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360度多面評価って意味あるの?バレない・失敗を防ぐための準備とは

360度多面評価

360度多面評価って意味あるの?バレない・失敗を防ぐための準備とは

目次

    この記事では360度多面評価の目的、メリット、失敗しないために準備することを紹介します。

    360度評価とは

    360度多面評価とは

    360度多面評価とは、この図にあるように評価対象者に対して、上司・同僚・部下など立場の異なる人が多面的に評価をする手法です。

    「360度評価」、「360度フィードバック」、「多面評価」と呼ばれることもあります。

    360度多面評価には「評価」と名前がついていますが、もともとは「能力開発の手法」としてアメリカで誕生しました。

    そのため、必ずしも人事評価に結びつけられることはなく、人材育成の手法として用いられる場合もあります。

    360度多面評価が導入されるようになった背景

    360度多面評価が導入されるようになった背景には、近年、ワークスタイルの多様化によって上司ひとりの評価では公平な評価が難しくなってきていることが挙げられます。

    また360度多面評価は、ピラミッド型組織からフラットな組織への変革を受けて、さまざまな企業で取り入れられる傾向にあります。

    360度多面評価の目的

    次に、360度多面評価の目的について紹介します。

    客観的な評価(複数の視点から)

    上司が適正な評価を行えるのは「7名まで」と言われています。( 図解 人材マネジメント 入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボより)

    とはいえ、プレイングマネージャーの場合は、部下ひとりひとりの行動観察に十分な時間を割けないこともあるでしょう。

    360度多面評価は、複数の立場が異なる人から「客観的な評価を得るための手段」として有効です。

    評価対象者の成長

    複数の立場が異なる人から客観的な評価は、被評価者の成長を促します。

    なぜなら、自己評価と他者評価の違いを把握することで、自分の強み・弱みを知ることに繋がるからです。

    被評価者は部下だけとは限りません。

    上司も同じように部下から評価されることで、自らの課題に気づき、成長へと繋げることができます。

    企業文化・価値観の浸透

    360度多面評価の実施により、企業文化・価値観の浸透も期待できます。

    なぜなら、評価者は自社の評価基準によって被評価者を評価するからです。

    その言動が「良かったのか」「改善の余地があったのか」という点は、会社の事業による性格、また期待する人物像によって若干の違いがあります。

    企業の価値観の浸透、その反映のためにも360度多面評価は有効です。

    評価対象者の日常行動の可視化

    360度多面評価には、日頃、上司の目が届きにくい従業員の日常行動を可視化する目的もあります。

    評価者が抱きがちな「上司が忙しく、わたしのことを見てくれない」といった不満についても解消が見込めます。

    また上司も知らなかった被評価者の新たな面を発見することにも繋がります。

    360度多面評価のメリット

    360度多面評価のメリットについて説明します。

    360度評価のメリット・デメリット

    目的に続いて、評価対象者が受ける360度多面評価のメリットについて紹介します。

    客観的なフィードバック/強み・弱みの発見

    被評価者にとって、複数の立場が異なる人からもらえるフィードバックは貴重です。

    なぜなら360度多面評価は、自己評価と他者評価のギャップが明らかになるきっかけになるからです。

    人から客観的な評価をもらえることは自分の強み・弱みを自覚する機会となります。

    評価への納得感が高まる

    また、上司ひとりに評価されていたときに比べ、評価への納得感が高まります。

    とくに上司が別のプロジェクトにかかりきりで、評価対象者との関わりが薄く、普段からコミュニケーションが取りにくかった場合、評価対象者は「上司はわたしの何を見て評価しているのだろう」と懐疑的になることも少なくありません。

    しかし、複数の立場が異なる人からフィードバックをもらうことで、評価への納得感が高まります。

    人材育成

    客観的なフィードバックは、自身の強み・弱みを見つめ直す機会になります。
    とくに、自分では「強み」に気づきにくいものです。

    得意なこと(苦にならないこと)を発見し、そのスキルを磨くことは、評価対象者の成長、ひいては自発的な改善行動にも繋がります。

    社内のコミュニケーションが活性化する

    360度多面評価のフィードバックを行うことは、上司と部下のコミュニケーションを促します。

    社内のコミュニケーションが活性化することは、風通しの良い職場環境に欠かすことのできない要素です。

    会社への帰属意識が芽生える

    360度多面評価を通して、意見が組織に反映されます。

    また、それだけではなく自分も正しく評価されているという「納得感」は、従業員満足度に繋がり、会社に愛着を感じるエンゲージメントの向上へと繋がります。

    社内のコミュニケーションも活発化し、自分の強みを磨き、弱みを克服するための能動的なアクションを評価対象者に促します。

    そうした流れから「自分は会社の一員」であるという帰属意識が生まれます。

    360度多面評価のデメリット

    360度多面評価のデメリットについて説明します。

    運用の手間が増える

    360度多面評価を実施するには項目決め、評価者と被評価者の設定、実施方法の決定など、さまざまな検討に加えて、運用の手間がかかります。

    タレントマネジメントシステム」の導入によってその工数の多くは削減できますが、フィードバック(被評価者とのコミュニケーション)の時間は必要となります。

    不適切な評価が行われる可能性がある

    360度評価の結果を考査と直結させたために、従業員の間で談合を行うようになり、公正な評価とはかけ離れた結果になってしまったという失敗例もあります。

    人事評価と360度評価を切り離し「育成を目的」とするなど、運用には工夫が必要です。

    上司が部下に厳しくしなくなる可能性がある

    360度評価を導入する以前は、上司が一方的に部下を評価していましたが、双方向の評価となることを意識して、上司が部下に「言いたいことを我慢する」ことも場合によっては発生するでしょう。

    360度評価の結果を人事評価と連動させることで、上司が部下に厳しくしなくなる可能性が生まれます。

    評価者と被評価者との従来の関係性に影響が出ること、また評価者が被評価者に遠慮してしまうことでハッキリと評価できない懸念が生まれることもデメリットとして考えられます。

    360度多面評価はどんな企業に適しているか

    では、360度多面評価はどのような企業に適しているのでしょうか。

    上司ひとりでは適正な評価ができない

    上司にぶら下がっている部下が7名以上おり、上司ひとりでの評価が難しい場合、また上司が忙しいなどの理由で「部下の普段の様子が見られない」状況が発生し、部下に不満が出ている場合に360度多面評価は活用できます。

    ちなみに上司の評価スキルが不足している場合は、人事評価制度研修によって改善することができます。

    社内のコミュニケーションが希薄

    上司と部下、また従業員同士のコミュニケーションが希薄な場合にも、360度多面評価は有効です。

    コミュニケーションを活性化させるためには、360度多面評価の振り返り(改善行動の進捗)を行う「1on1ミーティング」を導入しましょう。

    1on1ミーティングの効果や進め方について詳しく知りたい方は、こちらから「 1on1ミーティング入門書」がダウンロードできます。

    360度多面評価の評価項目

    HRBrainの「 タレントマネジメントシステム」より360度多面評価の項目の一例を紹介します。

    360度評価 質問項目の例/管理職の評価(部下→上司)

    管理職の評価(部下→上司)の例です。

    • 組織戦略(部門ミッションの理解、部下の役割明示)→(対象者は)期待される役割を具体的に告げられているか?
    • 部署内コミュニケーション →(対象者に)仕事のことで気軽に話しかけられるか?
    • 人材育成 →(対象者から)育成機会の提供、業務に対するフィードバックをされているか?

    360度評価 質問項目の例/一般職の評価(一般⇔一般or上司)

    一般職の評価の例です。

    • メンバー間のコミュニケーション →(対象者は)周囲との会話はどの程度あるか?
    • 仕事の進め方 →(対象者は)目的達成の為に有効な施策を考え、実行しているか?
    • 仕事の判断の仕方 →(対象者は)行動指針にそった適切な判断ができているか?

    360度多面評価の運用方法

    360度多面評価の運用方法について説明します。

    360度多面評価の実施目的を周知する

    最初の導入タイミングで従業員の理解が得られないと「また無駄な仕事が増えた」と思われてしまいます。

    そうなると、積極的な参加は望めません。

    「自分のためにも、会社のためにも良い施策である」という気持ちになってもらうために、経営陣からのメッセージを伝え続けることが重要です。

    360度多面評価の実施計画を立てる

    360度多面評価を実施するためには、以下の実施計画の流れに沿って決定する必要があります。

    360度多面評価の実施計画の流れ

    1. 評価基準・項目を設定する
    2. 評価者と被評価者を設定する
    3. 実施方法を決定する
    4. スケジュールを立てる
    5. 評価の取り扱いの仕方を決定する
    6. 評価者への配布方法を決定する

    これらの煩雑な流れは、HRBrainの「 タレントマネジメントシステム」で短縮が可能です。

    まずはじめに行う項目の設定ですが、こちらは「360度多面評価の評価項目」でも述べたように「 タレントマネジメントシステム」を導入することで、簡単にできます。

    360度多面評価の導入に心理的な抵抗の大きいことの要因は、評価者へのコメントが「バレるのでは?」「筒抜けになるのでは?」といった懸念があることです。

    HRBrainの「 タレントマネジメントシステム」であれば、評価者の匿名設定、評価者同士のスコア非表示設定もできます。

    管理画面上ですべて完結するため、フィードバック情報の管理方法、また評価者への配布方法に頭を悩ませることもありません。

    また一次評価者を管理画面上で紐づけるだけでなく評価シートごとの進捗を可視化できます。

    これらのことから、スムーズな実施が可能となります。

    評価対象者にフィードバックを行う

    評価対象者に評価の結果を確認させるだけにとどまらず、上司から対面でのフィードバックを行いましょう。

    評価対象者の良かった点、改善すべき点をしっかりとフィードバックすることで、被評価者には「見られている」「評価されている」という意識が育ちます。

    これは「従業員自身にも360度多面評価のメリットがある(自分に還元される)」と実感してもらうためにも重要なプロセスです。

    評価対象者は行動計画を作成する

    評価者はフィードバックを受けて「終わり」にするのではなく、行動計画を作成しましょう。

    自身の強み、見つかった改善点を踏まえて、具体的なアクションプランに落とし込むことで360度多面評価は成果を発揮します。

    360度多面評価の運用事例

    360度多面評価を実際に運用している企業の事例を紹介します。

    日本たばこ産業株式会社

    日本たばこ産業株式会社では、360度多面評価を実施するにあたり、以前は「他者による気づき」を重視していました。

    しかし、「360度フィードバックによって何を知りたいのか」という点を見つめ直し、組織開発と紐付けて実施する場合は「組織に合わせた設問設計が必要」という観点に立ち返りました。

    例を挙げると、R&Dグループでは、「日本一仕事が面白い会社」になるためのアクションとして2013年に「4Steps」(=任せるマネジメント推進活動)を開始しました。

    その進捗度合いを測るために360度多面評価を実施しました。

    アイリスオーヤマ株式会社

    アイリスオーヤマ株式会社は、2003年から人事評価の制度改革に着手し、「360度評価」を採用しています。

    評価の一例

    • 一般社員……①上司 ②同僚 ③部下・関連部署の9名ほどから
    • 幹部社員……①上司 ②同僚・関連部署 ③部下の3方から

    このように所属部署、等級によっては数十名から評価を受ける場合もあります。

    社長を含む役員クラスも、部下から評価を受けています。

    アサヒビール株式会社

    アサヒビール株式会社では、マネジメントスキルの発揮度合いを確認しながらマネジャーとしての成長を図るため「360度フィードバック」を年1回実施しています。

    上司、部下、同僚(10名以内)にアンケートを行い、自己評価と他者評価のギャップから本人の気付きを促すことを目的としています。

    また11 月に結果をフィードバックすることで、翌年度の個人の業績目標に組み込むことで行動計画へと反映しています。

    まとめ

    360度多面評価とは、評価対象者に対して、上司・同僚・部下など立場の異なる人が多面的に評価をする手法です。

    360度多面評価の目的は以下の4つです。

    1. 客観的な評価(複数の視点から)
    2. 評価対象者の成長
    3. 企業文化・価値観の浸透
    4. 評価対象者の日常行動の可視化

    360度多面評価のメリットは客観的なフィードバックにより評価対象者が自身の「強み・弱み」を発見できることです。

    複数の人から評価されることによって評価対象者は「納得感」を得ることができます。

    それらのことは、評価対象者の成長(人材育成)、能動的な改善行動に繋がります。

    また上司、部下の間で360度多面評価のフィードバックを行うことは、社内のコミュニケーションの活発化にも貢献します。

    とくにフィードバックから得た「改善点」を行動計画に落とし込み、定期的な 1on1ミーティングを行うことは振り返りとして重要です。

    360度多面評価のデメリットは「運用の手間が増える」「不適切な評価が行われる可能性がある」「上司が部下に厳しくしなくなる可能性がある」の3つです。

    360度多面評価の運用にあたっては以下の2点が重要です。

    1. 経営陣から従業員に目的や思いを伝える
    2. 従業員自身にも360度多面評価のメリットがある(自分に還元される)と実感してもらう

    360度多面評価の導入事例として、日本たばこ産業株式会社、アイリスオーヤマ株式会社、アサヒビール株式会社を紹介しました。

    とくにアサヒビール株式会社では、管理職の自己評価と他者評価のギャップを埋めることに活用し、翌年度の個人の業績目標に組み込むことで行動計画へと反映しています。

    360度多面評価の実施にあたって発生する煩雑な情報管理は、「 タレントマネジメントシステム」によって大幅な改善が見込めます。

    また悩ましい評価項目についても、HRBrainではカスタマーサクセスに相談しながら決定できます。

    360度多面評価で重要な評価対象者の行動計画の振り返りには、 1on1ミーティングの実施が有効です。

    この機会に、360度多面評価の導入を検討してはいかがでしょうか。

    評価が従業員に「バレる」「筒抜けになる」恐れのない「 タレントマネジメントシステム」が、360度多面評価の効果的な実施をサポートします。

    HR大学 編集部

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