モチベーションサーベイとは?活用メリット・質問項目・成功事例などを解説
組織状態の把握から分析・課題抽出までワンストップで実現
- モチベーションサーベイとは何か?
- モチベーションサーベイと従業員満足度調査の違い
- モチベーションサーベイとエンゲージメントサーベイの違い
- モチベーションサーベイ実施の5つのメリット
- 組織やチームごとの課題や強みを明確にできる
- モチベーション低下の予兆を早期に察知できる
- 離職リスクのある従業員層を把握し、対策につなげられる
- マネジメントの改善ポイントが明らかになる
- 施策の効果検証ができ、打ち手の質を高められる
- モチベーションサーベイ実施の4つのデメリット
- 実施回数によっては現場の負担が増える
- 改善アクションにつなげられなければ逆効果になる
- サーベイ結果を放置すると信頼を損なう恐れがある
- 個人を特定できるような内容で不信感が生まれるおそれがある
- モチベーションサーベイの5種類の質問項目
- 仕事内容に関する項目
- 職場環境に関する項目
- 評価・報酬に関する項目
- キャリア・将来に関する項目
- 会社の方向性・ビジョンの共感に関する項目
- モチベーションサーベイの7ステップの実施方法
- 1.サーベイ実施の目的を明確にし、達成目標を設定する
- 2.適切な対象者と調査手法を選定する
- 3.効果的な実施タイミングの設定と周知
- 4.スムーズなアンケート運用と回収体制の構築
- 5.結果データの客観的かつ多角的な分析
- 6.調査結果の共有と改善アクションへの反映
- 7.実施後のフォローアップと継続的な見直し
- サーベイ実施の5つの成功事例
- 従業員に寄り添うサーベイ運用。 2,000名規模の組織改善の取り組みとは
- タレントマネジメント×サーベイで実現。個人の強みを組織の強みに転換させていく方法とは
- 全社を巻き込むサーベイ運用。各部門が主体となって進める組織改善の仕組みとは
- 「サーベイ結果が出たら終わり」ではなくその先へ。HRBrainと二人三脚で進める組織改善
- 人的資本経営の強化。経営・人事・現場をつなぐ、自社らしさを重視したサーベイ活用
- おすすめのモチベーションサーベイ実施ツール「HRBrain」
- モチベーションサーベイを導入して、組織の課題を可視化し、継続的な改善サイクルを回そう
「最近、従業員のやる気が見えにくい」「離職の予兆をデータで掴みたい」と感じたことはありませんか?
モチベーションサーベイは、従業員一人ひとりの働く意欲や本音を可視化し、組織の課題や強みを客観的に捉えるための有効な手段です。
本記事では、モチベーションサーベイの基本的な仕組みや、従業員満足度調査・エンゲージメントサーベイとの違い、さらには活用メリットや実施のポイントまで、企業が組織力を高めるうえで知っておくべき情報をわかりやすく解説します。
モチベーションサーベイとは何か?
モチベーションサーベイとは、従業員の働く意欲や仕事への満足度、組織への貢献意欲などを数値化し、組織の状態を可視化するための調査です。 多くの場合、Webアンケート形式で実施され、匿名での回答によって従業員の本音を引き出せます。
企業がこのサーベイを活用する目的は、従業員のモチベーションレベルを把握し、離職リスクや不満の兆候を早期に発見することにあります。
また、組織改善や人事施策の方針を検討する上でも有効なデータとなります。調査項目としては、「仕事内容への満足度」「上司や同僚との関係」「成長実感」「企業理念への共感」などが含まれることが一般的です。
モチベーションサーベイと従業員満足度調査の違い
モチベーションサーベイと従業員満足度調査は、どちらも従業員の意見を収集する手法ですが、その目的と測定対象には明確な違いがあります。
モチベーションサーベイの主な目的は、従業員一人ひとりの仕事に対する「意欲」や「動機付け」の源泉を明らかにすることです。従業員がどのような点にやりがいを感じ、どのような要因によって仕事への熱意が高まるのか、あるいは低下するのかを探ります。これにより、生産性の向上や自発的な行動を促すための具体的な施策立案につなげます。
一方、従業員満足度調査は、主に給与、福利厚生、労働時間、職場の人間関係といった「労働環境」や「待遇」に対する従業員の満足度を測定します。こちらの調査は、従業員が働きやすい環境であるか、不満を抱えていないかを確認し、離職防止や職場環境の改善に役立てることを目的としています。
たとえば、従業員満足度調査で「給与に満足している」という結果が出ても、モチベーションサーベイで「仕事内容に成長を感じられない」という結果が出ることもあります。
このように、満足度が高いことが必ずしも高いモチベーションに直結するわけではありません。したがって、組織の課題が生産性向上なのか、あるいは離職率低減なのかといった目的に応じて、適切な調査を選択、または組み合わせて実施することが、効果的な組織改善への鍵となります。
モチベーションサーベイとエンゲージメントサーベイの違い
モチベーションサーベイとエンゲージメントサーベイは、従業員の意識を測る点で共通していますが、焦点となる「関係性」が異なります。モチベーションサーベイと違い、エンゲージメントサーベイは、従業員「個人」と「組織」との関係性に焦点を当てます。
これは、従業員が所属する組織に対してどれだけの愛着、貢献意欲、信頼感を持っているか、組織の目標達成に向けて自発的に行動しようとするエンゲージメントの度合いを測定するものです。組織のビジョンへの共感度や、組織の一員であることへの誇りなどが評価指標に含まれます。モチベーションが高いことは、エンゲージメントを高める重要な要素のひとつとなり得ますが、両者は同一ではありません。
例えば、現在の仕事内容には非常にやりがいを感じてモチベーション高く取り組んでいても、会社の将来性や経営方針に不安を感じていれば、組織へのエンゲージメントは低いという状況も考えられます。
組織として従業員のパフォーマンスを最大化したいのか、組織全体の一体感を高めたいのかなど、解決したい課題に応じて適切なサーベイを選択することが重要です。両者を組み合わせることで、より深く従業員と組織の関係性を理解できます。
モチベーションサーベイ実施の5つのメリット
モチベーションサーベイを実施することで組織が得られる具体的なメリットについて紹介します。主なメリットは、以下の5つです。
<モチベーションサーベイ実施の5つのメリット>
組織やチームごとの課題や強みを明確にできる
モチベーション低下の予兆を早期に察知できる
離職リスクのある従業員層を把握し、対策につなげられる
マネジメントの改善ポイントが明らかになる
施策の効果検証ができ、打ち手の質を高められる
モチベーションサーベイは、単に従業員の意欲を測るだけでなく、組織改善に繋がる多くの利点をもたらします
組織やチームごとの課題や強みを明確にできる
モチベーションサーベイでは、組織全体の平均的な状況だけではなく、部署やチームといったより詳細な単位での課題や強みを具体的に把握できます。
サーベイ結果は、所属部署、役職、勤続年数、雇用形態といったさまざまな属性情報と組み合わせて分析することが可能です。このアプローチにより、全社的な視点だけでは見過ごされがちな、特定の従業員グループが直面している固有の問題やニーズ、特定のチームがなぜ高いモチベーションを維持できているのか、その背景にある強みを客観的なデータにもとづいて明らかにできます。
たとえば、会社全体のスコアは良好でも、詳細に分析すると特定の技術部門で「新しいスキルを習得する機会が少ない」という項目に対する不満が顕著であることや、ある営業チームでは「上司との定期的なフィードバックが活発である」という点が強みとして機能していることなどが判明する場合があります。
このように組織やチームごとの実態を正確に捉えることで、画一的な改善策ではなく、それぞれの状況に最適化された、より的確で効果的な打ち手を計画・実行できるようになります。限られた経営資源をもっとも効果が期待できる領域に集中投下し、組織全体の活性化を効率的に推進するために重要といえるでしょう。
モチベーション低下の予兆を早期に察知できる
定期的にモチベーションサーベイを実施することは、従業員のモチベーション低下やエンゲージメントの揺らぎといった変化の兆しを、問題が深刻化する前に早期に捉えるための有効な仕組みとなります。
年に一度の詳細な調査に加えて、四半期ごとや月次など、より短い間隔で簡易的な調査を行うことで、従業員の感情や意見の変化をタイムリーに把握する「定点観測」が可能です。サーベイを通じて従業員一人ひとりのコンディションの変化を追うことで、些細な懸念や不満のサインをデータとして客観的に検知できる場合があります。
たとえば、ある従業員の回答スコアが前回の調査から急に低下していたり、「仕事への集中度」や「ストレスレベル」に関するネガティブな回答がチーム内で増加傾向を示していたりする場合、何らかの潜在的な問題を示唆している重要なサインかもしれません。
このような変化を早期に察知できれば、担当マネージャーは対象従業員との1on1ミーティングの機会を設けたり、チーム内の業務配分や人間関係について状況を確認したりするなど、問題が大きくなる前に迅速かつ適切な対応をとりやすくなります。早期発見・早期対応は、従業員のメンタルヘルス不調の防止や、パフォーマンス低下の抑制、さらには意図しない離職を防ぐうえでも重要です。
離職リスクのある従業員層を把握し、対策につなげられる
モチベーションサーベイは、組織内で離職の可能性が高い従業員の傾向や、離職につながりやすい潜在的な要因を特定し、効果的な人材定着(リテンション)施策を計画・実行するための貴重なデータを提供します。従業員のモチベーションの低下、所属組織に対するエンゲージメントの低迷は、多くの場合、近い将来の離職意向を示す先行指標となり得ることが指摘されています。
サーベイの結果を詳細に分析し、たとえば「入社3年未満の若手層」「特定の職種の専門職」「特定の事業所の従業員」といった特定の属性を持つグループにおいて、モチベーションやエンゲージメントに関連するスコアが全体平均や他グループと比較して低い傾向が見られた場合、その背景には共通する離職要因が存在する可能性があるでしょう。具体的には、キャリアパスに対する将来不安、現行の評価制度や報酬への不満、過重な労働負荷によるワークライフバランスの問題などが推測されます。
このように離職リスクが高いと考えられる従業員層とその潜在的な要因を特定できれば、組織として優先的に取り組むべき課題が明確になります。若手層のキャリア不安が課題であれば、メンター制度の導入やキャリア面談の機会を増やす、評価制度への不満であれば制度の見直しや透明性の向上を図るといった具体的な対策を検討・実施することが可能です。
モチベーションサーベイを戦略的に活用し、データにもとづいて離職リスクを早期に把握・対処することは、組織力の維持・強化、さらには採用や再教育にかかるコストの削減にもつながるでしょう。
マネジメントの改善ポイントが明らかになる
モチベーションサーベイの結果を分析することで、管理職のマネジメント行動や部下との関わり方について、具体的な改善点を発見するための客観的な手がかりを得られます。多くのモチベーションサーベイでは、「上司からのサポートの適切さ」「フィードバックの質と頻度」「目標設定や期待役割の明確さ」「意思決定プロセスへの関与度合い」「キャリア成長への配慮」など、マネジメントの質に関連する質問項目が含まれています。
特に、サーベイの匿名性が確保されている場合、従業員は普段、直属の上司には直接伝えにくいと感じている意見や要望を表明しやすくなります。これらの回答結果を部署ごと、あるいはマネージャーごとに集計・分析することで、特定のマネージャーがどのような点で部下から評価されており、どのような点に課題を抱えているのかが、客観的なデータとして浮かび上がってきます。
たとえば、あるマネージャーが担当する部署で、「上司は自分の意見や提案に耳を傾けてくれるか」という項目のスコアが他の部署に比べて低い場合、そのマネージャーの傾聴スキルや、部下の主体性を引き出す関わり方に改善の余地がある可能性を示唆しています。このようなデータにもとづき、対象マネージャーへの個別フィードバックや、コミュニケーションスキル向上のための研修機会の提供、あるいは1on1ミーティングの質の向上に向けた具体的なアドバイスなどを行うことができます。
サーベイ結果をマネージャー自身の行動変容を促すための気づきの機会として、また、組織全体のマネジメント能力向上のための育成計画の根拠として活用することは、非常に有効なアプローチといえるでしょう。
施策の効果検証ができ、打ち手の質を高められる
モチベーションサーベイを単発で終わらせず、定期的に継続して実施することで、組織改善のために導入したさまざまな人事施策や取り組みの効果を客観的に測定・検証し、その結果を踏まえて次のアクション(打ち手)の質を高めていく改善サイクルを回せます。
たとえば、従業員のスキルアップ支援のために新しい研修プログラムを導入したり、コミュニケーション活性化のために社内SNSツールを導入したりした場合、それらの施策が本当に従業員のモチベーション向上やエンゲージメント強化につながったのかを、具体的なデータにもとづいて評価することが可能です。
施策を実施する前のサーベイ結果(Before)と、実施後のサーベイ結果(After)を比較分析することで、「研修の満足度」や「コミュニケーションの円滑さ」といった直接的な項目だけでなく、それらが「仕事への意欲」や「組織への貢献意欲」といった全体のモチベーション指標にどのような影響を与えたのかを定量的に把握できます。
さらに、部署別、年代別などで分析すれば、どの層に特に効果があったのか、あるいは効果が薄かったのかといった詳細な検証も可能です。もし、期待したほどの効果が見られない、あるいは特定の層にはむしろネガティブな影響が出ているといった結果が得られた場合は、その原因をさらに深く分析する必要があります。施策の設計自体に問題があったのか、実施プロセスや周知方法に課題があったのかなどを検討し、施策内容の見直し、運用方法の改善、場合によっては施策の中止といった判断をしやすくなります。
このように、施策の効果を客観的に検証し、その学びを次に活かすプロセスを繰り返すことで、組織改善の取り組みがより効果的で効率的なものへと進化していきます。
モチベーションサーベイ実施の4つのデメリット
モチベーションサーベイのメリットだけでなく、実施する上で注意すべき点や、やり方によっては生じる可能性のあるデメリットについても紹介します。
事前にリスクを理解し、適切な対策を講じることが、サーベイを成功させる鍵となります。主なデメリット・注意点は、以下の4点です。
<モチベーションサーベイ実施の4つのデメリット>
実施回数によっては現場の負担が増える
改善アクションにつなげられなければ逆効果になる
サーベイ結果を放置すると信頼を損なう恐れがある
個人を特定できるような内容で不信感が生まれるおそれがある
実施回数によっては現場の負担が増える
モチベーションサーベイは従業員の状態を把握する有効な手段ですが、その実施頻度や設問内容によっては、回答する従業員や結果を集計・分析する人事担当者の負担を増やしてしまう可能性があります。毎週や毎月といった高頻度で実施されるパルスサーベイや、多くの質問項目を含む詳細な年次調査などは、回答に一定の時間と労力を要します。
日々の業務に加えてこれらのサーベイ対応が重なると、従業員は「またアンケートか」という負担感や、いわゆる「サーベイ疲れ」を感じてしまうことがあります。サーベイの目的や結果がどのように活用されるのかが不明確なまま、回答だけを繰り返し求められる状況も、従業員の負担感を増大させる要因となります。このような状態が続くと、回答が形式的になったり、設問をよく読まずに回答したりするなど、回答の質が低下する恐れに注意が必要です。さらに深刻な場合は、回答率自体が低下し、組織全体の正確な状況把握が困難になる可能性も考えられます。
こうした事態を避けるためには、サーベイの目的を明確にし、その目的に応じて適切な実施頻度や設問数を慎重に検討することが重要です。サーベイの意義や結果の活用状況を従業員に丁寧に説明し、回答しやすいツールを選択することも、負担感を軽減し、協力的な姿勢を引き出す上で効果的でしょう。
改善アクションにつなげられなければ逆効果になる
モチベーションサーベイを実施するうえで注意すべきデメリットのひとつが、調査結果にもとづいて具体的な改善アクションを実行に移さなければ、かえって従業員のモチベーションや組織への信頼感を損なう逆効果を招きかねないということです。
従業員は、忙しい業務の合間を縫ってサーベイに協力する際、自身の率直な意見や感じている課題が、今後の組織改善に少しでも役立つことを期待しています。もし、サーベイによってさまざまな課題や改善要望が明らかになったにもかかわらず、組織側がそれに対して何の具体的な行動も起こさない、あるいは結果のフィードバックすらないという状況になれば、従業員の期待は裏切られることになります。
「結局、意見を言っても何も変わらない」「会社は私たちの声を聞く気がないのかもしれない」といった失望感や不信感が組織内に広がり、従業員のエンゲージメントは著しく低下してしまうでしょう。
このような最悪の事態を避けるためには、モチベーションサーベイを単なる調査と捉えるのではなく、組織改善プロセス全体の出発点として位置づけることが不可欠です。サーベイを計画する段階から、結果をどのように分析し、誰が責任を持って改善策を立案・実行し、その効果をどのように測定・評価するかまでの一連の流れを明確にしたうえで、組織としてその実行にコミットする姿勢を示す必要があります。
サーベイ結果を放置すると信頼を損なう恐れがある
従業員の協力のもと収集したモチベーションサーベイの貴重なデータを、分析せずにそのまま放置してしまったり、分析結果やその後の対応について従業員に何もフィードバックしなかったりすることは、組織と従業員との間の信頼関係を著しく損なう行為となり得ます。
従業員は、サーベイに回答した後、自分たちの声がどのように受け止められ、それが今後の会社の動きにどう影響するのか、あるいは影響しないのかについて、当然ながら関心を持っています。
サーベイ実施後、長期間にわたって結果に関する情報共有がなく、組織からの反応が何も感じられない状態が続くと、従業員は「あの調査はいったい何だったのだろうか」「自分の意見は結局、聞いてもらえなかったのかもしれない」「サーベイは単なる形式的なイベントだったのか」といった疑念や不信感を募らせることになります。
特に、サーベイ実施時に「皆さんの声を組織改善に活かします」といった説明があったにも関わらず、その後のアクションが見えない場合、従業員の失望はより大きくなるでしょう。このような状況は、従業員の組織に対するエンゲージメントを低下させるだけでなく、今後の組織的な取り組みに対する協力意欲をも削いでしまう可能性があります。
したがって、サーベイ結果の分析と従業員へのフィードバックを重要なプロセスとして、あらかじめ計画に組み込んでおく必要があります。詳細な分析結果のすべてを開示する必要はありませんが、調査から見えてきた全体的な傾向や、それらの結果を受けて組織として今後どのような検討を進め、どのようなアクションを予定しているのかについて、可能な限り速やかに、そして透明性をもって従業員に伝えることが極めて重要です。
個人を特定できるような内容で不信感が生まれるおそれがある
モチベーションサーベイを実施する際には、設問の内容や結果の取り扱い方法に細心の注意を払わなければ、「自分の回答によって個人が特定されてしまうのではないか」「率直な意見を述べた結果、何らかの不利益を被るのではないか」といった不安や疑念を従業員に抱かせ、組織への不信感を生じさせてしまうリスクがあります。
特に注意が必要なのは、自由記述形式の設問で具体的なエピソードや特定の人物への言及を求める場合や、所属する部署やチームの構成人数が少ない場合における集計結果の開示方法です。これらの状況は、意図せずとも回答者を推測させるヒントを与えてしまう可能性があります。
従業員が、自身の回答と個人が結びつけられるかもしれないというリスクを感じてしまうと、自己防衛のために本音を隠したり、当たり障りのない無難な回答を選択したりする傾向が強まります。そうなると、サーベイ本来の目的である、組織の真の課題や従業員の率直な意見を正確に把握することが極めて困難になってしまいます。
個人が特定され得る自由記述の取り扱いについては、事前にルールを定めて周知することが望ましいでしょう。また、結果を開示する際には、一定の回答者数に満たないグループの集計結果は表示しない、といったプライバシー保護への配慮が不可欠です。
モチベーションサーベイの5種類の質問項目
モチベーションサーベイを設計する際に、一般的にどのような視点から質問項目が設定されるのか、主要なカテゴリを5つに分けて紹介します。
主な質問項目のカテゴリは、以下の5つです。
<モチベーションサーベイの5種類の質問項目>
仕事内容に関する項目
職場環境に関する項目
評価・報酬に関する項目
キャリア・将来に関する項目
会社の方向性・ビジョンの共感に関する項目
これらのカテゴリを理解することで、自社の目的に合った効果的なサーベイを設計するためのヒントが得られます。
仕事内容に関する項目
モチベーションサーベイにおいて、仕事内容に関する質問項目は非常に重要です。これは、従業員が日々従事している具体的な業務そのものに対して、どの程度の「やりがい」や「興味」を感じているか、また業務を通じて「達成感」や「成長実感」を得られているか、さらには「業務負荷」は適切かなどを測定する目的があります。
日々の業務は、従業員のモチベーションに直接的な影響を与える最も根本的な要因のひとつといえるでしょう。仕事自体の面白さ、挑戦する機会の有無、自身の持つスキルや能力を十分に活かせているという感覚、業務の進め方に関する裁量権の大きさ、そして仕事を通じて新しい知識やスキルが身についているという成長実感などは、従業員の自律的な意欲と深く関わっています。これらの要素が満たされているかどうかは、従業員の仕事への熱意や日々のパフォーマンスに大きく影響を及ぼします。
仕事内容に関する質問の例は、以下の通りです。

これらの回答結果を分析することで、従業員が仕事内容そのものから意欲を引き出し、主体的に業務に取り組めているか、その実態を把握することが可能です。
職場環境に関する項目
職場環境に関する質問項目は、従業員が日々の業務を行う上での「働きやすさ」や「居心地の良さ」を多角的に測定します。
これには、オフィスの明るさや温度、騒音レベル、整理整頓状況、使用する機器やツールの性能といった「物理的な環境」だけでなく、より重要ともいえる「心理的な環境」も含まれます。心理的な環境とは、上司や同僚との人間関係の質、チーム内でのコミュニケーションの円滑さ、部署間の協力体制、そして組織全体の風土や文化などを指します。
従業員が多くの時間を過ごす職場環境は、その人のモチベーションを維持し、持てる能力を最大限に発揮するための大切な基盤となります。快適で安全な物理的環境はもちろんのこと、特に、困ったときに助けを求められる、自分の意見を安心して述べられる、多様な考え方が尊重されるといった「心理的安全性」が確保された職場環境は、従業員のストレスを軽減し、創造性や生産性を高めるうえで不可欠です。
職場環境における具体的な質問例は、以下の5つです。

これらの質問への回答を通じて、従業員が職場で感じている物理的・心理的な快適さや安全性のレベルを評価します。
評価・報酬に関する項目
評価・報酬に関する質問項目は、従業員が自身の業務遂行能力、仕事の成果、組織への貢献などに対する会社からの評価、給与・賞与・昇進・昇格・福利厚生といった報酬全般について、どの程度公平性や妥当性を感じ、それに納得しているかを測定するものです。
従業員にとって、自分の頑張りや出した成果が組織によってきちんと認められ、それに見合った処遇を得られているという実感は、モチベーションを維持・向上させるための重要な「外発的動機付け」のひとつとなります。評価基準が曖昧であったり、評価プロセスが不透明であったり、あるいは同業他社の水準や自身の貢献度と比較して報酬が低いと感じたりする場合、従業員は強い不公平感や不満を抱き、仕事に対する意欲を著しく低下させてしまう可能性があります。
評価・報酬に関する声を収集するためには、以下のような質問が効果的です。

これらの質問に対する回答を分析することで、現行の評価・報酬システムに対する従業員の満足度や納得感を把握できます。
従業員一人ひとりが自身の評価や報酬に対して正当性を感じ、納得感を持てるような制度を設計し、それを公正かつ透明に運用していくことは、組織全体の士気を高め、優秀な人材を惹きつけ、定着させるために不可欠な要素です。
キャリア・将来に関する項目
キャリア・将来に関する質問項目は、従業員が現在所属している組織の中で、自身の職業的な成長や今後のキャリア展開についてどのように考えているか、将来に対する展望や期待を持っているか、その実現に向けた学習や経験の機会が十分に提供されていると感じているかを測定します。
組織の中で自己成長を実感できたり、将来的なキャリアアップの道筋が見えたりすることは、従業員が長期的な視点で意欲を持って働き続けるための強力な動機付けとなります。特に、自身のキャリアをこれから本格的に築いていこうとする若手や中堅の従業員にとって、組織内での成長機会の有無やキャリアパスの明確さは、現在の組織に留まり続けるかどうかの重要な判断基準です。
キャリア・将来に関する具体的な質問の例としては、以下が考えられます。

これらの質問を通じて、従業員のキャリアに対する意識、成長意欲、組織に対する期待の度合いを探ることができます。従業員一人ひとりのキャリア志向に組織として寄り添い、成長を支援する具体的な機会を提供することは、従業員のエンゲージメントを高め、優秀な人材の定着を促進するうえで非常に重要です。
会社の方向性・ビジョンの共感に関する項目
会社の方向性・ビジョンの共感に関する質問項目は、従業員が、自社が掲げる経営理念や存在意義(ミッション)、将来目指すべき姿(ビジョン)、組織として大切にする行動規範や価値観(バリュー)などを、どの程度理解し、共感・賛同しているかを測定するためのものです。
従業員が、日々の業務を単にこなすだけでなく、会社全体が社会に対してどのような価値を提供しようとしているのか、どこへ向かおうとしているのかを理解し、その方向性に個人的な意味を見出し、共感できることは、仕事に対するエンゲージメントや目的意識を高めるうえで重要な要素となります。
会社のビジョンと自身の仕事との間につながりを感じ、「自分はこの組織の一員として、価値ある目標の実現に貢献している」と実感できるとき、従業員は組織への一体感を強め、より高い意欲を持って自発的に行動しようとする傾向があります。
逆に、会社の将来像が見えなかったり、掲げられている理念や価値観に疑問を感じたりすると、組織への帰属意識は希薄になり、長期的なモチベーションを維持することが難しくなる可能性があります。
具体的な質問例として、下記が考えられます。

これらの質問に対する回答から、従業員の組織に対する共感度やビジョンへの理解度を把握することができます。
従業員一人ひとりが会社の目指す方向性に共感し、誇りを持って仕事に取り組める組織文化を醸成することは、組織全体のエンゲージメントを高め、持続的な成長を実現するための基盤となります。
モチベーションサーベイの7ステップの実施方法
モチベーションサーベイを効果的に実施し、組織改善につなげるための具体的な手順を7つのステップに分けて解説します。
<モチベーションサーベイの7ステップの実施方法>
- サーベイ実施の目的を明確にし、達成目標を設定する
- 適切な対象者と調査手法を選定する
- 効果的な実施タイミングの設定と周知
- スムーズなアンケート運用と回収体制の構築
- 結果データの客観的かつ多角的な分析
- 調査結果の共有と改善アクションへの反映
- 実施後のフォローアップと継続的な見直し
これらのステップを順に進めることで、サーベイの目的達成と効果の最大化が期待できます。
1.サーベイ実施の目的を明確にし、達成目標を設定する
モチベーションサーベイを成功させるための第一歩は、その実施目的を明確に定めることです。「なぜ、このサーベイを行うのか?」という問いに対して、具体的な答えを持つことが重要となります。
目的が曖昧なまま進めてしまうと、質問項目の選定が不適切になったり、集まったデータをどのように分析し活用すればよいのか方向性を見失ったりする可能性があります。まずは、若手社員の定着率が低い」「特定の部署で生産性が伸び悩んでいる」「従業員の主体性が不足している」などの組織課題を具体的に洗い出すことからはじめましょう。
そして、サーベイを通じてこれらの課題の根本原因を探り、解決につなげたいという明確な「目的」を設定します。次に、その目的を達成するための具体的な「目標」を設定します。目標は、できる限り測定可能な形で設定することが望ましいでしょう。たとえば、「1年後に若手社員の離職率を〇%改善する」「該当部署の残業時間を平均△時間削減する」といった形です。
設定した目的と目標は、経営層や関連部署、そして実際にサーベイに回答する従業員と事前に共有しておくことが大切です。これにより、サーベイ実施への理解と納得感が深まり、組織全体で改善に取り組む意識を高められます。
2.適切な対象者と調査手法を選定する
サーベイの実施目的と達成目標が明確になったら、次に「誰に対して」調査を行うのかと、「どのような方法で」情報を収集するのかを具体的に決定します。目的達成に必要な情報を効率的かつ効果的に収集するためには、対象者と手法を適切に選定することが不可欠です。まず、調査対象者については、組織全体の状況を把握したいのか、特定の層や部署に焦点を当てたいのかによって範囲が変わります。
全社的な課題に取り組む場合は全従業員を対象とするのが一般的ですが、管理職のリーダーシップに関する課題であれば管理職層のみ、新入社員のオンボーディング課題であれば入社1年未満の社員のみといったように対象を絞ることも有効です。
調査手法でもっとも一般的に用いられるのは、Webアンケートシステムです。多くの従業員に効率的に回答を依頼でき、集計や分析も自動化できるメリットがあります。
一方で、特定の課題についてより深く掘り下げたい場合や、数値データだけではわからない背景や感情を理解したい場合には、個別インタビューや少人数でのフォーカスグループ・ディスカッションといった質的な調査手法を組み合わせることも有効です。従業員のITスキルや勤務環境によっては、紙媒体でのアンケートが適している場合もあります。
組織の規模や、従業員の特性、収集したい情報の種類、利用可能なリソースなどを総合的に考慮し、目的に最も合致した対象者範囲と調査手法を選択することが、サーベイの質を高めるためには重要です。
3.効果的な実施タイミングの設定と周知
質の高い回答を得てモチベーションサーベイの効果を最大限に高めるためには、従業員が回答に集中しやすい実施タイミングを選定することと、サーベイの実施について事前に従業員へ十分に周知することが重要です。
企業の繁忙期や、大規模な組織再編、人事異動の直後といった時期は避けるのが賢明です。これらの時期は、従業員の業務負荷が高かったり、心理的に落ち着かない状況にあったりするため、サーベイへの回答が後回しにされたり、十分な時間をかけずに形式的に回答されたりする可能性が高まります。
回答率の低下やデータの質の劣化を招くおそれがあるため、比較的業務が落ち着いており、従業員が回答のための時間を確保しやすい時期を選ぶことが望ましいでしょう。
事前の周知については、単にサーベイの実施を告知するだけでなく、なぜこのサーベイを実施するのか、従業員の回答がどのように組織改善に役立てられるのか、回答にかかるおおよその時間、回答期間、回答が匿名で扱われることなどを、明確かつ丁寧に伝える必要があります。
周知の方法としては、全社宛のメールや社内ポータルでの告知に加えて、各部署のミーティングでの説明や、経営トップから直接メッセージを発信するなど、複数のチャネルを通じて繰り返し伝えることが効果的です。
従業員一人ひとりがサーベイの重要性を理解し、「自分の意見は大切に扱われる」と安心して協力できるような環境を事前に整えることが、質の高い正直なフィードバックを引き出し、サーベイの成功につながる鍵となります。
4.スムーズなアンケート運用と回収体制の構築
サーベイの目的や、対象者、手法、タイミング、そして周知計画が決まったら、次はいよいよ実施段階です。
選定した調査手法に合わせて、アンケートの配布から回答の受付、期間中の問い合わせ対応、未回答者へのリマインド通知に至るまで、一連の運用プロセスを円滑に進め、計画通りに回答を効率的に回収するための具体的な体制を構築することが重要になります。
運用プロセスがスムーズでないと、従業員の回答意欲を削いでしまったり、回答途中で離脱してしまったりするでしょう。また、運用担当者の負担が過度に大きくなると、他の重要な業務に支障が出ることも考えられます。
たとえば、Webアンケートシステムを利用する場合は、対象者への回答依頼メールの送信、回答期間中のシステム操作や設問内容に関する問い合わせに対応する窓口の設置と担当者の明確化、回答期限が近づいた段階での未回答者に対するリマインダーメールの送信といった運用フローを事前に設計しておきます。
紙媒体で実施する場合には、アンケート用紙の正確な配布方法、記入済み用紙の回収方法、誰がいつ回収し、データ入力作業を行うかといった手順を詳細に定めておくことが大切です。
どのような手法を選択するにしても、従業員が直感的に操作でき、ストレスなく回答を進められるような、わかりやすく使いやすいツールやフォーマットを選ぶことも、スムーズな運用と高い回答率を確保するうえで重要な要素です。
事前に詳細な運用マニュアルを作成し、関係者間で共有しておくこと、そして予期せぬトラブルが発生した場合の対応策をあらかじめ検討しておくことも、円滑なサーベイ実施のために役立ちます。
5.結果データの客観的かつ多角的な分析
モチベーションサーベイで従業員から回答データを回収したら、次はそのデータを分析し、組織の現状や課題に関する有益な洞察を引き出すステップに移ります。
この分析工程は、サーベイの価値を決定づける非常に重要なプロセスであり、客観的な視点にもとづき、様々な角度からデータを掘り下げることが求められます。単に全体の平均スコアや各質問への回答割合を算出するだけでは、組織内に潜む複雑な問題や、特定のグループが抱える固有の状況を見逃してしまうかもしれません。
より深く、意味のある洞察を得るためには、多角的な分析アプローチが必要です。まず、基本的な分析として、全体の回答傾向を把握します。次に、部署、役職、勤続年数、年齢層、性別といった属性情報を用いてクロス集計を行い、グループ間のスコア差や回答傾向の違いを比較します。
「どの部署で特に満足度が低いのか」「若手層とベテラン層では何に対する意識が異なるのか」といった具体的な課題や特徴を特定できます。過去にも同様のサーベイを実施している場合は、今回の結果と比較することで、組織の変化や改善施策の効果を時系列で追えるようになります。
分析を行う際は、最初に設定したサーベイの目的に立ち返り、「このデータから何を明らかにしたいのか」という問いを常に意識することが重要です。目的に沿った適切な分析手法を用いることで、課題解決に直結する本質的な洞察を得ることが可能になります。必要であれば、データ分析の専門家や高機能な分析ツール、外部コンサルタントの支援を仰ぐことも検討しましょう。
6.調査結果の共有と改善アクションへの反映
モチベーションサーベイの分析を通じて得られた結果、それらの分析にもとづいて策定された具体的な改善アクションプランは、経営層や管理職だけではなく、サーベイに協力してくれた現場の従業員も含め、組織内の関係者に対して適切に共有されるべきです。この「結果の共有」と「アクションへの反映」こそが、サーベイを一過性のイベントで終わらせず、組織改善の推進力とするための鍵となります。
従業員に対して「皆さんの声は真剣に受け止められ、組織をより良くするために活用されています」という明確なメッセージを送ることができます。これにより、従業員はサーベイへの協力が報われたと感じ、組織への信頼感を高められます。
組織全体で現状の課題認識を共有し、これから取り組む改善策の目的や内容について共通の理解を持つことで、従業員の当事者意識を高め、改善活動への積極的な参加や協力を促せるのも特徴です。結果の共有方法としては、まず経営層がサーベイ結果全体を把握し、組織として取り組むべき優先課題と改善の方向性を定めます。
そのうえで、全従業員に対しては、例えば全社会議の場での経営トップからの報告や、社内報・イントラネットなどを通じて、個人が特定されない形に集計されたサーベイ結果の概要と、それを受けて今後どのような改善アクションを計画しているのかを伝えます。
さらに、各部署のマネージャーが自部署の結果詳細についてメンバーと共有し、部署レベルで取り組める具体的な改善策をともに考え、実行していくプロセスを取り入れることも効果的です。
7.実施後のフォローアップと継続的な見直し
モチベーションサーベイにもとづいた改善アクションプランを実行に移した後は、その取り組みが計画通りに進んでいるか、期待した効果を発揮しているかを継続的に見守り、評価していくフォローアップのプロセスが不可欠です。
さらに、定期的にサーベイを再実施することで、施策の効果を客観的に測定し、その間に新たに顕在化した課題がないかを確認し、必要に応じてアクションプランを柔軟に見直していくことが、持続的な組織改善を実現するうえで重要となります。
改善活動をやりっぱなしにせず、その効果を定期的に検証し、状況の変化に合わせてアプローチを修正していく継続的な取り組みが欠かせません。
具体的なフォローアップ活動としては、まず策定したアクションプランの各項目について、担当者が責任を持って進捗状況を確認し、定期的に関係者間でレビューを行います。計画通りに進んでいない場合は、その原因を特定し、必要な対策を講じます。そして、改善策の実施から一定期間が経過した後に、再度モチベーションサーベイを実施しましょう。
前回調査の結果と比較することで、実施した改善策が従業員のモチベーションやエンゲージメントにどのような変化をもたらしたのかを客観的に評価できます。効果の高かった施策は継続・発展させ、効果が見られなかった施策はその原因を分析し、計画を修正するか、別のアプローチを検討します。
モチベーションサーベイを単発の調査ではなく、組織改善のための継続的なプロセスの一部として位置づけ、PDCAサイクルを粘り強く回していくことこそが、変化に強く、従業員と共に成長し続ける組織づくりにつながっていくでしょう。
サーベイ実施の5つの成功事例
サーベイを実施しても「結果が活用されない」「改善につながらない」と悩む企業は少なくありません。
ここでは、実際にサーベイを組織改善に活かし、成果を上げている5社の成功事例をご紹介します。
<サーベイ実施の5つの成功事例>
従業員に寄り添うサーベイ運用。 2,000名規模の組織改善の取り組みとは
タレントマネジメント×サーベイで実現。個人の強みを組織の強みに転換させていく方法とは
全社を巻き込むサーベイ運用。各部門が主体となって進める組織改善の仕組みとは
「サーベイ結果が出たら終わり」ではなくその先へ。HRBrainと二人三脚で進める組織改善
人的資本経営の強化。経営・人事・現場をつなぐ、自社らしさを重視したサーベイ活用
業種や規模の異なる企業がどのように課題を可視化し、現場の行動変容へつなげていったのか、導入背景から具体的な成果までを紐解き、自社でのサーベイ運用に役立つヒントをお届けします。
従業員に寄り添うサーベイ運用。 2,000名規模の組織改善の取り組みとは

はるやま商事株式会社では、コロナ禍での業績不振にともなう離職者が増えたことを受けて、従業員のエンゲージメントを知るためにエンゲージメントサーベイを導入しました。
しかし、自社にあった内容にカスタマイズするのが難しく、課題にあわせた実施ができず、結果の帳票の視認性観点でも従業員への周知が十分にできていませんでした。
そこで、カスタマイズや分析などの機能が充実したHRBrainのEX Intelligenceを導入し、サーベイの実施がしやすくなっただけではなく、結果をもとにしてアクションプランも立てやすくなっています。
サーベイを起点に従業員へのサポートに力を入れ、従業員一人ひとりが自立・自走できる人材になれるように組織全体で動けるようになった事例です。
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タレントマネジメント×サーベイで実現。個人の強みを組織の強みに転換させていく方法とは

株式会社DINOS CORPORATIONでは、スポットでのサーベイは実施していたものの、定点観測ができておらず、長期的な人事施策に落とし込めていないという課題がありました。
客観的なデータを把握したい、社内の変化を数値として時系列でキャッチしたいという狙いから、組織診断サーベイ「EX Intelligence」を導入し、本格的なサーベイ運用をスタートしています。
サーベイの結果をもとに、経営層とギャップを確認したうえで、重視して取り組むべきポイントを共通認識として持てるようになりました。また、キャリアに対する数値が年代によって低い傾向を見つけ、社員名簿にキャリア項目を設定し、キャリアに関する課題解決にも役立てられています。
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全社を巻き込むサーベイ運用。各部門が主体となって進める組織改善の仕組みとは

三谷産業株式会社では、以前からサーベイを実施していたものの、実施スパンの長さから集計がスピーディーにできておらず、改善に役立てられていない状況がありました。
システムと制度が複雑だったことや、運営サイクルの長さで人員が疲弊してしまったことなどを教訓とし、より運用しやすく柔軟な活用ができるHRBrainの「EX Intelligence」を導入しました。
設問を柔軟にカスタマイズしたり、実態とありたい姿とのギャップを数値化したりできる機能を駆使しながら、分析結果をもとに1on1に注力しています。課長が部下と接する機会の創出にもつながり、豊かなコミュニケーションが生まれ、一人ひとりのポジティブなアクションを生み出す取り組みが加速している事例です。
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「サーベイ結果が出たら終わり」ではなくその先へ。HRBrainと二人三脚で進める組織改善

マルホ株式会社では、漠然と離職者の増加を感じていたものの、原因や課題が何かを把握しきれていない状況があり、実態を知るためにHRBrainの「EX Intelligence」を導入しました。
質の高い分析や柔軟な質問項目、細かい課題特定などの強みを生かし、サーベイを実施したことで、組織の課題が徐々に可視化されるようになっています。組織課題が明らかになることで、従業員の意識向上も見られており、活発なディスカッションにもつながりました。
経営層では議論や対策検討にサーベイ結果が活用されており、社長と現場で議論を交わすタウンホールミーティングの定期開催も決まり、全社横断で課題解決に取り組むきっかけにもなっています。
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人的資本経営の強化。経営・人事・現場をつなぐ、自社らしさを重視したサーベイ活用

株式会社アドウェイズでは、社員のコンディション不調やエンゲージメント低下の現象を把握できていたものの、その原因を特定することができず、適切な対策を講じられないという課題を抱えていました。さらに、以前使用していたサーベイは質問が固定式でボリュームも多く、社員への回答負担が大きかったため、正確なデータ収集が難しいという問題もありました。
これらの課題を解決するために、具体性の高い課題把握が可能な組織診断サーベイ「EX Intelligence」へリプレイスを実施しました。サーベイの実施回数や頻度、設問内容を柔軟にカスタマイズすることで、回答負担を軽減しつつ、より深い因果関係の把握を目指しました。また、回答プラットフォームを既存のHRBrainに統一することで、社員にとっての使いやすさも向上しています。
EX Intelligenceの導入により、社員のエンゲージメント低下の原因や課題同士の因果関係を可視化できるようになり、施策検討において課題をストーリーとして捉えることが可能となりました。さらに、クロス分析を活用して重点施策を明確化できたほか、回答負担の軽減によりサーベイへの正確な回答が増加した結果、人事・経営・現場が連携して人的資本経営を強化する基盤が確立されています。
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おすすめのモチベーションサーベイ実施ツール「HRBrain」

モチベーションやエンゲージメントの可視化において高い評価を得ているのが「HRBrain」です。シンプルで使いやすいUIに加え、組織の課題を浮き彫りにする多様な分析機能を備えており、人事担当者だけでなく現場のマネージャーも活用しやすい設計になっています。
また、サーベイの設計から実施、分析、改善アクションの支援までを一貫して行えるため、PDCAをスムーズに回すことが可能です。初めてモチベーションサーベイを導入する企業にも安心しておすすめできるツールです。
モチベーションサーベイを導入して、組織の課題を可視化し、継続的な改善サイクルを回そう
モチベーションサーベイは、従業員の「働く意欲」や「組織への貢献意識」を可視化し、組織の課題や強みを明らかにする調査です。従業員満足度調査やエンゲージメントサーベイとは異なり、「やりがいの源泉」や意欲の状態に焦点を当てるのが特徴です。
主なメリットとして、チームごとの課題把握、モチベーション低下の早期発見、離職リスクの可視化、マネジメント改善、施策の効果検証などが挙げられます。継続的に実施することで、データにもとづく組織改善が可能になるでしょう。
実施のステップや成功事例なども参考にし、自社の課題や目的にあわせてモチベーションサーベイを実施してみましょう。
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