#人材管理
2023/08/16

HRビジネスパートナー(HRBP)とは?人事のトランスフォーメーションを実現する方法を解説

目次

    近年、人事の組織体制を変更する企業が増えています。事業環境が変わり、環境変化のスピードが速くなったことで、人材に関する課題も先を読んだ対応が求められるからです。そこで今回は人事の組織体制のひとつであるHRビジネスパートナーについて解説します。

    HRビジネスパートナー(HRBP)とは?

    HRビジネスパートナーとは

    HRビジネスパートナーとはどのような意味なのでしょうか。基本的な概念についてご紹介します。

    HRビジネスパートナーとは?

    HRビジネスパートナー(HRBP)とは、企業における人事機能の一つです。人事機能の中でも特に事業部門の経営者や責任者のパートナーとして事業成長を人と組織の面からサポートする役割を担います。HRビジネスパートナーの仕事は事業成長のための問題解決が主な仕事です。

    しかし、その内容は多岐にわたります。採用活動から研修、制度設計まで人・組織におけるあらゆる手段を通じて事業成長を支援します。ただし、企業によってHRビジネスパートナーの業務内容や意味は異なるでしょう。単に部門所属の人事担当者を意味する場合もあれば、部門に対して人事コンサルティングを行う担当者を指す場合もあります。特に日本ではHRビジネスパートナーの定義が企業によって大きく変わるので注意が必要です。

    ウルリッチの定義

    HRビジネスパートナーの概念は、アメリカのミシガンビジネススクール教授であるデーブ・ウルリッチによって提唱されました。ウルリッチ教授は著書「MBAの人材戦略」の中で、これまでビジネススクールでは研究されて来なかった人事部門の重要性と組織構造を「パラダイムシフト」する必要性を説きました。その著書の中で、人事は単に事務処理係ではなく、経営者の右腕として意思決定に影響を与えるパートナーであるべきとしたのです。

    さらにウルリッチ教授は新たに提唱する人事機能の一つとして、HRビジネスパートナーの考え方を紹介しました。ウルリッチ教授によれば、HRビジネスパートナーは営業部門などの「現場」に近い場所にいて、部門からリクエストされる人や組織の課題に対して人事の視点から問題解決を図る機能だと定義しています。

    なぜHRBPが求められているのか?

    なぜHRビジネスパートナーが必要か

    HRビジネスパートナーの考え方は、近年、日本企業でも取り入れられてきました。なぜHRビジネスパートナーがいま求められているのでしょうか。

    社会環境の変化

    新型コロナウイルス感染症の影響に代表されるように、昨今の社会環境の変化は激しさを増してきています。こうした変化の激しい環境の中では、ちょっとした対応の遅れが事業継続に大きく影響することがあるでしょう。

    例えば新型コロナウイルス感染症の影響により緊急事態宣言が発出された際、スムーズに事業を継続できた企業とそうではない企業に大きな差が出ました。スムーズに事業を継続できた企業は以前から世の中の変化を捉え、リスク対策のためにもテレワークに取り組んできました。また、以前からテレワークに取り組んでいなかった企業でも、素早く対応ができた企業は新しい生活様式にも早く順応できています。このように、変化の激しい時代では、人事が先を読んで機動的に課題に対処する必要があるのです。

    人材獲得競争の激化

    また、近年のデジタルトランスフォーメーションの進展は人材獲得競争をもたらしています。AI、IoT、ビッグデータ解析など、もはやどの事業分野にもデジタル人材は欠かせないものとなっています。現代の人事にはこうしたデジタルトランスフォーメーションにも敏感に反応し、自社の事業にとって必要な人材をいち早く獲得することが求められているのです。

    デジタルトランスフォーメーションについてさらに詳しく知りたい方は、「デジタルトランスフォーメーションはなぜDX?意味や定義、事例を解説」をお読みください。

    このように、かつてのような人材を管理する事務処理作業が中心の人事部では現代の事業環境に対応しきれなくなっています。課題をいち早く発見して解決する必要のある現代では、HRビジネスパートナーの機能が強く求められているのです。

    HRBPと従来の人事の違い

    HRBPと人事の違い

    ところでHRビジネスパートナーと従来の人事とはどのように機能が異なるのでしょうか。違いを見てみましょう。

    HRBPと人事の違いとは?

    まずHRビジネスパートナーは人事のひとつの機能です。冒頭にご紹介したウルリッチ教授の定義によれば、これからの人事は3つの機能が必要だとされています。1つ目は従来の人事機能である給与計算や入退社手続き、勤怠管理などの事務作業を提供する「シェアード・サービス」。2つ目は労務管理や人材開発など高度な専門知識を必要とする「センター・オブ・エキスパタイズ(CoE)」。そして最後3つ目がHRビジネスパートナーです。単に人事と呼ぶ場合、この3つの機能全てのこと、もしくは従来の人事部門や人事担当者を意味します。

    HRBPと部門人事との違いとは?

    一番紛らわしいのが、HRビジネスパートナーと部門人事の違いです。というのも、企業によっては部門人事のことをHRビジネスパートナーと呼ぶことがあるからです。ただし、部門人事と呼ぶ場合は部門機能のうち従来の事務作業中心の人事を指すことが多いでしょう。HRビジネスパートナーは部門の問題解決やコンサルティングを行う人事であるため、従来の部門人事とは大きく異なる機能であることは理解しておいた方がよいでしょう。

    HRBPと労務管理の違いとは?

    以上の説明からわかるように、HRビジネスパートナーと労務管理も全く異なる概念です。労務管理は一般的に職場環境を整えることで従業員が働きやすくする業務を指します。従業員の健康管理や職場環境の改善などが労務管理の主な業務です。そのため、HRビジネスパートナーの業務の中には労務管理が含まれることもあるでしょう。

    HRBPの導入方法

    HRBPの導入方法

    近年ますますHRビジネスパートナーの重要性が増しています。一方で実際にHRビジネスパートナーの機能を企業に取り入れるにはどうすればよいのでしょうか。

    1.今後の人事戦略を検討する

    まずはHRビジネスパートナーを導入するという手段ありきではなく、今後の自社の人事戦略を検討しましょう。人事戦略の検討にあたっては、まず今後の事業環境や経営戦略を検討したうえで、どのような人材や組織が必要なのかを考えます。また人材確保については採用だけではなく、育成することも含めて計画を立てます。こうした今後の事業環境に合わせた人・組織における検討事項を2-3年計画にして人事戦略にまとめるのです。

    さらに人事戦略について知りたい方は、「【人事部必見】「戦略人事」とは?経営戦略を実現する人事を徹底解説します」をぜひお読みください。

    2.実行体制を検討する

    ここ数年の人事戦略について検討が完了したら、その戦略を実行する体制を考えましょう。現行の人事部体制でよいのか、それとも部門にHRビジネスパートナーを設置したほうがよいのかを考えるのです。検討の結果、事業スピードや環境に対応するためにHRビジネスパートナーが本当に必要であれば、設置することを決断しましょう。

    3.トライアルを行う

    もしHRビジネスパートナーを設置することを決めたら、いきなり運用するのではなくトライアルを行いましょう。というのも、HRビジネスパートナーを設置する場合、人事だけではなく、部門側もHRビジネスパートナーを相談相手として認識する必要があるからです。最初はHRビジネスパートナー担当者から積極的に部門の課題を小さなものから御用聞きのように対応するのが良いのでしょう。部門との信頼関係が深まってきたら、より大きな問題解決へ発展させることができるはずです。

    4.問題解決力を高める

    HRビジネスパートナーの運用が安定してきたら、担当者の問題解決力を高めていきましょう。問題解決力を高めるには、基本的なロジカルシンキングをマスターするだけではなく、解決手段を多く取り揃えることが重要です。解決手段の選択肢を多くするには、担当者自身が人的資源管理の基礎的な理論を理解することはもちろん、人材開発から労務管理に至るまで幅広い人事の専門知識を身に着ける必要があるでしょう。

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    【まとめ】HRビジネスパートナーは人材で事業をリードする

    HRビジネスパートナーは、いまでは人事部にとって当たり前の機能の一つとなっています。小規模な企業でも、HRビジネスパートナーを設置できなくても人事部員全員がHRビジネスパートナーのように行動する人事部もあります。これからの人事は単なる事務職ではなく、事業を人材の面からリードするプロフェッショナルであるべきです。

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    HR大学編集部
    HR大学 編集部

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