#人材育成
2023/12/05

アサーションとは?職場のコミュニケーションを円滑にするコミュニケーション方法について

目次

    アサーションとは、相手を尊重しつつ自分の意見を主張するコミュニケーション方法の1つで、ハラスメント対策や、オンライン化でのコミュニケーション方法として注目が集まっています。

    この記事では、アサーションが注目されるようになった背景や、アサーションの効果、アサーションを身につけるためのトレーニング方法について解説します。

    コミュニケーションを円滑にする「1on1」の実施方法

    アサーションとは

    アサーションとは、相手を尊重しつつ自分の意見を主張するコミュニケーション方法の1つです。

    アサーティブなコミュニケーションを身に付けることで、伝えにくい事をきちんと相手に伝えることが出来るなど、対等なコミュニケーションを取ることが出来るようになります。

    アサーションの起源

    アサーションの起源は、アサーションは1950年代に、アメリカの心理学者ジョセフ・ウォルピによって、行動療法として開発されました。

    さらに、1970年代のアメリカで、人種差別を背景としたコミュニケーション課題を解決するため、相手を尊重する自己表現手法として広まりました。

    日本には、1980年代から流入し、主に教育や医療の現場で活用されてきました。

    アサーションが注目される背景

    アサーションへの注目は高まっており、近年では会社の「階層別教育」などにアサーションを取り入れる企業も増えてきています。

    アサーションが注目されている背景について確認してみましょう。

    アサーションが注目される背景

    • ハラスメントへの意識の高まり

    • テレワークの増加

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    ハラスメントへの意識の高まり

    育児介護休業法の改正や、パワハラ防止法の施行により、企業のハラスメント防止への取り組みが更に強化されています。

    その中で、相手を尊重しつつ自分の意見を主張するコミュニケーション方法は、ハラスメントを防ぐコミュニケーション方法として注目されています。

    また年代差や立場を越えたコミュニケーションに悩む人には、このアサーションを技術として身に付けることで、ビジネスに必要なコミュニケーションスキルを取得することが出来ます。

    テレワークの増加

    日本の労働環境は、新型コロナウィルスの影響により、テレワークの機会が増加しました。

    オフラインからオンライン主体のコミュニケーションに変わる中で、社内コミュニケーションの難易度が高まっています。

    オンライン上でのコミュニケーションでは、相手の表情が掴めない、感情が読めないなど、対面では当たり前だったことに苦慮する人や組織が増えています。

    そんな中、相手の状況や自分の言葉に目を向けるアサーティブコミュニケーションの需要が高まっています。

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    アサーションの効果

    アサーションを身に付けることによって、どのような効果が見込まれるのか、アサーティブコミュニケーションの効果について確認してみましょう。

    アサーションの効果

    • 対等な意見交換ができる

    • 人間関係が円滑化する

    • 相手を不快にさせずに断れる

    対等な意見交換ができる

    職場では、上司、部下、顧客といった、さまざまな立場の人と意見交換をする機会があります。

    立場を越えて自分の意見を適切に主張するためには、アサーティブコミュニケーションが推奨されます。

    アサーションによって、立場を前提に卑屈になる訳ではなく、相手を尊重しつつも対等な立場で議論する事が出来るようになります。

    人間関係が円滑化する

    自分の意見や要求を伝える際に、伝え方によっては、言葉が強くなってしまう場合もあります。

    アサーションを意識することで、相手に不快感を与えることなく、適切に自分の意見を伝えることが出来るようになります。

    そのためアサーションは人間関係を円滑にするために有効だと言われています。

    相手を不快にさせずに断れる

    ビジネスの場では、相手を不快にさせずに断ることが必要な場面も出てきます。

    その際、相手を気にし過ぎて、歯切れの悪い回答をしてしまうと、かえって関係を悪化させてしまう事があります。

    攻撃的にならず、相手を尊重しつつ申し出を断るためには、アサーションという考え方が重要になります。

    アサーションでの3つのコミュニケーションスタイル

    アサーションの考え方と、コミュニケーションスタイルについて確認してみましょう。

    アサーショントレーニングを適切に行うためには、自身の自己表現のスタイルである、コ

    ミュニケーションタイルを把握することが大切です。

    アサーショントレーニングでのコミュニケーションスタイルは、3つに分類されます。

    アサーションでのコミュニケーションスタイル

    • アグレッシブ(攻撃タイプ)

    • ノンアサーティブ(非主張タイプ)

    • アサーティブ(バランスタイプ)

    アグレッシブ(攻撃タイプ)

    アグレッシブは、他人に配慮せず、ただ自分の意見を強く主張する自己表現スタイルです。

    一方的に自分の言い分を押し通すことが多く、大声で怒鳴ったり、相手を言いくるめたりして相手より優位に立とうとする傾向があります。

    アグレッシブタイプでのコミュニケーションの着地点は、チームの成果や組織の成長ではなく、相手に勝つ、または自分の意見を正しいと認めさせることなので、時として組織に大きな損害を与えることがあります。

    ノンアサーティブ(非主張タイプ)

    ノンアサーティブは、自己主張が苦手で、相手に合わせようとする意識が強い自己表現スタイルです。

    単純に相手への思いやりから、意見を伝えられないケースもありますが、多くは自分に自信が持てず、「間違ったことを言いたくない」「相手に否定されたくない」という恐れから、自己主張ができないケースとなります。

    意見を率直に言えず、主張が無いように見えたり、逆に言い訳が多かったりするのが特徴です。

    アサーティブ(バランスタイプ)

    アサーティブは、相手へ配慮しつつも、自分の意見を大切にする自己表現スタイルです。

    自分の考えを強引に押し付けたりせず、相手の立場やその場の状況に応じて適した表現方法を選ぶことができます。

    「アグレッシブ」とは違い、人間関係も適切に構築することができ、「ノンアサーティブ」が抱えがちな後悔なども残りにくいのが特徴です。

    アサーションのトレーニング方法

    具体的なアサーションのトレーニング方法について確認してみましょう。

    アサーションの要点や考え方を理解し、繰り返し反復することでコミュニケーションスキルを向上させることが可能です。

    アサーションチェック

    アサーションのトレーニングの前に、まずは自分がどのようなコミュニケーシスタイルなのかを知るために、「アサーションチェック」が有効です。

    「自分が間違っているときに素直に認めることができる」「助けが必要な時に周囲に助けを求めることができる」などのいくつかの設問を通して、自分のコミュニケーションタイプが、「アグレッシブ」「アサーティブ」「ノンアサーティブ」の中で、どの傾向が強いのかを診断することができます。

    DESC法

    アサーションを身に付けるためのトレーニング方法に、「DESC法」があります。

    DESC法とは、アサーションスキルを4つに分類し、体系的にまとめたトレーニング方法です。

    アメリカの心理学者ゴードン・ハワード・バウアーが提唱した自己主張の方法です。

    DESC法の4つの視点でコミュニケーションを取ることで、合理的に物事を解決することが可能になります。

    • D:Describe(描写する)客観的に状況・事実を伝える

    • E:Express(表現する)自分の意見や感情を表現する

    • S:Specify(提案する)相手に求めているものを言葉で伝え、提案する

    • C:Choose(相手の選択と応答)提案に対して、相手に選択肢や代替案を示す

    ABCDE理論

    ABCDE理論は「論理療法」の1つと言われていて、1955年にアルバート・エリスが提唱したカウンセリング理論です。

    要約すると、「出来事(Activating event)」「信念(Belief)」「結果(Consequence)」からなる認知に焦点を当て、「すべての出来事は、捉える人や環境によって受け取り方が変わる」という考えです。

    • A:Activating event(出来事)

    • B:Belief(信念、受け取り方や感じ方)

    • C:Consequence(結果としての感情や行動)

    • D:Dispute(非合理的なBに対する反論)

    • E:Effect(Dによる効果)

    つまり出来事があって結果があるのではなく、その間に受け取り方や感じ方による解釈があり、それを経て結果があるという考え方です。

    不適切な信念をもっていると、出来事は誤った解釈によってネガティブな結果を生むことになります。

    ABC理論を用いて不適切な受け取り方を修正し、合理的で健全な受け取り方に書き換えることがこのABC理論の目的です。

    I(アイ)メッセージ

    Iメッセージは、自分の意見や気持ちを言葉にする際に、「わたし」を主語にして言い換えることです。

    例えば、「私はこう思う」「私はこう感じる」など、忘れがちな自分の感情や考え方を伝えることで、前向きなコミュニケーションができるようになります。

    ただし、アサーションは、自分だけが満足するのではなく、「自分も相手も満足するコミュニケーション」だというコミュニケーションを念頭に置いておく必要があります。

    アサーション権

    アサーション権は、「自他の権利を侵さない範囲で、自己表現をしても良い権利」のことです。

    例えば「話を聴いてもらいたいときにそれを要求する権利」や「決断の時に非論理的である権利」などがあります。

    アサーション権について知っておくことで、さまざまな場面で、アサーションの応用が出来るようになります。

    言語的アサーションと非言語的アサーション

    アサーションには言語的な方法だけでなく、ボディランゲージなどの非言語的な方法もあります。

    人は、コミュニケーションをとる際、話している内容だけではなく、表情や態度、声のトーン、身振り手振りなどから相手の気持ちや感情を判断しています。

    非言語的なアサーションはオンラインコミュニケーションにおいても非常に有効です。

    いつもより分かりやすく、大きくリアクションを取ることで、相手を受け入れ、尊重することに繋がります。

    アサーションを身に付けてコミュニケーションを円滑に

    アサーションは、相手を尊重しつつも自己表現が出来る、ビジネスシーンには必要なコミュニケーション能力です。

    アサーションを身に付け、自分の主張が適切に相手に届くようにしましょう。

    「HRBrain タレントマネジメント」は、1on1やフィードバックなどの履歴を可視化し、コミュニケーションプロセスの透明化や質の向上を実現します。

    また、コミュニケーションデータの記録や管理を通して、ミーティングの質のバラつきの防止や、従業員のコンディションチェックを可能にします。

    HRBrain タレントマネジメントの特徴

    • 検索性と実用性の高い「データベース構築」を実現

    運用途中で項目の見直しが発生しても柔軟に対応できるので安心です。

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    従業員、上司、管理者それぞれで項目単位の権限設定が可能なので、大切な情報を、最適な状態で管理できます。

    • 人材データの見える化も柔軟で簡単に

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