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【事例4選】ジョブ型雇用人事制度の実際とは?日本企業の代表的な事例を紹介

ジョブ型雇用人事制度の事例

【事例4選】ジョブ型雇用人事制度の実際とは?日本企業の代表的な事例を紹介

目次

    日本でもジョブ型雇用人事制度を導入する企業が増えてきました。大企業を中心に、さらなる導入が今後も広まると予想されています。そこで今回は事例編として、実際にジョブ型雇用人事制度を導入した日本企業の代表的な事例をご紹介します。

    ジョブ型雇用人事制度とは?

    ジョブ型雇用人事制度とは

    ジョブ型雇用人事制度は日本の人事担当者の中でバズワードになりつつあります。しかしその本質をきちんと捉えている人は少ないのではないでしょうか。まずはジョブ型雇用人事制度の概念について考えてみましょう。

    ジョブ型雇用人事制度の意味

    ジョブ型雇用人事制度は、職務に対して必要な人材を配置する雇用制度です。職務は仕事内容と責任範囲、企業におけるその仕事とポジションの重要度などから総合的に定義されます。ジョブ型雇用人事制度では会社の中にある全ての職務が定義され、職務と人が1対1で対応しています。

    なぜいまジョブ型雇用人事制度なのか?

    ジョブ型雇用人事制度は、2020年頃から日本で注目されはじめました。もともと2010年代後半頃から日本企業のさらなるグローバル化とともに大企業で検討が始まりました。その背景には世界的なITの進歩による人材獲得競争の激化や、日本における働き方の多様化があげられます。さらに2019年に発生した新型コロナウィルスの影響によりリモートワークが普及したことにより、大企業では成果型の働き方が主流となり、ジョブ型雇用人事制度はますます注目されるようになりました。
    さらに詳しく知りたい方は「
    ジョブ型雇用とは?メンバーシップ型雇用との違いやメリット・デメリットを解説」と「 ジョブ型人事制度とは?メンバーシップ型とどう違う?メリット・デメリットや導入背景を紹介」をお読みください。

    ジョブ型人事制度とジョブディスクリプション

    ジョブ型人事制度とジョブディスクリプション

    ジョブ型雇用人事制度の運用では、ジョブディスクリプション(職務記述書)が不可欠です。ジョブディスクリプションとはどのようなものなのでしょうか。

    ジョブディスクリプションとは?

    ジョブディスクリプション(職務記述書)は、その名の通り職務を記した文書のことです。ジョブ型雇用人事制度を運用する企業は会社の中にある全ての職務をひとつひとつジョブディスクリプションに整理しています。職務が増減するたびにジョブディスクリプションを見直し、会社の職務状況が常に最新の状態になるようにするのがジョブ型雇用人事制度を運用する人事担当者の重要な仕事です。

    スキルとジョブディスクリプション関係

    ジョブディスクリプションでは、職務に加えてその職務を遂行するために必要な職務要件が定義されています。例えば営業職であれば、コミュニケーション力やプレゼンテーション力といった基本的なスキルに加えて、その企業が所属する業界に合わせて求められる専門知識や専門スキルが職務要件にまとめられます。万が一、職務要件に求められるスキルについて記述漏れがあった場合、職務に合う人材を採用することが難しくなります。そのためジョブディスクリプションでは職務要件として求められる知識やスキルを正確に記述することが求められます。

    ジョブディスクリプションの作成方法

    これまでジョブ型雇用人事制度を運用したことのない日本企業のにとっては、ジョブディスクリプションの作成はとてもハードルが高く感じるかもしれません。しかし実際の作成方法はそこまで難しいものではなく、2つの方法いずれかを行えば作成できます。

    • 自分で職務をまとめる記述法

    1つ目の方法は記述法です。記述法は、その職務を担当する担当者が自分で自分の職務を定義してジョブディスクリプションにまとめる方法です。

    • 職務を人事担当者や上司がヒアリングする面接法

    2つ目の方法は面接法です。面接法は、人事担当者または上司やコンサルタントがその職務を行う担当者と面接を行って、職務内容をヒアリングしたうえでジョブディスクリプションにまとめる方法です。
    どちらがよいかはあなたの会社の企業規模や人事の対応可能工数などを総合的に検討して決めるとよいでしょう。

    ジョブディスクリプションの作成方法についてさらに詳しく知りたい方は、「 【人事監修テンプレ】ジョブ型雇用時代のジョブディスクリプションの作成法」をお読みください。

    日本企業におけるジョブ型制度導入の課題

    日本企業におけるジョブ型制度導入の課題

    ジョブ型雇用人事制度は日本で注目を集めつつある一方で導入には大きな課題もあります。

    日本企業は「メンバーシップ型」が中心

    まず日本では昔からメンバーシップ型雇用制度が中心です。メンバーシップ型は、まずポテンシャルのある人を採用して様々な経験を積ませながら、最終的に適性に応じた仕事へとアサインする雇用制度です。まさに「適材適所」の雇用制度と言えます。一方でジョブ型雇用人事制度は、仕事に対して人をアサインします。つまり従来のメンバーシップ型とは全く逆の考え方と言えるでしょう。全く正反対の仕組みをいきなり導入するすことは日本企業にとってとても大きなハードルです。まずは経営者や人事部門の責任者や担当者が転換することがジョブ型雇用人事制度導入における大きな課題です。

    なぜ「ジョブ型」は日本企業で導入が進まないのか?

    大企業では徐々にジョブ型雇用人事制度の導入が進んでいます。しかし一気に日本企業で普及しないのには、それなりの理由があるのです。

    日本の文化に合わないから

    メンバーシップ型雇用制度は戦後の高度経済成長期に起きた人材獲得競争に端を発する制度です。人材不足が続く戦後の高度経済成長期に、企業は自社になるべく人材を抱え込むために学生を新卒一括採用して入社後に育てるメンバーシップ型雇用制度を採用しました。それ以来、日本では職種や仕事内容を特定せず、学生を学歴やポテンシャルで採用する新卒一括採用という採用文化が定着したのです。ジョブ型雇用制度は、ポテンシャルを重視するメンバーシップ型雇用制度と異なり、職務に適した人材を仕事にアサインする考え方です。そのため従来の日本の採用文化と合わず、なかなか日本企業では定着していかないことが考えられます。

    外部労働市場が未発達な日本

    労働政策研究・研修機構がまとめた「データブック国際労働比較2019」によると、日本企業では勤続年数20年以上の社員が22.5%を占めるのに対し、アメリカでは20年以上の社員は10%程度であり、1年未満の社員が22.5%と多くなっています。日本企業ではまだまだ同じ企業に長年勤務する考え方が主流であり、雇用の流動性が低い状況であると言えるでしょう。アメリカでは数年で転職することが当たり前であるため、外部労働市場が発達しており、企業は社外から容易に人材を調達できます。しかし日本では人材が企業に抱え込まれてしまっているため、なかなか外部労働市場に人材が供給されず、必要な人材を必要な時に外から採用することが難しくなっていることがジョブ型雇用人事制度を導入する上での大きな課題です。

    ジョブ型雇用人事制度についてさらに詳しく知りたい方は「 ジョブ型雇用とは?メンバーシップ型雇用との違いやメリット・デメリットを解説」をお読みください。

    ジョブ型雇用人事制度の事例4選

    ジョブ型雇用人事制度の事例4選

    日本企業におけるジョブ型雇用人事制度の導入は課題もある一方で、それを乗り越えて導入に成功した企業も実際に存在します。ジョブ型雇用人事制度導入の成功要因はどこにあるのでしょうか。実際の事例から考えてみましょう。

    株式会社日立製作所

    日立製作所は2021年4月から ジョブ型雇用人事制度を運用開始する方針を打ち出しました。この方針は2020年の日本国内のニュースで大きく報じられました。

    発表のタイミングがたまたま新型コロナウィルスの影響が続く中だったため、一見、新型コロナウィルスの影響からジョブ型雇用人事制度の導入へと大きく舵を切ったように見えました。しかし、実は日立製作所のジョブ型雇用人事制度導入は、以前から計画されてきたことなのです。

    日立製作所は日本企業の中でも最も先進的な人事政策を運用する企業の一つと言えます。

    経済産業省の資料「 日立の事業変革とグローバル人財戦略」によれば、日立製作所では海外売上高比率が高くなる中で、グローバル企業へと大きく進化してきました。

    日立製作所は事業のグローバル化に合わせて、グローバル共通の人材マネジメント基盤を2011年から整備し、現在ではグループ共通でグローバルに対応した人事制度を運用しています。また、本社人事部門の改革も行い、グローバル人事部門と地域別人事部門を明確に整理しました。日本の人事部門はあくまで地域別人事部門の一つであり、日立製作所全体の人事制度はグローバル人事部門が担います。さらにグローバル人事部門の担当者も多様化を進め、現在では人事担当者のうち3分の1が日本人ではない社員で構成されているそうです。

    つまり日立製作所ではジョブ型雇用人事制度はあくまでも事業のグローバル化に合わせて2011年から計画を進めてきた人事制度改革のひとつなのです。日立製作所がジョブ型雇用人事制度を導入できたのは、そもそも日立製作所が世界的なグローバル企業であるとともに、ジョブ型雇用制度だけでなく、人事部門の改革や他の人事制度も含めてグローバル化を進めてきたからと言えるでしょう。

    富士通株式会社

    富士通は2020年4月から幹部社員を中心にジョブ型雇用人事制度を導入しました。富士通も日立製作所と同様に、事業のグローバル化を背景にグローバルに統一された職務基準のもと、ジョブ型雇用人事制度を導入することを決めています。
    富士通の公式サイトによれば、富士通独自のジョブ型雇用人事制度として、売上などの定量的な規模の観点に加えて、レポートライン、難易度、影響力、専門性、多様性等の観点から、職責の大きさ/重要性の観点から格付けされた「FUJITSU Level」によって報酬水準を決定する仕組みを導入するそうです。この仕組みにより、より難易度の高い職務に挑戦するように促し、高い業績を上げた社員には高い報酬を支給することが明確にされています。
    富士通のジョブ型雇用人事制度はより高い業績を上げる人材を優遇することを明確にした制度と言えるでしょう。

    株式会社ニトリ

    家具の製造から販売までを手掛ける ニトリではユニークなジョブ型雇用制度を運用しています。それは、ジョブ型雇用制度を適用する社員と適用しない職種を明確に分けて運用する仕組みです。ニトリでは3~5年単位で様々な職種を経験して多面的な視野を身に着ける「配転教育」を人材育成手法として採用しています。そのため「配転教育」を実施せず、明確に職務を定義できる専門職にだけジョブ型雇用制度を適用。専門職になるまでは「配転教育」を行い、社員が様々な職種を経験しながら自分でキャリアを選べる仕組みを導入しています。

    ニトリのジョブ型雇用制度は、日本企業の良さとジョブ型雇用制度の良さの両方を取り入れた制度と言えます。

    三菱ケミカル株式会社

    化学メーカー大手である 三菱ケミカルは2020年10月から幹部社員にジョブ型雇用人事制度を導入しました。また2021年4月からは管理職社員にも導入し、一般社員にもジョブ型に近い制度を導入することとしています。
    三菱ケミカルの大きな特徴は従来のジョブローテーションの代わりに社内公募制度を導入したことです。人事異動は原則として社内公募制にすることで社員が自ら自分の職務を選べると同時に、まだ外部労働市場が発達していない日本において社内労働市場を活性化させることで、柔軟に人材を調達できる仕組みを確立しています。実際に2020年10月に初めて行った社内公募では想定の2倍以上の応募者が殺到したそうです。
    三菱ケミカルのジョブ型雇用人事制度は日本における労働市場の課題をうまくクリアする仕組みです。しかし、一方で5万人以上もの従業員数を誇る大企業だからこそできる仕組みであるとも言えるでしょう。

    日本におけるジョブ型雇用人事制度はまだまだこれから

    日本では大企業が次々とジョブ型雇用人事制度を導入しています。しかし、その導入結果が出るのはまだ少し先のことでしょう。例えば2000年代前半に海外から日本にもたらされた成果主義人事制度も、日本で急速に導入が広まりましたが、現在では制度が形骸化している企業が多くあります。

    一部の有識者からは日本企業における成果主義人事制度は失敗だったとも言われています。ジョブ型雇用人事制度もこれから数年のうちに日本企業での導入が進んでいくと考えられますが、その成否が分かるのはこれから何年か先になるのではないでしょうか。もしあなたが人事担当者であれば、ジョブ型雇用人事制度が流行っているからと飛びつかず、少し冷静にこのブームの動静を見守ってもよいかもしれません。

    「そろそろ人事制度を整備したいが大変だし、誰に相談したらいいか分からない・・」
    「ジョブ型雇用人事制度の導入に向けてジョブディスクリプションを整備したい」
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    HR大学 編集部

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