360度評価システムとは?導入のメリットと比較ポイントまとめ
- 360度評価システムとは?
- 360度評価について
- 360度評価システムを導入するメリットは?
- オンラインでの運用
- 運用負荷の軽減
- 評価項目の設定や編集が柔軟にできる
- 匿名性の担保
- 面談記録が残せる
- 360度評価システムのタイプとシステム提供形態
- 360度評価システムのタイプ
- 360度評価システム導入の準備
- 導入目的を明確化する
- システムで運用する範囲の決定
- 運用メンバーを決める
- 評価基準と評価項目を設定する
- 評価者と評価対象者を設定する
- 導入期間を決める
- 従業員に周知する
- 360度評価システム導入後のアクション
- フィードバックと行動計画への反映
- 360度評価を常に改善する
- 360度評価システムを選ぶポイント
- 企業規模に見合ったシステムか?
- セキュリティは万全か?
- 導入コストとランニングコストがいくらかかるのか?
- 他のシステムとの連携ができるか?
- 1on1などの面談データの蓄積ができるか?
- 操作性に優れているか?
- システム導入後のサポートがあるか?
- 360度評価システムで意味ある「360度評価」へ
360度評価システムは複雑で工数のかかる360度評価を効率化できるシステムです。
360度評価は、多面的な評価ができ人材育成にもつながるというメリットもありますが、多くの従業員が関わるために、「運用工数がかかる」「匿名性の担保が課題」というデメリットもあります。
360度評価システムは、個別のシート管理では頓挫しがちな、360度評価の抱えるデメリットを解消し、サポートしてくれる機能が搭載されています。
この記事では、360度評価システムの導入を検討する際におさえておくべき、システムの比較ポイントや機能、メリット、システム導入前と後にすべきことについて解説します。
360度評価システムとは?
360度評価システムとは、通常の人事評価よりも運用が複雑で工数がかかる360度評価を効率化できるシステムです。
また、360度評価システムを導入することで、360度評価の課題である匿名性の担保や、正確なフィードバックを行うことができるようになるため、360度評価を成功させることにつながります。
360度評価について
360度評価は、評価対象者に対して、上司、同僚、部下など立場の異なる従業員が多面的に評価を行う評価方法です。
360度評価は「評価」と名前がついていますが、もともとは「能力開発の手法」としてアメリカで誕生しました。そのため、人材育成の手法として用いられる場合もあります。
また、多面的に評価を行うため、「自己評価」と「他者評価」とのギャップを知ることもできます。
360度評価が導入されるようになった背景には、「ワークスタイルの多様化」と「組織構造の変革」があげられます。
▼「360度評価」についてさらに詳しく
360度評価(多面評価)とは?メリットとデメリットや評価項目とフィードバック方法を解説
360度評価のメリット
360度評価のメリットは、複数の立場が異なる人が評価をすることで、評価対象者が「自己評価」と「他者評価」のギャップを知ることができることです。
また、360度評価は、自社のコンピテンシーを元にすることもあるので、360度評価を通して従業員に自社の理念を浸透させることにも役立ちます。
▼「コンピテンシー」についてさらに詳しく
コンピテンシーとは?活用メリットやデメリット、導入の流れを解説
360度評価のデメリット
360度評価のデメリットは、ひとりの評価対象者を複数名で評価するため、評価シートの作成や回収、集計にかかる工数が通常の人事評価と比較して多いことです。
また、360度評価に限ったことではありませんが、人事評価に記載されたシートには対象者への評価が記載されており、取り扱いには注意が必要で、「匿名性をどう担保するのか」という点が運用上の課題になります。
360度評価システムを導入するメリットは?
360度評価システムを導入することで得られるメリットについて確認してみましょう。
360度評価システムを導入するメリット
オンラインでの運用
運用負荷の軽減
評価項目の設定や編集が柔軟にできる
匿名性の担保
面談記録が残せる
オンラインでの運用
「ワークスタイルの多様化」により、テレワークやリモートワークといった働き方が浸透してきているなか、クラウド型の360度評価システムを導入することで、在宅でも360度評価を問題なく実施することができるようになります。
また、スマートフォンやタブレットからの評価が可能なシステムであれば、従業員がパソコンを使わずにいつでも評価を実施することができます。
運用負荷の軽減
360度評価システムを導入することで、評価項目の設計、評価シートの作成と回収、評価結果の集計など、360度評価の運用にかかっていた作業時間を短縮することができます。
また、導入する360度評価システムによっては、評価シート未回収の対象者に対してリマインドを送ることもできます。
評価項目の設定や編集が柔軟にできる
360度評価システムでは、評価項目の設定や追加、編集、などを自由にカスタマイズできます。
360度評価での評価項目は、組織の状況によって変化するため、自社独自の設問を自由に設定、編集できることが大切です。
また、評価項目のテンプレートがあらかじめ設定されていて、一から評価項目を考えなくてもよい360度評価システムもあります。
匿名性の担保
360度評価システムで評価が管理されるため、エクセルなどの個別ファイルをメールで送信する必要がないので、メールの誤送信の恐れがありません。
そのため、評価者は「匿名性が担保されている」と安心することができ、率直な評価を行うことができるようになります。
面談記録が残せる
360度評価システムの中には1on1などの面談履歴を記録できる機能もあります。
紙やエクセルなどのファイルでの管理では、データが一元化されていないため、過去の面談履歴をさかのぼって確認することが難しい場合もあります。
そのため、記憶を頼りに面談を進めることになってしまい、的確なフィードバックが行えず、評価に納得感がなくなってしまう可能性もあります。
他者からの評価や面談履歴を残せる360度評価システムであれば、それらのデータを確認しながら的確なフィードバックをすることができます。
また、「改善すべき点を克服するためにどうアクションを起こすか」という点に焦点をあてた面談を実施することができます。
▼「1on1ミーティング」についてさらに詳しく
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360度評価システムのタイプとシステム提供形態
360度評価システムのタイプとシステム提供形態について確認しましょう。
360度評価システムのタイプ
ツール提供型
総合プラットフォーム型
ツール提供型
「ツール提供型」は、360度評価の支援に特化したシステムで、360度評価システム単体で完結します。
総合プラットフォーム型
「総合プラットフォーム型」は、タレントマネジメントシステムなど、他の人材マネジメントシステムやツールと連携が可能で、データの一元管理も可能です。
そのため、人事業務の効率化や、人事評価の効率化にもつながります。
360度評価システムの提供形態
クラウド型
オンプレミス型
クラウド型
クラウド型は、インターネット上でシステム利用が可能なタイプです。
360度評価システムのほとんどがこのクラウド型システムです。
クラウド型システムは、導入期間が短く、インターネットに接続すればどこでも利用可能で便利ですが、セキュリティ対策については、確認する必要があります。
オンプレミス型
オンプレミス型は、自社サーバーにシステムを導入するタイプです。
インターネットに接続しないため、セキュリティ対策としては万全ですが、VPNなどの設定が必要であったり、導入費用、運用費用がクラウド型と比較してかかります。
360度評価システム導入の準備
360度評価システムを導入する際に、準備すべきことについて確認しましょう。
360度評価システム導入の準備
導入目的を明確化する
システムで運用する範囲の決定
運用メンバーを決める
評価基準と評価項目を設定する
評価者と評価対象者を設定する
導入期間を決める
従業員に周知する
導入目的を明確化する
360度評価システムを導入することで実現したいことを明確化しましょう。
「上司の目が届きにくい従業員の日常行動を可視化したい」「上司とのコミュニケーションが希薄で従業員が日常的に抱えてしまっている不満を解消した」など、組織によって課題は変わってくるでしょう。
また、360度評価は報酬制度に直接紐づける評価ではないため、MBOなどの他の評価方法と組み合わせて実施することで、効果を発揮します。
システムで運用する範囲の決定
360度評価システムを導入する際に「どこまでをシステムで運用するのか」を決定しましょう。
特に、360度評価は有効な運用とフィードバックが切り離せません。
360度評価システムを導入する際は、1on1など「面談記録が蓄積できるシステム」を選ぶようにしましょう。
また、360度評価以外に人事評価制度を運用している場合は、この機会に合わせてシステム化をするのかを検討しましょう。
運用メンバーを決める
360度評価システムを運用するためのプロジェクトメンバーを決めましょう。
人事部門のメンバー情報システム部門のメンバーで運用をすすめると、セキュリティ面での助言をもらえ、相談から意思決定までがスムーズに進みます。
評価基準と評価項目を設定する
360度評価システムで使用する評価基準と項目を決定します。
360度評価システムでは、評価項目の設定、編集、追加を簡単に行うことができます。
360度評価システムで使用される評価項目の一例を、HRBrain「タレントマネジメントシステム」360度評価項目で確認してみましょう。
360度評価項目:管理職の評価(部下⇒上司)
・組織戦略(部門ミッションの理解、部下の役割明示):(対象者は)期待される役割を具体的に告げられているか?
・部署内コミュニケーション:(対象者に)仕事のことで気軽に話しかけられるか?
・人材育成:(対象者から)育成機会の提供、業務に対するフィードバックをされているか?
360度評価項目:一般職の評価(一般職⇔一般職もしくは上司)
・メンバー間のコミュニケーション:(対象者は)周囲との会話はどの程度あるか?
・仕事の進め方:(対象者は)目的達成の為に有効な施策を考え、実行しているか?
・仕事の判断の仕方:(対象者は)行動指針にそった適切な判断ができているか?
評価項目のテンプレートがあらかじめ設定されていると、スムーズな運用が可能です。
360度評価での評価項目は、組織の状況によっては短期間で変化することがあるため、360度評価システムを導入する際に、評価項目を柔軟に変更できるかを、事前に確認するようにしましょう。
評価者と評価対象者を設定する
被評価者と被評価者を設定しましょう。
その際に、360度評価システムで「評価者と被評価者の紐づけ設定」ができるかを確認しておきましょう。
上司と部下、同じチームのメンバーなど、評価者と被評価者の紐づけ設定をすることで、アンケートフォームの誤送信を防ぎ匿名性を担保することができます。
導入期間を決める
360度評価システムの導入と運用のタイミングを決定します。
360度評価はフィードバックも重要なため、面談のための時間が無理なく取れる時期に実施すると、現場での運用がスムーズに行えるでしょう。
従業員に周知する
360度評価システムの導入が決定したら、従業員に周知しましょう。
360度評価システムの導入時期の周知、360度評価システムの使い方のレクチャー、評価に関する研修までを行いましょう。
360度評価は多くの従業員が関わるため、現場から「手間が増える」「仕事が忙しくて面談の時間が取れない」などの声が上がる可能性もあります。
360度評価システムの導入によって「どのようなメリットが従業員にもたらされるのか」について、事前に説明をし納得してもらえるよう調整しましょう。
360度評価システム導入後のアクション
360度評価システム導入、実施後のアクションについて確認しましょう。
360度評価システム導入後のアクション
フィードバックと行動計画への反映
360度評価を常に改善する
フィードバックと行動計画への反映
360度評価は、評価実施後の「フィードバック」と「行動計画」が重要になります。
評価対象者は評価者からの評価を受け、そのフィードバックを上司から受けます。
評価によっては、受け入れ難い場合もありますが、フィードバック面談で上司と対話することで、評価を受け入れやすくなります。
また、評価結果を受け入れ、「現状」と「目指すべき状態」を把握し、今後の「行動計画」を決定しましょう。
また、行動計画を決定したら、実際に行動し、どのような変化につながったのか、どのように成長できたのかを振り返り、「PDCAサイクル」をまわしながら、次の行動へとつなげるようにしましょう。
360度評価を常に改善する
360度評価は、企業の状態や状況によって、実施の目的が変化していきます。
常に同じ設問を使っていては、企業の方向性とズレが生じてしまうことがあります。
360度評価の設問や運用方法は、都度プロジェクトメンバーで見直し、評価の実施からフィードバックの結果を反映させた行動計画までの一連のサイクルが、うまく回っているかどうかをチェックするようにしましょう。
360度評価システムを選ぶポイント
360度システムを選ぶ際のポイントについて確認してみましょう。
360度評価システムを選ぶポイント
企業規模に見合ったシステムか?
セキュリティは万全か?
導入コストとランニングコストがいくらかかるのか?
他のシステムとの連携ができるか?
1on1などの面談データの蓄積ができるか?
操作性に優れているか?
システム導入後のサポートがあるか?
企業規模に見合ったシステムか?
導入を検討している360度評価システムが、「中小企業向け」なのか「大企業向け」なのかを確認しましょう。
導入事例で自社の規模と同じくらいの規模の企業が、紹介されるかを参考にしてみるのも良いでしょう。
セキュリティは万全か?
360度評価システムのセキュリティは万全か、自社に情報システム担当者がいるのなら、確認してもらいましょう。
人事情報を扱うため、セキュリティに関して慎重に検討する必要があります。
導入コストとランニングコストがいくらかかるのか?
360度評価システムを導入する際に、「導入コスト」と「ランニングコスト」を確認しましょう。
「ランニングコスト」については、クラウド型システムを導入する場合は、従業員一人につき月額費用が定変動する「従量課金性」と、従業員が増えても月額費用が変わらない「月額固定制」の2種類に分かれます。
オンプレミス型システムを導入する場合は、「ライセンス費用」や「保守費用」がかかる場合があります。
他のシステムとの連携ができるか?
360度評価システムのなかには、タレントマネジメントシステムをはじめとする、他の人材データベースとの連携ができるものがあります。
360度評価は単体だけではなく、ほかの評価と組み合わせることが多く、他の人材データベースと連携できることで、データ分析の時間が短縮できたり、タレントマネジメントなどに活用しやすくなります。
そのため、「他のシステムと連携できるか」という点も重要です。
1on1などの面談データの蓄積ができるか?
360度評価システムでは、1on1などの「面談情報の蓄積」や「面談履歴の検索」ができるかという点も確認しましょう。
評価者に対しての360度評価が集まった段階で、そのデータを元に上司は面談を行います。
その評価を「フィードバック」し、評価者の「行動計画を立てる」までが360度評価です。
継続的な人材育成のためにも、面談情報の蓄積ができるシステムであることが重要です。
操作性に優れているか?
360度評価システムは、たくさんの従業員が利用するため、操作性に優れているかどうかが重要です。
ログインしやすいものか、マニュアルを確認せず直感的な操作が可能か、分析結果が見やすいものか、スマホやタブレットでの操作性は良いか、などを確認しましょう。
使いにくいシステムであれば、評価者は入力しづらいだけでなく、活用に至るまでにはいきません。
システム導入後のサポートがあるか?
360度評価システムの導入をスムーズにサポートするための、カスタマーサクセスなどのフォロー体制が充実しているかを確認しましょう。
課題を解決するまで併走してくれるパートナーのようなサポートがあると、導入後も安心です。
360度評価システムで意味ある「360度評価」へ
360度評価を成功させるために、「360度評価システム」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
「HRBrain360度評価」は、360度評価の導入や効率化からデータ活用までを実現します。
HRBrain360度評価の3つのポイント
設問設定から集計・可視化までを効率化
評価シートの設定や配布・集計までをクラウド上で完結し、業務効率化を実現します。
また、未回答者へのアナウンスも行えます。設問テンプレートも完備しているので、初めての運用でも安心です。
収集したデータを他の人材データと一元管理
人材データベース機能で「360度評価」で収集したデータをスキル等の人材データと一元管理することが可能です。マネジメント層の育成や人材育成、人事評価への反映もできるので、評価制度の向上にもつながります。
設問設計から集計までがオールインワン
設問設計からデータ分析までをオールインワンで行えるので、「360度評価」実施後のフィードバックや行動計画の作成、研修の実施にも役立ちます。
※コンサルティング支援、研修の有料オプションあり
HRBrain360度評価の主な機能
柔軟な評価設定機能
回答管理機能
個人ごとの結果閲覧機能
スコア集計機能
CSVインポート機能
スマホ対応機能
360度評価実施マニュアル
360度評価の実施目的やメリット、開始までのステップをご紹介します。
360度評価とは
360度評価のメリットと実施にかかる課題とは
360度評価を成功させるための3つのポイント
360度評価の運用を3STEPで解説
360度評価STEP別チェックシート
360度評価システム/コンサルティングサービス紹介
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