報酬制度(報酬管理)とは?目的や種類と人事管理や評価制度との関連性や適切な運用方法を解説
- 報酬制度とは
- 報酬制度の目的と役割
- 報酬制度の種類
- 基本給
- 能力給
- 職務給
- 賞与(ボーナス)
- インセンティブ
- 諸手当
- 報酬制度の管理方法
- 評価制度との紐づけ
- システムやソフトの運用
- 報酬制度を適切に運用するには
- 現状の報酬体系の把握
- 報酬体系の最適化
- 人材評価との整合性のチェック
- 報酬制度の事例
- 報酬制度の事例:トヨタ「人事評価点数アップでのボーナス増加」
- 報酬制度の事例:損保ジャパン「インセンティブ・ポイント制度」
- 報酬制度と人事評価の適切な紐づけは企業成長につながる
報酬制度は、貢献度や評価によって従業員の報酬を決定する人事管理の1つです。
報酬とは、「給与」「賞与」「退職金」「福利厚生」などを指し、役職や等級、人事評価をもとに決定されます。
働きに見合った適切な「報酬」は、従業員のモチベーション向上と維持や企業の成長につながる大切なポイントとなります。
そのため、報酬制度やそれに紐づく人事評価制度には、定期的な制度の見直しと管理が大切になります。
この記事では、報酬制度の意味と目的、インセンティブなどの報酬制度の種類や、報酬制度の管理方法、報酬制度を適切に運用する方法、企業事例について解説します。
適切で納得感のある報酬制度と人事評価の運用に
報酬制度とは
報酬制度とは、貢献度や評価によって従業員の報酬を決定する人事管理の1つです。
報酬とは、「給与」「賞与」「退職金」「福利厚生」などを指し、役職や等級、人事評価をもとに決定されます。
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報酬制度の目的と役割
報酬制度で従業員の働きに対して報酬を決定することの目的について確認してみましょう。
報酬制度の目的
経営ビジョンの方向性を合わせるため
従業員のモチベーションの向上と維持のため
人件費の整合性チェックのため
報酬制度とは法律的な「賃金支払い」の意味を持つだけではなく、「人事管理」と相互関係にあると言えます。
人事管理とは、組織目標の実現のために人材の活用や管理全般(採用・育成・評価・配置・報酬など)を行うことを指し、組織が求める行動や業績に基づいて貢献度や評価を決定し、従業員のキャリアや生活基盤に大きな影響を与えます。
人事管理と報酬制度を適切に運用し管理する事で、企業が従業員に期待している事やメッセージを伝えることができるため、より経営戦略の実現に近づくための役割を担っていると言えます。
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報酬制度の種類
報酬制度の種類について確認してみましょう。
報酬制度の種類はさまざまですが、大きく分けて6つの報酬制度があります。
報酬制度の種類
基本給
能力給
職務給
賞与(ボーナス)
インセンティブ
諸手当
基本給
基本給とは、給与のベースとなる基本賃金を指します。賞与や残業代の算定の際に、基本給をもとに計算し支給する企業が多いのが特徴です。基本給は、年齢・勤続・学歴・能力・業績などに応じて決定されます。
能力給
能力給とは、従業員の能力、スキル、知識に応じて支給される給与のことです。多くの企業では、企業独自の評価基準をもとに算定し決定しています。
職務給
職務給とは、従業員が対応する業務内容と職務の価値に応じて支給される給与です。業績や達成率に基づいて算定し決定されるため、明確な評価基準が重要です。
賞与(ボーナス)
賞与(ボーナス)とは、名称を問わず基本給や能力給などの定期給与以外に支給される給与を指します。賞与(ボーナス)は、基本給を元に「給与の何カ月分」や「定額制」など企業の方針によって支給額はさまざまで、賞与(ボーナス)として自社商品を贈る「非金銭的報酬」の制度を採用する企業もあります。
定期給与とは異なり賞与(ボーナス)では、就業規則に別段の定めを記し、一定の条件を満たせば、支給の法的義務がないのが特徴です。
インセンティブ
インセンティブとは、業績に対する報奨やモチベーション向上を目的に支給される給与です。とくに、売上が業績に直結する営業職に多く導入されています。インセンティブは、売上や業績に応じて、賞与や給与に上乗せで支給される「金銭的報酬」と、社内表彰や旅行などの「非金銭的報酬」の形式があります。
諸手当
諸手当とは、企業が従業員に支払う手当の総称です。例えば、残業代・休日手当・退職金・年金などをまとめて諸手当と総称する企業もあります。通勤手当や家族手当などの企業が任意で決定できる「福利厚生」として分類される手当も含まれます。
報酬制度の管理方法
報酬制度を適切に実施するための報酬管理の方法とポイントについて確認してみましょう。
評価制度との紐づけ
評価結果と報酬の適切な紐づけが、適切な報酬管理の1番のポイントです。
また、従業員へ明確に理由を説明することで納得性に繋がるため、評価軸を明確にするようにしましょう。
しかし、評価制度は従業員のニーズや時代の移り変わりとともに日々変化します。
「人事や経営陣の周辺には大きな変化がないため、経営の方向性や評価軸を変える必要はない」と考えずに、少なくとも評価期間である半年に1回のペースで、評価軸の定期的な見直しをするようにすると良いでしょう。
経営方針の変更の他、労働基準法に関する法改正など、常に企業外の変化にもアンテナを張り、人事評価を柔軟に見直す瞬発性が必要です。
報酬制度を決定する際は、1on1などで従業員からのヒアリング調査を行い、人事評価との適切な紐づけを行いましょう。
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システムやソフトの運用
システムやソフトの運用も、適切な報酬管理を行う際のポイントになります。
従業員の管理業務に頭を悩ませる担当者は多いと思います。
特に個人情報の取り扱いの厳格化や管理ジャンルの煩雑化に伴い、従業員数が多い企業ほど人事管理の負担は大きくなるばかりです。
そのため、評価や報酬を管理する方法として、システムやソフトを活用する方法が注目を集めています。
システムやソフトを活用すれば、最新の情報を一元的に管理でき、人事管理の業務効率化が期待できます。
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報酬制度を適切に運用するには
報酬制度を適切に運用するための3つのポイントについて確認してみましょう。
報酬制度を適切に運用するためのポイント
- 現状の報酬体系の把握
- 報酬体系の最適化
- 人材評価との整合性のチェック
現状の報酬体系の把握
報酬制度を見直す際は、自社が現状どのような報酬体系を取っているのか知る必要があります。
具体的に「誰が」「いつ」「基準」「他社水準」の4点に着目し、洗い出してみましょう。
誰が:役職・部署・職種
いつ:勤続年数・昇給・降給のタイミング
基準:業績・能力・情意などの詳細な評価軸
他社水準:同業他社の賃金テーブル・平均年収
具体的に洗い出しをすることで、現状どのような基準をもって報酬を決定しているのかの輪郭が見えてくるでしょう。
自社が特殊な業界や職種、新しい企業で過去の報酬体系から判断が難しい場合は、従業員に対し匿名のアンケートを実施するようにしましょう。
人事や経営陣では分からない、従業員目線で分かる自社の問題点を発掘し、報酬体系を知る方法になります。
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報酬体系の最適化
報酬体系の種類は、「成果主義」「結果主義」「年功序列」などさまざまなものがあります。
「古いから悪い」「新しいから良い」と決めつけるのではなく、自社に合った最適な報酬体系を採用する事が重要です。
定期給与以外にも、「ボーナスを定額制から出来高制に変更する」「福利厚生を変更する」「年俸制から月給制へ変更する」など、報酬制度の最適化は多角的です。
自社には、どんな報酬体系が最適なのか常に模索するようにしましょう。
また、従業員の給与算定をする際は、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」が、参考になるでしょう。
(参考)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
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人材評価との整合性のチェック
日本ではかつて年功序列制度として、勤続年数が長い従業員に高い報酬を支給する制度がありました。
しかし、労働人口の減少と高齢化に伴い、人件費の高騰を問題視する企業も増えてきました。
また、働きに見合わないにも関わらず勤続年数が長いため報酬が支給されている従業員がいる場合、他の従業員が不満を持ってしまう場合も考えられます。
ですが、従業員全員の給与を単純に底上げしてしまうと、今度は人件費に経営が圧迫されてしまうのを避けられないでしょう。
重要なのは、人件費のバラ撒きではなく、整合性が取れた人事評価を行い、従業員に報酬が支払われる事です。
公正な人事評価を実施するために評価制度をどのように作れば良いかについてしっかりと検討する必要があります。
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報酬制度の事例
他社はどのような報酬制度を導入しているのか、報酬制度の導入事例を確認してみましょう。
報酬制度の事例:トヨタ「人事評価点数アップでのボーナス増加」
日本国内で自動車メーカーの最大手のトヨタでは、人事評価を「0〜3」の4段階に分け、段階に応じてボーナス支給が決定される報酬制度を取り入れました。
「トヨタでは、ボーナス支給額を左右する人事評価を『0点』『1点』『2点』『3点』の4段階とし、点数が高いほど増額する仕組みを導入。記事では具体的な支給額は示されていないが、仮に18年実績で200万円を支給された社員が19年冬以降『3点』を取れば、300万円にもアップする仕組みのようだ。トヨタでは『社員の労働意欲を高め、厳しい競争を勝ち抜く狙いがある』(読売)」
(出典)レスポンス「トヨタが頑張る社員の賞与を1.5倍増へ」
報酬制度の事例:損保ジャパン「インセンティブ・ポイント制度」
日本国内で保険の総合代理店としてサービスを展開する損保ジャパンは、成約や連日稼働などの業績に応じて、独自のポイントを付与する制度を導入しました。
貯まったポイントを自分へのご褒美や家族へのプレゼントなど、好きなものと交換できる制度を実施したことで、従業員のモチベーション向上に繋がったと言われています。
「下期の3ヶ月間で実施する社内キャンペーンに『インセンティブ・ポイント』を活用することにしたんです。 全員に対して目標達成を意識づけ、それを個人レベルまで落とし込むことができる仕組みをつくりました。 その結果、営業の稼働率が前年対比約2倍にアップし、無事に年間目標を達成することができました。要因として感じているのは、日々の努力を評価することで、 営業社員のモチベーション維持、向上ができたという点です。」
(出典)ベネフィット・ワン「営業の稼働率が2倍に!日々の努力を評価することで業績向上」
報酬制度と人事評価の適切な紐づけは企業成長につながる
報酬制度は、貢献度や評価によって従業員の報酬を決定する人事管理の1つです。
報酬とは、「給与」「賞与」「退職金」「福利厚生」などを指し、役職や等級、人事評価をもとに決定されます。
そのため、報酬制度を適切に管理運用し、従業員のモチベーションの向上や企業成長につなげるためには、適切な人事評価の実施が重要なポイントになります。
しかし、従業員数が多いほど管理が煩雑化してしまい、人事評価制度と報酬制度の管理運用に悩む企業も多いのではないでしょうか。
また、人事評価制度や報酬制度は変化の激しい社会の中で、自社の置かれている経営状況や外部環境に合わせて、常に見直しやアップデートを重ねていかなければなりません。
このような状況の中で、人事評価制度と報酬管理制度を効率的に管理する方法として、管理システムやソフトを活用する方法が注目を集めています。
「HRBrain人事評価」では評価制度の目的にあわせた評価テンプレートや、企業ごとの評価プロセスに合わせた評価項目の設定や運用が可能なため、自社にあった評価制度の実施と評価の透明性を実現します。
また、人事評価プロセスの見える化によって「行動指針の浸透」や「評価の納得度の向上」を促進します。
さらに、人事評価コメントやフィードバック面談の履歴などのデータをクラウド上で管理することで、評価プロセスのブラックボックス化や、評価のバラつきなどを防ぐことが可能になります。
目標設定や目標に対しての進捗管理、従業員のスキルデータや育成記録なども、一元管理できるため、人事評価プロセスの透明化と合わせて、従業員の成長記録の蓄積も可能になります。
HRBrain人事評価の特徴
制度や目的に合わせたテンプレートが豊富
OKR、MBOなどの「評価テンプレート」や、1on1やフィードバックなどに使用する「面談シート」が充実しています。
企業ごとのプロセスに合わせて承認フローや項目を自由に設定
評価シートやワークフローのカスタマイズが可能なため、評価制度の変更にも柔軟に対応す
ることができます。
評価の集計や調整もシステム上で完結
部署別など任意の項目で集計が可能で、評価結果の調整もシステム上で完結できます。
人事評価にシステムを使うべき理由とは?
⇒「ゼロから始める人事評価」資料ダウンロード
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