9ボックスとは?曖昧な人事評価をなくし、賢く育成する方法を解説
人材データの一元管理を実現し、あらゆる人事施策の実行をサポート
- 9ボックスとは
- 9ボックスと似た用語
- 9ボックスの導入から活用までの流れ
- 1.評価基準を設定する
- 2.評価の準備をする
- 3.評価をする
- 4.結果を分析する
- 5.改善策を立てて実行する
- 9ボックスを活用した人事評価を成功させるコツ
- 一度きりのレッテル貼りで終わらせない
- 評価が育成につながるよう運用する
- タレントマネジメントシステムを活用する
- 9ボックスの活用で組織の成長を加速しよう
「9ボックスは評価に役立つ?」という方のため、9ボックスの基礎知識や活用方法をまとめました。「すり合わせ9ボックス」や「9ブロック」といった似た用語との違いや9ボックスの導入手順、人事評価を成功させるコツも紹介します。
従業員のエンゲージメントが低下したり、優秀な人材の流出リスクを高めたりすることがないよう、9ボックスに関する正しい情報を確認していきましょう。
9ボックスとは
9ボックスとは、縦軸に「ポテンシャル(将来の可能性)」、横軸に「パフォーマンス(現在の業績)」を設定し、9つの領域で人材を評価するフレームワークです。
9つの領域の詳細は、以下の通りです。
領域 | 詳細 |
|---|---|
高パフォーマンス・ 高ポテンシャル | ・組織の中核を担うエース人材 |
高パフォーマンス・ 中ポテンシャル | ・高い成果を出す組織の中核 |
高パフォーマンス・ 低ポテンシャル | ・現状の貢献は大きいが成長余地は限定的 |
中パフォーマンス・ 高ポテンシャル | ・潜在能力は高いが成果は平均的 |
中パフォーマンス・ 中ポテンシャル | ・実績・潜在力ともに平均的な組織の安定層 |
中パフォーマンス・ 低ポテンシャル | ・実績が平均的で伸びしろは限定的 |
低パフォーマンス・ 高ポテンシャル | ・潜在能力が高く成果が低い |
低パフォーマンス・ 中ポテンシャル | ・成果は低いが一定の潜在能力あり |
低パフォーマンス・ 低ポテンシャル | ・成果・潜在能力ともに低い |
感覚に頼らない客観的な評価ができる点から、リーダー候補の発見や戦略的な人員配置の検討、個々の社員に合った育成計画の立案に役立ちます。
評価の納得感を高め、1on1ミーティングでの具体的な対話を促進するツールとして、多くの企業の人事戦略で活用されています。
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9ボックスと似た用語
自社に最適な手法を見極めるため、9ボックスと混同されがちな以下の用語も把握しておきましょう。
用語 | 特徴 |
|---|---|
すり合わせ9ボックス | ・1on1ミーティングで部下と目標や課題を擦り合わせるためのマトリクス |
9ブロック | ・9ボックスと同様に「パフォーマンス×ポテンシャル」の二軸で人材を9領域に分類 |
9ボックスとすり合わせ9ボックス、9ブロックは、評価軸や目的が異なるため、導入前に自社の課題やニーズと合致するか検討しましょう。
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9ボックスの導入から活用までの流れ
9ボックスを導入・活用する際の流れは、以下の通りです。
- 評価基準を設定する
- 評価の準備をする
- 評価をする
- 結果を分析する
- 改善策を立てて実行する
組織力を最大化できるよう、上記5つのステップを確認していきましょう。
1.評価基準を設定する
9ボックスを活用するためには、まず「パフォーマンス」と「ポテンシャル」の評価基準を明確にしましょう。評価基準が曖昧だと評価者間のばらつきが生じやすく、精度が低下するためです。
パフォーマンスの評価基準は、KPI達成率・売上貢献度・プロジェクト完遂度など、定量的かつ客観性の高い指標が使われます。
一方、ポテンシャルの評価基準は、リーダーシップ志向・学習意欲・業務適応力など、定性的になりやすい点に注意が必要です。
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2.評価の準備をする
9ボックスでの評価を効率化するために、以下の準備をしておきましょう。
準備内容 | 詳細 |
|---|---|
データの収集 | 対象従業員の直近1年分のKPI達成率・売上貢献度・面談記録などを集め、パフォーマンス評価の根拠とする |
評価基準の統一 | 過去事例を用いた模擬評価演習で評価者間の基準ズレを調整し、判断の一貫性を高める |
評価ツールの準備 | 共通フォーマットの評価シートを配布し、記入方法を統一して評価の精度を向上させる |
周知 | 評価面談の日程や準備事項を従業員に事前通知し、スケジュール管理と準備の抜け漏れを防ぐ |
各項目を確実に実行することで、公正で透明性の高い9ボックス評価を実現できます。
3.評価をする
評価基準と準備が整ったら、各評価者は9ボックスの評価シートに基づき、従業員ごとに「パフォーマンス」と「ポテンシャル」の二軸でスコアリングします。
面談記録や定量データを参照しながら、評価の根拠となる客観的かつ具体的なコメントを残すことが重要です。
評価後は、複数のマネージャーが集まり評価結果を共有し、調整します。各評価者が作成した一次評価を持ち寄り、評価者間の偏り(バイアス)を解消するためです。
4.結果を分析する
評価結果を9ボックス上に記載したら、全体の分布や傾向を可視化し、人事戦略に活かすための分析をしましょう。
主な分析方法は、以下の通りです。
分析方法 | 内容 |
|---|---|
人材ポートフォリオの数値化 | ・各領域の従業員数を把握し、ハイパフォーマーやハイポテンシャル層の割合を確認する |
部署別・世代別バイアスのチェック | ・世代別や部署別の分布を比較し、評価に偏りがないかチェックする |
上記の手順で結果を分析し、9ボックス評価の結果を戦略的な人事施策に活かしましょう。
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5.改善策を立てて実行する
9ボックス活用の最終段階は、分析結果を具体的な改善策に落とし込み、実行することです。評価をランク付けで終わらせず、成長の機会にすることが、制度を形骸化させないポイントです。
分析フェーズで浮かび上がった組織・個人の課題に対して具体的な改善策を策定し、速やかに実行しましょう。
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9ボックスを活用した人事評価を成功させるコツ
9ボックスを活用した人事評価を成功させるポイントは、以下の3つです。
一度きりのレッテル貼りで終わらせない
評価が育成につながるよう運用する
タレントマネジメントシステムを活用する
上記のコツについて、詳しく解説していきます。
一度きりのレッテル貼りで終わらせない
社員が「一度この領域に分類されたら終わりだ」と感じると成長の阻害要因になるため、9ボックスで人事評価をする際は、以下の2点に注意しましょう。
定期的に振り返り、前向きな改善策を打ち立てる
社員が前向きに成長できるようフォローする
「一度きりのレッテル貼り」を防ぐためには、上長自身も9ボックスがあくまで評価の仮説検証であると認識し、評価後のフォローを怠らないことが大切です。
評価が育成につながるよう運用する
9ボックスでの評価を育成に活用するため、以下のように環境を整備しましょう。
現場の管理者が個別の育成計画に対する責任を負う
人事部門は育成ツールの提供・研修実施などのサポートをする
優秀人材を特定し、継続的な改善を図る
社員に挑戦する機会を与える
評価結果を活かして改善策を実行しないと、「9ボックスでの評価は意味ない」と感じられるおそれがあり、活用できずに形骸化する可能性が高まるため、上記を参考に運用体制を整えましょう。
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タレントマネジメントシステムを活用する
タレントマネジメントシステムは、従業員一人ひとりのスキルや個性、経験などを一元管理できる便利なツールです。9ボックスの結果を従業員ごとに管理できれば、一目でパフォーマンスとポテンシャルを判断できるようになります。
たとえば、HRBrain タレントマネジメントを使えば、9ボックス評価のデータを一元管理し、過去の評価やスキル、経歴を確認できます。ボックス間の変化からハイポテンシャル層を特定し、タレントプールの強化につなげられるのが強みです。
また、目標設定や目標に対する進捗管理ができるうえ、人員配置の最適化や1on1の効率化を図ることもできます。
効率良く9ボックスの評価結果を分析し、人材戦略を改善していきたい場合は、タレントマネジメントシステムを活用しましょう。
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9ボックスの活用で組織の成長を加速しよう
9ボックスを活用すれば、社員の「現在のパフォーマンス」と「将来のポテンシャル」を可視化し、人材育成や配置を戦略的に進められます。評価基準の設定や、評価結果の分析・改善策を実行し、組織全体の強みを引き出しましょう。
より効率よく9ボックスの効果を引き出したい場合、「HRBrain タレントマネジメント」の活用がおすすめです。人材データの一元管理やポテンシャル人材の分析、1on1ミーティングの運用サポートといった機能により、戦略的な人材マネジメントに役立ちます。







