内定辞退とは?よくある理由や防止策、トラブル防止で知るべき内容解説
- 内定辞退とは
- そもそも内定とは?労働契約の一種!?
- 内定辞退とは?
- 内定辞退の現状とよくある理由
- 内定辞退の現状
- よくある内定辞退の理由
- 内定辞退方法の種類と時期
- 内定辞退の方法とマナー
- 内定辞退はいつまで?
- トラブルを避けるために知っておきたいこと
- 知っておくべき、内定の法的位置づけ
- 内定辞退は、労働契約の解約?!
- 内定辞退と内定取り消しの違い
- 内定辞退、人事が取り組むべきことは?
- 人事が取り組むべき対応
- 【まとめ】内定者の不安に耳を傾けて、それを取り除く内定者フォローを実施しましょう
内定辞退とは
多くのプロセスを経て出した内定を辞退されることは、人事として避けたいこと。ここでは、内定辞退に取り組むうえで知っておくべき雇用契約上の内定の位置づけ、内定辞退の定義を説明します。
そもそも内定とは?労働契約の一種!?
内定は、労働契約の一種です。まだ働いていないにも拘らず、労働契約であることに違和感があるかもしれませんが、判例上、労働契約が成立するという考えが確立されています。
詳細は後述しますが、入社までにやむを得ない事由が発生した場合、内定を解約できるという条件付きの労働契約です。
内定辞退とは?
内定辞退とは、採用企業が内定通知を交付し、採用候補者が内定承諾書をもって承諾したあとに、採用候補者の都合によって内定を辞退することです。
採用候補者が内定承諾した時点で、労働契約が成立しますので、内定辞退は、法律上、内定者による労働契約の解約になります。法的には、「退職の自由」により、労働契約の解約申し入れから2週間を経過することで雇用が終了(民法第627条)します。
内定辞退の現状とよくある理由
人事の頭を悩ます内定辞退。一般的に内定辞退はどのような現状なのでしょうか?ここでは、内定辞退の現状とよくある内定辞退の理由をみていきます。
内定辞退の現状
ここでは、内定辞退率と内定保有数の統計を踏まえて現状を説明します。
統計に見る内定辞退の現状
21年卒の新卒内定状況調査によると、調査時点で「内定辞退率が2割」の企業が20.1%で前年比3.8ポイント増、次いで「内定辞退率が4割」の企業が17.6%で前年比3.3ポイント減、他方、辞退者なしは20.4%で前年比3.4ポイント減という結果でした。
辞退者なし:20.4%(前年17.0%)
内定辞退率1割:15.7%(前年13.6%)
内定辞退率2割:20.1%(前年16.3%)
内定辞退率3割:11.8%(前年8.2%)
内定辞退率4割:17.6%(前年20.9%)
この調査結果から、内定辞退は、辞退者なしと内定辞退率1割〜4割のゾーンで大半を占めていることがわかります。
新卒内定状況調査を詳しく知りたい方は、次のサイトから該当の調査をご参考ください。
(※参考) 株式会社マイナビ:「HUMAN CAPITAL サポネット」
とりあえず内定を承諾する学生も多い!?
22卒の内定者意識調査によると、就職活動をする学生の内定保有数は、21卒はコロナ渦で1.87社に落ち込んだものの、16卒の平均1.73社から徐々に増加し、22卒で平均2.0社となっているように、就職活動をする学生は、内定を複数保有していることがわかります。
この結果から、早期に内定を取得しても、自身の納得いくまで就職活動を継続している学生がいることが窺えます。
内定者意識調査を詳しく知りたい方は、次のサイトから該当の調査をご参考ください。
(※参考) 株式会社マイナビ:「HUMAN CAPITAL サポネット」
内定後の辞退に悩む人事担当
採用企業は、採用計画に基づいた採用人数を充足させるため、採用活動を行っています。採用の選考プロセスは、募集から会社説明会、複数回の選考を経て、多くの関係者の協力が必要です。内定辞退により、採用計画人数を充足しない場合、また一から採用活動を行う必要があります。
このように、内定辞退は、採用企業の人事担当者にとって大きな悩みになるのです。
よくある内定辞退の理由
22卒の内定者意識調査によると、「入社予定先企業を決めた後、不安になった理由」として次の調査結果がでています。
社会人としてやっていけるか(21.8%)
この会社できちん務まるかどうか(17.5%)
自分がこの仕事に向いているかどうか(17.0%)
なんとなく漠然と(14.1%)
ネットで良くない評判・口コミを見て(12.8%)
思ったよりあっさり内々定が出た(12.0%)
他の内々定者と会う機会がない(11.6%)
入社後の生活環境(一人暮らし、寮生活など)(11.4%)
自身が内定先企業できちんと務まるか・仕事に向いているか、他の内々定者と会う機会がない、入社後の生活環境など、内定フォローで解決する内容も多いことが分かります。
内定者意識調査を詳しく知りたい方は、次のサイトから該当の調査をご参考ください。
(※参考) 株式会社マイナビ:「HUMAN CAPITAL サポネット」
内定辞退方法の種類と時期
内定辞退をすることになった場合、内定者はどのような方法で、いつまでにするべきでしょうか。ここでは、内定辞退の方法とマナーと時期について説明します。
内定辞退の方法とマナー
内定者から承諾した内定を辞退する場合、なるべく早く、お詫びとともに連絡すべきです。採用企業は、内定辞退により、採用活動を再開しなければならないこともあるため、内定辞退を連絡しないことは絶対NGであることを念頭に、速やかに連絡しましょう。
次にあげる方法以外に直接会うことも考えられますが、人事担当者の時間を奪うことにもなりますので、深いつながりがあるなどの特別な事情がない限り、避けたほうが無難です。
ここでは、電話、メール、手紙による方法を説明します。
電話による方法
内定のプロセスまで、多大な時間とコストをかけてきた人事担当者には、誠意をもって内定辞退を伝えたいもの。
細かい理由まで説明することはありませんが、「一身上の都合で」という画一的な説明ではなく、内定辞退の理由やお詫びを自分の言葉で伝えることで誠意が伝わるでしょう。「他社の内定を受理する」とのことを伝える場合、社名は出さない方が無難です。
内定辞退により他社に入社することになったとしても、いつ、どこで内定辞退をした会社とつながるか分かりません。誠実に対応することを心がけてください。
メールによる方法
メールによる方法は、電話に比べると軽んじた印象になりがちです。電話がなかなか繋がらないなどの場合、「数回お電話いたしましたが、ご不在でしたのでメールにて失礼いたします」といったフレーズをつけて、メールで連絡することが望ましいでしょう。
ただし、テンプレートの内容のみだと誠実な対応とはいえません。テンプレートの内容に自分の言葉を添えると好印象です。
手紙による方法
電話で直接話しづらいといった場合、手紙で連絡する方法もあります。誠意を伝えるという意味では、手書きで作ることで、丁寧に良い印象を与えることができます。手紙による場合でも、テンプレートの内容だけではなく自分の言葉を添えることで誠意が伝わるでしょう。
内定辞退はいつまで?
採用企業は、内定辞退が発生した際、採用計画人数に合わせて選考活動を再開する必要があることもありますので、なるべく早く伝えることが望ましいといえます。
新卒採用においては、時期が遅くなるほど人数を確保することが困難であるほか、学生の質という観点でも、時期が遅いほど良い学生を確保することは難しい事情があります。
中途採用においては、採用手法にもよりますが、新たなナビサイトの手配のほか、中途採用の受入部署の人員手配に狂いが生じます。
このような事情から、内定辞退は、なるべく早く伝えることを心がけてください。
トラブルを避けるために知っておきたいこと
内定辞退は、法的には退職の自由によって強い拘束力があるものではありません。ただし、内定は労働契約の一種であることから、採用企業による内定取り消しは強い拘束力があるといえます。
ここでは、内定や内定辞退の法的位置づけ、内定辞退と内定取り消しの違いについて説明します。
知っておくべき、内定の法的位置づけ
内定は労働契約の一種ですが、具体的には、判例上、「就労始期付解約権留保付労働契約」という労働契約が成立する考えが確立されています。
「就労始期付」とは、入社して就労するまでに一定期間があること、「解約権留保付」とは、入社までにやむをえない事由が発生した場合には内定を解約できることを指します「就労始期付解約権留保付労働契約」とは、これらの条件付きの労働契約です。
内定に関する判例を詳しく知りたい方は、次の厚生労働省のサイトをご参考ください。
(※参考) 厚生労働省:「裁判例」
内定辞退は、労働契約の解約?!
内定は、内定者に対して入社への拘束力がないことは良く知られていますが、これは「実質的に」ということです。 内定は労働契約であることから、「労働者側から2週間前に申し出れば解約できる」との法令の定めによって、実質的に内定辞退に強い拘束力はないという意味です。
このため、内定期間中に内定辞退を申し出れば、法的には2週間後に労働契約は解約されます。実務的には、内定者から労務提供を受ける前ですので、事実上、内定辞退の申し出をもって内定辞退を受理することになります。
内定辞退と内定取り消しの違い
内定辞退は、採用候補者が自身の事情によって、内定を辞退するという「労働契約の解約」ですが、内定取り消しとは採用企業の事情によって、内定を取り消すことです。
内定辞退は、採用候補者から申し出れば2週間後に労働契約は解約されますが、内定取り消しは、労働契約上、解雇の扱いとなり、客観的・合理的、かつ社会通念上相当と認められない場合は、解雇権濫用として内定取り消しは無効となります。
上記のような関係から、採用企業は内定によって強い拘束力がありますが、内定者は内定による拘束力は強くないといえます。
内定に関する判例を詳しく知りたい方は、次の厚生労働省のサイトをご参考ください。
(※参考) 厚生労働省:「裁判例」
内定辞退、人事が取り組むべきことは?
内定者の意識として「自身が内定先企業できちんと務まるか」「仕事に向いているか」などが「入社予定先企業を決めた後、不安になった理由」としてあげられています。
ここでは、内定辞退における人事が取り組むべき対応と取り組み事例を紹介します。
人事が取り組むべき対応
内定者の入社に向けた不安を払拭するため、人事は主に次のことを取り組むべきです。なかでも、調査結果として出ている不安要因をなくすよう説明をすることがポイントです。
会社の雰囲気を伝える
人事以外の社員と接点をもたせ、会社の雰囲気がわかるように先輩社員との座談会などを行いましょう。社内報の発送、または近況をSNSなどで発信することも有用です。
コロナ渦においては、直接会うことは難しいこともありますので、Webで行うことも考えられます。
こまめにフォローする
内定後、採用企業から音信不通という状況では、内定者は不安を感じるものです。内定式前においても、懇親会や内定者同士の交流の場を設けるなど、コミュニケーションをこまめにとることで内定者の不安を払拭することができます。
また、こまめにフォローをすることで、内定者は歓迎されている雰囲気を感じ取ることができ、内定辞退防止につなげることができるのです。
調査結果の取り組み
「入社予定先企業を決めた後、不安になった理由」としてあげられた調査結果のうち、次のの項目は、人事のフォローで解決できるものです。
自身が内定先企業できちんと務まるか
仕事に向いているか
他の内々定者と会う機会がない
入社後の生活環境
「自身が内定先企業できちんと務まるか・仕事に向いているか」については、先輩社員との座談会を実施することで、仕事の内容や向き・不向きを感じ取ってもらうことができます。
仮に、内定者が仕事に向いていない、不向きであると感じたとしても、先輩社員から「どのように乗り越えたか」といったエピソードを聞くことで不安を払拭することができるのです。「入社後の生活環境」についても、先輩社員から実体験を話してもらうことで、解決できるでしょう。
「他の内々定者と会う機会がない」については、懇親会や座談会などのコミュニケーションの場を設けることで解決につなげることができます。
内定辞退取り組み例ここでは、内定取り組み例として、「とりあえず内定」を防ぐ例、内定承諾後の内定辞退を防いだ事例を紹介します。
とりあえず内定の学生を防ぐ例
選考段階の面接で、就職活動状況を聞いておくことが重要です。とくに、最終選考段階では、他に進んでいる選考の状況、内定保有社数、自社に対する志望度合いなどを聞いておくとよいでしょう。
こうしておくことで、内定の学生の志望度をある程度測ることができます。
内定出しの際、「とりあえず内定」を防ぐ取り組みとして、他社の最終選考待ちなどがある場合、採用企業から承諾期限に問題がないかを確認し、必要に応じて承諾期限を延長することも有効です。
内定承諾後の内定辞退の防いだ事例
ここでは、グループウェアを活用した継続的な内定者フォローの取り組み(サイボウズ株式会社)の事例を紹介します。
同社では、定期的なイベントのほか、連絡事項の伝達、自社紹介、内定者同士の紹介など、内定者の定期的なフォローを目的に、「サイボウズLive」というグループウェアを活用しています。
これにより、入社前の企業理解の促進、同期同士の交流の活発化を図っています。
【まとめ】内定者の不安に耳を傾けて、それを取り除く内定者フォローを実施しましょう
本記事では、内定辞退の内容・理由のほか、トラブルを避けるために知っておきたいこと、調査結果に基づく人事の取り組むべきことなどを紹介しました。
内定辞退防止の取り組みは、「入社後の不安を取り除いてあげること」「こまめにフォローすること」がポイントです。
本記事を参考に、内定者の不安に耳を傾けて、それを取り除く内定者フォローを実践しましょう。
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