#人材育成
2024/03/18

ファシリテーションとは?役割や必要なスキルと実践方法を解説

目次

    ファシリテーションとは、会議をスムーズに進める技法のことで、グローバル化が進み、異なる背景や意見を持つ人々が、相互理解を進め、ともに目的や目標を達成するために、必須のスキルです。

    また、ファシリテーションの手法を学ぶことで、従業員自身のスキルアップだけでなく、会議に主体的に参加する意識も養われます。

    この記事では、ファシリテーションとは何なのか、ファシリテーションに必要なスキル、ファシリテーターの役割、会議やワークショップでのファシリテーションの実践方法について解説します。

    ファシリテーターの選出や会議の参加メンバーの抽出に

    ファシリテーションとは

    ファシリテーションとは、会議や研修などディスカッションの場でのコミュニケーションをスムーズに進行するための技法です。

    会議とは、複数の「人」が特定の「場所」に集まり、インプットされた「情報」をもとに、「どのような行動を起こすのか」などの新たな「情報」をアウトプットしていくことを指します。

    ファシリテーションとは、会議の司会進行をするだけではなく、会議を時間内に終わらせ、脱線しがちな話を本筋に戻し、適切なゴールへと参加者を導く手法のことを指します。

    また、オンライン会議においても、ファシリテーションの本質は変わりません。

    計画性がなく、主導する人もいない会議では、参加者は「なんのために集まったのか」「どんな問題を解決しなければならないか」の擦り合わせができなくなってしまいます。

    会議時間を過ぎても何もアウトプットが得られず、「時間を無駄」にしてしまうと、参加者のモチベーションを著しく下げてしまうため、ファシリテーションは会議において大切な手法だと言えます。

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    ファシリテーションが広まった背景

    ファシリテーションという言葉は、1960〜70年代頃のアメリカのビジネスシーンで使用され始めました。

    ファシリテーションという言葉が流行したのは、トップダウンではなく、会議の参加者が考えを出し合い、意思決定をするという流れを受けてのことです。

    グローバル化が進み、異なる価値観の人々がともにひとつの目的に向かう際に、有効な手法として、ファシリテーションは注目されるようになりました。

    ファシリテーションは現在に至るまで、企業にとどまらず、地域活動、グループ学習など、人が集まり意思決定をする機会で取り入れられています。

    特にビジネスにおいて会議を円滑に進め、参加者から意思決定のコンセンサスを取るためには、ファシリテーションという手法は欠かせません。

    ファシリテーションのメリット

    ファシリテーションのメリットについて確認してみましょう。

    ファシリテーションのメリット

    • アイディアが出しやすくなる

    • 適切なアウトプットが出やすい

    アイディアが出しやすくなる

    ファシリテーションのメリットとして、発言者が「アイディアが出しやすくなる」というメリットがあげられます。

    普段は周囲に遠慮をしてしまい、なかなか発言をしない従業員からも、意外なアイディアが出る場合があります。

    ファシリテーションを実践する役割を持つ「ファシリテーター」は、アイディアが出やすくなるよう、発言者の意見を尊重し、耳を傾けるようにします。

    本筋に関連する重要な意見には、さらに質問をして意見を深堀りしていき、発言者が答えやすいよう会議を進行していきます。

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    適切なアウトプットが出やすい

    ファシリテーションのメリットとして、「適切なアウトプットが出やすい」というメリットがあげられます。

    ファシリテーションを意識しない会議では、話が脱線したり、そもそもゴールがわかりにくく、適切なアウトプットが出にくくなってしまいます。

    反対に、ファシリテーションを学んだ従業員は「どのように会議を進行すれば意見が出しやすくなるのか」を理解しているため、適切なアウトプットが出やすくなります。

    ファシリテーターとは

    ファシリテーターとは、ファシリテーションの役割を担う人のことを指します。

    ファシリテーターには参加者が発言しやすいよう、「場の雰囲気を作り」「意見を引き出す」「認識の一致を促す」「相互理解を促す」などの重要な役割があります。

    また、会議ではファシリテーションの目的を達成するため、司会とは別にファシリテーターを置く場合もあります。

    ファシリテーターの役割は多岐に渡るため、会議では議事録を作成する担当者をファシリテーターとは別で立てておくことも大切です。

    ファシリテーターの役割

    ファシリテーターの主な役割について確認してみましょう。

    ファシリテーターの役割

    • 出発点と到達点を定めて共有する

    • 参加者を把握する

    • 発言しやすい場の雰囲気作り

    • 論点のズレを修正する

    • タイムキーパー

    • 結論付けと合意形成(コンセンサスをとる)

    出発点と到達点を定めて共有する

    ファシリテーターは会議を設定する際に、今回の会議は「どこから始めて」「どこにたどり着くことが目的なのか」という「出発点」と「到達点」を事前に決め、参加者に伝えることが重要です。

    また、そもそもの議題が難解な場合は、問題をかみ砕き、参加者が理解しやすいように落とし込むことも必要となります。

    ファシリテーターが「出発点」と「到達点」を正しく理解し、設定することが会議で適切なアウトプットを出すための鍵となります。

    参加者を把握する

    同じチームや部署で行われる会議では、改めて言葉にしなくとも、共通の認識があり、説明を省いても伝わる場合が多いでしょう。

    しかし、他部署との会議の場合、情報にバラつきがあったり、ミッションが異なっていることがあります。

    例え社内であったとしても、売上を追う営業部と、法律を遵守する法務部では、意見が対立することも少なくありません。

    そのため、ファシリテーターはそれぞれの部署、参加者が「議題に対してどのような意見や認識を持っているのか」をあらかじめ洗い出す必要があります。

    地道な作業ではありますが、会議を成功させるためには、重要なステップです。

    また、参加者の中で、決定権を持つキーパーソンと参加者などの、それぞれの関係性を事前に把握しておくことも大切です。

    会議の参加メンバーの情報把握に役立つ

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    発言しやすい場の雰囲気作り

    スムーズな会議には、発言しやすい雰囲気作りが欠かせません。

    誰も発言しない中で、自分の意見を言うことは、誰でも気が重いはずです。

    「本当は言いたいことがあるのに言い出せない」というのは、参加者にとっても、企業にとっても損失です。

    ファシリテーターは、発言者の意見に耳を傾け、意見を尊重し、意義があるものだと伝える必要があります。

    その働きかけを継続することで、発言者は自信を持って発言できるようになります。

    発言しやすい場の雰囲気作りは、活発なアイディア出しに重要な役割を果たします。

    論点のズレを修正する

    発言しやすい場の雰囲気作りをしたとしても、話が本筋から脱線することを許容してはいけません。

    話の「論点がズレてきた」と感じたら、改めて会議のゴールに立ち返り、「到達点」である「目的」を再確認することが必要です。

    会議で話が盛り上がることは一見よいことのように思えますが、時間を取られてしまっては本末転倒です。

    特に、決定事項を確認し、コンセンサスを取る時間が圧迫されるようなことは避けなければなりません。

    話の論点がズレてきたと気づいた際は、ファシリテーターは勇気を持って話に切り込み、話の軌道修正を行うようにしましょう。

    タイムキーパー

    会議の時間は有限なため、「議題の共有に〇分」「ディスカッションに〇分」など、会議の時間配分についても、事前に決めておきましょう。

    スライドにあらかじめ時間配分を記載して、会議の冒頭に流れを共有すると、参加者も心づもりができます。

    会議中、到達点とともに時間配分もスライドに投影しておく、または資料とともに配布する、など常に参加者の目に触れるようにしておくと、進行がスムーズです。

    結論付けと合意形成(コンセンサスをとる)

    会議は、新しい「情報」や「行動」を生み出す場でもあります。

    「どの担当者が」「いつまでに」「なんのタスクを終わらせるのか」を明確にする必要があります。

    参加者の意見を再確認し、結論付けをして、コンセンサスを取りましょう。

    1回の会議で全ての議題を消化できないこともあるでしょう。

    その場合は、「決まったこと」「決まらなかったこと」を明確にして、次回の会議へと引き継ぎましょう。

    ファシリテーションに必要なスキル

    ファシリテーションに必要なスキルについて確認してみましょう。

    ファシリテーションに必要なスキル

    • 話の本筋や意見を理解する力

    • 話を整理する力

    • 人に質問する力

    • 傾聴力

    話の本筋や意見を理解する力

    ファシリテーターには、会議の本筋や参加者の意見を正しく「理解する力」が必要です。

    参加者の意見を汲み取り、理解する力や、本筋から議論が離れた際に、引き戻すスキルが必要です。

    話を整理する力

    ファシリテーターには、参加者の「話を整理する力」が必要です。

    会議の際に参加者から出されるさまざまな意見を、分類し整理する力が大切になります。

    そのためには、物事を体系的に理解し整理する、筋道を立てて考える、「論理的思考力」が必要となります。

    抽象的な言葉は、具体的な言葉に置き換えるなどして、普段から話を整理する力を養うようにしましょう。

    論理的思考が身につけば、問題解決のために有効な意見を見分け、さらに意見を深めるためのアプローチが可能となります。

    人に質問する力

    ファシリテーターには、率先して「人に質問する力」が必要です。

    発言者の意見で「補足が必要だ」と感じる場合、「〇〇とは、つまり〇〇のことでしょうか?」「〇〇について、具体的に教えていただけますか?」というように、参加者の共通認識を強固にするための質問をしましょう。

    質問をすることで、発言者に「あなたの意見を聴いています」というサインを送るだけでなく、目的に対するアプローチ方法を深めることができます。

    傾聴力

    ファシリテーターには、人の意見を熱心に聴くための「傾聴力」が必要です。

    発言者が話しやすいよう、ファシリテーターから「話を聴いています」というサインを出すことも重要です。

    具体的には、発言者に体や顔を向けて、相槌を打つこと、発言者の言葉を要約し「話を聴いて理解しています」と示すことが大切です。

    ファシリテーターの態度によって、発言者は自身の発言が尊重されていると感じ、意見が言いやすくなります。

    会議でのファシリテーションの実践方法

    実際に会議でファシリテーションを行う際の実践方法について確認してみましょう。

    会議前の事前準備

    ファシリテーターは、会議に臨む前に事前準備を行いましょう。

    まずは、会議の目的や目標を定め、どのような会議の進め方をしたらスムーズに、目的や目標へたどり着けるのかを考えます。

    また、会議の参加者の情報を集めましょう。

    会議では、全ての参加者が、共通認識を持てるよう工夫が必要なため、社内用語を改めて定義しなおすことも必要かもしれません。

    参加者がストレスなく、発言できるよう事前送付する資料にも配慮をしましょう。

    さらに、会議を行う会場の設備を確認し、資料はプロジェクターに投影するのか、紙での配布を行うのか、それとも両方が必要なのかを検討します。

    とくに、プロジェクターとパソコンを繋ぐケーブルの用意や、スライドの投影方法など、設備まわりに不安がある場合は、事前確認をしておくとスムーズです。

    また、ファシリテーターは、会議中は参加者の発言に神経を集中する必要があります。

    議事録の作成まで手が回らない場合は、議事録の作成者を別途立て、事前に依頼しておくようにしましょう。

    会議前のチェックリスト

    • 会議の目的や目標を定める

    • 会議の参加者情報を集める

    • 全ての参加者が共通認識をもって議論できるように準備する

    • 紙の資料が必要な場合は資料を用意する

    • 資料をプロジェクターなどで投影する場合は、ケーブルや投影方法の確認をする

    会議中

    会議が始まったら、まず参加者に会議の目的や目標である「到達点」を伝えるようにしましょう。

    会議で何を話し合うのか、何が問題なのか、その問題をどうやって解決するのか、参加者から意見を引き出し、深めるべき発言には質問を投げかけ、課題解決のために有効なアプローチを探りましょう。

    ブレインストーミングなどの手法を使うことも有効です。

    論点がズレてきた際には、目的や目標を参加者にリマインドしましょう。

    また、ファシリテーターにはタイムキーパーとしての役割もあります。

    話が脱線した場合には、話を本筋に引き戻す勇気も必要です。

    さらに、会議で出た成果を確認し、参加者にコンセンサスを取ることも重要です。

    「時間がなくなってしまった」とならないように、コンセンサスを取る時間は必ず確保しておきましょう。

    会議中のチェックリスト

    • 会議の参加者に目的や目標を伝える

    • 参加者から質問を引き出す

    • 参加者の発言を深める

    • 論点がズレた場合は話を本筋に引き戻す

    • タイムキーパーとしての役割を果たす

    • 会議で得られた成果を確認しコンセンサスを取る

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    会議後

    会議後は、速やかに議事録を作成し、会議によって得られた成果を言語化し、参加者に回覧します。

    会議の結果を受けて、次回の会議の目的や目標を定め、参加者のスケジュールを押さえます。

    会議後のチェックリスト

    • 速やかに議事録を作成する

    • 参加者に回覧する

    • 次回の会議の目的や目標を設定する

    • 次回の会議に出席する参加者のスケジュールを押さえる

    会議の記録の整理や可視化に

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    ワークショップでのファシリテーションの実践方法

    実際にワークショップでファシリテーションを行う際の実践方法について確認してみましょう。

    ワークショップの事前準備

    ワークショップとは、参加者が主体的に取り組む体験型の講座のことです。

    セミナーに比べ、参加者が能動的に話し合う場面が多く組み込まれているため、ワークショップでのファシリテーションは、事前準備が重要です。

    「どのような順番で進行をするのか」「話し合う時間は十分に取れているのか」など、入念にシミュレーションを行いましょう。

    また、会議室や会場を借りる場合は、テーブルや椅子のレイアウトにも配慮しましょう。

    模造紙や付箋などを使用する場合は、それらを貼るスペースがあるかも確認が必要です。

    ワークショップ当日に慌てないよう、あらかじめ準備を行いましょう。

    ワークショップ前のチェックリスト

    • 議題について話し合う時間の配分を入念にシミュレーションする

    • 会議室を借りる場合は、事前に室内を把握する(レイアウトや設備の確認など)

    ワークショップ中

    ワークショップのファシリテーターは、参加者の対話がスムーズに進むよう立ち回りましょう。

    参加者が相手を打ち負かすような議論や討論を始めた場合は、ワークショップの目的に立ち返るよう促しましょう。

    振り返り用のメモを残しておくことも、次回の反省に役立ちます。

    ワークショップ中のチェックリスト

    • 参加者から発言を引き出す

    • 参加者の発言に気を配り、相手を打ち負かすような議論や討論が始まった際は目的に立ち返るよう促す

    • 振り返り用のメモを残しておく

    ワークショップ後

    ワークショップ終了後は、残しておいた記録を振り返りながら、次回にいかせるところはないかを考えましょう。

    成果物を確認し、目標への達成度を確認します。

    また、参加者に対してどのような学びがあったのかを確認するようにしましょう。

    ワークショップ後のチェックリスト

    • ワークショップ全体の振り返り

    • 成果物を確認し目標への達成度を確認する

    • 参加者からのフィードバックを受ける

    ファシリテーションの手法を学ぶには

    ファシリテーションの手法を学ぶには、専門家が主催するワークショップ、セミナー、研修に参加することが有効です。

    また、現在では対面での会議ではなく「オンライン会議」が主流になってきています。

    オンライン会議ならではの、ファシリテーターが意識すべきポイントもあります。

    個人で学ぶ他、社内にファシリテーターの役割を担える従業員が不足している場合には、社員研修の一環として、ファシリテーションの手法が学べる研修の導入を提案してみましょう。

    ファシリテーションは会議において必須のスキル

    ファシリテーションは、会議をスムーズに進める技法のことです。

    グローバル化が進んだ時代背景を受け、異なる背景や意見を持つ人々が、相互理解を進め、ともに目的や目標を達成するために、ファシリテーションは発達した経緯があります。

    また、ファシリテーションを担う役割の人を「ファシリテーター」と言い、ファシリテーターは、会議の事前準備にはじまり、会議中、会議後に果たすべき役割があります。

    ファシリテーションの能力を高めたい場合は、専門家が主催するワークショップ、セミナー、研修への参加がおすすめです。

    ファシリテーションの手法を学ぶことで、従業員自身のスキルアップだけでなく、会議に主体的に参加する意識も養われます。

    ファシリテーションについての研修を「社員研修の一環」として取り入れることも、有効です。

    「HRBrain タレントマネジメント」は従業員ひとりひとりのスキルや評価記録などさまざまなデータを一元管理し可視化することが可能なため、会議の参加メンバーの抽出や「ファシリテーター」の選出もスムーズに行えます。

    また、従業員のスキルマップや、これまでの実務経験、研修などの育成履歴や、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、1on1やフィードバックなどの面談履歴などを一元管理します。

    HRBrain タレントマネジメントの特徴

    • 検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現

    運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。

    • 柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を

    従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。

    • 人材データの見える化も柔軟で簡単に

    データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。

    ▼「タレントマネジメントシステム」についてさらに詳しく
    【完全版】タレントマネジメントとは?基本・実践、導入方法まで解説
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    HR大学編集部
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