#人材採用
2024/06/13

組織文化の作り方は?踏むべきステップと注意点や組織文化の種類も

目次

より良い組織運営を行ううえで、経営にも関わる組織文化の導入や見直しは非常に重要です。

組織文化は、例えるなら学生時代のクラスごとに異なる雰囲気のことや、アルバイト先などにも自然にできている風習のことを指す言葉です。

コミュニティごとに異なる文化は当然企業の中にも存在しており、文化の種類によって進むべき方向性や事業の進め方が異なります。

今回は、組織文化にスポットライトを当て、組織文化が与える効果や形成方法をご紹介します。

そもそも組織文化とは?

まず初めに組織文化の概要と重要性、組織風土との違いを解説します。

組織文化の概要

組織文化とは、「ある目的を達成するために構成された組織内で、共有されている考えや価値観、哲学」のことをいいます。

堅苦しい言い方を避けると、組織文化は書いて通り「組織の文化」という意味になりますが、この言葉には組織に所属する人たちの目には見えない多くの要素を含でいます。

その組織内で大切にされている考え、自信を持っていることなどを総称して組織文化と呼んでいるのが一般的です。

組織全体の雰囲気や特徴を表す時に、組織の「色」や「カラー」と言った言葉が使われることがありますが、これらもこの組織文化に含まれるでしょう。

組織文化の重要性

組織文化は歴史の浅い会社でも、まだ大きな業績を上げていない会社でも存在します。

「こういう価値観を持つ方がいい」や「あの哲学を大切にした方がいい」など、組織文化の模範回答は存在しませんが、組織内でどれだけ多くの人が同じ文化を保有できるか、強く信じられるかが重要なポイントです。

組織文化を強化できている企業は、多くの従業員が同じ方向性を意識しながら議論ができるため、社内のコミュニケーションが円滑に進みます。

また、従業員同士が同じビジョンを描きながら進められるため、商品やサービスを開発する際に「企業らしさ」を盛り込んだものが出来上がるでしょう。

組織風土との違い

組織文化の似た言葉で、「組織風土」というものも存在します。
組織風土とは、「組織内で明確にされているルールや価値観」を指します。

一部組織文化と意味が重複する部分がありますが、両者の大きな違いは外的要因によって変化するかしないかです。

組織文化は、顧客の要望や社会の流れに順応するために変化しながら構成される傾向にあります。

一方、組織風土は外的要因の影響は受けにくく、一度形成されると大きな変化をしないのが特徴です。

例えば、年功序列が厳しい風土の会社が、すぐに上下関係をなくし風通しのいい風土に切り替るのは決して簡単なことではありません。

わかりやすく言えば、組織風土は長きに渡って作り上げる「性格」のようなものです。

組織文化の作り方

ここからは、強い組織文化を作るための4つのステップをご紹介します。

企業のビジョンに対する共感・理解を得る

強い組織文化形成するためには、組織に所属する人が企業のビジョン・目標をしっかりと理解していなければいけません。

また、従業員が企業のビジョン・目標を一緒に達成したいと思えなければ、文化の統一は難しいと言えます。

企業文化の形成時には、まず従業員には自社のビジョンを理解し、共感を得られるような活動から始めましょう。

ビジョンや目標の理解・共感を得られるために行うべき具体的な行動は、「ミッションとは?ビジョン・バリューとの違いから具体例まで解説」の記事で詳しく紹介しているため、詳しい情報を確認したい方は併せてご覧ください。

企業のビジョンに則った行動を促進する

企業のビジョンや目標への理解・共感が得られるようになったら、さらにその理解が浸透するようにビジョンに沿った行動を従業員に体験させましょう。

そのために、まずは業務内のタスクを企業のビジョンに沿ったものに再設定し、企業のビジョンを体験できる行動はどう言ったものがあるか、探してみましょう。

経営層だけで話し合っていても、企業のビジョンを体験できる行動が見つからないかもしれません。

時に、従業員とコミュニケーションをとって、組織全体で行動を設定しましょう。

従業員の体験をもとにデザインする

従業員に組織文化を浸透させたければ、どう言った行動を取ればいいのか、具体的な模範解答を提示することが重要です。

社員の中に、企業として目指すべき行動をとっている人に対して、社内で表彰したり、人事評価を上げたりすることで、周りの従業員にもいい刺激となるでしょう。

これを実現するためには、従業員に企業のビジョン・大切にしたい考え方を明確に提示し、管理職がビジョンに基づいた評価をできるように教育する必要があります。

学習に繋げる

社員を学習させる際も、企業が目指すべき人間像に近づける内容を用意しましょう。

しかしこれは、企業のビジョン・大切にしたい考え方が、従業員にしっかりと腹落ちしていることが前提になります。

これが理解できていない状態では、従業員はただ教育を受けているだけになり、企業として理想とする人間像への成長は難しいでしょう。

まずは企業ビジョンの教育から始め、徐々に社員教育の内容を、企業が理想とした人間像に育つようなものに変更してみましょう。

優秀な社員が行っている行動や考え方を規範に、コンピテンシーを見つることもおすすめです。それを人事評価に活かすこともできます。詳しくは、こちらの記事で確認できます。

コンピテンシーとは?活用メリットやデメリット、導入の流れを解説

組織文化を作るのに重要な要素

次に組織文化を作るために重要となる要素をご紹介します。

今後、組織文化の改革を行いたい方は、以下の項目を意識して取り組むことで、効果的に改革が進むでしょう。

初めての方でも取り入れやすいように、取り組む際の注意点も併せて紹介します。

リーダーの行動

組織文化を作り出す要素として、リーダーの行動があります。

特に新入社員のような組織文化が馴染んでいない社員が、初めて組織文化を受け取る機会は、経営者やその部署のリーダーからの言葉や行動からが多い傾向です。

組織のトップが従業員に対して考えを発信する際は、言葉遣いや表現、伝える内容に注意して伝えましょう。

伝える際のポイントは、企業として目指すべきゴールやあるべき姿を自分自身でしっかりと噛み砕き、「こうあるべきだ」という模範行動を示すように心がけが必要です。

また、これは経営者だけが行うのではなく、組織のリーダーやマネージャーも率先して行う必要があり、そのために教育や研修が必要になるでしょう。

採用活動

組織文化を大きく変化させたければ、採用活動で今までに採用していない人材を雇用してみるのもいいでしょう。

採用活動で重要となるポイントは、今までの価値観を捨てて、必要な人材・人間像を洗い出しが必要です。

新卒だけではなく、時には他の企業で結果を出している人材を獲得してみるのもおすすめです。

また近年では、ダイバーシティの考えが広がりつつあり、国籍や性別、年齢に囚われない人材確保が進んでいます。

採用活動で注意する点として、企業に必要な人材や人間像が見つかったとしても、採用時に求める人材かを見極める必要があります。

求める人材だけではなく、どういう採用選考を行えば企業が望む人材が見つかるかを、人事部門を中心に考える必要があるでしょう。

創業者の意志・行動

その組織が大切にする考え方や価値観の根幹には、創業者の意思・理念が基になることが多い傾向です。

創業者の意思が、企業理念や経営理念に反映されていれば、企業が事業活動を行う上で重要な道標になります。

また、創業者がこれまでに行ってきた行動も、企業の理念に含まれることもあるため、創業者の行動も組織文化を作り出す重要な要素となります。

まだ歴史が浅い企業では、今行なっている活動・行動が組織文化の一つになる可能性があるため、今後の組織を見据えた行動が重要です。

企業の経営理念などに、企業が求める人材に育つような言葉や、創業者の意思が盛り込まれているか確認しましょう。

社内評価

社内評価とは、会社が社員に求める人間像を、従業員に伝える最も効果的な方法です。

企業が何を大切にしているかを従業員に提示し、その考えを行動に移している従業員に高い評価をつけます。

社内評価により、会社が求めることを把握しやすくなり、社員同士が共通の価値観を持てるようになります。社員ひとりひとりが同じ価値観を持つことは、組織文化のひとつを構築することにつながるでしょう。

また、企業が求めている行動が取れなかった社員に対しても、評価時に管理職からのフィードバックをすることで、組織文化への理解が深まります。

うまくいった社員・うまくいかなかった社員、両方への気遣いが必要です。組織文化にもつながる社内評価については、弊社の人材評価ツールをぜひお役立てください。

HRBrainの人事評価機能について詳細はこちら

組織内のエピソード

会社が事業活動を行う上で、経験してきたことが組織文化の一部になることもあります。

例えば、コロナ禍も一つのエピソードとなる企業も多いでしょう。
コロナ禍で業績が悪化した状態でも、事業活動の努力や工夫で危機を脱した経験を、次の世代に語り継ぐことで、未来の組織文化の一部になるのです。

企業として貴重な経験がある場合、会社の歴史として従業員に語り継ぐことが重要です。

組織文化が企業にもたらす効果

ここからは組織文化の効果、得られるメリットについて解説します。

企業で抱える悩みや課題を組織文化の改善で解決できるかもしれません。
以下のような項目に課題を感じている企業は、自社の組織文化を見つめなおし、改善すべきポイントがないか確認してみましょう。

企業としてのイメージを明確にできる

組織文化を形成することで、社外からの企業イメージを確立できることもあります。

これは「ブラインドイメージ」と呼ばれ、顧客が企業に対して感じるイメージが良ければ、企業のファンになってくれる顧客が生まれるでしょう。

このブラインドイメージは、広告や広報活動で顧客に伝えることで、徐々に広がっていきます。

しかし、従業員ひとりひとりの行動に、組織文化が現れる場合、顧客は従業員から企業イメージを受け取れます。

自主性を持った従業員が増える

従業員は、企業のために何をすべきか、どう言った行動を取ればいいかが明確になることで自主的な行動が取れるようになります。

組織文化は、従業員ひとりひとりに何をすればいいのかなど、道標の役割を持つこともあります。

この自主性は、従業員が業務を行う上でやりがいを生む大きな要素にもなり、従業員のモチベーション向上にも効果があるでしょう。

組織としての一体感が増す

企業規模が大きく、従業員数が多い企業では、従業員間の考えや業務の方向性が定まらないことも発生しやすい傾向にあります。

組織文化が定着している企業では、組織として歩むべき行動指針、目標が明確になり、組織としての一体感を生みます。

もし、組織としてまとまりがなく、従業員ひとりひとりが違った方向性のまま業務にあたっている場合は、組織文化の見直しをしてみましょう。

人材の採用率・定着率が上がる

組織文化の定着は、従業員の働きやすさにも影響し、離職率を下げる効果が期待できます。

多くの社員が組織文化に順応できるように、人材育成や人事教育を行うことで、組織文化の定着が進むでしょう。

採用した従業員の離職を避けることで、企業が成長するために必要な人材確保に繋がります。

また、就職説明会やインターンで学生に会社の説明を行う際に、組織文化をアピールすることで、その文化に魅力を感じて応募したり、入社前から企業の組織文化を理解したりできるため、入社後のミスマッチが起きにくくなります。

ミスマッチを理由に、退職する新入社員が増えている企業では、企業説明会などで組織文化のアピールを強化しましょう。

意思決定のスピードが上がる

社内で事業運営に関する議論をする際、意見が食い違う場面があるのではないでしょうか。

特に正解のない議論をする時は、何を決め手にして折り合いを付けるか分からず、組織の意思決定に時間を要してしますこともあります。

しかし、従業員が組織文化を理解し、組織としてどう決断がふさわしいのかを議論することで、いい落としどころを容易に見つけ出せるでしょう。

組織文化には種類がある?

組織文化の理解をさらに高めるために、組織文化の種類を知っておくといいでしょう。

ここからは、組織文化の種類を紹介し、その特徴を細かく解説します。
以下の4つのタイプは、あくまでも一例で、必ずどれかに当てはまるとは限りません。

また、以下の内容が複数当てはまる組織も存在しますが、自社の組織文化がどのタイプに近いか、確認してください。

官僚文化

組織の安定とまとまりに価値を置くタイプの組織文化を官僚文化と呼びます。
時に階層分化とも呼ばれ、組織内の役割が明確に分かれている組織構造が特徴です。

年功序列が根付いている日本では、4つの文化の中で官僚文化が最も多いと言われています。

家族文化

家族のような絆や仲間意識を大切にする傾向の組織は、家族文化を持った組織と呼ばれます。

家族文化を持った組織に特徴は、高いチームワーク能力を維持し、お互いを尊重ながら和気あいあいと仕事をするところです。

組織内では、コミュニケーションの円滑化や組織の成長に価値が置かれます。

日本企業は、この家族文化を持った会社が比較的多いと言われており、日本人に馴染み深い組織文化のひとつです。

マーケット文化

マーケット(市場)競争に競り勝つことに重点を置くタイプをマーケット文化の組織と呼びます。

マーケット文化の組織は、市場のシェアを拡大し、利益を上げること目標としています。

目標が明確で、高い競争力を保持しているため、比較的スピーディーに目標を達成できる組織です。

また、目標に向かって突き進む持久力を持った組織で、結果の分析が得意な組織形態と言われています。

イノベーション文化

変化や改革を重んじるタイプの組織文化は、イノベーション文化に該当します。

イノベーション文化は、新しいことにチャレンジする姿勢や、創造力を膨らませて今までにない価値・魅力を作り出すことに重きを置く文化です。

組織内では、改革を行う為の議論が活発化し、時に激しい論争になるときもあります。

しかし、柔軟な発想ができる組織である傾向があり、チャンスを掴むためにいい落としどころを見つけられるように努力できる組織です。

日本企業の中で、イノベーション文化の会社は少なく、4つのタイプの中で一番少ない割合だとも言われています。

まとめ

今回は、組織文化に焦点を当て、組織文化が重要な理由や組織文化を形成する方法を紹介しました。

組織文化はすぐに形成されるものではなく、時間をかけてゆっくりと事業活動を行った結果身につく考え方や価値観が組織文化になります。

いい組織文化を作るためのステップはいくつかありますが、時に方向修正を行いながら、様々なことを見極めて取り組みましょう。

また組織文化には、大きく分けて4種類のタイプがあり、それぞれ特徴と大切にしていることが異なります。

企業として、どのタイプの組織文化がふさわしいかを見極め、その文化が定着できるような活動に取り組んでみましょう。

株式会社HRBrain 宮本幸輝
宮本 幸輝
  • 株式会社HRBrain コンサルティング事業部 組織・⼈事コンサルタント

大学卒業後、コンサルタント企業に入社し、大手家電メーカーや製薬企業に人材マネジメントや研修を提供。また50名〜500名規模企業への⼈事評価制度構築⽀援など組織開発領域を幅広く携わる。

その後、医療業界のネットベンチャー2社のジョイントベンチャーの立ち上げに携わり、自社組織の開発にも貢献。

総合経営コンサルティング会社に移り、50名の⽼舗企業からベンチャー企業、IT(2000名)規模の⼈事制度構築⽀援を複数経験。その他にも経営戦略コンサルや⼤⼿⽯油卸企業の店舗組織変⾰プロジェクトにも参画。

現在は、HRBrain コンサルティング事業部で組織人事コンサルタントとして活躍中。
人事戦略策定から人事評価制度コンサルティング領域まで年間約20社以上を支援する。

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