#労務管理
2023/09/04

人事部門のイベント・年間スケジュールとは?業務効率を上げる立て方のコツを紹介!

目次

    雇用流動化による中途採用の活発化や法制度の動向を背景に、業務の進め方が煩雑化していく人事イベント・スケジュール。確実にこなしていくには、年間スケジュールをしっかりと立てることが重要です。

    ここでは、人事イベントをこなしていくためのスケジュールをスパンや分野別に見ていくほか、業務効率を上げるためのスケジューリングのコツを説明します。

    人事イベント・年間スケジュールとは

    人事イベント

    人事の業務領域は、採用から人材育成、評価のほか、給与計算など労務分野と多岐にわたりますが、年間スケジュールをしっかり立てないと数多くの人事イベントをこなしていくことは困難です。

    ここでは、人事領域のイベント・スケジュールを月間・年間の切り口で、代表的なものを例に紹介します。

    月間イベント・スケジュール

    人事部門で毎月発生するイベント・スケジュールは、主に労務分野である給与計算、労務管理があります。

    とくに給与計算は、賃金計算における算定期日までの有給休暇や残業などの勤怠データを集計するほか、結婚・出産、引越し、人事異動に伴う社員の身上申請なども給与に反映させるため、業務のボリュームは大きいイベントです。

    働き方改革関連法で設けられた労働時間の上限規制に伴い、法定された残業時間上限を超えないように徹底的に管理するため、集計や報告作業も毎月の業務になります。その他、社会保険や都度の入退社手続きなど、人事部門の定型的な月間イベント・スケジュールはさまざまです。

    【主な月間イベント・スケジュール】

    • 社員の入退社手続き

    • 人事異動とそれに伴う手続き

    • 勤怠集計・給与計算手続き

    • 労働時間の上限規制管理

    • 各種社会保険手続き

    年間イベント・スケジュール

    人事部門で毎年発生するイベント・スケジュールは、人事管理、採用、労務など多岐に渡ります。

    採用では、「新卒一括採用の選考や新入社員受け入れ対応」、労務では、「社会保険の算定や賞与計算・年末調整」、人事管理では、「昇給・昇進、評価集計」などが対象となりますが、年間イベント・スケジュールは、とくに他部署や社員に直接依頼する内容が多く含まれています。スケジュールを綿密に立てて、各方面の提出や申請が滞らないようにするとともに、協力を仰ぐ業務は、早めの展開をすることが肝要です。

    【主な年間イベント・スケジュール】

    • 新卒採用業務

    • 新入社員受け入れ

    • 内定式手配

    • 社会保険算定

    • 団体交渉

    • 定期昇給

    • 夏季・冬季賞与計算

    • 年末調整

    人事分野に組み込むイベント・スケジュール

    人事分野のイベント

    人事部門では、人事分野・労務分野の各領域の職務があります。ここでは、人事分野の年間イベント・スケジュールを紹介します。

    採用の年間スケジュール

    採用のイベント・年間スケジュールは日本の雇用慣行として、戦後から新卒一括採用が定着しています。新卒採用のスケジュールは、4月の一括採用を軸に計画を立てることが基本です。

    新卒の就活ルールとして、広報解禁日は「大学3年次の3月」、選考解禁日は「大学4年次の6月」、内定解禁日は、「大学4年次の10月」とされています。

    この就活ルールは、経団連が定めていたルールですが、2021卒からは政府主導に切り替わっているものの、2022卒までは従来通りのルールとなっています。

    基本的に企業は、就活生の学業に配慮する形で、就活ルールの下、採用選考スケジュールを組み立てています。

    【新卒採用イベント・スケジュール】

    • 4月:翌年採用のインターンシップ企画

    • 5月:インターンシップ方針決定、広報準備

    • 6月:インターンシップ広報開始

    • 7〜9月:夏インターン実施

    • 9〜2月:秋冬インターン実施

    • 3月:採用広報活動開始

    • 6月:選考活動開始、以降、順次採用対応&内々定者フォロー

    • 10月:内定解禁、内定式

    • 〜翌3月まで:内定者フォロー&入社受け入れ準備

    • 4月:新入社員受け入れ対応

    新卒採用スケジュールは、年々早期化しています。このスケジュールのように、4月では新入社員の受け入れをする傍ら、翌年のインターンシップ企画を同時並行するなど、複数年の採用対応をパラレルに対応する必要があります。

    中途入社は、計画的な側面と、欠員補充による突発的な側面があり、通年で採用活動をすることが要されます。とくに、高度な人材を採用する場合、ナビサイト、人材紹介などを複数媒体で試行錯誤することもあり、採用活動が長期化することもあります。

    ただし、一般的には、期初に中途入社必要人数を把握し、進捗管理をすることが多いでしょう。

    人材配置の年間スケジュール

    人材配置のイベント・スケジュールは、「人事異動」「新卒・中途入社」「昇進・昇格」「雇用形態の変更」「退職・解雇」など種類は多様ですが、それぞれの計画に基づき、年間スケジュールを立てます。

    新卒入社は4月が基本ですが、中途入社は通年であるように、中途採用の多い企業では、毎月の対応になります。

    昇進・昇格は、4月、あるいは10月のケースが多くありますが、候補者の選定や選考、手続きまで多くのステップを踏む必要があります。定年退職者の発生や解雇に伴う新たな労働力確保のための採用計画も必要です。

    人事異動は、4月など季節的に異動が多い時期に実施するケースや随時、人事異動をすることもあるように、企業によって運用は各様です。

    企業によって時期に相違はありますが、スケジューリングすべき人材配置のイベントは次のとおりです。

    【人材配置のイベント・スケジュール】

    • 新卒入社(4月)、中途入社(随時)

    • 人事異動(4月、あるいは随時)

    • 昇進・昇格(4月、10月など)※昇進・昇格候補者選定、選考は事前対応

    • 雇用形態変更(随時、あるいは一定時期)

    人事考課の年間スケジュール

    人事考課のイベント・年間スケジュールは、企業の決算期によって変わります。3月決算であれば、評価期間は4月から翌年3月のため、10月に中間面接、3月に期末面接を実施し、考課者の評価を実施します。相対評価の場合、考課者評価の下、相対評価するための評価調整会議などを経て、評価を決定する流れとなります。目標管理制度を導入している企業は、同時に、3月には翌年の目標設定を実施する必要があります。

    【人事考課のイベント・スケジュール(3月決算の場合)】

    • 3月:翌期の目標設定・面接

    • 10月:中間面接

    • 翌年3月:期末評価面接、評価者調整会議

    • 翌年4月:評価結果のフィードバック

    労務分野のイベント・スケジュール

    労務分野のイベント

    続いて、労務分野のイベント・スケジュールを見ていきます。

    給与計算の月間・年間スケジュール

    給与計算イベント・スケジュールと一言でいっても、月間スケジュールと年間スケジュールに大別されます。

    月間スケジュールは、勤怠〆作業、各種申請受付、給与手当の変更、給与計算準備、実施といった毎月のルーティン作業があります。

    労働基準法上、給与を従業員に「毎月25日」というように、毎月、定められた日に振り込む必要があります。金融機関へ期日までに振り込むため、給与振込日の〇営業日前までに給与計算確定、経理部門へのデータ提出、金融期間への送金処理など、暦に合わせて業務カレンダーを作成します。

    年間スケジュールでは、昇進・昇格など給与額の変更が伴う際の給与台帳変更、賞与計算、年末調整などがあります。そのほか、住民税更新手続きなど、定められた時期に行います。賞与計算は、団体交渉の結果を反映する必要があり、労使合意後、人事評価をベースに計算を実施することが基本です。

    【給与計算の月間スケジュール】

    • 10日〆後◯日まで:勤怠〆作業、各種申請受付

    • 13日まで:給与手当の変更、給与計算準備

    • 15日:給与計算実施

    • 16日:経理部門へ仕分けデータ・振込データの提出

    • 17日:金融機関へ振込データの送信

    • 25日:給与明細書の配布

    • ※10日〆当月25日払い、給与計算日が毎月15日の場合

    【給与計算の年間スケジュール】

    • 1月:法定調書、給与支払報告書提出

    • 4月:昇給計算、昇進・昇格による給与改定

    • 5月:住民税年度更新

    • 6月:労働保険年度更新開始、夏季賞与計算(7月支給の場合)

    • 7月:社会保険算定

    • 8月:4月給与改定者の社会保険料改定

    • 10月:年末調整書類の配布

    • 11月:年末調整書類の回収、冬季賞与計算(12月支給の場合)

    • 12月:年末調整実施、源泉徴収票の発行

    労使交渉の年間スケジュール

    労使交渉の年間スケジュールは、春闘といわれる春に、賃金・賞与に団体交渉を行い、賞与は夏・冬の通年を決めることが多くあります。企業によって、冬季賞与は別途、秋に交渉するなど、より経営環境に賞与額に連動性を持たせるケースもあります。

    【労使交渉の年間スケジュール】

    • 2月:労働組合から賃金・賞与の申し入れ

    • 3月:労使交渉、合意・協定締結

    • 10月:冬季賞与の申し入れ、労使交渉

    社会保険の年間スケジュール

    社会保険の随時改定・算定のほか、労働保険の年度更新・納付、雇用保険料率変更など毎月、手続きの期限が決まっているものが多くあります。

    近年は、電子申請に切り替わり利便性が向上していますが、一部の健康保険組合では、電子申請の方式が厚生年金と統一されておらず、標準報酬月額に関する実務が煩雑になっているケースもあります。

    【社会保険の年間スケジュール】

    • 1月:労働保険料納付期限(第3期)

    • 4月:雇用保険料率変更

    • 6月:労働保険の年度更新開始

    • 7月:労働保険の年度更新の提出・納付期限(第1期)、社会保険算定基礎届の提出期限

    • 9月:厚生年金保険料変更

    • 10月:社会保険料の変更、労働保険料納付期限(第2期)健康保険被扶養者の資格確認

    業務効率を上げる人事イベント・スケジュールの立て方|コツ

    スケジュールの立て方、コツ

    4月の新入社員の受け入れや12月の年末調整など、時期によって波がある人事部門のイベント・スケジュール。

    繁忙期を効率的に乗り切るには、スケジューリングのコツを押さえることです。ここでは、採用や給与計算のスケジュールのコツやバッファを持つことの重要性を解説します。

    苦労が絶えない、採用スケジュール立て方のコツ

    苦労が絶えない、面接官や求職者との面接日程。最終面接ともなると、役員や上位の役職者が面接官となることから日程調整が難航することが多くあります。

    ここでは、採用スケジュールの立て方、コツを紹介します。

    • 業務の前倒しで業務を平準化

    効率よく採用イベント・スケジュールをこなすには、どのような業務にも共通することですが、業務の平準化をすることが第一です。

    年間で対応すべき業務を棚卸し、事前に行える業務は前倒しするなど、業務の平準化をすることで繁忙期に業務が集中しないようにしておくことから始めましょう。

    • 面接スケジューリングの効率化

    そして、採用業務のなかでも、一番労力がかかるのは面接のスケジューリングです。複数の求職者と面接官の日程調整は、都合が合わないと何度もやりとりをしなければならないなど、苦労が絶えません。

    面接スケジューリングをメールで調整することが一般的ですが、日程調整メールの送り方にも、効率化するポイントがあります。

    【日程調整メールのポイント】

    • 件名のタイトルに要件の概要を記載する

    • 日程候補は3〜5個程度の複数挙げる

    • 候補で都合つかない場合、複数の候補を返信してもらう

    このポイントを押さえることで、メールのやり取りの回数を減らすことができます。

    GoogleカレンダーやOutlookに自動連携し、日程調整を自動化する「TimeRex」などの日程調整ツールを活用すれば、更なる効率化が可能です。

    事務ミスを防ぐための給与計算スケジュール

    給与計算は、金額を扱うことから、間違いのないようにチェックを入念に行うことが求められます。給与支払日は、毎月25日など定められた日に支給する必要があるため、決められた期日の範囲でチェックをすることが必要です。

    事務ミスを防ぐためには、給与支給日から逆算して、それぞれのタスクに余裕を持って取り組めるようにすることがポイントです。

    【事務ミスを防ぐための給与計算スケジュール例】

    • 給与計算日〇営業日前:勤怠〆データチェック

    • 給与計算日〇営業日前:各種申請〆システムへ身上申請入力

    • 給与計算日〇営業日前:身上申請入力整合性チェック

    • 給与計算日:給与計算実施

    • 給与支給日〇営業日前:給与計算チェック・確定

    • 給与支給日〇営業日前:仕訳データを経理部門へ提出

    • 給与支給日〇営業日前:給与振込データの送信

    スケジュールにバッファを持つことの重要性

    人事部門は、決められたスケジュール以外に、突発的なことが起きることが日常です。

    法改正などがあった場合、期日厳守で対応が必要であるほか、経営政策上、急な対処が発生することもあります。社員の病気、ケガのほか、問題があったときには、人事担当者が待ったなしに対応すべきこともあります。

    このように、人事部門は突発的な対応が求められることから、予め、バッファを持ったスケジューリングをしておくことが肝要です。たとえば、業務量を7割程度に抑えておくなど、スケジュールに余裕を持っておきましょう。

    【まとめ】人事イベント・スケジュール効率化のカギは、業務の平準化

    本記事では、人事イベントをこなしていくためのスケジュールをスパンや分野別に見たほか、業務効率を上げるためのスケジューリングのコツを説明しました。

    業務効率をあげるには、前倒しできる業務を先に行うなど、業務の平準化を図ることが重要です。面接の日程調整をメールや日程調整ツールなどを活用することも、人事部門にとっては効率化の大きなポイントでしょう。

    本記事で紹介したスケジューリングのポイントを参考に、人事イベント・スケジュールを効率的に組みましょう。

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    HR大学編集部
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