#人材管理
2024/08/21

ストレスチェックとは?職場での導入方法と注意点や実施しない場合のデメリットを解説

目次

ストレスチェックは、ストレスに関するアンケート形式の設問に従業員が回答し、その結果について集計や分析を行うことを指します。

ストレスチェックを実施することは、メンタルヘルス不調に対して早期に対応することや、職場環境の改善につながります。

ですが、ストレスチェックは意味がないという声もあります。

ストレスチェックを効果的なものにするためには、ストレスチェックを実施する目的や結果の活用方法、従業員のプライバシーの保護や、従業員が正直に設問に回答できる環境を整えることが求められます。

この記事では、ストレスチェックの概要やストレスチェックが義務化された背景、ストレスチェックを実施しない場合のデメリット、ストレスチェックを実施する流れについて解説します。

ストレスチェックを簡単シンプルに実施

ストレスチェックとは

ストレスチェックとは、ストレスに関するアンケート形式の設問に従業員が回答し、その結果について集計や分析を行うことを指します。

ストレスチェックによって、従業員は自分がどれくらいのストレスを感じているかを知ることができます。

ストレスチェックで問われること

ストレスチェックで問われることについて確認してみましょう。

ストレスチェックで問われること

  1. ストレスの「原因」に関する質問
  2. ストレスによる「心身の自覚症状」に関する質問
  3. 「従業員に対する周囲のサポート」に関する質問

ストレスチェックでは、主にこの3つの質問に対する回答を基に、従業員のストレスについて分析を行います。

ストレスチェックの目的

ストレスチェックは、どのような目的で行われるのか、ストレスチェックの主な目的について確認してみましょう。

ストレスチェックの目的

  • 従業員に自身のストレスを把握してもらうため

  • 職場の環境を改善するため

従業員に自身のストレスを把握してもらうため

ストレスチェックでは、ストレスに関して多くの質問が設定されています。

そして、ストレスチェックでの質問への回答を考えることによって、従業員自身が抱えているストレスを客観的に捉えられるようになることが期待できます。

また、ストレスチェックの結果から、従業員自身が気づいていなかったストレスの原因や、ストレスの度合いに気づくこともあります。

従業員が自身の抱えているストレスを把握できると、セルフケアや専門家に相談するなどの解決策を取ることができます。

このように、従業員が自身のストレスに気づき、そのストレスに対処できるようにすることが、ストレスチェックの目的の1つといえます。

職場の環境を改善するため

ストレスチェックを実施すると、従業員のストレスの原因として「職場の人間関係」や「労働環境」が多くあがる場合があります。

そのような結果が出た場合、企業は職場環境の改善に取り組む必要があります。

人間関係が原因でストレスを抱えている従業員がいる場合には、状況に応じて管理者層から聞き取りを行う必要があります。

また、労働環境が原因でストレスを抱えている従業員がいる場合には、人材の配置換えや業務量の調整などを行う必要があります。

このように、ストレスチェックを実施することは、職場環境の改善にもつながることが期待できます。

▼従業員の「ストレス状態」の把握を簡単シンプルに実施
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ストレスチェックは意味がないのか

ストレスチェックには、従業員に自身のストレス状態を把握してもらうと同時に、職場の環境を改善するのに役立てるという目的があります。

一方で、ストレスチェックには意味がないと言われることもあります。

その理由として、「従業員がストレスチェックの目的が分からないと感じている」「ストレスチェックを実施しても結果を確認するだけで受けっぱなしになってしまう」ということなどがあげられます。

また、企業側がストレスチェックの結果をどういかせば良いかが分からず、「高ストレス者への対策が実施できていない」などストレスチェックに対して消極的になっている場合もあります。

ですが、ストレスチェックやストレスチェックの結果に対して、正しい対策を行えば、ストレスチェックを実施する効果が得られます。

ストレスチェックを実施しない場合に起こるデメリット

ストレスチェックを実施しない場合に起こるデメリットについて確認してみましょう。

ストレスチェックを実施しない場合に起こるデメリット

  • 従業員がメンタルヘルス不調に陥る可能性がある

  • 休職者や退職者が増加する可能性がある

  • 法的責任を追及される可能性がある

従業員がメンタルヘルス不調に陥る可能性がある

ストレスチェックは、実施することによって従業員の「メンタルヘルス不調」に気づけることが大きなメリットです。

ストレスチェックを実施しないと、従業員が抱えるメンタルヘルス不調に会社側が気付けない可能性があります。

また、従業員にとっても自身のメンタルヘルスの状況を把握できず、必要なセルフケアを行えない可能性もあります。

従業員と企業それぞれが早期にメンタルヘルス不調に気づくためにも、ストレスチェックは重要といえます。

休職者や退職者が増加する可能性がある

ストレスチェックによって、従業員がメンタルに不調をきたしていることに企業が気づくことができれば、早期に面談を実施するなどの対策を取ることができます。

しかし、ストレスチェックを実施しないために従業員のメンタルヘルス不調に気付けないと、従業員がひとりで心身の負担を抱え込むことになってしまいます。

結果的に、従業員が働くことができなくなるまで状態を悪化させ、休職や退職が増加するリスクが高くなる可能性があります。

貴重な労働力が失われることによって、企業全体の生産性が下がることにもつながってしまいます。

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法的責任を追及される可能性がある

企業には、ストレスチェックを実施する義務、そして実施したことを労働基準監督署に報告する義務があります。

ストレスチェックを実施しない、あるいは労働基準監督署へ実施報告をしない場合は、労働契約法で定められた安全配慮義務に違反していると見なされ、最大50万円の罰則金が課される場合があります。

企業は、ストレスチェックを確実に実施し、実施した後はその旨を労働基準監督署へ迅速に報告することが大切です。

厚生労働省推奨の57問の質問に回答することで従業員の「ストレス状態」をチェック
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ストレスチェックの義務化とは

常時50人以上の従業員を雇用する企業では、年に1回以上ストレスチェックを実施することが義務化されています。

ですが、従業員全員に対してストレスチェックを実施することは、多くの手間や時間がかかります。

ストレスチェックが義務化された背景

ストレスチェックは、なぜ義務化されることになったのか、ストレスチェックが義務化された背景や、対象となる従業員の範囲などについて確認してみましょう。

近年、仕事に起因して従業員が精神障害を発症したり、労災認定をされたりするケースが増加しています。

そのため、従業員のメンタルヘルス不調にいち早く気づき、対処することが企業の課題と考えられるようになりました。

こうした背景を踏まえて、平成26年6月25日に「労働安全衛生法の一部を改正する法律」が公布されました。

この法律で創設されたのが「ストレスチェック制度」で、平成27年12月以降、一定規模以上の企業を対象に、このストレスチェックの実施が義務づけられました。

(参考)厚生労働省労働基準局安全衛生部「改正労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度について

ストレスチェック制度の内容

平成26年12月の厚生労働省労働基準局安全衛生部による「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に関する検討会報告書」では、ストレスチェック制度の内容について、「労働者の心理的な負担の程度を把握するため、年に1度のストレスチェックを事業者に義務付ける」「ストレスチェック後、労働者からの希望があれば医師の面接指導を実施する」「国は、ストレスチェックを行う医師・保健師などに対する研修の充実化・強化を図り、労働者に対する相談・情報提供体制の整備に努める」と定められています。

(参考)厚生労働省労働基準局安全衛生部「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度に関する検討会報告書

ストレスチェックの実施者

ストレスチェックは、誰もが自由に行えるものではありません。

ストレスチェックを実施できる人には、「実施者」と「実施事務従事者」がいます。

  • 実施者

実施者とは、従業員への設問の内容やストレス度の判断方法を評価したり、ストレス度の高い従業員に面接指導を行ったりできる人を指します。

具体的には、産業医などの医師、保健師が実施者にあたります。

精神保健福祉士や看護師、公認心理士も一定の研修を受講することにより、実施者となることができます。

  • 実施事務従事者

実施事務従事者とは、実施者の指示に沿って、ストレスチェックに関する事務作業を行う人をいいます。

ストレスチェックの結果のデータの保存や管理が主な業務で、実施事務従事者となるために特別な資格などは不要です。

ストレスチェックの対象者

ストレスチェックの対象者は、常時使用される従業員を前提としています。

厚生労働省の「ストレスチェック制度導入ガイド」では、「期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者でも、当該契約の契約期間が1年以上である者、契約更新で1年以上の使用が予定されている者、1年以上引き続き使用されている者を含む)」「1週間の労働時間数が、同じ業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること」と定義されています。

(参考)厚生労働省「ストレスチェック制度導入ガイド

ストレスチェックの実施手順

ストレスチェックを自社で実施する場合、どのような流れで実施すれば良いか、ストレスチェックを実施する際の手順について確認してみましょう。

ストレスチェックの実施手順

  1. 事前準備をする
  2. ストレスチェックを実施する
  3. 結果の通知と指導を行う
  4. 結果を保存する
  5. 労働基準監督署に報告する
  6. 調査結果を自社のメンタルヘルス対策に活用する

事前準備をする

社内ルールなど、ストレスチェックを実施するにあたっての取り決めを考えます。

ストレスチェック実施にあたっての取り決め内容

  • いつ、誰が実施するか

  • 設問の内容はどのようなものにするか

  • どのような評価でストレス度を判断するか

  • 面接指導をどの医師に依頼するか

  • ストレスチェックの結果のデータ化や保存、管理をどのように行うか

取り決め内容が決定したら、ストレスチェックを実施することを従業員に通達します。

従業員に通達する際は、「従業員が健康に働き続けるために行うものである」と、ストレスチェックを実施する目的を丁寧に説明することが大切です。

ストレスチェックを実施する

十分な準備や周知を行った後、実際にストレスチェックを実施します。

ストレスチェックの具体的な実施方法には、従業員に「紙でアンケートを取る方法」や「ウェブ上で回答してもらう方法」などがあります。

紙で実施する際は設問が記載された質問票を配布し、ウェブ上で実施する場合は所定のURLを周知します。

結果の通知と指導を行う

ストレスチェックの実施後は、結果を集計し、従業員ひとりひとりに結果を通知します。

また、従業員に結果を通知する際は、必ず通知する必要のある点があります。

従業員に必ず通知する必要のある点

  • 個人のストレスプロフィール(設問への回答結果から、従業員ひとりひとりのストレス状態を複数のグラフを使って示すもの)

  • 高ストレスに該当するかどうかの評価

  • 面接指導の対象か否か

従業員に通知を行い、ストレス度が高かった従業員から、医師との面談や指導などの希望があった場合は、面談や指導の調整を行います。

結果を保存する

ストレスチェックの結果によって面接指導を行った際の記録は、紙もしくはデータにて5年間保存する義務があります。

労働基準監督署に報告する

ストレスチェックを実施したことは、労働基準監督署に報告する義務があります。

報告する際は、厚生労働省が指定する様式の報告書を使用します。

また、ストレスチェックを受けた従業員の年間の人数や、ストレスチェックの結果によって面接指導を受けた従業員の人数も報告します。

(参考)厚生労働省「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書

調査結果を自社のメンタルヘルス対策に活用する

ストレスチェックの実施者は、ストレスチェックの結果を集計したり分析したりすることができます。

そして、従業員の同意を得ずとも、企業側へ集団単位での集計や分析の情報を提供してもよいことになっています。

ただし、10人以下の集計の場合は、個人を特定できるリスクから、従業員全員の同意なしには、企業への情報提供ができないことになっています。

ストレスチェックで得られた結果は、自社でのメンタルヘルス対策を考える上で非常に有効な資料です。

職場環境の改善に役立てるなど、従業員の良好なメンタルヘルス維持のため、ストレスチェックの結果を十分に活用するようにしましょう。

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ストレスチェックの注意点

ストレスチェックは、企業が従業員のメンタルヘルス不調にいち早く気づき、必要な指導を行うために有効なものですが、実施の際は注意が必要です。

ストレスチェックを実施する際に注意すべき点には、どのようなことがあるのか確認してみましょう。

ストレスチェックの注意点

  • プライバシーの保護に留意する

  • 不利益な取り扱いをしない

  • 正直に回答ができる環境づくりに努める

プライバシーの保護に留意する

ストレスチェックでは、従業員がメンタルヘルスの状態に関する設問に回答します。

そのため、個人のストレスチェックの結果については、原則として従業員本人の承諾がない限り、企業側に通達してはいけないことになっています。

ストレスチェックの結果を知ることができるのは、ストレスチェックの実施者や実施事務従事者、従業員本人のみです。

ストレスチェックを実施する際は、実施者に「守秘義務」があることを、従業員に十分に周知することが大切です。

従業員本人の承諾がある場合は、企業側もストレスチェックの結果を知ることができますが、ストレスチェックの結果は、メンタルヘルスに関わる非常にデリケートな「個人情報」といえます。

そのため、ストレスチェックの結果は、極めて慎重に取り扱うことが求められます。

不利益な取り扱いをしない

ストレスチェックは、実施が義務化されている一方で、従業員全員が絶対に受けなければいけないものではありません。

ストレスチェックを受けたくない場合は、「拒否することも可能」です。

また、ストレスチェックの結果によって面接指導が必要と判断された場合も、必ず指導を受けなければいけないことはありません。

このように、ストレスチェックの受検を拒否したり、面接指導を受けなかった場合でも、当該従業員が不利益な取り扱いをされるようなことはあってはいけません。

加えて、面接指導の結果によって、退職を勧奨されたり、不当な解雇や異動を強いられたりすることも禁じられています。

正直に回答ができる環境づくりに努める

精神的な負担を抱えていても、評価や昇進などの観点から、従業員自身が負担を抱えていることを隠したいと考える場合もあります。

そのような場合、ストレスチェックを実施しても、設問に正直に回答してもらえない可能性があります。

ですが、ストレスチェックは設問にありのままに回答しないと、正しい結果が出ず、ストレスチェックを実施する意味が薄れてしまいます。

そのような事態を避けるためにも、ストレスチェックを実施する際は、従業員に対して、「自社がストレスチェックを実施する目的」「本人の承諾なく、ストレスチェックの結果が会社に伝わることはないこと」「ストレスチェックの結果を分析することによって、職場環境の改善が期待できること」を十分に説明をすることが大切です。

何のためにストレスチェックを実施し、結果がどのように活用されるのかを丁寧に説明することで、従業員がストレスチェックに正直に回答してくれるように促すことが重要です。

ストレスチェックとあわせて職場環境を改善する方法

ストレスチェックによって、従業員がメンタルヘルス不調となることを未然に防止するとともに、より良い職場環境改善につなげていくことが大切です。

職場環境の改善に向けて、従業員データを取得し、より良い人材配置や人材育成、エンゲージメントの向上を可能にするためには、「組織診断サーベイ」の導入を検討してみるのも良いかもしれません。

組織診断サーベイを導入することで、アンケート実施やアンケート結果の分析、課題改善のための施策の立案など、職場環境の改善に必要な作業の工数を大幅に削減させ、かつ効果的な職場環境の改善を行うことができるようになります。

「HRBrain 組織診断サーベイ」の特徴

  • 人的資本の情報開示にも対応したデータの収集から活用

エンゲージメント状態の定量化を実現し、人的資本の情報開示に必要な人材データの収集が可能

  • 課題の優先順位付けから具体的な改善アクションへの接続まで

部署、年齢、役職、性別、評価データなど豊富な分析軸を活用し組織ごとの根本課題を特定できます

  • 高いカスタマイズ性で自社にあった運用を実現

設問内容、配信対象やスケジュールなど、柔軟なカスタマイズが可能

ストレスチェックをクラウドシステム上で実施

変化の大きい現代社会で働き続けるためには、心身の健康維持が不可欠です。

しかし、業務量の多さや人間関係といった要因によって、どんな人にもメンタルヘルスの不調が現れる可能性があります。

ストレスチェックを実施することで、メンタルヘルス不調に対して早期に対応することが可能になると考えられます。

ストレスチェックを効果的なものにするためには、ストレスチェックを実施する目的や結果の活用方法、従業員のプライバシーの保護などについて、丁寧に説明を行うことが重要です。

また、ストレスチェックが本来の意味で活用されるためにも、従業員が正直に設問に回答できる環境を整えることが大切といえるでしょう。

「HRBrain ストレスチェック」は、厚生労働省推奨の「57問の質問」に回答することで「ストレスチェック」を「実施」「管理・分析」「報告書の作成」までを簡単シンプルに行うことができます。

「HRBrain ストレスチェック」でできること

  • 厚生労働省推奨の57問に対応

  • 組織のストレス状態の把握

  • 個人の結果をレーダーチャートで把握

  • 報告書の電子申請対応

「HRBrain ストレスチェック」の特徴

  • 進捗管理から面談受診の推奨などを効率化

  • 報告書の作成をカンタンに電子申請にも対応

  • 回答はスマホにも対応いつでもどこでも実施が可能


株式会社HRBrain 山中 裕貴
山中 裕貴
  • ISO 30414リードコンサルタント/アセッサー

  • ビジネス統括本部 EX推進グループ マネージャー

  • HRシニアコンサルタント・データアナリスト

新卒で組織人事コンサルファーム(東証プライム)にて大手企業向けの人事コンサルティング支援に従事。2021年にHRBrain入社。EX Intelligenceの立ち上げをグループマネージャーとして推進。プロダクトを活用し、大手企業の組織改善を推進・コンサルティング支援にも従事。

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