#人材育成
2024/12/16

マルチタスクとは? シングルタスクとの違いとメリットやデメリットとやり方を簡単に解説

目次

マルチタスクとは短時間で切り替えながら、複数の作業を行なうことを指します。

マルチタスクは苦手な人もいますが、少しの工夫でできるようになり、業務効率を上げることが可能になります。

この記事では、マルチタスクと脳の構造について、マルチタスクとシングルタスクの違い、マルチタスクができない人の特徴、マルチタスクのメリット、マルチタスクのデメリット、マルチタスクができるようになるためのタスクの管理方法について、簡単に解説します。

従業員のタスクの管理と見える化

マルチタスクとは

マルチタスクとは、もともとはコンピュータ用語で、1つのコンピュータが同時に違う情報処理をすることを指していました。

その後ビジネスシーンでも使われるようになり、複数のタスクを同時進行することをマルチタスクと呼ぶようになりました。

マルチタスクを簡単に解説

マルチタスクとは短時間で切り替えながら、複数の作業を行なうことを指します。

ビジネスシーンでは特に意識をせずに使っている方も多いでしょう。

例えば、電話を受けながらメールの処理をする、会議中に議論に参加しながら議事録を作成するなど、2つ以上の作業を同時に行っていればマルチタスクと言えます。

特に近年ではスマートフォンの普及で、パソコンで作業しながら複数のデバイスを同時に使うことも一般的になりました。

マルチタスクは女性が得意だと言われる理由

マルチタスクが得意なのには、脳の構造が寄与していると言われています。

2002年にベストセラーになった書籍、「話を聞かない男、地図が読めない女」で男脳、女脳が取り上げられ話題になりました。

書籍では、大昔の狩猟時代に獲物に静かに近づき、一点集中で狩りをする必要があった男性は、脳の構造的にマルチタスクが苦手だと言われています。

一方で、狩猟中はパートナーを待ちながら、他の女性と協力して果物を取ったり子育てをしながら、周囲の人とコミュニケーションを取る必要があった女性は、脳の構造的にマルチタスクがしやすいと言われています。

発表当時は賛否両論あった理論ですが、2017年に英国王立協会のオープンアクセス誌「Royal Society Open Science」が発表した研究結果では、脳内で作用している女性の性ホルモンが、女性のマルチタスク能力を裏付けている可能性があることを指摘し、再度話題になりました。

前脳のエストロゲンが影響している可能性があり、マルチタスクの遂行で明確な男女差が認められたそうです。

また脳は実際には1つのことしかできず、マルチタスクに見えるのは2つの脳内部分の切り替えが早いことで同時進行に見えていることも分かっていて、切り替えが下手だとマルチタスクが苦手だと感じるようです。

(参考)「話を聞かない男、地図が読めない女」(著:アラン・ピーズ、バーバラ・ピーズ、訳:藤井留美、出版:主婦の友社)

(参考)英国王立協会「Royal Society Open Science

マルチタスクとシングルタスクの違い

マルチタスクの対義語にシングルタスクがあります。

シングルタスクとは、1つの作業に集中することを指します。

向き不向きであったり、仕事内容によってマルチタスクとの相性が変わってきたりするため、必ずしもシングルタスクに比べマルチタスクができる人の方が、能力が高いとは言い切れません。

業務内容によっては、シングルタスクを行う方が、トータルでの生産性が上がる場合もあります。

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マルチタスクができない人の特徴

マルチタスクができない、苦手と感じてしまう人の特徴について確認してみましょう。

マルチタスクができない人の特徴

  • 完璧主義

  • スケジュール管理が苦手

完璧主義

マルチタスクができない人の特徴として、「完璧主義」ということがあげられます。

完璧主義な人は、作業中に話しかけられるなど、少し違う要素が入ったり、他の業務を頼まれたりなどのイレギュラーに対応することに対して、大変なストレスを感じてしまう場合があります。

マルチタスクができない人は、目の前の作業に集中できるという特性がありますが、その分短時間で作業を切り替えるのが難しくなります。

スケジュール管理が苦手

マルチタスクができない人の特徴として、「スケジュール管理が苦手」ということがあげられます。

今あるシングルタスクに集中することはできても、複数の業務を同じタイミングで渡されると、作業が止まってしまう場合があります。

また、どこから手をつけて良いか分からない、納期が混乱してしまうなど、スケジュール化に戸惑ってしまう場合があります。

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マルチタスクのメリット

マルチタスクができることのメリットについて確認してみましょう。

マルチタスクのメリット

  • 同時進行で複数の仕事ができる

  • 全体像が把握しやすくなる

同時進行で複数の仕事ができる

マルチタスクのメリットとして、「同時進行で複数の仕事ができる」ことがあげられます。

マルチタスクでは、同時に複数のタスクをこなすことができるため、納期や締め切りが同じ複数の業務を請け負うことができます。

また、突発的な依頼にも対応しやすいため、上司としても仕事を振りやすく、より仕事を任せてもらえるようになるというメリットがあります。

逆に、上司が他の仕事をしている最中のことを考えてみましょう。

マルチタスクが得意な上司であることが分かっていれば、部下はいつでも上司に相談しやすくなります。

部下は上司とコミュニケーションが取りやすく、チーム全体が円滑に動きやすくなります。

全体像が把握しやすくなる

マルチタスクのメリットとして、「全体像が把握しやすくなる」ことがあげられます。

同時進行で複数の作業を進めることで、より全体像が把握しやすくなります。

例えば、販売計画を考える際に、目の前の資料作成ばかりに集中するのではなく、思いついたアイデアをすぐに問い合わせたり、調査を並行で行ったりすることで、より深みのある資料を作ることができるようになります。

マルチタスクのデメリット

マルチタスクにはメリットばかりではありません。

マルチタスクのデメリットについて確認してみましょう。

マルチタスクのデメリット

  • マルチタスクは生産性が下がる

  • キャパシティーオーバーを起こしやすい

生産性が下がる

マルチタスクのデメリットとして、「生産性が下がる」ことがあげられます。

マルチタスクは一見効率が良いように見えますが、実際は1つの物事に集中する方が作業効率が上がると言われています。

例えば、作業の途中で電話を受けてしまった場合、前の作業に戻るにはどこまで考えたかを再度思い出す必要があり、電話を受けた時間と思い出している時間がそれぞれロスタイムとも言えるため、トータルの生産性で考えると、実際は生産性が下がっている可能性があります。

また、「時間がない」「慌ただしい」「間に合わない」といった焦りは脳に強いストレスを与え、生産性が落ちてしまう要因になります。

さらに、予定よりも遅れてしまった仕事に対して、「時間がない」という思いを強めることで脳への負担が増え、悪循環に陥ってしまいます。

脳への強いストレスで、時間が細切れになった感覚になる現象は「時間汚染」とも呼ばれ、社会学者のジョン・ロビンソン氏によって提唱されています。

キャパシティーオーバーを起こしやすい

マルチタスクのデメリットとして、「キャパシティーオーバーを起こしやすい」ことがあげられます。

シングルタスクであれば、作業の終了時間の目安も見積もりやすくなります。

しかしマルチタスクの場合は、それぞれのシングルタスクで工数見積もりをして仕事を受けてしまうと、タイムロスが加味されておらず、キャパシティーオーバーを起こしやすくなってしまいます。

また、同時並行で複数の作業の納期があるため、1つの作業が滞ると複数の業務の納期が一度に停滞してしまい、焦りやすくなるというデメリットがあります。

マルチタスクができるようになるためのタスクの管理方法

マルチタスクが得意な人は、脳内での切り替えが早い人だと言われていますが、マルチタスクが苦手な人でも、考え方を変えるだけでマルチタスクができるようになるコツがあります。

マルチタスクができるようになるためのタスクの管理方法について確認してみましょう。

マルチタスクができるようになるためのタスクの管理方法

  • シングルタスクをたくさん終わらせる

  • 120分ごとに時間を区切ってタスクを割り振る

  • 関連する業務をまとめてこなす

シングルタスクをたくさん終わらせる

マルチタスクができるようになるためのタスクの管理方法の1つ目は、「シングルタスクをたくさん終わらせる」ことです。

コロンビア大学が考案した「タスクシフト」というテクニックがあります。

タスクシフトとは、事前に複数のタスクを切り替えるタイミングを決めておくというものです。

外部からの要因で作業が中断されるのではなく、あらかじめ設定したタイミングでタスクシフトをするほうが効率が上がることが分かっています。

まず、長期タスクも短期的タスクも合わせた、現状の全てのシングルタスクを書き出します。

その中で翌週の1週間以内にすべきことをピックアップし、拾い上げたタスクに時間と重要度で優先順位を付け、自分の持っている業務を可視化します。

マルチタスクも多くのシングルタスクの集まりです。

マルチタスクを行うために、まずは全部をシングルタスクに分解し、シングルタスクをそれぞれ大きなかたまりで管理していきます。

また、能動的にタスクシフトをすることで、脳内の切り替えやマルチタスクが苦手な人でも切り替えができるようになります。

120分ごとに時間を区切ってタスクを割り振る

マルチタスクができるようになるためのタスクの管理方法の2つ目は、「120分ごとに時間を区切ってタスクを割り振る」ことです。

1週間以内にすべきことをピックアップしたら、1週間のタイムスケジュールに120分ごとのタイムボックスを設定します。

例えば、午前中の2時間、10時から12時までを1ボックス、午後は13時から15時まで、15時半から17時半までを2ボックスに設定します。

1週間、5日勤務であれば、勤務時間にもよりますが、15〜20個程度のタイムボックスができるでしょう。

タイムボックスができたら、洗い出したタスクを優先順位にそって埋めて行きます。

また、最近はポモドーロテクニックという25分間作業をして、5分間の休憩をとるという手法もあります。

しかし、大きなタスクを終了させるには25分ではやや短い場合もあります。

また、人間は2時間が集中できる最大時間と言われているため、2時間を推奨している会社もあります。

もし2時間が長いように感じる場合は、自身が集中できる時間を計測してみて、効率の良い集中時間に合わせてみると良いでしょう。

1週間の業務が15〜20個の大きなタスクボックスで終わらないと感じる場合は、すでに翌週以降の業務がキャパシティーオーバーになっている可能性があります。

優先順位の低いもので、取り組むことをやめたり、延期したりできるものがないかの調整が必要になります。

関連する業務をまとめてこなす

マルチタスクができるようになるためのタスクの管理方法の3つ目は、「関連する業務をまとめてこなす」ことです。

業務を事前に洗い出すことで、翌週にすることが明確になったら、電話をかける、メールを確認するなど共通するタスクはまとめて処理するようにしましょう。

また、2時間のタスク時間の合間に30分間のオフタイムを取り、スモールタスクの時間を作り、共通するタスクはまとめてこなしてしまいます。

マルチタスクが苦手な人は、目の前のことには集中できても、何か邪魔が入ると、同時にあれこれ考えられなくなってしまう人が多いのですが、邪魔はまとめてしまうことで邪魔にならなくなり、あらかじめ決めた目の前のことに集中することができるようになります。

さらに、大きなタスクボックスで作業中に思い付いたアイデアや、細かい業務はメモをしておき、後で時間を決めて確認するようにします。

例えば、2時間の作業中はできるだけ集中できるような環境を作り、周りに2時間後に戻る旨を伝えて場所を変えて作業をする、2時間は電話を取り継がないように依頼するなど集中している時間であることを伝えると効率が上がります。

そして、その後の30分間で電話やチャット、メールの確認をするようにし、部下にもその時間に相談をしてもらうように依頼することで作業は中断しません。

1日で並行して3つから4つのタスクを走らせることができるため、作業効率が上がるだけでなく、毎日マルチタスクで業務遂行ができるようになります。

▼「タスク管理」についてさらに詳しく

タスク管理とは?意味や上手な人の特徴とやり方について解説

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マルチタスクは1on1と同時導入で従業員のスキルアップを

マルチタスクとは短時間で切り替えながら、複数の作業を行なうことを指します。

マルチタスクは苦手な人もいますが、少しの工夫でできるようになり、業務効率を上げることが可能になります。

また、マルチタスクは仕事術にもつながりますが、新人の仕事術を含めた教育は人事がまとめて行うものの他に、上司が人事評価とあわせたフィードバック時に行うのが一般的です。

上司と部下の効果的なフィードバックには、「1on1」のアプローチがおすすめです。

「HRBrain タレントマネジメント」は、マルチタスクをはじめとした従業員の教育や研修記録、1on1などのコミュニケーション施策の実施記録などを一元管理し、評価の透明性を高め納得感の高い評価制度の実施を実現します。

さらに、従業員のスキルマップや、これまでの実務経験、育成履歴、異動経験、人事評価などの従業員データの管理と合わせて、OKRなどの目標管理、1on1やフィードバックなどの管理も可能です。

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  • 柔軟な権限設定で最適な人材情報管理を

従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。

  • 人材データの見える化も柔軟で簡単に

データベースの自由度の高さや、データの見える化をより簡単に、ダッシュボードの作成も実務運用を想定しています。

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株式会社HRBrain 宮本幸輝
宮本 幸輝
  • 株式会社HRBrain コンサルティング事業部 組織・⼈事コンサルタント

大学卒業後、コンサルタント企業に入社し、大手家電メーカーや製薬企業に人材マネジメントや研修を提供。また50名〜500名規模企業への⼈事評価制度構築⽀援など組織開発領域を幅広く携わる。

その後、医療業界のネットベンチャー2社のジョイントベンチャーの立ち上げに携わり、自社組織の開発にも貢献。

総合経営コンサルティング会社に移り、50名の⽼舗企業からベンチャー企業、IT(2000名)規模の⼈事制度構築⽀援を複数経験。その他にも経営戦略コンサルや⼤⼿⽯油卸企業の店舗組織変⾰プロジェクトにも参画。

現在は、HRBrain コンサルティング事業部で組織人事コンサルタントとして活躍中。
人事戦略策定から人事評価制度コンサルティング領域まで年間約20社以上を支援する。

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