、仕事にどのような影響があるのかを確認してみましょう。

    バーンアウトの影響

    • モチベーションの低下

    • 業務態度の変化

    • 休職や離職の可能性

    モチベーションの低下

    仕事への意欲が低下して、これまで「楽しい」と思っていた仕事が「つまらない」と感じたり、業務をこなしても達成感が生まれず、やりがいを感じることができなくなってしまいます。

    また、仕事で関わる人に対してイライラしやすくなり、これまで自然にできていたような周囲への気配りをしたくないと思うようになります。

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    業務態度の変化

    バーンアウトによる脱人格化の影響で、クライアントや同僚など周囲の人に対して悪口や愚痴が増えるなど攻撃的な態度を取るようになります。

    他にも、相手が分かるはずのない専門用語を使って話をしたり、個人名を呼ばなくなったりと、人との距離を置くような行動を取ることもあります。

    従業員によっては、遅刻や欠勤が増えるなど勤怠に影響を及ぼすこともあります。

    休職や離職の可能性

    バーンアウトに陥ると、仕事に対しての有能感を得られず、強い自己否定の感情を生んでしまう可能性があり、疲弊感から、休職や離職などの行動に結び付いてしまう可能性があるため、注意が必要です。

    仕事に対して手を抜かず、丁寧に周囲とのコミュニケーションを取っている人ほど、情緒的な消耗をしてしまう懸念があります。

    ストレスを溜めこんでしまい、燃え尽き症候群に陥る従業員を出さないためにも、職場でのストレスを少しでも緩和することが重要です。

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    バーンアウトの要因

    バーンアウトの従業員を出さないための予防策を考えるために、バーンアウトに陥る要因について確認してみましょう。

    バーンアウトの要因は一般的に「個人的要因」と「環境要因」の2種類があると考えられています。

    バーンアウトの要因

    1. 個人的要因
    2. 環境要因

    個人的要因

    バーンアウトの「個人要因」としては、性格上の特性や仕事へのスタンス、年齢、経験値などが考えられます。

    「他人と深く関わろうとする姿勢」を持って熱心に仕事を続けてきた人は、情緒的な消耗をしやすいと考えられます。

    また、多くの仕事をこなそうとひたむきに頑張るタイプや、完璧にやり遂げようとする完璧主義なタイプは、自分の理想に届かないことが精神的な負担となる可能性があります。

    また、経験値が低くストレスへの対処法を知らない若い世代の場合、仕事への期待と現実とのギャップから悩んでしまうケースもあります。

    環境要因

    バーンアウトの「環境要因」としては、長時間勤務や重たいノルマ、業務量、仕事に対する評価が実感できないことなどによる職務ストレスが考えられます。

    勤務時間や業務量といった物量の多さだけでなく、自らの意志ではなく強制的に業務を強いられる環境や、他人と深く関わるような仕事内容の場合、より強いストレスを感じてしまう場合があります。

    また、ワークライフバランスが取れないような、仕事とプライベートの境界があまりなく、生活が仕事中心になっている場合にも要注意です。

    そして、モチベーション高く仕事を継続していくためには、自分の仕事に対しての正当な評価を実感できることがとても大切です。

    納得感のある評価を得られなかったり、チーム内の役割分担に公平さが欠けていたりすると、どんなに頑張っても報われないという気持ちが生まれてしまいます。

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    バーンアウトの職場でできる予防対策

    バーンアウトの職場でできる予防対策について確認してみましょう。

    バーンアウトの職場でできる予防対策

    • 長時間労働やノルマの達成を強制しないこと

    • ひとりに負担が偏らないよう業務を分担すること

    • 曖昧な役割分担をしないこと

    • 個人の経験に頼りすぎずチームでナレッジを共有すること

    • 公平性のある評価を本人に正しく伝えること

    • ワークライフバランスへの取り組みをすること

    • メンバーの不調に気が付きやすい職場環境を整えること

    バーンアウトに陥る従業員を出さないためには、ストレスを抱えさせないための工夫や従業員の変化の兆候にいち早く気が付き、精神的なサポートをすることが大切になります。

    特に、これまで安定した業務成果をあげていた従業員の不調には、気が付きにくい場合があります。

    ストレスチェックやパルスサーベイの導入、1on1ミーティングの実施などによって、周囲が変化を感じ始めてから声をかけるのではなく、その前に不調があるメンバーのアラートを拾えるような仕組みづくりと関係性の構築に努めましょう。

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    バーンアウトから回復する方法

    バーンアウトから回復する方法として、Bernier(1998)の研究では、燃え尽き症候群からの回復過程には6つの段階があると提唱しています。

    バーンアウトからの回復過程

    1. 問題を認める
    2. 仕事から距離を置く
    3. 健康を回復する
    4. 価値観を問い直す
    5. 働きの場を探す
    6. 断ち切り変化する

    問題を認める

    自身が感じている心身の不調や意欲の低下が単なる疲労からきているのではなく、心理的な要素が関係していることを自覚することが第1段階です。

    仕事から距離を置く

    次に、仕事に関する思いを断ち切ります。仕事をしながらだと、どうしても仕事に対して心理的な距離を置くことが難しいため、仕事を休むという物理的な職場との距離を置くことで思いを断ち切るケースが多いです。

    健康を回復する

    仕事と距離をとったうえで、ゆっくりと休息をとり健康を回復します。たっぷり睡眠を取り、心をリラックスさせることで、心身ともに健全な状態を取り戻します。

    価値観を問い直す

    充分な休息を取り、心身ともに健康を取り戻したら、これまでの極端に仕事の比重が高かった生活を振り返り、改めて自分の生活の中で大切にしたいことなどの価値観を問い直す段階に入ります。

    働きの場を探す

    個人の内面に向いていた気持ちが、「外の世界」つまり「社会」との関わりに向かって行きます。第4段階の「価値観を問い直す」ことで気が付いた、新しい価値観にあった仕事を求める時期と言われています。

    断ち切り変化する

    これまでの自分のライフスタイルを断ち切り、新しいライフスタイルへと変化するのが最後の段階です。バーンアウトに陥ってしまった人でも、段階を追った心の変化を経て職場復帰や社会復帰を遂げることは可能であるということです。

    (参考)独立行政法人 労働政策研究・研修機構「バーンアウト(燃え尽き症候群)ヒューマンサービス職のストレス

    バーンアウトの兆候が見えたら

    バーンアウトの兆候が見えたら、どのような対処を心掛ければ良いのかについて確認してみましょう。

    バーンアウトの兆候が見えたら

    • 話をする時間を作る

    • 充分な休息を取るよう促す

    • 部署変更など職場環境の変更を検討する

    話をする時間を作る

    バーンアウトと思われる症状がある従業員は、ひとりでストレスを抱え込んでしまっている場合があります。

    これまで頑張ってきたこと、今気になっていることなど、本人に関する話がしやすい環境を用意できると良いでしょう。

    例えば、「メンター制度」を導入し、所属する部署以外の先輩従業員から助言をもらう機会を作るのも良いでしょう。

    メンター制度では、後輩従業員(メンティー)が、自分のキャリア形成に関することなどを、他部署の先輩従業員(メンター)に相談することができます。

    メンターは、直属の上司による業務上の指導とは別に、メンティーの成長を側面から支援する役割を担います。

    評価を気にして直属の上司や同じ部署の先輩従業員には話しづらいことも、業務上では関わりのない他部署の先輩従業員であるメンターには、気兼ねなく話ができることもあります。

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    充分な休息を取るよう促す

    バーンアウトに陥る従業員は、ひたむきに一生懸命に仕事を頑張るタイプや完璧主義な人が多い傾向にあります。

    そのため、罪悪感や責任感から、無理をしてでも仕事をこなそうとして休みを拒むケースも考えられます。

    「体調が辛いときなどは気にせずに休んでよい」ということを日頃から伝え、組織として「ワークライフバランスを重視する」という雰囲気づくりをするなどの日常的なケアはもちろん、休みを取りやすい職場づくりを進めるようにしましょう。

    休みが取りやすい職場環境にするためには、誰かが休んでも仕事に支障が出ないように環境を整える必要があります。

    属人的になっている仕事を他の人もできるようにマニュアル化することや、メンバーの仕事内容や仕事量、スケジュールをチーム内で共有して代理対応をしやすくすることなどが有効です。

    バーンアウトの回復のためには、充分な休息をとることが大切です。

    もし、従業員にバーンアウトの兆候が見られた場合には、時間が経ち重症化してしまうほどに回復が遅れてしまうリスクも鑑みて、休職も視野に入れながら、まずは心身ともに休ませることを意識します。

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    部署変更など職場環境の変更を検討する

    従業員本人から職場環境を変えるため部署を変わりたいという希望があった場合、必要に応じて上司や総務、人事などの関係部署と連携し、部署変更など会社としてできることがあるかを検討します。

    「従業員のストレスを和らげる方法は何か」を1番大事なこととして、対処法を考えましょう。

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    人事異動の目的とは?主な種類や時期、メリット・デメリットについて解説

    バーンアウト診断チェック表

    バーンアウト診断の参考として「日本版バーンアウト尺度」のチェック表について確認してみましょう。

    バーンアウト診断チェック表

    E:情緒的消耗感、D:脱人格化、PA:個人的達成感 (逆転項目)

    (出典)独立行政法人 労働政策研究・研修機構「バーンアウト(燃え尽き症候群)ヒューマンサービス職のストレス」をもとにHRBrainが作成

    日本版バーンアウト尺度

    1. こんな仕事もうやめたいと思うことがある:E
    2. 我を忘れるほど仕事に熱中することがある:PA
    3. 細々と気配りすることが面倒に感じることがある:D
    4. この仕事は私の性分に合っていると思うことがある:PA
    5. 同僚やクライアントの顔を見るのも嫌になる時がある:D
    6. 自分の仕事がつまらなく思えて仕方ない時がある:D
    7. 1日の仕事が終わると 「やっと終わった」 と感じる:E
    8. 出勤前、職場に出るのが嫌になって家にいたいと思う:E
    9. 仕事後今日は気持ちの良い日だったと思うことがある:PA
    10. 同僚やクライアントと何も話したくなくなる:D
    11. 仕事の結果はどうでもよいと思うことがある:D
    12. 仕事のために心にゆとりがなくなったと感じる:E
    13. 今の仕事に心から喜びを感じることがある:PA
    14. 今の仕事は私にとってあまり意味がないと思う:D
    15. 仕事が楽しくて知らないうちに時間が過ぎる:PA
    16. 体も気持ちも疲れ果てたと思うことがある:E
    17. 我ながら仕事をうまくやり終えたと思うことがある:PA

    バーンアウトやメンタル不調の早期発見

    バーンアウトは、これまで安定した業務成果をあげていたメンバーが、急に仕事に対する意欲や熱意を失ってしまう状態です。

    バーンアウトに陥ってしまうと、本人も周囲も「なぜ、突然?」と思ってしまうこともありますが、何の問題がなく見えていても、本人も気付かぬうちに持続的に精神的なストレスを受け続けている可能性は誰にでもあり得ます。

    バーンアウトは、うつ病の症状とよく似ているとも言われています。

    また、バーンアウトの状態が悪化すると、うつ病の発症や適応障害につながってしまう可能性もゼロではありません。

    安易に「バーンアウトは病気ではない」と自己診断をするのではなく、少しでも不安があれば、社内の産業医など医師に相談するようにしましょう。

    「HRBrain パルスサーベイ」は、バーンアウトやメンタル不調の兆候を早期段階で発見するために、従業員ひとりひとりのコンディションを把握することが可能です。

    従業員のコンディションを分かりやすく見える化し、従業員ごとにサーベイを最適化、回答内容によって質問数を調整することで、従業員の負担を減らしながらコンディションを把握することができます。

    「HRBrain パルスサーベイ」の特徴

    • 従業員と組織の状態を効率的に可視化

    対話型サーベイで設問を最適化し従業員の回答負担を軽減

    さらにアラートレベルが高い従業員を的確に察知することが可能です

    • 「課題特定」から「解決策の提示」までトータルサポート

    サーベイの回答結果をもとにシステムが自動で課題を特定し問題を可視化します

    推奨アクションもシステムが自動提供し個人最適の課題改善を支援します

    • 収集した情報の一元管理とモニタリング基盤の構築

    収集した情報は一元管理され課題の特定から解決までをサポート

    蓄積したデータを活用することで「エンゲージメント」の維持と向上を行います

    HR大学編集部
    HR大学 編集部

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