#人材管理
2023/09/06

社員情報管理システムとは?導入のメリットやシステムの選び方を解説

目次

    企業において、従業員に関する情報を安全に保管・管理することや、今後の事業の成長のために適切な人材配置をすることは非常に重要です。
    しかし、従業員の人数が多ければ多いほど、その情報管理には大変な時間と手間がかかります。
    そのような場合、人事担当者の負担を軽減してくれるものとして社員情報管理システムがあります。
    この記事では、社員情報管理システムとはどのようなものなのか、導入する目的は何なのか、どのようなメリットを得られるのか、また、システムを選ぶ上でのポイントについて解説します。

    社員情報管理システムとは

    社員情報管理システムとは、各従業員の人事や労務に関する情報をクラウド上やWeb上で一元管理できるサービスを指します。
    近年、人材戦略の重要性に注目が集まってきており、各従業員の氏名や所属部署などの基本的な情報はもちろん、評価の履歴や資質などの情報まで蓄積・分析できる社員情報管理システムが大変多くの会社から提供されています。

    社員情報管理システムを導入する目的

    従業員の情報を管理する社員情報管理システムを導入する目的にはどのようなものがあるのでしょうか。
    こちらでは従業員のモチベーション・人材育成・業務の効率化という3点について説明していきます。

    従業員のモチベーションの向上

    従業員が意欲的に自身の業務に取り組み、企業全体の生産性を向上させるためには、従業員ひとりひとりのモチベーション維持・向上が非常に大切です。
    従業員のモチベーションを保つためには、公平・適正な評価が不可欠と言えるでしょう。
    従業員は自身が行なった業務や取り組んだ内容が正当に評価され、認められることで充実感を得られます。そうすると、企業に対して愛着がわき、従業員ひとりひとりがより企業に貢献したいと感じると考えられるためです。

    社員情報管理システムには各従業員の目標やこれまでの実績に加えて、人事評価に関する情報まで管理できるものが多くあります。各従業員の資質や現在のスキルに合った業務の割り当てや社内教育のための環境整備にも役立つでしょう。

    従業員の育成

    社員情報管理システムで収集・管理できるのは、各従業員の基本情報のみではありません。従業員個別の目標や今後のキャリアに関する希望、持っているスキル、これまでの経験なども含まれます。
    幅広いデータを管理することで、従業員本人の能力・資質を踏まえた育成計画を効率的に立てることが可能になるでしょう。
    社員情報管理システムは、豊富な知識や経験を持つ従業員が、企業内での活躍の場を広げ、企業の業績向上へ大きく貢献するのをサポートしてくれるものでもあるのです。

    労務管理の効率化

    社員情報管理システムは、各従業員の給与計算や勤怠管理、社会保険や雇用保険に関する手続きなどの労務管理の効率化に役立つことが期待できます。
    各種の申請や集計の自動化ができれば、人事部門、特に労務担当者の負担の軽減に繋がるでしょう。

    また、近年注目されているメンタルヘルスの管理にも、社員情報管理システムは有効です。
    各従業員の勤怠状況を分析することによって従業員の健康状態を推察できれば、従業員の体調不良などによる休職・離職を未然に防ぐフォロー体制を構築し、労働環境を改善することにも役立つでしょう。

    社員情報管理システムの機能とは

    社員情報管理システムがどんなものであるのか、どのような目的で導入するのかを説明しました。
    では社員情報管理システムには、具体的にどのような機能が搭載されているのでしょうか。
    ここからは、社員情報管理システムの具体的な機能について、具体的に説明していきます。

    従業員の能力・スキルの可視化

    社員情報管理システムには、各従業員が持つスキル・資格や経験、これまでの人事評価の履歴などの情報を登録できる機能があります。
    このような機能によって、各従業員に適性のある業務内容や部署・分野の分析、また、その従業員がどのようなことにやりがいを感じるのかなどの情報が可視化できます。

    従業員に関する情報の分析・抽出

    社員情報管理システムによって上記の「従業員の能力・スキルの可視化」ができれば、目標達成率やスキル・資格はもちろん、これまでの評価や従業員本人の性質などの情報をシステム全体で検索することができます。
    それにより、社内の人事戦略において必要な人材がより簡単に抽出でき、効率の良い人員配置が可能になるでしょう。
    定期的な面談の席のみではなく、日々の雑談の中で得られた情報もメモとして記録しておけば、この分析・抽出機能によって、人員配置の際に役立つ場合があるかもしれません。

    セキュリティの強化

    社員情報管理は各従業員の個人情報を取り扱うものであるため、当然のことながらセキュリティ対策が非常に重要です。
    その点で、社員情報管理システムはクラウドやWeb上でデータを管理するシステムであるため、紙やメモリー媒体による情報の持ち出しなどでの漏洩リスクを軽減できると考えられます。
    社員情報管理システムによっては、セキュリティ機能として操作履歴の自動記録機能、情報の暗号化機能、閲覧制限機能などが搭載されているものもあります。、データ管理による安全性をより十分にしたい場合には、そのような機能があるシステムを選ぶのが良いでしょう。

    社員情報管理システムを導入するメリットとは

    社員情報管理システムにはさまざまな機能が搭載されていることを説明しましたが、社員情報管理システムの導入には具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
    こちらでは人材育成・データ管理・ミスの軽減の3点について説明します。

    スムーズな人材育成

    社員情報管理システムによって各従業員のスキルや経験を管理できれば、従業員ひとりひとりの育成計画が立てやすくなることが期待できます。
    例えば、秀でたスキルを持つ従業員に、その能力を活かせる業務内容やポジションを与えられます。また、まだ求められる水準に満たない従業員に対しても個別の人材育成計画を策定しやすくなるでしょう。
    さらに、従業員ひとりひとりの能力・スキルに応じたフォロー面談や研修を実施したり、資格取得の支援などを行ったりすることにより、効果的な人材育成ができると考えられます。

    従業員に関するデータ管理のしやすさ

    設立当初は従業員数が少ないために従業員の情報管理を紙ベースで行なっていた企業でも、事業拡大などにより、従業員の数が増えることはよくあります。
    元々、紙ベースでの保管は長期的には難しく、業務スペースとは別に紙資料を保管するための場所が必要になるなどのデメリットがあります。
    そのような中で従業員の人数が多くなれば、従業員の情報管理にかかる労力も増大します。その結果、紙ベースでの保管では徐々に管理が行き届かなくなるケースも発生します。その点において社員情報管理システムは、クラウドもしくはWeb上で全従業員のデータを包括的に管理できるため、安全に保管・抽出できることが大きなメリットと言えるでしょう。

    ミスの低減

    従業員の情報をExcelなどの表計算ソフトや手動の方法で管理していると、計算式を誤って登録したり、雇用形態や法令の改正などの変更におけるミスが起こりやすくなったりすると考えられます。
    ミスを発見した場合には、改めて正しい情報を入力する作業や最終確認に別の工数が割かれることになり、人事担当者の負担が大きくなってしまいます。

    従業員の情報をクラウドなどのWeb上で取り扱う社員情報管理システムでは、そのような手動入力におけるミスが起こりにくいことが大きなメリットです。
    また、各システムに搭載されている機能によっては、さまざまな雇用形態に合わせた自動計算や年末調整、各種申請の電子処理、法令改正の反映などに対応できます。
    さまざまな計算・調整を自動化してくれる社員情報管理システムは、さまざまな業務に対応する多忙な人事担当者の負担の軽減にも役立つと言えます。

    社員情報管理システムにはどんな種類がある?

    社員情報管理システムには、従業員の能力の把握から採用管理まで、さまざまな分野に特化したものがあります。
    業務の効率化や事業の成長を実現させるためには、自社の目的に合った社員情報管理システムを導入することが重要です。
    こちらでは、各種の社員情報管理システムと、それぞれのシステムでできることについて説明します。

    タレントマネジメントシステム

    社員情報管理システムの一つに、タレントマネジメントシステムがあります。
    タレントマネジメントとは、各従業員の潜在能力やスキルを可視化し、適した業務やポジションに配置することによって、より個人の能力が活かされる教育を行うことを言います。
    タレントマネジメントシステムに各従業員の資格や経験、これまでの評価などの情報を登録しておくことにより、人事配置などの場面においてより適切な判断ができると考えられます。

    また、個々の性格によっては自身の実績をアピールすることが苦手な従業員もいるでしょう。
    そのような従業員の秀でた点や得意な分野も可視化できるため、優秀な人材に気づくことができずに埋もれさせてしまうといったことも防げると期待できます。

    人材データの管理・分析・活用を通して、戦略的な人事の意思決定を支えるクラウドサービスのご案内はこちらからご覧いただけます。
    https://www.hrbrain.jp/talent-management

    評価管理システム

    社員情報管理システムの一つである評価管理システムでは、各従業員の目標や、取り組んだ業務内容と実績などの情報を効率的に記録・管理できます。
    個人の評価の保存はもちろん、各従業員の評価に関するデータを効率的に収集・分析できるため、人材育成においても役立ちます。
    評価のフォーマットはシステムによって異なるため、自社で行っている評価方法にマッチしたフォーマットを搭載したシステムを選ぶことが重要です。

    人事評価を簡単・シンプルに行い、運用の効率化からデータ活用までできる人事評価クラウドのご案内はこちらからご覧になれます。
    https://www.hrbrain.jp/evaluation

    労務管理システム

    労務管理システムは、各従業員の出勤や退勤、取得した休暇などを一元的に管理できるものです。
    労務管理システムを活用することにより、過度な残業をしている、不自然な遅刻・欠勤があるなどの場合に迅速に気付くことができます。そうすることで、従業員ひとりひとりの健康管理に加えて、企業における法令順守にも役立つでしょう。

    システムによっては、パソコンやシステムへのログイン管理、生体認証といった不正な打刻を防止する機能が搭載されているなど、給与計算などを行う人事担当者の業務負担を減らすための工夫がされているものもあります。

    採用管理システム

    採用管理システムは、企業の採用に関する業務をサポートできます。例えば、新たに人材を募集する際の求人の掲載、応募者に関する書類の管理、面接スケジュールや選考状況の管理などを指します。求職者情報を共有したり採用状況を可視化したりすることができ、内定後のフォロー体制構築にも役立ちます。
    面接日時の把握や応募者への対応など、対応範囲の広い採用業務においては担当者の負担も大きくなりがちです。その管理を効率的にサポートしてくれるのが採用管理システムと言えます。

    社員情報管理システムを選ぶポイント

    社員情報管理システムは、現在大変多くの会社から提供されているため、導入時にどれを選べば良いか迷ってしまう場合があります。
    ここからは社員情報管理システムを選ぶ際の基準について、現行で運用中のシステムとの連携・操作性・サポート体制・費用の4つの点から解説します。

    現行で運用中のシステムと連携が可能かどうか

    今現在、自社で実際に使っている他システム・ツールと連携できるかどうかは、社員情報管理システムを選ぶ際に重要なポイントです。
    現在運用中のシステムとの連携ができないものを導入した場合、現行のシステムからのデータを移行するのに、大変多くの時間と工数が必要になる場合があります。
    データ移行の手間とその過程でのミスなどが発生するリスクを考慮するためにも、現行のシステムとの連携可否ができるかどうかは事前に確認しておくことが大切です。

    操作のしやすさ

    社員情報管理システムは導入後、継続的に自社で運用するものです。そのため、途中で担当者が交代する場合もあると考えられます。
    そのような観点から、誰にとっても操作がしやすく、分かりやすい画面表記であるかどうかといった、システムの使い勝手についても事前に十分に確認することが重要です。
    また、社員情報管理システムを扱う担当者がパソコン操作そのものに強くない場合もあるでしょう。
    そのようなデジタルツールが苦手な人にとっても使いやすいか、という視点も持って社員情報管理システムを選ぶことがポイントです。
    また、パソコンのみではなくスマートフォンやタブレットなどのあらゆるデバイスで操作ができるシステムを選べば、場所を選ばず効率的に作業を行えるでしょう。

    サポートの充実度

    社員情報管理システムの導入前・導入後のサポート体制は、システムを提供している会社によって異なります。
    初めてこのようなシステムを導入する企業にとっては、導入時の設定や導入後の操作において、細かな点が分かりづらいと感じることもあるでしょう。
    そのような場合に運営会社側から十分なサポートを受けられるかどうかという点も、システムを選ぶ上での大きな判断基準のひとつです。

    せっかく社員情報管理システムを導入したのに操作が分かりづらく、活用できないままになってしまえば、導入にかけた費用や手間が無駄になってしまいます。
    そのため、導入時の各種設定の際の相談に乗ってもらえるのか、運用開始後に操作方法などで困ったことが起きた場合にサポートが受けられるのか、電話やチャットなどサポート方法の種類や受付時間がに不便がないかなどの点については、事前に確認しておくことが大切です。

    導入・運用にかかる費用

    社員情報管理システムの導入には多くの場合、導入時や運用時の費用が必要となります。
    社員情報管理システムには大きく分けて二つの種類があり、一つはクラウド型、もう一つはオンプレミス型と呼ばれます。
    クラウド型とオンプレミス型の違いは、当該システムを運営元のクラウド上で使用するか、自社サーバー内で使用するかという点です。

    クラウド型では、アカウント数に応じて月額料金が設定されている場合が一般的です。
    そのため、少人数の企業にとっては費用的に導入しやすいと言えるでしょう。
    ただ、その後の事業拡大などによってアカウント数が増えていった場合は、その分運用コストも大きくなっていく可能性があることに注意が必要です。

    一方、オンプレミス型のシステムは多くの場合、導入時に費用の支払いをすべて済ませる買い切り型となっています。
    ある程度の初期費用はかかりますが、長期的に見ればクラウド型よりも割安になる場合もあります。
    こちらはアカウント数の多い、大きな企業に向いていると言えるでしょう。

    まとめ

    社員情報管理システムは、従来紙やメモリー媒体などで管理していた従業員の情報をクラウドを含むWeb上で行える大変便利なものです。
    データの管理や抽出、分析にかける手間が格段に軽減できるだけではなく、十分なセキュリティ対策が取れていれば、従来の方法に比べて情報漏洩のリスクが低減することも大きなメリットと言えるでしょう。
    現在、大変多くの社員情報管理システムがあるため、導入時にはどのシステムを選べば良いか迷ってしまいがちですが、自社の方針に合うシステムを選ぶことができれば、継続的に業務の効率化や事業成長をサポートしてくれるものとなるでしょう。

    HR大学編集部
    HR大学 編集部

    HR大学は、タレントマネジメントシステム・組織診断サーベイを提供するHRBrainが運営する、人事評価や目標管理などの情報をお伝えするメディアです。難しく感じられがちな人事を「やさしく学べる」メディアを目指します。