#人材管理
2023/12/08

グループ23社・約2万人のサーベイスコアをKPIに 人的資本経営を推進するTOPPANの人事戦略とは

目次

    グループ23社・約2万人のサーベイスコアをKPIに 人的資本経営を推進するTOPPANの人事戦略についての対談

    日本を代表する総合印刷企業であり、「Breathing life into culture, with technology and heart./人を想う感性と心に響く技術で、多様な文化が息づく世界に。」をパーパスに掲げるTOPPANグループが、2023年10月に持株会社体制に移行し、凸版印刷から「印刷」をとり、TOPPANとした。


    イノベーションによって自らを変えてきた同社で「人財」はどう位置づけられ、人事戦略ではどのような施策が有効だったのだろうか。

    同社の人事戦略をリードする副社長執行役員 CHROの大久保伸一氏と、組織診断サーベイ「EX Intelligence」を提供するHRBrain執行役員の吉田達揮氏が語り合った。

    40年前から取り組んできた人を大事にする風土の醸成

    ——— TOPPANグループは2023年5月に新たにグループ理念を制定しました。その背景について教えていただけますか。

    大久保:

    持株会社体制への移行を見据えて、Purpose(存在意義)と、それを支えるValues(価値観)から構成されるグループ理念を新たに制定しました。これは、多様性を尊重しながら社会に文化の息吹を吹き込んでいくことこそが、TOPPANグループが存在する目的であることを示したものです。

    大久保伸一氏

    その背景には、当社グループの事業の変化があります。DX関連ビジネスの売り上げが、雑誌や書籍をはじめとするペーパーメディアへの印刷の売り上げを上回っており、ペーパーメディアへの印刷を担ってきた主要工場は構造改革を進めています。さらに、TOPPANグループの事業はグローバルに展開しているため、「凸版印刷」よりも「TOPPAN」と名を変更することでさらなる成長を目指します。

    こうした変化に対応するために、土台となるのが「人」を大事にする風土です。企業にとって大事なのは活力です。活力の原点は働いている人たちにあります。社員が会社に近づくとスキップしたくなるような企業は様々な変化にも対応できます。

    当社グループでは生き生きと働いてもらうために、40年以上前から組織の活性化施策に取り組んできました。活性化した職場とは何なのかを紙芝居仕立てで社内に共有したり、従業員の働きがいを高めるための「労使働きがい推進委員会」を立ち上げたりしてきました。

    同委員会では、組合と会社が向き合い、本音で働きがいを議論してきました。発言の責任を問わないように議事録をとらないなど工夫し双方遠慮なく意見を出し合える環境をつくりました。大運動会はその成果の一つであり、新型コロナウイルスの流行前は約4千人が会場に集まって行う集合型のリアル運動会を開催していましたが、コロナ禍では全世界5万人を対象にしたオンライン開催のeSPORTS FESTIVALに切り替えて実施しました。労使が協力して運営にあたることで一体感を高めました。

    吉田:

    社員一人ひとりを活性化させるために、対話する文化の醸成に取り組んできたということですね。人的資本経営では対話の重要性が説かれていますが、ずっと以前から対話に取り組んで生き生きと働く環境を整備してきたことが、印刷メインから今の多角化へと向かうDX(デジタルトランスフォーメーション)の原動力となり、イノベーションが生まれてきたのでしょう。

    吉田達揮

    ウェルビーイングを高めて社会的価値を創造

    ——— ウェルビーイング(Well-being)を高めるための取り組みも行っていますか。

    大久保:

    ウェルビーイングな状態とは、「生きがいと働きがい、精神と肉体、社会と自分自身、自分自身の内側、それぞれの調和がとれている状態」と考えています。そこに自分の存在意義が感じられることにより、社会や他人に対して貢献できるようになり、目指している社会的価値の創造につながるのです。

    吉田:

    ウェルビーイングを自社で明確に言語化しているところが素晴らしいですね。そのうえでブレイクダウンした取り組みを実践されています。当社が提供している組織診断サーベイ「EX Intelligence」をその間をつなぐツールとして活用することでツールの価値を引き出していただいていると感じています。

    大久保:

    イノベーションを生み出すには、ウェルビーイングな状態であることが必要です。当社グループの場合は、印刷のテクノロジーに加え、働いている人たちがウェルビーイングな状態にあって、活力にあふれていたことがイノベーションに結びついてきました。

    「イノベーションを生み出すには、 ウェルビーイングな状態であることが必要です。 活力にあふれていたことがイノベーションに 結びついてきました」(大久保氏)

    ウェルビーイングな社員がウェルビーイングな会社をつくり、ウェルビーイングな会社がウェルビーイングな社会をつくるのではないでしょうか。グループ会社の芸術造形研究所が芸術によって右脳の活性化を目指す臨床美術事業を行ったり、人財育成の拠点である「人財開発ラボ」にて宇宙からの視点など広い視野を持ってもらう活動をしたりしているのもウェルビーイングを高めるための取り組みです。

    エンゲージメントのスコアを人財マネジメントのKPIに

    ——— ウェルビーイングな状態を目指すには、従業員エンゲージメントの向上も重要です。そのためにどのような取り組みを行っているのでしょうか。

    大久保:

    従業員一人ひとりがやりがいや働きがいを感じられる組織になるために、「EX Intelligence」を2021年度から導入し、グループ23社2万1000人を対象にサーベイを実施し、そこで得られた「 EXスコア®」を人財マネジメントのKPI(重要業績評価指標)にしています。

    すでに2回実施しましたが「EX Intelligence」は従来の従業員満足度調査とは異なり、期待値と実感値をとってそのギャップを分析できるところを評価しています。サーベイの結果を受けて講じた施策がどんな効果をもたらしたのかを把握するためにも継続が重要と考えています。

    吉田:

    従業員満足度調査は、満足させることが目的になっていて対等なものではないと考えています。「EX Intelligence」はサーベイの結果を分析し、従業員がその企業で働くうえで得られる16領域の体験の状況を可視化し、施策を実施して改善を図るというサイクルを回すことができるところが最大の特長です。

    「EX Intelligenceはサーベイの結果を 分析・可視化し、施策を実施して 改善を図るというサイクルを回すことが できるところが最大の特長です」(吉田氏)

    TOPPAN様はエンゲージメントサーベイのEXスコア®の本質をきちんと従業員の皆さんに伝え、そのうえでサーベイを実施されているので、現場の調査への理解や協力により正確な結果を得ることができていると感じています。これまでもスコアをどう読み込むのかというところで一緒に議論を重ねてきました。

    また、 EXスコア®を人財マネジメントのKPIとして「サステナビリティレポート」にも掲載し、社外への開示にも活用いただいております。人的資本の情報開示が義務付けられている中で、そうした取り組みを行っているお客様は増えています。

    EX Intelligenceのデータ活用で人的資本経営を実現

    ——— 今後はどのような展開をお考えでしょうか。

    大久保:

    「社会的価値創造企業」となることを目指して、グループのシナジーを最大化していくために「従業員の健康・働きがい」を重要課題と捉え、健康経営、イノベーション、ダイバーシティ&インクルージョンというキーワードを重視した取り組みをさらに強化していきます。

    そのためには様々な人事施策の効果検証や人的資本経営の可視化が必要になり、「EX Intelligence」のデータが有用と考えています。今後もサーベイを活用し、従業員エンゲージメントの向上とウェルビーイングの推進を図っていきます。

    吉田:

    サーベイには、気づいていた課題を確認する「証明価値」と、気づかなかった課題が見える「発見価値」の両方があり、人財マネジメントの課題を解決するための目線合わせができ、解決に向けた議論の土台がつくりやすいことが重要であると考えています。

    現在は「EX Intelligence」のサーベイを活用した人的価値最大化に向けた支援をお手伝いするケースが増えていますが、まだまだ課題は山積みです。人的価値向上とリスクマネジメントの両方を視野に入れながら、効率化やデータ化といった領域でもサービスを強化し、人的資本経営を支えるプラットフォームとしての価値を高めていきます。

    大久保伸一氏・吉田達揮

    PROFILE

    大久保伸一氏

    1951年茨城県出身。1975年中央大学法学部卒業。同年、凸版印刷株式会社入社。1996年能力開発部長に就任。1998年に秘書室長、2002年に人事部長に就任。その後、取締役、常務取締役、専務取締役、代表取締役副社長執行役員を歴任し、現在はTOPPANホールディングス株式会社の副社長執行役員 CHRO、秘書室、人事労政本部、法務本部、広報本部担当。その他、芸術造形研究所・代表取締役や東京経営者協会の副会長・中央支部長、経済同友会幹事などを務める。

    吉田達揮氏

    新卒で東証プライム 総合人材サービス企業に入社。2020年HRBrainに入社。人事制度コンサルティング部門の立ち上げから大手企業向けのクラウド営業に従事。以後、事業企画にてゼネラルマネージャーとして全社戦略の策定・推進を担当。その後、組織診断サーベイ「EX Intelligence」を提供しているEX事業本部の立ち上げを担当。2022年4月に執行役員へ就任。2023年4月よりビジネス統括本部の本部長として全体を統括。「人的資本TIMES」の編集長も兼務。

    顧客満足度No.1

    HRBrainは、タレントマネジメントをはじめとし、組織診断サーベイ、パルスサーベイ、人事評価、360度評価、労務管理、社内向けチャットボットの7つのクラウドサービスに加え、制度構築や研修をはじめとするコンサルティングサービスを提供している。累計2500社以上の導入実績があり、顧客満足度No.1(※1)を獲得している。組織診断サーベイにおいては、導入企業のうち上場企業の比率が56.7%(※2)を占める。

    1 ITreviewカテゴリーレポート「タレントマネジメント部門(大企業)」(2023 Spring)
    ※2 東京証券取引所への上場であり市場区分を問いません(2022年11月時点)

    お役立ち資料
    HRBrain 導入事例
    人的資本TIMES

    ※2023年10月31日~2023年12月3日に日経電子版広告特集にて掲載。
    掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。

    HR大学編集部
    HR大学 編集部

    HR大学は、タレントマネジメントシステム・組織診断サーベイを提供するHRBrainが運営する、人事評価や目標管理などの情報をお伝えするメディアです。難しく感じられがちな人事を「やさしく学べる」メディアを目指します。