HRテックサービスとは?活用できる領域や導入メリットを紹介
- HRテックサービスとは
- HRテックサービスを導入するメリットとは
- 事務作業のミス防止・スピード改善
- 従業員の労務管理や福利厚生の質の向上
- データでの受け渡しによる情報管理の安全性確保
- HRテックサービスが活用できる領域
- 人事情報がいろいろなシステム・部署に点在している
- 人事部門の業務に多くの時間や工数を取られている
- 人事評価基準が古く現場の状況に即していない
- 従業員の学習や研修の推進に手が回っていない
- HRテックにおいて活用されている技術について
- クラウド
- ビッグデータ
- AI
- HR テックサービス×社員管理
- HRBrain
- あしたのクラウドHR
- HRテックサービス×人事労務の事例
- COMPANY
- SmartHR
- HRMOS
- HRテックサービス×採用・教育・人事評価の事例
- Talentio Hire
- Schoo for Business
- kintone
- HRテックサービスを選ぶポイントとは
- 自社の目的に合ったサービスを選ぶ
- 既存のシステムやサービスと連携できるかどうかを確認する
- まとめ
では、HRテックサービスを導入することで、具体的に企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。日々刻々と変わっていく経済状況の中で、社内の生産性の向上や業務の効率化は多くの企業に共通した課題となっています。
そのような中で、新しい戦力を獲得するための採用活動や従業員の労働環境を整える労務管理、ひとりひとりの従業員のスキル・経験を正しく把握した上での適切な部署への配置、人事評価など、人事部門には多くの業務があります。
そんな人事部門のあらゆる業務を最先端のテクノロジーを活かして効率化してくれるのがHRテックサービス。
現在、HRテックサービスはさまざまな各社から提供されており、機能や特徴もそれぞれ異なります。
今回はHRテックサービスとはどのようなものなのか、導入するとどのようなメリットがあるのか、種類が多くある中からどのサービスを選べば良いかについて説明していきます。
HRテックサービスとは
「HRテック」は、「HR(Human Resources)」(日本語で「人事」を意味する)、そして「Technology」(日本語で「科学技術」を意味する)を掛け合わせた言葉です。
名前からも読み取れる通り「HRテックサービス」とは、最新のテクノロジーを活用することで社内の業務効率化を可能にするマネジメントサービスを指します。
人事業務は従業員の給与計算や勤怠管理・年末調整等に関する労務管理、応募者の情報を基に選考を行う採用管理、従業員を社内で異動させて部署毎の人材のバランスを取る人材配置など大変多岐に渡ります。
優れた科学技術に基づいたシステムを活用して、人事部門のあらゆる業務をサポートし、負担を軽減してくれるのがHRテックサービスなのです。
HRテックサービスを導入するメリットとは
HRテックサービスでは、各種の最先端テクノロジーが活用されています。
そのテクノロジーにより、以下のようなメリットを得られると考えられます。
事務作業のミス防止・スピード改善
書類の申請や資料作成・データ入力などを始めとした単純作業は、人間の手で行うと経験による慣れや注意力散漫によって、時にはミスが発生することもあるでしょう。
しかしHRテックサービスを導入すれば、そうした事務作業を自動化・効率化することが可能になります。
システムはあらかじめプログラムされた作業のみを行うため、手作業で行うことによって起こりうるミスを防いでくれるのです。
従業員の労務管理や福利厚生の質の向上
従業員の労務管理や福利厚生の充実は、従業員の満足度や労働意欲の向上にとって非常に重要です。
そうした労務管理・福利厚生の充実に対応できる点も、HRテックサービスを導入する大きなメリットです。
たとえば、ひとりのスタッフが基準労働時間を超えて業務をしていた場合、直近の上司や管理者にアラートを出すことで早期に対策を打つことができます。
このように、HRテックサービスによって各従業員の労働時間や勤怠状況などをデータとして把握できれば、ひとりひとりの負荷調整ができ、従業員の心身の疾患や過労に対するケアの迅速な対応が可能になると期待できます。
データでの受け渡しによる情報管理の安全性確保
近年、人事評価のやり方の変化などに伴い、従業員に関するデータ量が増えたことで、その管理が大変難しくなっています。
HRテックサービスを導入すれば、これらの膨大な情報をデジタル化することが可能です。
情報を紙ベースではなくデータでやり取りすることにより、書類を手渡しする手間が省けることはもちろん、情報の管理・参照などのプロセスも効率化されます。
さらに、書類の紛失などの情報管理におけるリスクが低減することも期待できるでしょう。
特にクラウド型のHRテックサービスでは、クラウドの保守を一部クラウドの提供側が実施するので、簡単に情報の管理ができます。
HRテックサービスが活用できる領域
HRテックサービスは具体的に人事業務のどのような領域で役立つのでしょうか。
こちらでは、大きく4つに分けて説明します。
人事情報がいろいろなシステム・部署に点在している
人事に関連する業務の中でも人事情報管理は、負担の大きな業務です。
人事情報の一元管理とは、従業員情報や人事評価データなどの情報を統一して活用できる状態にすることを言います。
従業員に関するデータを集約し、目的に応じた分析・解析を効率化すれば、正確なデータに基づいた人材育成や従業員の離職防止に繋がることが期待できます。
人事部門の業務に多くの時間や工数を取られている
新たな人材を募集・選考する採用活動、その人材の各部署への配置・育成、各従業員の給与管理など、人事分野で行う業務は非常に幅広いものです。
HRテックサービスでは、AIやビッグデータなどの先端テクノロジーを用いて多岐に渡る業務を高い精度で実行できるため、これらの複雑な人事業務の効率化が可能になります。
これまで時間を割いて行っていたルーティンワークをHRテックサービスに任せれば、削減できた時間を他の業務に充てることができるでしょう。
人事評価基準が古く現場の状況に即していない
各従業員の能力・企業への貢献度、業務の遂行具合などの評価を行い、その結果を処遇に反映させる人事評価制度。
HRテックサービスを活用すれば、既存の評価制度の見直しや新たな評価制度の構築、評価制度のカスタマイズなどが可能になります。
HRテックサービスにより定量的・客観的で公平な評価が行えることで、従業員のモチベーションが刺激され、成長意欲に繋がることも期待できるでしょう。
従業員の学習や研修の推進に手が回っていない
従業員が業務に関する各種の学習や研修を行う際にもHRテックサービスを活用できます。
具体的に以下のような内容が可能になります。
テスト、アンケート、課題などの学習教材の作成・保管
学習教材の対象者への配信
各従業員の学習の進捗情報・受講履歴の確認・成績管理
スマートフォンやタブレットなど多様なデバイスでの受講
受講者・管理者間でのチャットなどのコミュニケーション機能
ライブ配信や録画した動画の配信
以上のような機能があれば、従業員のスキルアップの効率的なサポートが可能になるでしょう。
また、学習・研修に必要な教材や会場などに要するコストの削減ができることも期待できます。
HRテックにおいて活用されている技術について
HRテックサービスは最新のテクノロジーを活用したシステムであると説明しましたが、具体的にはどのような技術が機能しているのでしょうか。
こちらでは、AI(人工知能)、ビッグデータ、クラウドの3つに分けて説明します。
クラウド
クラウドとは、自社のサーバーによって運用されるのではなく、インターネットに接続できる場所であればどこからでも利用できるシステムを言います。
テレワークの広まりによりオフィス以外の場所で業務を行う機会が増えたこと、また導入コストが抑えられることなどから、HRテッククラウドの国内市場規模は2019年度に349億円にまで達しています。
この国内市場規模は今後も拡大し続けると考えられており、2024年度には1,700億円まで成長する見込みとなっています。
ビッグデータ
ビッグデータとは、さまざまな形式・性質を持つ多様な種類のデータを指します。
AIがあらゆる処理をする上で根拠となるのも、このビッグデータです。
具体的なビッグデータの活用例としては、各部署で成果をあげている人材に関してその特徴や所有するスキル・経験などの情報を、より業績に繋がる人材配置のための分析に活用することなどがあります。
AI
AIは、人間が行う知的な行動の一部をソフトウェアを用いて再現したものです。
ひとつひとつの経験や行動から学んだことをベースに新たな入力に順応し、まるで人間が行うようにさまざまなタスクを実行してくれるのです。
企業内でAIが役立てられている具体例として、顔認証などの顔画像判別機能が挙げられます。
その他、客観的にデータを扱えるAIの特長を活かした適材適所の人材配置など、今後もAIが活躍する分野は大変幅広いものとなっていくでしょう。
HR テックサービス×社員管理
ここからは、具体的なHRテックサービスの種類とその特徴について説明しましょう。
まず、社員管理における分野で役立つサービスから紹介します。
HRBrain
株式会社HRBrainの「HRBrain」は、採用管理から人材育成・人事評価まで幅広い業務のサポートを行ってくれるHRテックサービスです。
保有する資格やスキルなどを含めたあらゆるデータを集約・一元管理できる「人材データベース」では、必要な時に必要な情報を迅速に把握・共有できるシステムが整えられています。
また、人材データをかけ合わせ、組織の傾向や課題を見える化できる「組織分析」機能も搭載。
ポテンシャル人材を把握したり離職の予兆を分析したりするなどして、人事業務を細やかにサポートしてくれる点も特長です。
その他にも多彩な機能を備えており、優秀な人材の長期的な活躍を目指す企業にとって非常に心強い戦力の一部となってくれるでしょう。
あしたのクラウドHR
株式会社あしたのチームの「あしたのクラウドHR」は各ワークフローの改善を始め、人事評価におけるあらゆる課題解決をサポートするシステムです。
具体的には、クラウドによって人材情報を一元的に管理する社員情報管理機能はもちろん、目標設定をサポートする評価シートの「AI目標添削機能」、次期の人件費予測に役立つ「給与シミュレーション機能」などがその特長です。
従業員数が多ければ多いほど人事評価にも多くの工数がかかりますが、その工数の削減や情報管理の負担軽減をサポートしてくれるサービスと言えます。
HRテックサービス×人事労務の事例
HRテックサービスは、多くの時間と人手を要する人事労務においても活用できます。
具体的に人事労務分野で役立つサービスをいくつか紹介します。
COMPANY
株式会社Works Human Intelligenceの「COMPANY」は、人事情報の収集・管理と見える化を可能にするHRテックサービスです。
所属・役職・勤続年数・資格・評価などの項目から行える従業員の「絞り込み検索」機能があり、異動対象者の抽出や研修対象者の確認、昇格候補者の選定など、あらゆる場面で活用できます。
また、現場からの異動申請を電子化できる発令申請機能も搭載。
「異動元上司→異動先上司→人事部」などの承認段階も柔軟に設定できるなど、細かな部分まで行き届いた機能が整えられている点が特長です。
SmartHR
株式会社SmartHRの「SmartHR」は、「集まる」「蓄まる」「活用できる」の三本の軸が特徴のHRテックサービスです。
特徴として、必要な情報を従業員に直接入力してもらえるため、人事担当者の負担を大幅に減らしながらも情報が自然に「集まる」ことは特に大きなメリットと言えるでしょう。
さらに、従業員名簿の住所変更や扶養変更などの手続きを行う際に、自動で従業員情報が更新される仕組みが整っています。
そのため、常に最新の情報を「蓄めた」従業員データベースができるのです。
そのように集まった情報を年末調整やWeb給与明細、その他労務に関する諸手続きに「活用できる」ことが大きな特長です。
HRMOS
株式会社ビズリーチの「HRMOSタレントマネジメント」は、人事業務の効率化、人事情報の一元化・可視化、理想のタレントマネジメントの実現など、人事業務の基本的な部分の利便性に特に重点が置かれたHRテックサービスです。
人事業務の効率化の面で言えば、これまで紙やExcelなど複数のツールを跨いで情報の管理を行っていた場合、「HRMOSタレントマネジメント」を導入することによりそれらのばらばらだった人事情報を一元的に集約できる点が特長です。
情報の一元管理ができることにより、組織の改編や人事異動の際も情報の転記作業や不一致が発生しないシステムが構築できるのです。
また、レポート機能があるため、従業員数の推移や平均勤続年数、性別での構成比、退職者数の推移などの多様な情報を簡単に検索・出力・分析することができます。
HRテックサービス×採用・教育・人事評価の事例
HRテックサービスは、採用活動や社内の教育・研修、人事評価にも活用されています。
具体的なサービスをいくつか紹介していきましょう。
Talentio Hire
株式会社タレンティオの「Talentio Hire」は、採用に関わる各種プロセスの構築を助け、効率的で有意義な採用活動の実現をサポートするHRテックサービスです。
特に大きな特徴は、採用業務においてどうしても手間がかかりがちな履歴書データの取得やオファーレターの作成、各種媒体との連携などの作業を自動化してくれること。
それにより、付加価値のあるその他の業務に注力できる環境づくりを手助けしてくれます。
また、採用プロセスにおけるデータを集計でき、選考通過率など各数値の可視化も行えます。
明確な数値によって思い込みや感覚を排除でき、採用において公正な意思決定が行えることが期待できます。
Schoo for Business
株式会社Schooの「Schoo for Business」は、オンライン研修と自己啓発学習を組み合わせ、学び続ける組織の構築をサポートするオンライン学習サービスです。
研修の講師は各業界の第一人者や専門家であるため、授業は明日の仕事にすぐ活かせる内容となっています。
若手や中堅といった階層別、職種別の研修カリキュラムが用意されており、従業員の受講状況や学習時間の把握も可能。
ビジネス・ITから働き方・健康・経済など従業員の学習意欲が引き出されるような幅広い領域のコンテンツが揃っており、自己啓発学習の促進を応援します。
kintone
サイボウズ株式会社の「kintone」はエクセルを読み込むだけでチーム内で使えるアプリにできるなど、ばらばらの情報をひとつにまとめて管理できることが特長のHRテックサービスです。
もちろん、人事部門で従業員の評価情報を一元的に管理することも可能。
各従業員に対する等級の評価・昇給額を登録できる上に、過去の評価も参照できるため、各従業員のそれまでの評価を包括的に確認できます。
また集計機能もあるため、全体の等級評価、昇給の割合などの情報も確認できるなど、細かな点まで配慮されたシステムと言えます。
HRテックサービスを選ぶポイントとは
では、実際にHRテックサービスの導入を考えたとき、どのような点を重視してサービスを選べば良いのでしょうか。
こちらでは、HRテックサービスの選び方におけるポイントを説明します。
自社の目的に合ったサービスを選ぶ
HRテックサービスを導入する前に、自社の人事労務業務における問題点を細かな部分まで抽出し、把握することが大切です。
問題点を洗い出せたら、どのサービスが自社の人事業務における課題解決に適しているかという視点で、導入するサービスを検討しましょう。
HRテックの市場は年々拡大しており、各社が工夫してあらゆる機能を搭載したサービスをリリースしています。
多数あるサービスの中からひとつを選び出すことは難しいですが、自社の課題解決に最も最適なサービスを導入することで、HRテックサービスがもたらすメリットをより大きく感じられるでしょう。
既存のシステムやサービスと連携できるかどうかを確認する
現在リリースされている各種のHRテックサービスでは、各社の工夫によりあらゆる便利な機能を利用できるようになっています。
しかし、HRテックサービス単体の機能を重視するだけでなく、元々自社で利用しているプラットフォームやその他のツールなどとの連動性にも着目することも大切です。
導入したHRテックサービスと従来使い慣れた他のサービスの連携ができれば、より効率的に人事業務を進められる可能性があります。
導入したいHRテックサービスが見つかった場合、そのサービスが他のシステムとの連携に対応しているかどうかを確認してみましょう。
まとめ
HRテックサービスは、人事労務・採用・人事評価などの人事業務から教育・研修などの従業員の自己啓発まで、幅広い領域で役立つマネジメントシステムです。
業務量が多く大きな責任を伴う人事部門の負担が軽減できるだけではなく、公平な人事評価や最適な人事配置が可能になるなど、HRテックサービスの導入によるメリットは今後も大きくなっていくと考えられます。
現在、大変多くのHRテックサービスが各社からリリースされています。
自社の目標達成・課題解決への適性や他サービスとの連動性などの観点から、自社にとって最適なHRテックサービスを選び、より効率的な業務運営を目指してみてはいかがでしょうか。
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